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帝都の人々
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今いる場所を確認してから私は杏さんに微笑みかけた。
「ははは、勘違いしないでください杏さん。失敗じゃありません。ちょっと水浴びをしたかっただけですよ」
「……この肌寒い日に水浴びとは、仙人様の克己心には感心するしかないねぇ」
吹かしてんじゃねぇよエセ仙人、と顔に書いてある杏さんだった。体と心がとっても冷たいわー。
苦笑いをしつつ落下した噴水から出る。元々この国には噴水という文化はなかったのだけど、前の皇帝陛下の西洋趣味によって帝都のあちこちに噴水が作られたのだ。
噴水を製作する過程で欧羅のような上水道も整備されたので、前帝陛下の浪費癖も全部が全部無駄じゃなかったのかしらね?
仙術によって濡れた服を乾かしていると、知り合いがわらわらと集まってきた。
「あらあら、また凜風ちゃんが何かやらかしたの?」
「やらかしたとは失礼ですね。ちょっと水浴びしただけですよ」
言い訳していると次々に声が掛けられる。
「まだ往診の時期じゃないだろ? 誰かぶっ倒れたのか?」
「青屋根の張さんが腰を痛めたらしくてですね」
「あ~、あのじいさんまたやったのか……。じゃあそのあとでいいからうちに来てくれ。ばあさんがまた変なものを拾ってきてな」
「はいはい鑑定依頼ですね。おまかせを」
「そのあとはうちをよろしく。娘が彼氏を連れてきたんだ」
「相性占いですか?」
「いや何か粗探ししてくれ。結婚など認めないが、妻からの評判はいいんでな」
「……そろそろ娘離れした方がいいのでは?」
「まだ20歳だぞ!? 結婚なんて早すぎる!」
この国で20はそろそろ行き遅れを心配する歳だ。医術水準的にあまり遅く結婚すると子供を産むのが難しくなるし。
これが欧羅だったら20代の後半でも問題ないのだけれどね。残念ながら大華国は西洋に比べて科学や医学の発展が遅れているのだ。
まぁでも相性は結婚前に分かっていた方がいいからあとで占ってあげよう。娘さんはいい子だし、なるべくならいい人と結婚して欲しいもの。
「お、そうだ知っているか凜風? 『四夫人』の一人がご懐妊――あいた!?」
大工の李さんがそんな話題を出そうとして、杏さんに頭を叩かれていた。杏さんは私の事情を知っているので気を遣ってくれたのだろう。
四夫人とは簡単に言うと皇帝陛下のお妃様であり、その名の通り四人いる。どうでもいいからよく知らないけど。うん、どうでもいいし。あんな昔口説いた女のことなんか綺麗さっぱり忘れて後宮に入り浸っているいるような薄情者が妃を何人囲おうが子供を何人作ろうが関係ないし。
「……ほれ見ろ凜風が不機嫌になったじゃないか! ちょっとは考えて話題を振れこのバカ!」
「いや、でもよぉ、いつかは知ることになるんだから早い方が……」
なにやらコソコソ話をする杏さんと李さんだった。
その後も屋根の修理や井戸の滑車修理、果てには子供に弓矢を教えて欲しいなど「神仙術士って何だっけ?」という仕事を頼まれていると――
『――お前ら、仙人を便利屋と勘違いしてないか?』
人混みの後ろの方からそんな不機嫌な声が飛んできた。いいぞもっと言ってやれー。
私が内心で応援していると人混みが割れ、不機嫌な声の主が姿を現した。
白い、鹿。
体高が人の身長を優に超える牡鹿が剣呑な雰囲気を発しながら私に近づいてくる。
普通、こんなデカくて白い鹿(雄なので立派な角つき)が登場したら周りの人は叫んだり逃げたりしそうなものだけど、みんな良くも悪くも慣れているのか距離を取る様子すらない。
そんな人たちに対して白い鹿が鼻を鳴らしてみせる。
『いいかお前たち。仙人とは本来神聖な山に住まい、下界の者たちとは交流することすらない存在だ。その力は老いを克服し、神仙術を極め、死者の魂との対話すら可能とする』
この世界の基本は輪廻転生。死者の魂は転生を繰り返し、解脱というものを目指す。なので魂が転生する前なら会話することもできるし、時には前世の記憶を持ったまま生まれる人も――じゃ、なくて。
「浄。いつの間にこっちにきたの?」
白い毛並みをよしよしと撫でる。
この子、実家の庭でお昼寝していたはずなのだけど。
私がひらひらと手を振ると、浄は呆れたようにため息をついた。鹿が喋ったりため息をつく光景はいつまで経っても慣れないものだ。
『ついさっきだ。凜風が転移したと知って慌てて追いかけてきたんだよ。……どこかに出かけるなら俺を連れて行けといつも言っているだろう? お前は仙人としての自覚がなさ過ぎる』
「え~? 自覚と言われてもねぇ?」
みんなの反応が証明しているように、私って仙人というより便利屋扱いされているし……。
『不老不死の妙薬を求めるバカは凜風が考えているよりずっと多いぞ? 誘拐されたり事件に巻き込まれたらどうする? 護衛の一人くらい連れ歩け』
「仙人は不老不死の霊薬(仙丹)を作れるってやつ? おとぎ話を本気にされてもねぇ。そんな薬が本当に作れるのなら今ごろ私は大金持ちになっているわよ」
『……まったく以て危機感が足りん』
不愉快そうに首を振った浄の身体が淡い光に包まれた。目を逸らすほどのまばゆさはないけれど、凝視することが何となく憚られる、そんな不思議な光。
光が収まったとき、そこに牡鹿の姿はなく……代わりに、身の丈六尺(180cm強)を優に超える美丈夫が立っていた。
男の名前は、浄。
先ほどの白い牡鹿と同一人物――いや、同一鹿? まぁとにかく同じ存在だ。髪の毛も白いし。
浄は普通の鹿のはずなのに、どうして人間の姿になれるのかというと……私にもよく分からない。仙人に育てられると鹿も特殊な存在になるのかしら? 縮地をはじめとした仙術も使えるし……。いやでも浄を拾ったときまだ私は仙人じゃなかったしなぁ?
