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9 夜の帳に星の降る ※
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ロレシオはぐったりとしたエルゼをシーツに横たえ、そろそろと身体を離す。彼の額には、玉のような汗が光っていた。
「……これで、挿入する準備はできただろう。この先まで君を求めても、許してくれるだろうか」
優しく問う低い声は、余裕なく掠れていた。
さきほどから、布越しでも十分にわかるロレシオの股間のこわばりに、エルゼもうすうす気づいていた。この状態がロレシオにとってかなり苦しい状態であることくらい、エルゼでも容易に察することができる。
エルゼは胸辺りできゅっと手を握ると、しっかりと頷く。
「……は、はい」
エルゼが頷いたのを見たロレシオは、やや荒々しい動作でガウンと下穿きを脱ぐ。引き締まった身体が薄明りに照らし出された。胸や肩にある古傷が、うっすらと朱に染まっている。
そして何よりエルゼの視線を奪ったのは、身体の中心でそそり立つ剛直だ。
初夜に穿たれた熱を思い出し、エルゼはこくりと喉を鳴らす。ソレを一度きり受け入れた場所が、はしたなくぬかるんでいる。
「エルゼ、……ああ、エルゼ」
ロレシオはうわごとのようにエルゼの名を呼びながら、彼女に覆いかぶさった。熱い吐息が耳にかかり、エルゼの背中にぴりりと落ち着かない感覚が走り抜ける。
「んっ……」
「……そういえば君は、耳が弱かったな」
そう言うと、ロレシオは彼女の耳朶をじゅる、とわざと音をたてて吸った。エルゼの身体が意志と関係なく跳ねる。
「うぁ……、や、やめっ……」
ロレシオの舌が、エルゼの耳の外側をなぞるように舐めあげる。それから、露骨に卑猥な音が立つほど耳の中心の部分を吸い上げた。どうしようもなく、鼓動が乱れていく。
「ふぅ……、んんんっ!!!」
じゅるじゅると、耳から直接脳を犯すような淫猥な水音にエルゼが身もだえしていると、花芯からも迸るような快感が走る。ロレシオが自らの肉棒で淫唇を擦り上げたのだ。
「ひゃんっ!……ああ……っ!」
秘所の奥地からとめどなく溢れる吐蜜を張り詰めた陰茎にこすりつけ、ロレシオはエルゼの耳元で荒い息を吐く。その吐息すら、エルゼにとってはとてつもない官能を帯びた刺激になっていく。
ロレシオの腰は探るように上下し、ついにエルゼの柔らかな花芯を刺激しながら、秘唇を割りはじめる。愛液がとろりと垂れた。
「ああ……、ろれしお、さま……っ!」
圧倒的な快感と、自らの空白を満たしたいという欲望が、エルゼの理性を凌駕する。敏感な場所を刺激されるたびに腰が跳ね、隘路の奥にある場所が待ちわびるようにズクズクと疼きだす。
ロレシオは額にかかった前髪をかきあげて、乱れるエルゼを見た。
「……もう少し、こうしていたいが、私も限界だ」
「あっ……」
刹那、エルゼの内部に熱い楔が侵入する。ずり、ずり、とゆっくりロレシオは己の剛直をエルゼの中に沈ませる。待ち望んでいた快感をついに与えられたエルゼは、シーツをぎゅっと握りしめた。
初夜のような異物感や痛みはないが、やはり内臓を押されるような圧迫感はある。しかし、今はただ、ロレシオとようやく一つに慣れたことが嬉しかった。
エルゼは潤んだサファイアブルーの瞳をふっと細めた。
「ろれしお、さま……。わたくし、……しあわせです」
