子ドラゴンとゆく、異世界スキル獲得記! ~転生幼女、最強スキルでバッドエンドを破壊する~

九條葉月

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トイレ

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「すぐに決めることはそんなところか。では、地下室とやらを案内してもらおうか」

 ゆったりと椅子から立ち上がるお爺さまだった。そういえば魔法の教本とかが置いてある地下室を案内するって話だったっけ。

 とりあえずダンジョンの入り口を隠さないとなぁ。

「……その前に、ちょっとお手洗いに行ってもいいですか?」

「おぉ、構わんぞ。レイス、逆上した使用人が襲いかかってくるかもしれぬからな。ついて行ってやれ」

「はっ」

 恭しく一礼する執事さんだった。どうやら名前は『レイス』というらしい。

 しかし、護衛ならフィナさんでいいのにわざわざレイスさんに頼むというのは……。

「……レイスさんは幼女のトイレに興味が?」

「ありません」

 にっこりと。顔のパーツは笑顔なのに目が笑ってないんだよなぁ。こわ。

 怖いのでふざけるのは止めてさっさとトイレに向かうことにする。もちろん本当にトイレに行きたいわけではなく、ダンジョン入り口を隠す時間を稼ぎたいだけだ。ミャーから転移魔法というか転移スキルを教えてもらったのでトイレから地下室へ移動できるし。

 おそらく、お爺さまも私が何か隠したりしないよう監視目的でレイスさんを付けたんじゃないのかな? あるいは私のいないところでアリスかフィナさんと話がしたいか。

 もちろん、ここで何日か生活したのでトイレの場所も把握済みだ。応接間からちょっと離れた場所にあるんだよね。転移スキルや飛翔ボラーレを使えば一瞬だけど、さすがにレイスさんの前で使うわけにはいかないので徒歩でてくてくと移動する。

 さほど時間を掛けずにトイレへ到着。ちなみに下水道が完備されているのか水洗トイレだ。これは本当に助かったね。

「……お嬢様」

 なぜか、眉間に皺を寄せるレイスさん。

「? どうしました? さすがに個室の中まで付いて来られると困るのですが」

「行きません。ではなくて、このトイレを使っているのですか?」

「……何か問題が?」

 レイスさんから視線を外し、トイレ内を見渡す。……うん、普通のトイレだと思う。個室が二個あって、ちゃんと手洗い場もある。どうやらこの世界はまともな衛生観念を持っているみたい。

 まるで意味が分かっていない私に業を煮やしたのか、レイスさんがため息交じりに説明してくれた。

「ここは、使用人のトイレです」

「え?」

「貴族家のご令嬢が使うようなトイレではありません」

「……貴族ってトイレも別なんですか?」

 脳裏に金ピカなトイレを思い浮かべてしまう私だった。こう、豊臣秀吉の黄金の茶室みたいな。

「……どうぞ、こちらへ。この屋敷に入るのは初めてですが、構造は推測できますので」

 レイスさんが先導する形で来た道を戻る。すると、応接間のすぐ近くにある部屋の扉をレイスさんが開けてくれた。

 最初に屋敷を探検したときにも入ったけど――

「――ここ、トイレだったんですか?」

 レイスさんの脇から室内を見渡す。なにやら高そうな壁紙というか壁布。キラキラしたシャンデリア。部屋の奥にはクローゼットっぽい扉が付いている。

「…………」

 レイスさんが室内に入り、そのクローゼットっぽい扉を開け放った。

「おー、トイレですねぇ」

 前世の様式とはちょっとデザインが違うけど、それでもトイレだと分かる形だった。

 ちなみに個室(?)の大きさとしてはキングサイズのダブルベッドが余裕で入りそうなくらい。無駄にでかすぎじゃない?

 探検の時は食料はなさそうだなーっとスルーしちゃったけど、まさかトイレだったとは……。

「……お嬢様。もしや、本邸にいた頃から使用人のトイレを使っておられたので?」

「そうじゃないですかね? こんな大きなトイレは使ったことないですし」

「――クズ共が」

 底冷えする声を漏らすレイスさんだった。やっぱり怖いなこの人。いや私のために怒ってくれている(?)のだから優しい(?)のかな?

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