子ドラゴンとゆく、異世界スキル獲得記! ~転生幼女、最強スキルでバッドエンドを破壊する~

九條葉月

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 ステータスについては隠蔽工作ブラエスキルで隠蔽するとして。とりあえず、ダンジョンから出て一眠りしよう。

 そう決めた私がダンジョンから地下室へと戻ると……フィナさんに出くわした。というか私が来るのを待っていたのかな?

「あれ? フィナさん、アリスは?」

「ご安心を。ちゃんとベッドの上で眠らせてきたっすから」

「それならいいですけど……アリス、大丈夫そうでした?」

「うーん、やはり疲れていたみたいで、すぐに寝ちゃいましたね。あとは明日起きてからどんな反応をするかってところっすか」

「あー」

 そのまま夢だったと思ってくれればなぁと思う私だった。だってドラゴンに襲われたなんていう怖い経験は忘れてしまった方がいいし。

 あ、でも、そうなるとせっかくの仲直りも忘れてしまうのかな? ……まぁ、もしそうだったらもう一度仲直りすればいいのだから、問題ないか。

 問題は、ジトーッとした目でこちらを見つめているフィナさんだ。

「で? お嬢様。お話を伺ってもよろしいっすか? あのドラゴンは? なんであんなものを倒せたんです? そもそもあの地下はなんですか?」

「うーん……」

 話して大丈夫かなぁという不安が半分に、正直に話しても信じてもらえないかなぁという心配が半分だった。

 まぁ、でも、フィナさんなら平気かな。

 そう判断した私は別邸に軟禁されてからのあらましを説明し始めたのだった。偶然地下室を見つけて~ミャーと出会って~魔法の練習をしていたら地下ダンジョンを発見して~。

「なるほど」

 全てを聞き終えたフィナさんは――私の脳天に空手チョップした。

「無茶をするな! っす!」

「き、貴族令嬢に空手チョップするフィナさんもだいぶ無茶ですよ!?」

「まったく、減らず口を……。いいっすか? お嬢様は両親との仲は険悪っすけど、ちゃんとお嬢様のことを心配してくれる大人はいるんです。セバスさんとか、サラさんとか、もちろんあたしだって……。お嬢様がケガをしたり、死んだりしたら泣いてしまう人間もいるんです。――無茶をしては、駄目ですよ?」

「フィナさん……」

 確かに。
 冒険者になるという目標があったとはいえ、私は少し焦りすぎていたかもしれない。これは素直に反省しないとね。

 あ、そうだ。冒険者。

「フィナさん、一緒に冒険者してくれるって約束、まだ有効ですか?」

「へ? それはもちろん。まぁ今となってはお嬢様の方が圧倒的に強いでしょうけど、それでも心配だから付いていきますよ――あっ」

「あっ?」

「いや、そうでした。実はですね、明日の朝――じゃなくて、もう今日の朝っすね。今日の朝、ガーランド・ルクトベルク公がこの屋敷にやって来る予定なんですよ。そうなるとお嬢様が冒険者になるのは難しいかなー、なんて」

「ルクトベルク公、というと……」

 私の実のお母さんの、父親。つまりは私の祖父だっけ? 公爵なので貴族で一番偉いし、宰相なので国の運営にも携わっている凄い人らしい。

「その人が、何をしに?」

「そりゃあもうお嬢様を保護するためっすよ! やったっすね、そうすれば堂々たる公爵令嬢っすよ! ふかふかのベッドで寝て、美味しいものも食べ放題!」

「…………」

 フィナさんは嬉しそうだけど、私としては公爵令嬢より冒険者になりたいんだよなぁ。そりゃあ豪勢な生活をするなら公爵令嬢だろうけど、面倒くさい責任とかもいっぱい付随しそうだし。

 そもそも。
 お母さんが亡くなって。私があのクズ共から虐められるようになってからしばらく経つのに、なんで今さらやって来るんだか。

 私が不機嫌になったことを指したのか、フィナさんが少し慌てた様子で説明し始めた。

「じ、実を言いますと、少し前からルクトベルク家の家令と連絡を取り合っていまして。お嬢様の窮状を訴えていたんですよ。いや~、苦労したんすよ? 公爵家と伯爵家では使用人の『格』からして違っていまして……」

「少し前、というと?」

 自分でも不機嫌な声だというのは分かった。

「……え~っと、アリス様たちがこの屋敷にやって来て、お嬢様への虐めがヤバくなってからだから……一年か、二年前くらいっすかね?」

「へぇ、つまり、その『祖父』とやらは私の窮状を知りながら、ずっと私を放置していたんですね?」

「……お嬢様、もしかして怒ってます?」

「怒らない理由があります?」

「そ、そう言われちゃうと……」

 押し黙ってしまったフィナさんに向けて、私は両手を叩いてみせた。

「じゃあ、逃げましょうか」

「に、逃げるぅ!?」

「だって公爵令嬢になんて興味ないですし。今の今まで私を放置していた男を『お爺さま』と呼ぶのなんて無理ですし。面倒くさいことになる前に別邸を抜け出して、冒険者になっちゃいましょう」

「いやいや、いやいやいや、ここでお嬢様が消えたらさらに面倒くさいことになるっすから! 王都中を捜索されちゃいますよ!?」

「じゃあなおさら急いで王都を出なくちゃですね」

「そんな何の準備もしてないのに!? いやお嬢様を放っておく訳にもいかないから付いては行きますけどね!? せめてもうちょっと準備期間を――」

「でも、今日の朝にはルクトベルク公がやって来るんでしょう?」

「それもそうですね! 準備している時間もなさそうですか! ……あっ! そうだ! ルクトベルク公! お嬢様が説明しないと『アリスがリーナを虐めていた』ということになっちゃいますよ!? 他の執事やメイドもそう証言するでしょうし! そうなったらアリス様がどんな目に遭うか!」

「……アリスが?」

「はい! アリス様が! だからお嬢様が直接ルクトベルク公に説明を! ですね!」

「……そうですね。そうしますか」

 よく考えたら私が何の説明もしないと、私の味方をしてくれたセバスさんやサラさんたちまでも処罰されてしまうかもしれないからね。せめてその辺の処理をしてからじゃないと冒険者になるのは無理か……。

「ま、面倒くさくなったら逃げ出せばいいだけですものね」

「わぁ、ルクトベルク公爵家相手になんて無茶を……ドラゴンを倒せるのだから簡単なことなんでしょうね……」

「フィナさんはどうします? 私、そのうち逃げ出して冒険者になりますけど」

「へ? まぁ、あたしは天涯孤独なんで冒険者になっても何の問題もないですけど……付いていったら、養ってくれます?」

「最初の話と立場が逆転してません?」

 フィナさんが冒険者に戻って私を養ってくれるという話だったのに。

「いやだって、お嬢様に付いていったら、お嬢様をあたしが誘拐したと思われるかもしれませんし。そうなったら冒険者としても表立った活動ができなくなりますから、養ってくれてもいいんじゃないっすか?」

「うーん、7歳児に対しての堂々たるヒモ宣言」

「その代わり家事は全部やりますよ? メイドですし」

「…………」

 それはもう専業主婦では? と思ってしまう私だった。

「ま、とにかく。その辺は落ち着いてから相談するとして、まずはルクトベルク公に会ってあげてくださいっす。確かに遅かったですけど、それでも『公爵閣下』たる御方が孫娘を心配して乗り込んでくるんですから。心配しているのは確実なんです」

「……はぁい」

 渋々ながら頷く私だった。


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