「エルゼ、私たちは夫婦なのだ。ロレシオ、と呼び捨てにしてくれないか」
「……ロレシオ?」
「そうだ。陛下、と呼ぶのも辞めてほしい。他人のように仰々しく私を呼ばないでくれ。私たちはもう、夫婦なのだから」
「夫婦……」
エルゼの胸の中が、春風が吹き抜けたようにほわりと温かくなる。ロレシオもまた、この上なく嬉しそうに微笑み、エルゼを抱きしめる。
「愛している。こんなにも私を満たすことができるのは、君だけしかいない――」
その瞬間、ロレシオはぐいっとエルゼの腰を引き寄せた。肉襞は強制的に拓かれ、牡竿がついにエルゼの最奥まで届く。息を詰めたエルゼの身体に衝撃が走った。
「あっ……、はぁ……っ」
身体中の血が沸騰したように熱い。遅れて、驚いた蜜壺がきゅうきゅうとロレシオを締め付けた。そのせいで、含まされた肉棒の大きさがまざまざと分かってしまう。
「ぐっ……、覚悟はしていたつもりだったが、相変わらず、キツい……」
ロレシオがうめき声に近い吐息を漏らす。エルゼの中で、長大な肉茎が物欲しげに脈打つ。暴れまわりたいのを、必死にこらえているのだろう。
「痛くは、ないか?」
「はい……。だいじょぶ、です……」
「それならば、動くぞ。少し痛いかもしれないが、許してくれ」
ロレシオは少しずつ腰を動かし始めた。焦れるほどゆっくりな動きは、経験の少ないエルゼに少しずつ快感を教えていく。
挿入るときは、入り口近くの敏感な場所をなぞりあげ、隘路の粘膜にくまなく快感を植えつけながら最奥へ。子宮口近くではコリコリとした部分をたっぷりといじめあげ、たまらずエルゼが声を漏らすと、ロレシオはわざとゆっくりと腰を引いた。
ロレシオの抽送は執拗で、エルゼの身体は焦れったい欲を覚え始める。――さらに奥に、強い刺激がほしい。
「はぁ……。ああ………、ろれし、お……」
ついにエルゼはロレシオの手をおずおずと掴んだ。名前を呼ばれたことに反応したのか、どくりと内部にある肉棒が凶暴に膨れ上がる。
「……どうした、エルゼ?」
聞く声はどこまでも優しく、そして官能の響きを帯びていた。エルゼは逡巡する。もっと強い刺激が欲しいと言えば、ロレシオは淫乱な女だと呆れるかもしれない。しかし、身体は明らかにいま以上の刺激を望んでいる。
エルゼが何も答えられずにいると、ロレシオはもう一度焦らすように身体をゆすった。たまらずエルゼはロレシオの手をぎゅっと握って嬌声をあげる。
「ひゃぁああっ……」
「……エルゼ、どうしてほしい?」
ロレシオの問いに、エルゼはイヤイヤと首を振った。しかし、さらにもう二、三度ロレシオに焦らされ、ついに甘い誘導に耐えきれなくなったエルゼは真っ赤になって厚い胸にすがりつく。
「……もっと」
「もっと、なんだ?」
「……おねがい、……もっと、ほしいの……。ロレシオの、あったかいの……」
「……予想以上だ。こんな可愛らしいおねだりをされたら、こっちも我慢がきかなくなるんだが」
ロレシオが困ったように笑ったその瞬間、肉竿の尖端がぐいっとエルゼの快いところをえぐった。股関節が軋むほどにたくましい身体が打ち付けられ、余すところなくエルゼの胎内に雄芯が含まされる。
激しい快感が濁流のようにエルゼを襲った。
「んはぁ、……ぁあああ、んっ!」
エルゼは半ば悲鳴のような嬌声をあげた。一瞬意識が遠くなり、目の前に無数の星が散る。
そこからのロレシオは容赦がなかった。ぐぷぐぷと音をたてて入り口を焦らしたかと思えば、子宮口を押し拓くような勢いで激しく腰をグライングさせ、エルゼを喘がせた。
