スキル【ファミレス】を使っていたら伝説になりました。

キンモクセイ

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子供が突然泣くと大人は大体戸惑う。

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とある国の森深く、少女は走っていた。

絶対に逃げなければならないと。

「おい!絶対に見つけだせ!」

「何があっても探し出すんだ!」

男たちの怒号が近くまで響く。

「はぁ……はぁ…」

少女の体力は限界で、木の根に躓いた。

ケガをしたが、そんな事気にしてられない。

近くにあった木のうろに隠れた。

「(どうか、みつかりませんように………。)」

「いたぞーー!!」

願いも虚しく、すぐに見つかった。

男達がジリジリ近づいてきた。

「手間かけさせやがって!」

男の1人が腕を伸ばして来た。



      


男たちの後ろから倒木を踏みつける音がした。

あまりの爆音に、振り返るとそこには、獣がいた。

頭はライオン。
背中には翼が映えている。
尻尾は3尾の蛇。

キメラだ。
それも通常個体のふた周りほどの巨体。
キング・キメラだ。

災害級のモンスターを前に男たちは、少女に背を向け、戦闘体制に入った。

「でけぇ!」

「おい!どうすんだこれ!」

「どうもこうもねぇ、倒すしかねぇだろ!」

次々と立ち向かう男たちだが、その差は歴然。

少女は、この隙に逃げようとしたが、手遅れだった。

男たち全員が倒され、残るは少女だけになっていた。

キング・キメラは顔を近づけ匂いを嗅ぐ。

「(あぁ、たべられちゃうんだ……。)」

少女は諦めと覚悟を決めた。

「(せめて、ペロッといたくないようにしてください!)」

少女は眼をギュッと閉じた。



     



鳴ったのは少女の腹の虫。

「おい、お主腹が減ってるのか?ならば良いところへ連れて行ってやる。」

少女は、何も言えずポカンとした。

キング・キメラは少女の服をくわえ、走りだした。

何故か蛇達は、嬉しそうにしている。

「た、たべないでぇ~~~~!!」

森には少女の叫び声だけが響いた。



キング・キメラの脚の速さに目を回した少女はいつの間にか森を抜け、荷馬車の見える草原に着いた事に気が付かなかった。

キング・キメラは荷馬車に近づいていった。

そっと少女を地面に置く。

「おい!客を連れてきたぞ!」

「客って……お前もう店閉めちまったんだぞ……って、どっから連れてきた!」

荷馬車から出てきた男性が驚く。

「何処からと言われても森からとしか言いようが無い。」

「だ!か!ら!何でいつも何かしら連れてこようとするんだよ!しかもこの子気絶してんじゃねぇか!ケガもしてるし、お前何したんだよ!」

「ワシは何もしとらんぞ?ケガは元々してたし、気絶はまぁ…、ワシの素早さに慄いたに過ぎぬな。」

「ケガ以外お前のせいじゃねぇか!ドヤ顔すんな!あと、後ろの3尾もメシのおこぼれが魂胆だろ!」

「……………………んぅ?」

気絶していた少女が起きた。

「お、気がついたようだぞ。さぁ、早くメシを作ってやれ。」

「あのなぁ…………。」

「あ……あの。」

「ん?どうした?お主何か食べたい物でもあるのか?」

「た、たべるなら、いたくしないようにたべてください!」

男性とキング・キメラは顔を見合わせた。

その直後対称的な表情をした。

キング・キメラは爆笑し(蛇含め)、男性は頭を抱えた。

「安心せよ。此処には誰もお主と喰おうなどという者はおらん。」

「どんな勘違いさせてんだ……。ったく、しょうがねぇ。」

男性は屈んで少女と目線を合わせた。

「君、名前は?」

「メ、メリーです…………。」

「メリーか、俺はすぐる。お腹空いてるんだろ?何が食べたい?」

「?分からない………。」

「そっかぁ、じゃあ有り合わせで何か作るよ。大丈夫、コイツらも君を食べたりは絶対にしないよ。」

「は、はい。」

「ワシらの分も忘れるなよ!」

「はいはい、分かってるよ。その代わり!索敵しても良いが、大人しくしてろよ!特に、そこの三又尻尾蛇ども!」

優は荷馬車に入っていく前にビシッと指を差した。

3尾の蛇はとんでもなく落ち込んでた。


多少の気まずい雰囲気を残したが、メリーは勇気を出してキング・キメラに話しかけた。

「あ、あの…さっきはうたがってごめんなさい……。」

「む?気にするな。それに、お主を探し当てたのはワシでは無く、後ろのこやつらだからな。礼をすれば喜ぶであろう。」

「そうですか……。あの、3びきともありがとう。」

蛇たちは、落ち込んでいたが一転、喜ぶようにメリーに擦りついてきた。

「ふふっ、くすぐったい。」

「キメラは、1個体につき1つの思考しか無いとされているが、ワシほどになると、全ての頭脳が開花するのだ。」

「だからヘビさんたちもよろこぶんだね。」

キング・キメラは1人と3尾のやりとりを満足気に見ていた。

「して、お主メリーだったか。何故なにゆえあの様な場所にいた?」

「そ、それは…………。」

「おーい!メシ出来たぞー!」

「む、相変わらず早いな。」

優は大、中、小の皿を持ち、荷馬車から出てきた。

大の皿は、3尾の蛇の前へ。

中の皿は、キング・キメラの前へ。

そして、小の皿は、メリーの前へ差し出した。

「ほら、いっぱい食べて良いよ。」

出てきたのは、『オムライス』だった。

メリーは、戸惑いながらキング・キメラを見る。

一匹は優雅に、3尾は貪るように食べていた。

「大丈夫。毒とかなんて入って無いよ。」

メリーはスプーンを取り、恐る恐る『オムライス』を一口口に入れた。


ポロッと、涙が溢れた。


「でえぇ!?どした?美味しくなかった?」

「おい!お主メリーに何かしたのか?毒でも盛ったのか!?」

「盛らねぇよ!人を犯罪者にすんな!」

涙の止まらないメリーを見て、3尾の蛇はオロオロしている。

「……ひ………れす」

「え?」


「おいひいれす~~……、うわぁ~ん」

メリーは、美味しくて泣いていたのだった。

それに気づいた一同はまた顔を見合わせ、メリーの側へ来た。

「おいしいか、そりゃ良かった。ゆっくりで良いからな。」

隣に座り背中をさすりながら優は言った。

「はい~…、ヒック」

「そんなに泣かずとも、メシは逃げぬ。」

キング・キメラは、反対側の地面にすわり見守るように言った。

3尾の蛇はメリーを慰めるようにすり寄った。

メリーは、泣きじゃくりながら初めての『オムライス』を見守られながら完食したのだった。
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