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結界
しおりを挟む目が潰れるほどの閃光が走ったけど、本邸の方から誰かやって来ることはなかった。たぶん自然の雷だと思われたんじゃないのかな?
でも、何回も繰り返すと私が魔法の訓練をしているとバレてしまうし、下手をすると着の身着のままで追い出されてしまうかもしれない。
いずれは家を出て行くつもりだけど、まだまだ準備不足だよね。
「魔法の訓練をするときは地下室に行こうかな」
『みゃっ』
というわけで地下室へ移動。……う~ん、広々としているとはいえ、魔法を放つとなるとちょっと手狭かも? 色々と壊れたり崩れたりするかもしれない。でも庭に出て魔法の訓練なんてしていたらすぐにバレてしまうだろうし……。
『みゃっ!』
ミャーが尻尾を振ると、地下室の壁が一瞬だけ煌めいた。え? 何したの?
鑑定眼で確認してみると、地下室の壁、天井、床を覆うように防御結界を張ってくれたようだった。防御結界に取り囲まれている感じ。
もしかして、厨房で火炎放射をしても壁や天井に燃え移らなかったのは結界で覆ったからとか?
防御結界。これから狩りをしたり冒険者として戦うなら必須の魔法だよね。まずは攻撃魔法を習得しようと思っていたけど、こういう風に使えるなら先に防御結界を練習した方がいいかな。
「え~っと、確か防御結界の教本もあったから……」
私が本棚に近づこうとすると、
『みゃっ』
ミャーが前足で私の足に「ぽんっ」と触れた。
≪――スキル共有が発動しました。スキル・結界展開を獲得しました≫
スキル共有?
……あー、そういえばそんなことも言っていたような? そのあとの『獲得経験値共有』のインパクトが凄すぎてすっかり忘れていたけれど。
「つまり、ミャーのスキルを私にも使えるようにしてくれたんだね?」
『みゃっ!』
「じゃあ、私もお返し」
ミャーに触れると、≪自動回復、自動魔力回復が共有されました≫との声が頭の中に響いた。
『みゃーーーっ!』
よほど嬉しかったのか尻尾をブンブンと振るミャーだった。うんうん、やっぱり自動回復系は便利だものね。
『……みゃ』
分かってねぇなぁお互いに『分け合いっこ』するのが嬉しいんだよ。みたいな顔をされてしまう私だった。
「しかし、結界展開のスキルかぁ。結界魔法とは違うのかな?」
ステータス画面を表示して、スキル欄の結界展開を指で押してみる。
≪結界展開:このスキルを保有していると呪文詠唱無しでの結界展開が可能となる≫
「おー、めっちゃ便利! 結界を使うのなんて緊急事態の時だろうからね~」
魔法を使うなら呪文詠唱が必要だけど、スキルならしなくていいのかな? と考察していると、頭の中にさらに声が響いた。
≪レベルアップすることによりサブスキル・自動防御を獲得可能となります≫
「……自動防御?」
自動防御。つまり、自動で防御してくれるのだ(幼女並感)
これは最優先でレベリングして獲得しなければ! なんかこう、暗殺とかも防げそうだし! いや誰がこんな軟禁幼女の命を狙うんだって話だけど! いやあの父親ならやりかねないか! ならやっぱり必須だね!
よーしやるぞーっと気合いを入れる私だった。やっぱり人生に目標があると性格も明るくなった気がするね。
『みゃー?』
元々愉快な性格だろうが、みたいな顔をするミャーだった。産まれたばかりのキミが私の何を知っているというのか。
『みゃーみゃー』
やれやれみたいな感じで首を左右に振るミャーだった。解せぬ。
「それはともかく、まずは私の力で結界を張ってみようかな」
地下室を覆うように結界を張って、それに向けて攻撃魔法を放てば、結界と攻撃魔法、二つ同時にレベリングができるという寸法だ。私って天才なのでは?
『みゃーみゃー』
はいはい、とため息をつくミャーだった。今に見ておれー。
「というわけで結界展開! ……あれー?」
なんかミャーみたいに上手に張れないなぁ? 所々厚みが違うし、天井や床は途中までしか覆えてないし。
『みゃー』
こうやるんだよ。みたいな感じで結界を張って見せてくれるミャーだった。くっ、産まれたばかりなのに上手だね!
「ええい! 結界展開! 結界展開! 結界展開!」
半ば意地になった私は魔力が空になるまで練習をして。
≪結界展開のレベルが上昇しました≫
レベルが2になった頃、やっとミャーくらいの結界が張れるようになったのだった。
魔力も使い果たしてゲージは真っ赤。そのせいか頭もくらくらしてきた。つ、疲れたので今日はここまでにしてやるぜ……。
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