ぱん、ぱん、という肌と肌がぶつかる音が響く。それまでの抑制をかなぐり捨てたロレシオは、エルゼを本能のままに愛した。
「あ、ひっ……! ああああーッ!!」
一際甲高い嬌声をあげ、仰け反って逃げようとするエルゼの尻を、ロレシオが掴む。
「逃げるな」
抑えた声がそう告げた途端、ロレシオはエルゼの膝の裏を抱くようにして身体を密着させ、さらに奥へと自身を突き刺した。
「はっ、……ああっ、あぁああ――っ……!」
一気に絶頂に達し、エルゼの腰が無秩序にガクガクと上下した。限界まで潤んだ肉孔が、はち切れんばかりの肉胴を絞り上げる。ロレシオも堪えるような呻きを漏らし、エルゼをかき抱いた。
エルゼは幾度となく絶頂した。ロレシオの律動的な動きは、快感の極みまで上り詰めたエルゼが降りることを決して許さない。身体の隅々まで感じるところを暴かれ、愉悦を教えこまされる。
とめどない快感の波にさらわれて、そのたくましい腕にしがみつき、何度も愛する人の名前を呼んだ。そのたび、ロレシオの動きはますます激しくなった。
「エルゼ……、ああ、愛しいエルゼ……」
いまやロレシオの動きすべてが、エルゼの身体に強烈な快感を灼きつけた。どちらのものか分からない唾液が、エルゼの口の端から流れる。お互いの輪郭さえ、定かではない。
「ああっ……。ふぁぁああん……ッ!」
エルゼの男の形を知った隘路が無秩序にうねり、ねっとりとしゃぶりあげる。ロレシオの艶っぽいため息から、それが壮絶な快楽を彼に与えていることは明白だった。
「……あああっ!」
「ふっ……」
ロレシオはついに熱い吐息を漏らし、根元まで引き抜き一気に突き上げる。脊髄を突き抜けるような痺れに、エルゼは腰に響くような甘い嬌声をあげた。うねったぬかるみが小刻みに震え、男を吐精へと誘う。
「ああっ、ロレシオ……!」
「ぐっ……っ、エルゼ……!」
ふたりは同時に達し、エルゼの胎内で白濁が弾けた。
「……エルゼ……、愛おしい、私の妻……」
ロレシオの大きな手が、ぐったりとシーツに横たわるエルゼの頬を撫でた。まるで、世界で唯一の宝玉を触るような手つきで。
「愛おしい人。……私の、人生のすべてを捧げたってかまわない……」
「……もう、十分に捧げてもらいました。貴方の人生は、イヴァンカのためにあったようなものだから……。だからもう、これ以上捧げるのはやめて……」
「まだ、足りないんだ。もっと、前世の分まで君を甘やかして幸せになってもらわないと……」
ロレシオはエルゼの唇を奪う。エルゼの頬に涙がつたった。
一人の孤独な騎士の愛がようやく結実し、一人の愛されることを諦めていた孤独な女の魂が、満たされ、癒えていく――……。
「もう十分すぎるほど幸せです」
エルゼは愛しい人の胸板に頬を寄せ、そのまま目を閉じた。
◇◆
ガル=シンシア歴658年、267年続いたクラウン王朝は革命の騎士ロレシオ・マディオによって打倒された。
クラウン王朝家に変わって国王となったロレシオは、腐敗した王政を建て直し、優れた宰相たちとともに善政を布く。
彼の治世は、王妃エルゼ・ラグベニューを迎え、さらに輝きを増す。才媛として名高い彼女は、よくロレシオを助け、導いた。ロレシオは王妃エルゼを寵愛し、終生側室を娶ることはなかった。
また、のちに啓蒙主義をかかげた彼は、民衆の教育に力を注ぎ、後の第二次文化運動の興りに貢献することになる。特に彼が各地に建てた王立図書館は、市民たちにも開放され、広く民衆たちの識字率の向上に貢献した。
