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子ドラゴン
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≪――危険水準を超えました。自動回復の機能を緊急解放します≫
≪自動回復のレベルが上昇しました≫
≪サブスキルとして自動魔力回復を習得しました≫
頭の中で誰かの声がする。無感情というか、機械的というか。
いるじおん?
いるじかりおん?
なんだそれと夢心地の中でぽやぽや考えていると――
『――みゃっ!』
「ぅん?」
何かに、頬を舐められている? 前世で実家の犬によくやられていたような……。
ゆっくりと目を開ける。
(あ、そうか。私は気を失って……)
たぶん床に倒れているのだと思う。失神したときに灯火が解除されたのか真っ暗で何も見えないけど。
「灯火」
と、呪文を唱えても何の反応もしなかった。
物語のよくある展開としては、あの魔法陣に魔力を全て吸い取られてしまったとか?
『みゃみゃ?』
さっきも聞いたような鳴き声(?)と共に、地下室が光に包まれた。私以外の誰かが灯火を使ったのだろうか?
床に倒れた私。
そんな私のすぐ側にいたのは……蛇? トカゲ? なんというか、黒い鱗をした爬虫類だった。
頭が小さめで、二本の角が生えている。
首は細くて長く、太い胴体からはコウモリのような翼と短い四本の足が生えていた。
尻尾もこれまた細長く、首よりも長さがあるかもしれない。
その尻尾の先には灯火による明かりが灯っている。
なんというか……ドラゴン。ドラゴンを思いっきりデフォルメし、小型犬くらいの大きさにしたような子だった。
ドラゴンっぽいとはいえ所々が丸くてゆるキャラっぽいので、怖さみたいなものはない。
さっきまでこんな子はいなかったはずだ。
「え、えーっと? あの隠し階段から入ってきたの?」
『みゃっ!』
首を横に振るドラゴン(?)だった。まるで人語を理解しているかのような……いやそんなはずないか。
「……あー、それにしても。お腹空いた……」
脂肪もほとんどない幼女に一日一食はやはり無理があったようで。私は力なく四肢を床に投げ出したのだった。
目の前には動物がいるけれど、親しげに頬を舐めてくる存在を食べるようなことはしたくないなぁ。というか返り討ちになりそうだし。
『――みゃっ!』
委細承知。とばかりに片手を上げてからドラゴン(?)が尻尾の先から明かりを消し……もう一度『みゃっ!』と鳴くと、今度は地下室の天井に明かりが灯った。
もしかして、灯火って任意の場所に明かりを灯せるの?
ちょっと驚きながらドラゴン(?)を見ると、ドラゴンは『ドヤッ』という顔をしてから階段を上り、どこかへ行ってしまった。
「ははっ、まさかゴハンを持ってきてくれるとか? ま、期待しないで待っていましょう」
気合いを入れて立ち上がり、改めて周囲を確認。魔法陣の中心にあった卵は――割れていた。けれど、中身らしきものは見当たらない。
「……あの卵からドラゴンが孵化したとか?」
まぁそれが一番可能性が高いかなと思う私だった。正解なんて確かめようもないしね。
卵を孵化させたときのお約束としては、初めて見た人間を親だと思うというのがあるけど……それは鳥だっけ?
「あとは……」
キョロキョロと地下室を見渡していると、本棚を発見。近づいてラインナップを確認する。
「お! 魔法関連の本だ!」
しかも初級から上級までの教本や、各属性についての専門書っぽいものまで! 今まさに私が読むべき本たちだ!
「子供がイタズラしたら危ないから地下室に隠しておいた、ってところかな?」
だとしたらあの卵は何なのだろうと思わなくもないけれど、ま、考えても分からないものに時間を割いても仕方がない。思考にだってエネルギーを使うのだ。
「魔法、魔法、魔法~♪」
空腹であったこともすっかり忘れ。まずは初級の教本を開いてみる。
ちなみに貴族の子供は幼い頃から家庭教師を雇って勉強するのが常識なのだけど。あの父親はそんなこともしてくれなかったので、セバスチャンやサラさんたちが隙を見て私に読み書きなどを教えてくれたのだ。
なんか神話っぽい話から始まったので読み飛ばし、実践的な理論が書いてあるページへ。ちょっと前までの私なら隅々まで呼んだだろうけど、前世の記憶を思い出した影響か少しばかり『悪い子』になっているのだ。
「ほうほう? まずは魔力を感じる訓練から始めると?」
魔石や魔法陣に触れたとき、身体の中から何かが吸い取られたような感覚があった。あれが魔力の流れだろうか?
目を閉じて、魔力を感じる練習をしてみる。あのとき吸い取られたように、身体の中に魔力を流す感じで……。
――ぽうっ、と。
お腹のあたりがなんだか温かくなった気がした。これが魔力なのだろうか?
教本に従い、まずは魔力を動かす練習。温かいものをお腹から胸にまで持ち上げて、それを右手の指先へ。それができたら今度は左手の指先に。うんうん、よく分からないけど、上手くできているのでは?
何とかなりそうなので次の項目へ。
「ほうほう? 魔力が感じられるのは魔力を持っている証拠と? で、魔力持ちが魔力を空にしてしまうと魔力欠乏症で死ぬ可能性が? ……私、死にかけていたのか……」
まぁその状態から生還すると魔力総量が増加するらしいし、良かったのだろうか?
……元の魔力総量がどれほどか分からないから本当に増えたかどうかも分からないのだけどね。
そもそも、私って灯火も使えないくらい魔力を吸い取られたはずなのだけど。問題なく魔力を感じられたね。もう回復したのだろうか?