とにかく、世の中には不思議なことがたくさんあって、浄もその一つ(一人?)というわけだ。
『あまり長居をしていてはあのバカ男が話を聞きつけてやって来るかもしれん。さっさと用事を済ませて帰るぞ』
ここで浄の言う『バカ男』とは幼なじみの皇帝陛下のことだ。浄は面識がないはずなのだけど、周りの人間から話は聞いているので迷うことなく『バカ男』扱いしている。
不敬罪に問われると色々面倒くさいので控えて欲しいのだけど、本気で止めない私も心の奥底で『バカ男』と思っているのだろう。
「やって来るってねぇ……。あのバカ男――じゃなくて皇帝陛下はもう私になんて興味ないでしょう。今度産まれてくる子供は三人目か四人目のはずだし。私なんかより綺麗な人に囲まれているんだから、私が帝都にいたって気にしないわよきっと」
『……まったく以て自覚がなさ過ぎる。はやく張の爺さんのところに行くぞ。そして帰るぞ』
私の首根っこを掴んでズルズルと引っ張り始める浄だった。あの、私、結婚適齢期を過ぎたとはいえ女性なのだからもう少し優しくしていただけません……?
『お前は下手な男より頑丈なのだから、多少乱雑に扱っても壊れはせん』
「……育て方を間違えたかー」
子供の頃はあんなに可愛い子鹿だったのに……。私が嘆いている間にも浄は引きずりを止めることなく目的地である張さんの家へと歩を進めるのだった。
「ははは、勘違いしないでください杏さん。失敗じゃありません。ちょっと水浴びをしたかっただけですよ」
「……この肌寒い日に水浴びとは、仙人様の克己心には感心するしかないねぇ」
吹かしてんじゃねぇよエセ仙人、と顔に書いてある杏さんだった。体と心がとっても冷たいわー。
苦笑いをしつつ落下した噴水から出る。元々この国には噴水という文化はなかったのだけど、前の皇帝陛下の西洋趣味によって帝都のあちこちに噴水が作られたのだ。
噴水を製作する過程で欧羅のような上水道も整備されたので、前帝陛下の浪費癖も全部が全部無駄じゃなかったのかしらね?
仙術によって濡れた服を乾かしていると、知り合いがわらわらと集まってきた。
「あらあら、また凜風ちゃんが何かやらかしたの?」
「やらかしたとは失礼ですね。ちょっと水浴びしただけですよ」
言い訳していると次々に声が掛けられる。
「まだ往診の時期じゃないだろ? 誰かぶっ倒れたのか?」
「青屋根の張さんが腰を痛めたらしくてですね」
「あ~、あのじいさんまたやったのか……。じゃあそのあとでいいからうちに来てくれ。ばあさんがまた変なものを拾ってきてな」
「はいはい鑑定依頼ですね。おまかせを」
「そのあとはうちをよろしく。娘が彼氏を連れてきたんだ」
「相性占いですか?」
「いや何か粗探ししてくれ。結婚など認めないが、妻からの評判はいいんでな」
「……そろそろ娘離れした方がいいのでは?」
「まだ20歳だぞ!? 結婚なんて早すぎる!」
この国で20はそろそろ行き遅れを心配する歳だ。医術水準的にあまり遅く結婚すると子供を産むのが難しくなるし。
これが欧羅だったら20代の後半でも問題ないのだけれどね。残念ながら大華国は西洋に比べて科学や医学の発展が遅れているのだ。
まぁでも相性は結婚前に分かっていた方がいいからあとで占ってあげよう。娘さんはいい子だし、なるべくならいい人と結婚して欲しいもの。
「お、そうだ知っているか凜風? 『四夫人』の一人がご懐妊――あいた!?」
大工の李さんがそんな話題を出そうとして、杏さんに頭を叩かれていた。杏さんは私の事情を知っているので気を遣ってくれたのだろう。
四夫人とは簡単に言うと皇帝陛下のお妃様であり、その名の通り四人いる。どうでもいいからよく知らないけど。うん、どうでもいいし。あんな昔口説いた女のことなんか綺麗さっぱり忘れて後宮に入り浸っているいるような薄情者が妃を何人囲おうが子供を何人作ろうが関係ないし。
「……ほれ見ろ凜風が不機嫌になったじゃないか! ちょっとは考えて話題を振れこのバカ!」
「いや、でもよぉ、いつかは知ることになるんだから早い方が……」
なにやらコソコソ話をする杏さんと李さんだった。