――サントロ国史 <イヴァンカ・クラウン王立図書館所蔵>
「……これで、挿入する準備はできただろう。この先まで君を求めても、許してくれるだろうか」
優しく問う低い声は、余裕なく掠れていた。
さきほどから、布越しでも十分にわかるロレシオの股間のこわばりに、エルゼもうすうす気づいていた。この状態がロレシオにとってかなり苦しい状態であることくらい、エルゼでも容易に察することができる。
エルゼは胸辺りできゅっと手を握ると、しっかりと頷く。
「……は、はい」
エルゼが頷いたのを見たロレシオは、やや荒々しい動作でガウンと下穿きを脱ぐ。引き締まった身体が薄明りに照らし出された。胸や肩にある古傷が、うっすらと朱に染まっている。
そして何よりエルゼの視線を奪ったのは、身体の中心でそそり立つ剛直だ。
初夜に穿たれた熱を思い出し、エルゼはこくりと喉を鳴らす。ソレを一度きり受け入れた場所が、はしたなくぬかるんでいる。
「エルゼ、……ああ、エルゼ」
ロレシオはうわごとのようにエルゼの名を呼びながら、彼女に覆いかぶさった。熱い吐息が耳にかかり、エルゼの背中にぴりりと落ち着かない感覚が走り抜ける。
「んっ……」
「……そういえば君は、耳が弱かったな」
そう言うと、ロレシオは彼女の耳朶をじゅる、とわざと音をたてて吸った。エルゼの身体が意志と関係なく跳ねる。
「うぁ……、や、やめっ……」
ロレシオの舌が、エルゼの耳の外側をなぞるように舐めあげる。それから、露骨に卑猥な音が立つほど耳の中心の部分を吸い上げた。どうしようもなく、鼓動が乱れていく。
「ふぅ……、んんんっ!!!」
じゅるじゅると、耳から直接脳を犯すような淫猥な水音にエルゼが身もだえしていると、花芯からも迸るような快感が走る。ロレシオが自らの肉棒で淫唇を擦り上げたのだ。
「ひゃんっ!……ああ……っ!」
秘所の奥地からとめどなく溢れる吐蜜を張り詰めた陰茎にこすりつけ、ロレシオはエルゼの耳元で荒い息を吐く。その吐息すら、エルゼにとってはとてつもない官能を帯びた刺激になっていく。
ロレシオの腰は探るように上下し、ついにエルゼの柔らかな花芯を刺激しながら、秘唇を割りはじめる。愛液がとろりと垂れた。
「ああ……、ろれしお、さま……っ!」
圧倒的な快感と、自らの空白を満たしたいという欲望が、エルゼの理性を凌駕する。敏感な場所を刺激されるたびに腰が跳ね、隘路の奥にある場所が待ちわびるようにズクズクと疼きだす。
ロレシオは額にかかった前髪をかきあげて、乱れるエルゼを見た。
「……もう少し、こうしていたいが、私も限界だ」
「あっ……」
刹那、エルゼの内部に熱い楔が侵入する。ずり、ずり、とゆっくりロレシオは己の剛直をエルゼの中に沈ませる。待ち望んでいた快感をついに与えられたエルゼは、シーツをぎゅっと握りしめた。
初夜のような異物感や痛みはないが、やはり内臓を押されるような圧迫感はある。しかし、今はただ、ロレシオとようやく一つに慣れたことが嬉しかった。
エルゼは潤んだサファイアブルーの瞳をふっと細めた。
「ろれしお、さま……。わたくし、……しあわせです」
「エルゼ、私たちは夫婦なのだ。ロレシオ、と呼び捨てにしてくれないか」
「……ロレシオ?」
「そうだ。陛下、と呼ぶのも辞めてほしい。他人のように仰々しく私を呼ばないでくれ。私たちはもう、夫婦なのだから」
「夫婦……」
