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第三部
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翌日。
わたしは調査に必要な物をあれこれ買い込むため、街に出てきていた。前回は研究書を探しに行くためだけに行き、見つかったらすぐ帰る予定だったので、簡単な野営道具しか持って行かなかったが、今回は向こうに滞在してあれこれ調査するので、必要最低限、というわけにはいかない。
しかも、前回はヴィルフさんと二人だったので多少の面倒はちゃちゃっと魔法で解決したものの、今回はイエリオさんとヴィルフさんだけでなく、オカルさんと、車の御者をする冒険者の人もいるので、下手に魔法を使うことはできない。
買い物には、ありがたいことに、荷物持ちとしてフィジャがついてきてくれていた。
「ごめんね、フィジャ。折角の休みだったのに」
「大丈夫だよぉ。それに、ほら、もう少しでマレーゼいなくなっちゃうし、ちょっとでも一緒にいたいから」
ぐう、とわたしは言葉に詰まる。ストレートに言葉にされると、どう反応していいか困ってしまう。わたしもわたしで、フィジャと出かけるのが楽しいと思ってしまっているあたり、余計に。
丁度いいから、と、予定の日程より数日早いものの、フィジャの家からイナリさんの家にわたしは移動することになっていた。
この後、買い込んだものもイエリオさんの家に持っていくし、調査へと出向く前に、もうイエリオさんの家にお世話になることになった。
こうしてフィジャと頻繁に顔を合せるのも、本当にあと少しなのだ。
フィジャと一緒に暮らしている間に、イエリオさんやヴィルフさん、イナリさんと会わなかったか、というと全くそんなことはなくて、四人同時に集まることは少なくても、個人にちらほらと会うことは多かった。
だからフィジャの家を出てイエリオさんの家に移っても、フィジャとは普通に会うと思うけど、家が完成するまでは、もう一緒にキッチンに立って料理することも少ないのか、と思うとちょっとさみしいものがある。
なお、家の方はわたしが肋骨を折ったりフィジャが入院したりと、完全に話し合いがストップしている状態。今回の調査は何度かに分けて行うらしく、第一階の今回が無事に終わればまた工務店に行こう、という話になっているのだ。
「……腕の方はどう?」
荷物持ちを頼んでおいてアレな言いぐさではあるが。端から見る分には怪我をする前となんら変わりない動きのように見えるが、やっぱりちょっと心配である。
勿論、しろまるを疑っているわけではないが、わたし自身に医療知識はないし、習得時以降、治癒魔法を使ったことがないので、不安なのだ。
でも、そんなわたしの不安を吹き飛ばすように、フィジャはにこにこと笑ってくれる。
「全然問題ないよぉ。むしろちょっと肩こりとか前よりよくなったかも」
「肩こりは……気のせいじゃない?」
「そんなことないよぉ」
けらけらとフィジャは笑うが、本当に気のせいだと思う。だってそこは治してないし……気のせいだよね?
……あ、そうだ、しろまると言えば、一応しろまるの眠る、精霊語が書かれた紙は持ち歩くようにしないとなあ。あれがないとしろまる呼べないし、万が一の為にあったほうが安心だよね。……まあ、魔法は人前で使うつもり、ないんだけど……。でも、一応。
持ち歩きに便利なケースとかポーチとかも探しておこう、と考えながら、わたしはフィジャの横を歩き、買い物を進めるのだった。
わたしは調査に必要な物をあれこれ買い込むため、街に出てきていた。前回は研究書を探しに行くためだけに行き、見つかったらすぐ帰る予定だったので、簡単な野営道具しか持って行かなかったが、今回は向こうに滞在してあれこれ調査するので、必要最低限、というわけにはいかない。
しかも、前回はヴィルフさんと二人だったので多少の面倒はちゃちゃっと魔法で解決したものの、今回はイエリオさんとヴィルフさんだけでなく、オカルさんと、車の御者をする冒険者の人もいるので、下手に魔法を使うことはできない。
買い物には、ありがたいことに、荷物持ちとしてフィジャがついてきてくれていた。
「ごめんね、フィジャ。折角の休みだったのに」
「大丈夫だよぉ。それに、ほら、もう少しでマレーゼいなくなっちゃうし、ちょっとでも一緒にいたいから」
ぐう、とわたしは言葉に詰まる。ストレートに言葉にされると、どう反応していいか困ってしまう。わたしもわたしで、フィジャと出かけるのが楽しいと思ってしまっているあたり、余計に。
丁度いいから、と、予定の日程より数日早いものの、フィジャの家からイナリさんの家にわたしは移動することになっていた。
この後、買い込んだものもイエリオさんの家に持っていくし、調査へと出向く前に、もうイエリオさんの家にお世話になることになった。
こうしてフィジャと頻繁に顔を合せるのも、本当にあと少しなのだ。
フィジャと一緒に暮らしている間に、イエリオさんやヴィルフさん、イナリさんと会わなかったか、というと全くそんなことはなくて、四人同時に集まることは少なくても、個人にちらほらと会うことは多かった。
だからフィジャの家を出てイエリオさんの家に移っても、フィジャとは普通に会うと思うけど、家が完成するまでは、もう一緒にキッチンに立って料理することも少ないのか、と思うとちょっとさみしいものがある。
なお、家の方はわたしが肋骨を折ったりフィジャが入院したりと、完全に話し合いがストップしている状態。今回の調査は何度かに分けて行うらしく、第一階の今回が無事に終わればまた工務店に行こう、という話になっているのだ。
「……腕の方はどう?」
荷物持ちを頼んでおいてアレな言いぐさではあるが。端から見る分には怪我をする前となんら変わりない動きのように見えるが、やっぱりちょっと心配である。
勿論、しろまるを疑っているわけではないが、わたし自身に医療知識はないし、習得時以降、治癒魔法を使ったことがないので、不安なのだ。
でも、そんなわたしの不安を吹き飛ばすように、フィジャはにこにこと笑ってくれる。
「全然問題ないよぉ。むしろちょっと肩こりとか前よりよくなったかも」
「肩こりは……気のせいじゃない?」
「そんなことないよぉ」
けらけらとフィジャは笑うが、本当に気のせいだと思う。だってそこは治してないし……気のせいだよね?
……あ、そうだ、しろまると言えば、一応しろまるの眠る、精霊語が書かれた紙は持ち歩くようにしないとなあ。あれがないとしろまる呼べないし、万が一の為にあったほうが安心だよね。……まあ、魔法は人前で使うつもり、ないんだけど……。でも、一応。
持ち歩きに便利なケースとかポーチとかも探しておこう、と考えながら、わたしはフィジャの横を歩き、買い物を進めるのだった。
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