転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国

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第五部

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 ということは、本当に、根本的な解決をしないといけない。その場しのぎでは駄目なのだ。
 つまり、シャシカさんに、イナリを冒険者にすることを諦めさせなければいけない。
 ……方法は、全然思いつかないけど。

「……そもそも、冒険者って一回辞めても再度なれるものなんですか?」

 冒険者、冒険者、と言われていて、実際、わたしがイメージするファンタジーなネット小説のものとそこまで差異がなかったので、聞いてこなかったが、わたしはこの国の冒険者というものをしっかりとは知らない。

「いくつか条件はあるけど、再び冒険者になることは出来るよ」

 その条件を聞いてみると、五体満足であること、とか、辞めた理由が怪我によるものでない、とか、辞めた際に下級冒険者以上であること、とか、結構条件はあった。
 でも、そのどれもをイナリさんはクリアしていて、今でも問題なく冒険者に復帰できる。
 条件のほとんどが辞めるときのものなので、今から冒険者になれないようにするには――。

「――ちょっと」

 じっとイナリが自身の手を見ていることに気が付いて、わたしは思わず声をかけた。一番に思い当たったことは同じらしい。

「最終手段だよ」

 五体満足でなくなれば、冒険者には戻りたくても戻れない。だからといって、わざと腕なり脚なり、切り落とすのは違うだろう。

「……その手は、これからも服を作っていく手なんでしょ。切り落とさないで」

「――……うん」

 ぴく、とイナリの耳が動いた。
 大切な腕は取っておかないと。もし切り落としたって、またしろまる呼んでやるから。
 しかし、他になにか――……。

「あ」

 わたしはふと、ジェルバイドさんの顔を思い出していた。

「そういえば、冒険者の資格の永久剥奪って、条件なんなんですか?」

 ジェルバイドさんも、先ほど並べられた条件全てをクリアしているが、彼はもう、冒険者になることは出来ない。多分、冒険者の資格の永久剥奪、ということだから彼みたいな犯罪者に適応されるのかもしれないが、一応、聞くだけ聞いておく。

 ――が。

「永久、剥奪? ……聞いたことないな」

 彼はよっぽどの特例、ということか、資格の永久剥奪について、イナリは知らないようだった。
 ……これ以上は二人で考えても無駄かもしれない。それに、シャシカさんの襲撃という強烈な揉めごとも起きて、疲れている。わたしにいたっては、床下を這いつくばって行ったり来たりしたわけだし。

「今度、ちょっと話を聞いてみます。ルーネちゃんに」

 ギルド長である彼女なら、きっと何か裏道を知っているかもしれない。
 後日聞きに行こう、と決意し、とりあえず、わたしは絶対に一人にならないことを約束させられた。人通りの多い道を選び、とにかく不特定多数の人間がいるところに身を置け、と。

 明日から、イナリが出勤するのと同時に家を出て、イナリの勤務中は街に居て、退勤するときにイナリの職場の近所の喫茶店で待ち合わせをして一緒に帰ることとなった。
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