エルゼの胸の中が、春風が吹き抜けたようにほわりと温かくなる。ロレシオもまた、この上なく嬉しそうに微笑み、エルゼを抱きしめる。
「愛している。こんなにも私を満たすことができるのは、君だけしかいない――」
その瞬間、ロレシオはぐいっとエルゼの腰を引き寄せた。肉襞は強制的に拓かれ、牡竿がついにエルゼの最奥まで届く。息を詰めたエルゼの身体に衝撃が走った。
「あっ……、はぁ……っ」
身体中の血が沸騰したように熱い。遅れて、驚いた蜜壺がきゅうきゅうとロレシオを締め付けた。そのせいで、含まされた肉棒の大きさがまざまざと分かってしまう。
「ぐっ……、覚悟はしていたつもりだったが、相変わらず、キツい……」
ロレシオがうめき声に近い吐息を漏らす。エルゼの中で、長大な肉茎が物欲しげに脈打つ。暴れまわりたいのを、必死にこらえているのだろう。
「痛くは、ないか?」
「はい……。だいじょぶ、です……」
「それならば、動くぞ。少し痛いかもしれないが、許してくれ」
ロレシオは少しずつ腰を動かし始めた。焦れるほどゆっくりな動きは、経験の少ないエルゼに少しずつ快感を教えていく。
挿入るときは、入り口近くの敏感な場所をなぞりあげ、隘路の粘膜にくまなく快感を植えつけながら最奥へ。子宮口近くではコリコリとした部分をたっぷりといじめあげ、たまらずエルゼが声を漏らすと、ロレシオはわざとゆっくりと腰を引いた。
ロレシオの抽送は執拗で、エルゼの身体は焦れったい欲を覚え始める。――さらに奥に、強い刺激がほしい。
「はぁ……。ああ………、ろれし、お……」
ついにエルゼはロレシオの手をおずおずと掴んだ。名前を呼ばれたことに反応したのか、どくりと内部にある肉棒が凶暴に膨れ上がる。
「……どうした、エルゼ?」
聞く声はどこまでも優しく、そして官能の響きを帯びていた。エルゼは逡巡する。もっと強い刺激が欲しいと言えば、ロレシオは淫乱な女だと呆れるかもしれない。しかし、身体は明らかにいま以上の刺激を望んでいる。
エルゼが何も答えられずにいると、ロレシオはもう一度焦らすように身体をゆすった。たまらずエルゼはロレシオの手をぎゅっと握って嬌声をあげる。
「ひゃぁああっ……」
「……エルゼ、どうしてほしい?」
ロレシオの問いに、エルゼはイヤイヤと首を振った。しかし、さらにもう二、三度ロレシオに焦らされ、ついに甘い誘導に耐えきれなくなったエルゼは真っ赤になって厚い胸にすがりつく。
「……もっと」
「もっと、なんだ?」
「……おねがい、……もっと、ほしいの……。ロレシオの、あったかいの……」
「……予想以上だ。こんな可愛らしいおねだりをされたら、こっちも我慢がきかなくなるんだが」
ロレシオが困ったように笑ったその瞬間、肉竿の尖端がぐいっとエルゼの快いところをえぐった。股関節が軋むほどにたくましい身体が打ち付けられ、余すところなくエルゼの胎内に雄芯が含まされる。
激しい快感が濁流のようにエルゼを襲った。
「んはぁ、……ぁあああ、んっ!」
エルゼは半ば悲鳴のような嬌声をあげた。一瞬意識が遠くなり、目の前に無数の星が散る。
そこからのロレシオは容赦がなかった。ぐぷぐぷと音をたてて入り口を焦らしたかと思えば、子宮口を押し拓くような勢いで激しく腰をグライングさせ、エルゼを喘がせた。
ぱん、ぱん、という肌と肌がぶつかる音が響く。それまでの抑制をかなぐり捨てたロレシオは、エルゼを本能のままに愛した。
「あ、ひっ……! ああああーッ!!」
