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第六部
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全員起きて、後片付けも済んだので、わたしは捜索〈ティザー〉の飛翔体を飛ばす。蝶のような見た目のそれを追っていくと、とある洞窟の前で姿を消した。消え方からして、有効範囲が切れたのだろう。
「やはりこちらの方でしたか。ここが花の洞窟です」
イエリオが教えてくれるものの、入口から見える範囲には花が咲いていなくて、普通の洞窟の入口のように見える。
わたしは洞窟の中に興味をひかれつつも、本来の目的を思い出して、もう一度捜索〈ティザー〉を使う。すると、飛翔体は洞窟の中に飛んで行った。
「あれ、中にあるみたい」
空が見えるように、と開けた屋外にあったから、無意識に外にあるものだと思っていたが、洞窟の中にあるらしい。手持ちのランタンに灯りを灯し、慎重に中を歩く。
「攻撃的な魔物が出る心配はないけど、普通に視界が悪いから、気をつけなよ」
イナリの忠告を聞いて、わたしはゆっくりと進む。捜索〈ティザー〉の飛翔体の速度よりもわたしたちの方が遅くても、わたしは進むべき方向が分かるので、何ら問題はない。怪我をする方が大変だ。
足もとを見ながら進んでいくと、一輪、また一輪と、洞窟の奥に行くにつれ、花が増えていく。地面に生えているものもあれば、壁の隙間から伸びているものもある。
「本当に咲いてる――と、いうか……」
わたしは咲いている花を見て、この先に島長の墓があるという確信のようなものを感じていた。
咲いている色とりどりの花は、どれも、シーバイズでは墓に供える際に選ばれる花ばかりなのだ。前世のように仏花にはこの花、という決まりはないものの、この花は大抵の環境でも咲き、潮風にも強い方なので、よっぽど故人が好きな花があるなど、こだわりがある場合を除いてこの花を供える。
しかも、島長の墓の場合、墓の周りに直接植えているので、その花が繁殖を続けていたら、きっと洞窟の中でも咲き誇っていることだろう。
今のように。
しばらく進み、わたしは足を止める。
壁にぶち当たってしまった。比較的、人間が通れるかどうかを考慮しないで飛んでいく魔法ではあるけど……。
「この先みたい。遠回りする道とかあるのかな?」
詳しいであろうウィルフとイナリに聞いてみるものの、ここの先に空間があることすら知らない様子だった。少なくとも、冒険者間で共有されている地図の中にはないらしい。
「ディンベル邸の廊下に何かあったかもしれないように、入口が隠されているとかないんでしょうか?」
「どうかなあ……」
イエリオの言葉に、わたしはハッキリと答えることができない。可能性としてはあると思うけれど、あれは師匠が必要を持って隠していたのだ。この洞窟は千年前からあったものではないし、師匠がわざわざ島長の墓を隠すことも考えにくい。
皆で壁側を調べていると、フィジャが「ねえ」と声を上げた。
「ここの亀裂、なんかちょっと変じゃない?」
フィジャが指さすところを見れば、確かに、ちょっと違和感がある。一見すればただの亀裂に見えるものの、壁全体を見れば、何かがはまっているように思える。これが扉だったら、かがんで人が入れるようなサイズ。
でも、少し奥まったところで、しかも下の方なのでよく見ないと気が付かないだろう。
試しに押してみると、少し手ごたえがある。この一部分だけ、ぐらつくのだ。
「やはりこちらの方でしたか。ここが花の洞窟です」
イエリオが教えてくれるものの、入口から見える範囲には花が咲いていなくて、普通の洞窟の入口のように見える。
わたしは洞窟の中に興味をひかれつつも、本来の目的を思い出して、もう一度捜索〈ティザー〉を使う。すると、飛翔体は洞窟の中に飛んで行った。
「あれ、中にあるみたい」
空が見えるように、と開けた屋外にあったから、無意識に外にあるものだと思っていたが、洞窟の中にあるらしい。手持ちのランタンに灯りを灯し、慎重に中を歩く。
「攻撃的な魔物が出る心配はないけど、普通に視界が悪いから、気をつけなよ」
イナリの忠告を聞いて、わたしはゆっくりと進む。捜索〈ティザー〉の飛翔体の速度よりもわたしたちの方が遅くても、わたしは進むべき方向が分かるので、何ら問題はない。怪我をする方が大変だ。
足もとを見ながら進んでいくと、一輪、また一輪と、洞窟の奥に行くにつれ、花が増えていく。地面に生えているものもあれば、壁の隙間から伸びているものもある。
「本当に咲いてる――と、いうか……」
わたしは咲いている花を見て、この先に島長の墓があるという確信のようなものを感じていた。
咲いている色とりどりの花は、どれも、シーバイズでは墓に供える際に選ばれる花ばかりなのだ。前世のように仏花にはこの花、という決まりはないものの、この花は大抵の環境でも咲き、潮風にも強い方なので、よっぽど故人が好きな花があるなど、こだわりがある場合を除いてこの花を供える。
しかも、島長の墓の場合、墓の周りに直接植えているので、その花が繁殖を続けていたら、きっと洞窟の中でも咲き誇っていることだろう。
今のように。
しばらく進み、わたしは足を止める。
壁にぶち当たってしまった。比較的、人間が通れるかどうかを考慮しないで飛んでいく魔法ではあるけど……。
「この先みたい。遠回りする道とかあるのかな?」
詳しいであろうウィルフとイナリに聞いてみるものの、ここの先に空間があることすら知らない様子だった。少なくとも、冒険者間で共有されている地図の中にはないらしい。
「ディンベル邸の廊下に何かあったかもしれないように、入口が隠されているとかないんでしょうか?」
「どうかなあ……」
イエリオの言葉に、わたしはハッキリと答えることができない。可能性としてはあると思うけれど、あれは師匠が必要を持って隠していたのだ。この洞窟は千年前からあったものではないし、師匠がわざわざ島長の墓を隠すことも考えにくい。
皆で壁側を調べていると、フィジャが「ねえ」と声を上げた。
「ここの亀裂、なんかちょっと変じゃない?」
フィジャが指さすところを見れば、確かに、ちょっと違和感がある。一見すればただの亀裂に見えるものの、壁全体を見れば、何かがはまっているように思える。これが扉だったら、かがんで人が入れるようなサイズ。
でも、少し奥まったところで、しかも下の方なのでよく見ないと気が付かないだろう。
試しに押してみると、少し手ごたえがある。この一部分だけ、ぐらつくのだ。
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