「ま、考えても仕方ない。魔法が使えるのだから、あとは食糧確保に役立ちそうな魔法を探そうかな」
ペラペラとページを捲っていく私だった。
≪自動回復のレベルが上昇しました≫
≪サブスキルとして自動魔力回復を習得しました≫
頭の中で誰かの声がする。無感情というか、機械的というか。
いるじおん?
いるじかりおん?
なんだそれと夢心地の中でぽやぽや考えていると――
『――みゃっ!』
「ぅん?」
何かに、頬を舐められている? 前世で実家の犬によくやられていたような……。
ゆっくりと目を開ける。
(あ、そうか。私は気を失って……)
たぶん床に倒れているのだと思う。失神したときに灯火が解除されたのか真っ暗で何も見えないけど。
「灯火」
と、呪文を唱えても何の反応もしなかった。
物語のよくある展開としては、あの魔法陣に魔力を全て吸い取られてしまったとか?
『みゃみゃ?』
さっきも聞いたような鳴き声(?)と共に、地下室が光に包まれた。私以外の誰かが灯火を使ったのだろうか?
床に倒れた私。
そんな私のすぐ側にいたのは……蛇? トカゲ? なんというか、黒い鱗をした爬虫類だった。
頭が小さめで、二本の角が生えている。
首は細くて長く、太い胴体からはコウモリのような翼と短い四本の足が生えていた。
尻尾もこれまた細長く、首よりも長さがあるかもしれない。
その尻尾の先には灯火による明かりが灯っている。
なんというか……ドラゴン。ドラゴンを思いっきりデフォルメし、小型犬くらいの大きさにしたような子だった。
ドラゴンっぽいとはいえ所々が丸くてゆるキャラっぽいので、怖さみたいなものはない。
さっきまでこんな子はいなかったはずだ。
「え、えーっと? あの隠し階段から入ってきたの?」
『みゃっ!』
首を横に振るドラゴン(?)だった。まるで人語を理解しているかのような……いやそんなはずないか。
「……あー、それにしても。お腹空いた……」
脂肪もほとんどない幼女に一日一食はやはり無理があったようで。私は力なく四肢を床に投げ出したのだった。
目の前には動物がいるけれど、親しげに頬を舐めてくる存在を食べるようなことはしたくないなぁ。というか返り討ちになりそうだし。
『――みゃっ!』
委細承知。とばかりに片手を上げてからドラゴン(?)が尻尾の先から明かりを消し……もう一度『みゃっ!』と鳴くと、今度は地下室の天井に明かりが灯った。
もしかして、灯火って任意の場所に明かりを灯せるの?
ちょっと驚きながらドラゴン(?)を見ると、ドラゴンは『ドヤッ』という顔をしてから階段を上り、どこかへ行ってしまった。
「ははっ、まさかゴハンを持ってきてくれるとか? ま、期待しないで待っていましょう」
気合いを入れて立ち上がり、改めて周囲を確認。魔法陣の中心にあった卵は――割れていた。けれど、中身らしきものは見当たらない。
「……あの卵からドラゴンが孵化したとか?」
まぁそれが一番可能性が高いかなと思う私だった。正解なんて確かめようもないしね。
卵を孵化させたときのお約束としては、初めて見た人間を親だと思うというのがあるけど……それは鳥だっけ?
「あとは……」
キョロキョロと地下室を見渡していると、本棚を発見。近づいてラインナップを確認する。
「お! 魔法関連の本だ!」
しかも初級から上級までの教本や、各属性についての専門書っぽいものまで! 今まさに私が読むべき本たちだ!
「子供がイタズラしたら危ないから地下室に隠しておいた、ってところかな?」
だとしたらあの卵は何なのだろうと思わなくもないけれど、ま、考えても分からないものに時間を割いても仕方がない。思考にだってエネルギーを使うのだ。
「魔法、魔法、魔法~♪」
空腹であったこともすっかり忘れ。まずは初級の教本を開いてみる。
ちなみに貴族の子供は幼い頃から家庭教師を雇って勉強するのが常識なのだけど。あの父親はそんなこともしてくれなかったので、セバスチャンやサラさんたちが隙を見て私に読み書きなどを教えてくれたのだ。
なんか神話っぽい話から始まったので読み飛ばし、実践的な理論が書いてあるページへ。ちょっと前までの私なら隅々まで呼んだだろうけど、前世の記憶を思い出した影響か少しばかり『悪い子』になっているのだ。
「ほうほう? まずは魔力を感じる訓練から始めると?」
魔石や魔法陣に触れたとき、身体の中から何かが吸い取られたような感覚があった。あれが魔力の流れだろうか?
目を閉じて、魔力を感じる練習をしてみる。あのとき吸い取られたように、身体の中に魔力を流す感じで……。
――ぽうっ、と。
お腹のあたりがなんだか温かくなった気がした。これが魔力なのだろうか?
教本に従い、まずは魔力を動かす練習。温かいものをお腹から胸にまで持ち上げて、それを右手の指先へ。それができたら今度は左手の指先に。うんうん、よく分からないけど、上手くできているのでは?
何とかなりそうなので次の項目へ。
「ほうほう? 魔力が感じられるのは魔力を持っている証拠と? で、魔力持ちが魔力を空にしてしまうと魔力欠乏症で死ぬ可能性が? ……私、死にかけていたのか……」
まぁその状態から生還すると魔力総量が増加するらしいし、良かったのだろうか?
……元の魔力総量がどれほどか分からないから本当に増えたかどうかも分からないのだけどね。
そもそも、私って灯火も使えないくらい魔力を吸い取られたはずなのだけど。問題なく魔力を感じられたね。もう回復したのだろうか?
「ま、考えても仕方ない。魔法が使えるのだから、あとは食糧確保に役立ちそうな魔法を探そうかな」
ペラペラとページを捲っていく私だった。
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