一際甲高い嬌声をあげ、仰け反って逃げようとするエルゼの尻を、ロレシオが掴む。
「逃げるな」
抑えた声がそう告げた途端、ロレシオはエルゼの膝の裏を抱くようにして身体を密着させ、さらに奥へと自身を突き刺した。
「はっ、……ああっ、あぁああ――っ……!」
一気に絶頂に達し、エルゼの腰が無秩序にガクガクと上下した。限界まで潤んだ肉孔が、はち切れんばかりの肉胴を絞り上げる。ロレシオも堪えるような呻きを漏らし、エルゼをかき抱いた。
エルゼは幾度となく絶頂した。ロレシオの律動的な動きは、快感の極みまで上り詰めたエルゼが降りることを決して許さない。身体の隅々まで感じるところを暴かれ、愉悦を教えこまされる。
とめどない快感の波にさらわれて、そのたくましい腕にしがみつき、何度も愛する人の名前を呼んだ。そのたび、ロレシオの動きはますます激しくなった。
「エルゼ……、ああ、愛しいエルゼ……」
いまやロレシオの動きすべてが、エルゼの身体に強烈な快感を灼きつけた。どちらのものか分からない唾液が、エルゼの口の端から流れる。お互いの輪郭さえ、定かではない。
「ああっ……。ふぁぁああん……ッ!」
エルゼの男の形を知った隘路が無秩序にうねり、ねっとりとしゃぶりあげる。ロレシオの艶っぽいため息から、それが壮絶な快楽を彼に与えていることは明白だった。
「……あああっ!」
「ふっ……」
ロレシオはついに熱い吐息を漏らし、根元まで引き抜き一気に突き上げる。脊髄を突き抜けるような痺れに、エルゼは腰に響くような甘い嬌声をあげた。うねったぬかるみが小刻みに震え、男を吐精へと誘う。
「ああっ、ロレシオ……!」
「ぐっ……っ、エルゼ……!」
ふたりは同時に達し、エルゼの胎内で白濁が弾けた。
「……エルゼ……、愛おしい、私の妻……」
ロレシオの大きな手が、ぐったりとシーツに横たわるエルゼの頬を撫でた。まるで、世界で唯一の宝玉を触るような手つきで。
「愛おしい人。……私の、人生のすべてを捧げたってかまわない……」
「……もう、十分に捧げてもらいました。貴方の人生は、イヴァンカのためにあったようなものだから……。だからもう、これ以上捧げるのはやめて……」
「まだ、足りないんだ。もっと、前世の分まで君を甘やかして幸せになってもらわないと……」
ロレシオはエルゼの唇を奪う。エルゼの頬に涙がつたった。
一人の孤独な騎士の愛がようやく結実し、一人の愛されることを諦めていた孤独な女の魂が、満たされ、癒えていく――……。
「もう十分すぎるほど幸せです」
エルゼは愛しい人の胸板に頬を寄せ、そのまま目を閉じた。
◇◆
ガル=シンシア歴658年、267年続いたクラウン王朝は革命の騎士ロレシオ・マディオによって打倒された。
クラウン王朝家に変わって国王となったロレシオは、腐敗した王政を建て直し、優れた宰相たちとともに善政を布く。
彼の治世は、王妃エルゼ・ラグベニューを迎え、さらに輝きを増す。才媛として名高い彼女は、よくロレシオを助け、導いた。ロレシオは王妃エルゼを寵愛し、終生側室を娶ることはなかった。
また、のちに啓蒙主義をかかげた彼は、民衆の教育に力を注ぎ、後の第二次文化運動の興りに貢献することになる。特に彼が各地に建てた王立図書館は、市民たちにも開放され、広く民衆たちの識字率の向上に貢献した。
――サントロ国史 <イヴァンカ・クラウン王立図書館所蔵>
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