7 / 80
聖魔法
しおりを挟む「――鑑定眼! 鑑定眼! 鑑定眼!」
鑑定眼獲得後、調子に乗って鑑定しまくる私だった。本棚の本を一冊ずつとか、魔法陣の詳しい説明とか。目に付くものをことごとく。
「おー、すっごい! おもしろーい!」
まるで幼女のようにはしゃぐ私。いや肉体的には完全に幼女なんだけどね。
肉体年齢と精神年齢の乖離とはともかくとして。鑑定を繰り返したおかげで経験値が溜まったのか、
≪――スキル・鑑定眼のレベルが上昇しました≫
そんな声が天から降ってきた。使うだけでレベルアップとか、レベリングがメッチャ楽じゃない?
≪鑑定眼の補助スキルとして、ステータス確認が可能となりました≫
お? ほんとに?
じゃあ異世界転生の定番、『ステータス!』って叫ぶのができちゃうの? これはやってみるしかないよね。
「す、ステータス!」
いざやるとなると恥ずかしくなってしまう私だった。頬が熱い。
と、目の前に四角い液晶画面みたいなものが浮かんだ。
ほうほう? 私の名前はリーナ・ルクトベルク……ルクトベルク?
はて? 私ってランテス伯爵家の娘じゃないのかな?
ルクトベルクについては以前フィナさんが教えてくれたことがある。私の母親の実家だったはずだ。公爵家なので、貴族の中ではトップクラスに偉い、はず。
ちなみに偉さの順番としては王>>>公爵>侯爵>辺境伯>伯爵>子爵>男爵>騎士爵って感じだ。
「あー、別邸に軟禁されたから親子関係も断絶したとか? で、母親の実家の名字が表示されたと」
まぁあの父親との縁を否定してくれるならそれはそれで。
名前の横には年齢とレベルが表示されていた。レベル……なんだかゲームっぽいね?
年齢は7歳。これは肉体年齢が表示される感じか。そして私のレベルは5。高いのか低いのか……。
それらの下には二つのゲージが表示されていた。上のゲージがHP(体力)で、下のゲージがMP(魔力)と。
体力はMAXで100程度。やはり高いのか低いのかは分からない。
少なくとも、屋敷の二階に上るだけで息切れする程度の体力であるはずだ。
空腹なのでかなりゲージは減っているんじゃないのかなと思ったけど、体力は満タン。空腹を抜きにしても今日は二階への階段の上り下りだけでかなり体力が削られたはずなのに。
「あ、でもよく考えれば、肉体的な疲れはないかも?」
時間が経ったから回復したのかな?
MPの方は、MAXで2,500ほど。体力に比べればかなり多いけど、そもそも体力とは基準が違うだろうからこちらも多いのか少ないのか分からない。
やはり先ほど魔力を根こそぎ吸い取られたのか、MPはほとんど空っぽで、ゲージも赤く染まっていた。危険水準ってことなのかな?
他のステータスも順番に確認していく。
種族は当然人間。
職業 / 称号欄は『ドラゴンの名付け親』と、『転生者』、そして『悪役幼女』か。……悪役幼女?
悪役っていうと、前世で人気だった悪役貴族とか、悪役令嬢? まぁそれ自体は逆転大勝利なストーリーも多かったからまだいいとして……。幼女で悪役って、どうなのさ? 威厳とか威圧感とか。
「……むしろ被害者だと思うんですけど、そこのところどうなんです?」
ステータスに話しかけるけど、無反応。さっきみたいに頭の中に声が響くこともない。
あとはスキルか。鑑定眼に……自動回復と、自動魔力回復?
そういえば、魔力欠乏症で倒れたときにそんな感じの発言を聞いた覚えが……。
自動回復。自動魔力回復。字面の意味をそのまま受け取るなら体力と魔力を自動で回復してくれるのだろうけど。
そんなことを考えながら、なんとなくステータス画面に触れてみるとスキルの詳細が表示された。
・自動回復
ケガや病気などを自動的に回復。回復量は1分につき1×レベル分。
・自動魔力回復
1分につき1×レベル分魔力を回復。
え? チートじゃない?
レベルに従って回復量が増えるなら、レベル1なら1分間に1しか回復しないけど、レベル100になれば1分で100も回復するじゃん。今の私の体力なら1分で完全回復だ。
でも、ケガや病気などが自動で回復? なんだか自覚ないけど……。よく考えてみれば風邪で寝込んだことはないかも?
(あ、そういえば)
自分の頭に触れてみる。昨夜、父親が投げてきたコップが当たり、出血した場所だ。朝起きたら痛みもなかったし、よく考えてみれば早いうちから血が滴り落ちなくなっていたけど……。
「傷が消えたのかな?」
何度も指で触れてみるけど、傷口っぽいものはないし、痛みもない。
つまり、スキルのおかげで回復したのだろうか?
以前の私は……どうだったっけ? あまり活動的じゃなかったというか、自室でも軟禁されていたのでケガをするような無茶はしなかったからなぁ。
まぁでも、重要なのはこれからか。
「とりあえず、回復魔法は覚えなくてもよさそうかな? ……いや」
私は大丈夫でも、誰かがケガをするかもしれないからね。私は伯爵家専属の回復術士とは違うので、回復魔法を習得したら差別することなく誰でも回復すると誓いましょう。……自分が魔力欠乏症で死なない範囲で。
なぁんて、誰に聞かせるでもない誓いを立てていると、
≪――スキル・聖魔法を獲得しました≫
「へ?」
≪特殊条件。人種や身分で差別をした場合、聖魔法は使用できなくなります≫
「…………」
もしかして聞いてた? 人の心を読んだ?
プライバシーって概念がないのかという思いと、しかし聖魔法って便利そうだよねという思い。二つが対立してツッコミができない私だった。
ちなみに聖魔法とは『聖女や聖者が使用できる、回復魔法の上位互換』であると魔法の教本に書いてあった。あれでもそれって魔法だよね? 私のはスキルなんだけど……。どう違うのだろう?
384
あなたにおすすめの小説
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故
ラララキヲ
ファンタジー
ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。
娘の名前はルーニー。
とても可愛い外見をしていた。
彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。
彼女は前世の記憶を持っていたのだ。
そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。
格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。
しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。
乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。
“悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。
怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。
そして物語は動き出した…………──
※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。
※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。
◇テンプレ乙女ゲームの世界。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げる予定です。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
気弱令嬢の悪役令嬢化計画
みおな
ファンタジー
事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?
しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?
いやいやいや。
そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!
せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。
屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)
水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――
乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】!
★★
乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ!
★★
この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる