賢いロバ

秋庭海斗

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社畜産業

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 ロバが荷物を載せて運んでいた。

 あまりの荷駄の重さに土手から
脇の川に転げ落ちてしまった。

 水に浸かってから立ち上がると
あら不思議。背中にズッシリと
括り付けられていた重さがない。

 荷駄の中身は「塩」で水に溶け出し
すっかりなくなって軽くなった。

 賢いロバは学習した。

◾️◾️◾️

「ご主人、今日の荷物は何ですか」

 積み込まれる前に運ぶ荷物が何かを
確認してから運ぶようになった。

◾️◾️◾️

「今日は綿だ」

 そう言われてロバは笑った。

「綿!今日は軽くて楽だな」

 だが、綿花も圧縮してブロックに
するとかなりの重さがある。

「なんだ!この重さは…」

 思い描いた重さとの違いに戸惑い
混乱したロバは、また土手を転げた。

 綿花は水を吸い込んで更に重くなり
立ち上がることもできなくなった。
 綿花は重くなっただけでなく膨張し
括り付けた縄をギリギリと締め付ける。

「重い、、苦しい…死ぬ」

 ロバは死を覚悟した。

□  □  □

 その時ナイフを抜き放ったロバ使いが
川に飛び込んでズンズンと近づいて来る。

「あぁ、刺していっそ楽にしてくれ」

 あまりの苦しさに、トドメをさして
くれた方が楽だとさえロバは思った。

 しかし、振り下したナイフが切ったのは
喉首ではなく、締め付けている縄でロバを
苦しめる緊縛と重圧からの解放であった。

「ふぅ~、、、助かった…
どうして助けてくれたんですか?」

「そんなのは当たり前のことだ、
荷物よりもお前が大事だからさ」

「感激です。
そんな風に思っていてくれたなんて…」

□  □  □

 ロバ使いは隠れてフフフとほくそ笑んだ。

〈これでよく働くロバが一頭完成〉

「よく働くロバが賢いロバだ」
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