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8.サプライズデート
サプライズデート②
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「五十里さん!」
人前でキスなんてされたことはなくて、恥ずかしくて真っ赤になった莉桜は五十里を叱る。
「俺がサプライズでシカゴに来たのに、莉桜がお返しのように登場するからだ。本当にこんなものでは済ませたくないくらい愛おしいよ、むしろ、ここでやめた俺を褒めてほしいね」
「全くもう……」
怒ってもそんな風に言われてしまっては許すしかないではないか。
「こんなことできるのは海外だからということにして許してくれ。たくさん待ったか?」
「いいえ、少しだけ。朝はモーニングしてホテル近くのカフェで勉強してたんです」
「勉強は進んだ?」
「少しだけですけど」
偉いな、というようににこにこしながら頭を撫でられた。
「じゃあ、後は気にしないでデートできるか?」
「はい!」
「よし。今からチェックインしてくる」
五十里はそう言って、莉桜を見る。
「部屋の中を見るか?」
「え? いいんですか?」
「好奇心丸出しの顔をしていたぞ」
そんな顔をしていたのかと莉桜は思わず両手で自分の顔を触ってしまった。けれど、部屋の中も見たいことは間違いないのだ。
「有名な超一流ホテルです。名前は聞いたことがあっても、お部屋の中に入る機会はないので可能であればぜひ拝見させていただきたいです」
「俺の彼女は本当に勉強熱心だな。いいよ。おいで」
五十里はレセプションに向かわないで、コンシェルジュデスクに向かった。そこで英語で話しかける。
『こんにちは。五十里です』
『五十里様、お待ちしておりました』
思わず莉桜は時計を確認する。そういえば、この時間なら通常はまだチェックインできない時間だ。
五十里は特別にアーリーチェックインできるよう手配しているのだろう。
『いつものお部屋でご用意してございます』
『ありがとう』
英語で聞こえるそのやり取りはとてもスマートなものだった。
五十里の部屋は高層階にあり、レイクビューのジュニアスイートである。
窓からの景色は素晴らしく、ミシガン湖が一望できる。湖は湖面にキラキラと光を湛えていた。
莉桜は思わず窓に貼り付いて外の光景をじっくり堪能してしまう。
「今日はディナークルーズを予約しているんだが、夜も一緒に食事できると思って構わなかったな?」
荷物を片付けながら五十里がそう声をかけてきた。それはまさに今釘付けになっているこのミシガン湖でのクルーズだろう。
そんなツアーを予約していたとは想像もしていなくて、驚いてしまった。
「ディナークルーズですか? すごく嬉しいです!」
外の景色に夢中になっていた莉桜がくるっと部屋の中を振り返ると、五十里がくすくすと笑っている。
「ネコにかつお節みたいだな。まあ、喜んでくれてよかった」
着ていたスーツを脱いだ五十里はクローゼットのハンガーにかけている。
ネクタイを外しワイシャツのカフスを外すに至って着替えだ! と気づいた莉桜である。
慌てて、五十里から目を逸らして、また窓の外に目をやる。くすっと五十里から笑い声が聞こえた。
「別に見ても構わないけど?」
「それはちょっと……」
莉桜は今度はスマートフォンを取り出してシカゴの付近の観光案内を確認する。
するっと背後から手が伸びてきて、ぎゅっとハグされた。
「どこかいいところはあった?」
耳元に囁かれてどきんとする。
五十里の声はいつも甘くて優しい。
人前でキスなんてされたことはなくて、恥ずかしくて真っ赤になった莉桜は五十里を叱る。
「俺がサプライズでシカゴに来たのに、莉桜がお返しのように登場するからだ。本当にこんなものでは済ませたくないくらい愛おしいよ、むしろ、ここでやめた俺を褒めてほしいね」
「全くもう……」
怒ってもそんな風に言われてしまっては許すしかないではないか。
「こんなことできるのは海外だからということにして許してくれ。たくさん待ったか?」
「いいえ、少しだけ。朝はモーニングしてホテル近くのカフェで勉強してたんです」
「勉強は進んだ?」
「少しだけですけど」
偉いな、というようににこにこしながら頭を撫でられた。
「じゃあ、後は気にしないでデートできるか?」
「はい!」
「よし。今からチェックインしてくる」
五十里はそう言って、莉桜を見る。
「部屋の中を見るか?」
「え? いいんですか?」
「好奇心丸出しの顔をしていたぞ」
そんな顔をしていたのかと莉桜は思わず両手で自分の顔を触ってしまった。けれど、部屋の中も見たいことは間違いないのだ。
「有名な超一流ホテルです。名前は聞いたことがあっても、お部屋の中に入る機会はないので可能であればぜひ拝見させていただきたいです」
「俺の彼女は本当に勉強熱心だな。いいよ。おいで」
五十里はレセプションに向かわないで、コンシェルジュデスクに向かった。そこで英語で話しかける。
『こんにちは。五十里です』
『五十里様、お待ちしておりました』
思わず莉桜は時計を確認する。そういえば、この時間なら通常はまだチェックインできない時間だ。
五十里は特別にアーリーチェックインできるよう手配しているのだろう。
『いつものお部屋でご用意してございます』
『ありがとう』
英語で聞こえるそのやり取りはとてもスマートなものだった。
五十里の部屋は高層階にあり、レイクビューのジュニアスイートである。
窓からの景色は素晴らしく、ミシガン湖が一望できる。湖は湖面にキラキラと光を湛えていた。
莉桜は思わず窓に貼り付いて外の光景をじっくり堪能してしまう。
「今日はディナークルーズを予約しているんだが、夜も一緒に食事できると思って構わなかったな?」
荷物を片付けながら五十里がそう声をかけてきた。それはまさに今釘付けになっているこのミシガン湖でのクルーズだろう。
そんなツアーを予約していたとは想像もしていなくて、驚いてしまった。
「ディナークルーズですか? すごく嬉しいです!」
外の景色に夢中になっていた莉桜がくるっと部屋の中を振り返ると、五十里がくすくすと笑っている。
「ネコにかつお節みたいだな。まあ、喜んでくれてよかった」
着ていたスーツを脱いだ五十里はクローゼットのハンガーにかけている。
ネクタイを外しワイシャツのカフスを外すに至って着替えだ! と気づいた莉桜である。
慌てて、五十里から目を逸らして、また窓の外に目をやる。くすっと五十里から笑い声が聞こえた。
「別に見ても構わないけど?」
「それはちょっと……」
莉桜は今度はスマートフォンを取り出してシカゴの付近の観光案内を確認する。
するっと背後から手が伸びてきて、ぎゅっとハグされた。
「どこかいいところはあった?」
耳元に囁かれてどきんとする。
五十里の声はいつも甘くて優しい。
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