スキル【ファミレス】を使っていたら伝説になりました。

キンモクセイ

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虚勢は張れば張るほど無様に見えるよ

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「メリー!ケガ無いか?」

「トロイア!無事か?」

優とアンソニーは駆けつけて早々、2人の身体を触り無事を確認した。

メリーは転んだ際、膝に擦り傷を、トロイアは膝と手を怪我していたがどちらも軽傷だった。

2人に大怪我が無い事を確認し、安堵した。

「心配したぞ。」

「怪我が軽くて良かった。」

優とアンソニーは立ち上がり、キーが踏み続けているモルガのそばに行き、しゃがみ込んで睨みつけた。

「メリーに怪我させたのはお前か?」

「トロイアが俺の弟なのを知っての行動か?」

「オ、オレは悪くねぇ!このガキ共が先に………ナイフを向けてきたんだ!」

モルガは辛うじて動かせる腕で遠くにあるナイフを指さした。

優とアンソニーは、モルガの指さす方を向いた。

「あのナイフは?」

「去年、私が弟の誕生日に渡したナイフですね。私のお古ですが、命の危険にさらされない限り、人に向けるなと約束させました。」

「なるほど。だそうだが?」

優は視線をモルガに戻し、見下すように問いかけた。

「デタラメだ!あのガキは、隊長の息子だからってオレを脅してきたんだ!」

それを聞いたアンソニーは顔をしかめた。

「脅す?動機は?脅してトロイアは何を得られる?」

「そ、それは………。」

「仮に脅したとしても、メリットが無い。むしろ、父親である隊長には叱られ、母親は失望し、兄弟からは腫れ物扱いされるだろうな。そんなデメリットしかないことをする理由があるか?」

優は至って冷静に、しかし腹の奥に怒りを募らせながらモルガに問いただす。

「それに、兵士が子供に脅されたとなれば、噂は広まりその人にとって、かなりプライドを傷つけられる事となるでしょうね。」

「!!」

アンソニーは淡々と、しかし嘲笑うかのように語った。

「どうした!何があった!?」

そこに兵士を連れたルキアスが到着した。

「あぁ、待ってましたよ、ルキアスさん。」

「隊長、お疲れ様です。」

2人は立ち上がり、アンソニーは敬礼をした。

「楽にしろ。状況は?」

ルキアスは手を上げ、アンソニーの敬礼を止めた。

「この方曰く、子供に脅されたと言っています。」

「そ、そうです、隊長!この子供達が使い魔を使って脅してきたんです!」

「だそうだが、子供たちよ。それは誠か?」

「おや?先ほどまでは、ナイフで脅されたと仰っていましたが、あれは偽りでしょうか?」

「ほう、それは可笑しいな。住民からの報告では、この使い魔はつい先程まで中央広場にいたと聞いている。ナイフで脅されるというのも、兵士として聞いて呆れる。」

「!!そ、それは…………。とにかく!子供達の言う事は全て戯言です!」

「ならば証拠は?そこまで言うのであれば根拠を見せてみよ。」

「しょ、証拠はこの使い魔とあのナイフです!」

「ワシらには、きちんと証拠とやらはあるぞ。」

突然会話に入ってきたのは、キーだった。

「双方の意見が食い違いが出ている以上、確実なものを出した方がいいのであろう。隊長、此奴を少し預けるが良いか?」

「あぁ、かまわない。お前達こいつを少しの間拘束してくれ。」


「「「はい!」」」

名乗り出てきたのは、昨晩「ブリエ」の最初の客だった3人だった。

「おい!離せよ!」

モルガは抵抗するも3人がかりでは、到底敵わなかった。

「それが先輩兵士への態度か?」

「昨日はもう少し長く居られたら、メリーちゃん泣かせずに済んだ俺たちの気持ちを考えてみたか?」

「隊長命令ですので、仕方ないでしょう。今は拘束だけでも幸いと思いなさい。」

3人は、自分達が広場を去った後の騒動を、人づてに聞きもう少し長居をすれば良かったと後悔していたのだった。

モルガから離れたキーは、優と共にメリーの元へ向い、出掛ける前と同様にメリーの頭に鼻先をチョンッと付けた。

「スグル。」

「あぁ、準備は出来ているよ。」

優は持っていた荷物から手のひらサイズの水晶の様な球を出した。

「それは?」

「魔法映写機です。これでメリーの見ていた光景を映します。」

「見たことないな。こういう類の物は、かなりの魔力の使うはずだ。メリー嬢は大丈夫なのか?」

「それなら心配には及ばん。ワシの加護と共に視覚共有の魔法をかけていたからな。」

「共有っていうより、キーの魔力に録画をしていたってことですかね。まぁ見ていればわかりますよ。場所は…、この辺でいいか。」

優の取り出した球に、キーは鼻先をまたつけた。

すると、球の色が変化しキーの魔力が込められた事を確認できた。

優はそのまま近くの壁に球を向けた。

すると球から光が発射され、壁には映像が映された。

「!!やめろ!写すな!!」

瞬時にモルガは叫んだ。

「証拠の見聞中だ、邪魔するな。これ以上騒ぐのであれば、猿轡をさせる。」

ルキアスは、拘束されているモルガを一瞥し、忠告した。

視線を戻すとそこには、メリーが優たちと別れたあとからの映像が映し出された。

時計台守のおじいさんとの会話。

駆け上がる螺旋階段。

時計台の上から見える夕日に輝く街並み。

分けたリンゴを食べる2人。

2人の初デートともいえる光景に、ルキアスはヒヤヒヤしていたが、他はそうではなかった。

初々しい2人のデートに、兵士たちは心をときめかせ、「かわいい~」や「隊長の息子やるぅ~」という言葉を口々にしていた。
ちなみにモルガを拘束していた3人は「羨まし可愛い!!」と叫んでいた。

「うむ、どうやらデェト?とやらは成功していたようだな。」

「なんか俺、小っ恥ずかしいんだけど………。まぁメリーが楽しかったのなら良いけど。」

キーと優は完全にメリーの親目線になっていた。



しばらくすると、急いで駆けている姿が観えた。

ほのぼのとしていた空気を、一気に切り替えるかのように、路地裏が映し出された。

観ていた全員は、息を潜め固唾を飲んでいた。

路地裏を無事に通り抜けて皆が安心した瞬間、平手打ちの音が響いた。

その後は、モルガが女性と口論し、物に八つ当たりする映像が暫く流れた。

そして証拠となる映像が流れた。

その頃には、モルガを拘束していた3人の兵士を含め全員が画面を食い入るように見ていた。

モルガが子供達に罵声を浴びせる光景では、皆言葉が出なかった。

そして子供達に殴りかかろうとして近づき、加護魔法で弾かれたのを最後とし、映像は終わった。

「これで以上だな。証拠となるか?隊長。」

キーは確信を得ているかのように問いかけたのだった。
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