その後も屋根の修理や井戸の滑車修理、果てには子供に弓矢を教えて欲しいなど「神仙術士って何だっけ?」という仕事を頼まれていると――
『――お前ら、仙人を便利屋と勘違いしてないか?』
人混みの後ろの方からそんな不機嫌な声が飛んできた。いいぞもっと言ってやれー。
私が内心で応援していると人混みが割れ、不機嫌な声の主が姿を現した。
白い、鹿。
体高が人の身長を優に超える牡鹿が剣呑な雰囲気を発しながら私に近づいてくる。
普通、こんなデカくて白い鹿(雄なので立派な角つき)が登場したら周りの人は叫んだり逃げたりしそうなものだけど、みんな良くも悪くも慣れているのか距離を取る様子すらない。
そんな人たちに対して白い鹿が鼻を鳴らしてみせる。
『いいかお前たち。仙人とは本来神聖な山に住まい、下界の者たちとは交流することすらない存在だ。その力は老いを克服し、神仙術を極め、死者の魂との対話すら可能とする』
この世界の基本は輪廻転生。死者の魂は転生を繰り返し、解脱というものを目指す。なので魂が転生する前なら会話することもできるし、時には前世の記憶を持ったまま生まれる人も――じゃ、なくて。
「浄。いつの間にこっちにきたの?」
白い毛並みをよしよしと撫でる。
この子、実家の庭でお昼寝していたはずなのだけど。
私がひらひらと手を振ると、浄は呆れたようにため息をついた。鹿が喋ったりため息をつく光景はいつまで経っても慣れないものだ。
『ついさっきだ。凜風が転移したと知って慌てて追いかけてきたんだよ。……どこかに出かけるなら俺を連れて行けといつも言っているだろう? お前は仙人としての自覚がなさ過ぎる』
「え~? 自覚と言われてもねぇ?」
みんなの反応が証明しているように、私って仙人というより便利屋扱いされているし……。
『不老不死の妙薬を求めるバカは凜風が考えているよりずっと多いぞ? 誘拐されたり事件に巻き込まれたらどうする? 護衛の一人くらい連れ歩け』
「仙人は不老不死の霊薬(仙丹)を作れるってやつ? おとぎ話を本気にされてもねぇ。そんな薬が本当に作れるのなら今ごろ私は大金持ちになっているわよ」
『……まったく以て危機感が足りん』
不愉快そうに首を振った浄の身体が淡い光に包まれた。目を逸らすほどのまばゆさはないけれど、凝視することが何となく憚られる、そんな不思議な光。
光が収まったとき、そこに牡鹿の姿はなく……代わりに、身の丈六尺(180cm強)を優に超える美丈夫が立っていた。
男の名前は、浄。
先ほどの白い牡鹿と同一人物――いや、同一鹿? まぁとにかく同じ存在だ。髪の毛も白いし。
浄は普通の鹿のはずなのに、どうして人間の姿になれるのかというと……私にもよく分からない。仙人に育てられると鹿も特殊な存在になるのかしら? 縮地をはじめとした仙術も使えるし……。いやでも浄を拾ったときまだ私は仙人じゃなかったしなぁ?
とにかく、世の中には不思議なことがたくさんあって、浄もその一つ(一人?)というわけだ。
『あまり長居をしていてはあのバカ男が話を聞きつけてやって来るかもしれん。さっさと用事を済ませて帰るぞ』
ここで浄の言う『バカ男』とは幼なじみの皇帝陛下のことだ。浄は面識がないはずなのだけど、周りの人間から話は聞いているので迷うことなく『バカ男』扱いしている。
不敬罪に問われると色々面倒くさいので控えて欲しいのだけど、本気で止めない私も心の奥底で『バカ男』と思っているのだろう。
「やって来るってねぇ……。あのバカ男――じゃなくて皇帝陛下はもう私になんて興味ないでしょう。今度産まれてくる子供は三人目か四人目のはずだし。私なんかより綺麗な人に囲まれているんだから、私が帝都にいたって気にしないわよきっと」
『……まったく以て自覚がなさ過ぎる。はやく張の爺さんのところに行くぞ。そして帰るぞ』
私の首根っこを掴んでズルズルと引っ張り始める浄だった。あの、私、結婚適齢期を過ぎたとはいえ女性なのだからもう少し優しくしていただけません……?
『お前は下手な男より頑丈なのだから、多少乱雑に扱っても壊れはせん』
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