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人と異形とが争いを繰り広げる惑星『ボーガー』
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修也たちは探索を命じられた日から3日に渡って熱心な聞き込みを行なったものの、なかなか手掛かりというのは見えてこない。
大昔の刑事ドラマでは足を棒にして動かすのが大事だと言われていたのだが、現在の刑事ドラマでは足よりも資料を調べろというのが定説となっている。
そうした刑事ドラマの設定が活かされるのは21世紀の地球であるからであり、機械など欠片も見えない星ではあまり意味がないことであった。
それ故に今回は古き良き刑事ドラマに倣った方がいいだろう。
だが、当然であるが限界というものは訪れる。足が痛み始めてきたのだ。靴を脱いで痛む足を自らの右手で摩りたいという欲望が修也を襲ってきた。
いくら他の星の中であるとはいえ、道の真ん中で靴を脱いで摩るなどということは常識的に許されることではないのは修也が一番身に染みて分かっていた。
その代わりに彼は提案を投げ掛けるように言った。
「少し疲れましたね」
ジョウジはそれを聞いて納得した。修也は既に40を過ぎた中年の男性である。足腰が疲れたと訴えるのも仕方がないことである。
「わかったわ。じゃあ、適当なところで休みましょう。あっ、あそこにある茶館なんてどうかな?」
と、見かねた紅晶が提案の言葉を述べながら茶館の場所を指指した。
紅晶が口にした茶館という地球でいうところの喫茶店に相当する場所だった。
茶館は地球の中国でも知られた茶屋の名称である。茶館は文化革命を生き延び、現代にも残った古き良き伝統文化といってもいい。
茶館では多くの中国茶の他に欧米や日本でも発展した喫茶店のように菓子類や軽食が提供されている。これは地球の中国でも発展した飲茶が大きく影響していると思われる。飲茶は英国でいうところのティータイムに相当する時間であり、中国茶を飲みながら小さな料理や点心を食べて楽しむという文化だ。
日本では中国茶を飲むことよりも点心を食べることに重点が置かれているが、本場中国ではお茶を飲むことの方に重点が置かれている。日本における茶道の要素も含まれており、礼儀作法の一環としても扱われているのかもしれない。
このような作法と娯楽の一面を併せ持つ飲茶の歴史は唐代に遡るとされ、21世紀に至るまで受け継がれているのだ。
現在の地球における茶館では飲茶を開く人々のために点心や菓子類が提供されており、中国人のみならず世界中の人々の舌を満足させているといってもいい。
ジョウジは紅晶が示した『獄龍門』という看板を眺めながら、自身の中に入っていた『飲茶』に関する基礎知識のことを思い返していた。
基礎知識が間違っている可能性があるかもしれないが、飲茶に関する説明としてはこんなものであっていたような気がする。間違っているのかもしれない。そんな不安がジョウジの頭を過ったが、よく考えれば唐代以前の文化しかないこの星に飲茶もしくはそれに類する制度があるのも不自然な話だ。
もしかすればこの星においては自分の中にある古代中国の文化や歴史の知識はあまり役に立たないのかもしれない。
カルチャーショックともいえる文化を目の当たりにしたことでジョウジが不安に苛まれて茶館の前で唸り声を上げていた時のことだ。紅晶がジョウジの腕を引っ張りながら先へと進んでいく。
修也たちが紅晶が指差した茶館の中へ足を踏み入れると、中は盛況といっても差し支えないほど賑わって見えた。多くの人々が仕事や勉学の合間に詰めているらしく、お茶を飲んだり、菓子や軽食を食べながら談笑に励んでいた。
どの人も楽しげな顔をしていた。修也は喫茶店でも疲れたような顔を見せる現代日本の人々とは対照的のように思われた。
その一方でジョウジは作法に捉われず、楽しげにお茶をする人々を見て中国本土の飲茶というよりかは英国のアフターヌーンティーに類似点を見つけ出していた。
一行は椅子の上に腰を掛けると、机の上に置かれていた用意されたメニュー表と思われる紙に目を通したが、意味が分からずに腕を組んで悩むことになった。
そんな時に助け舟を出したのが紅晶だった。彼女はこの星の言葉で店員に向かって何かを話したかと思うと、修也たちにこの星の言葉で何を頼んだのかを説明していった。
ジョウジによればまだ早い時間だということもあって、軽食の類は頼まずに菓子のみを頼んだそうだ。お茶に関しては自分が美味いと感じ、お勧めしたいものを頼んだということだ。
紅晶の言葉通りに美味しそうなお茶と五種類の菓子が運ばれてきた。
薄い黄色のお茶の他に揚げ団子や獅子の形をした水と粉でくっ付けた菓子、柔らかめの皮を焼き上げた焼き菓子などが並んでいた。杏仁豆腐と思われる菓子が小さなガラスの器の中へと収まっていた。
杏仁豆腐の横にはどう見てもエッグタルトと思わしき菓子が並んでいるのも見えた。サクサクとした食感が舌の上で思い浮かびそうな生地に囲まれた中にはフワリととろけた食感を思わせられそうな柔らかいアパレイユの姿が確認できた。
本来であれば古代中国の時代にエッグタルトが存在しているのは不自然な話である。だが、それを言えば古代中国の文明しか持ち得ていないこの星に飲茶の習慣があるのも不自然だといえるだろう。
もしかすれば食文化は古代の中国よりも発展しているかもしれない。
そう考えることでしか辻褄が合わない。ジョウジは不本意ながらもエッグタルトに手を伸ばした。すると、口に入れた瞬間に柔らかな食感が迸り、卵を使ったアパレイユの甘味が口の中いっぱいに広がっていく。
エッグタルトのような菓子は絶品だった。地球上でもこの星のようなエッグタルトにはそうそう巡り合うことはできないだろう。
ジョウジは感動に咽び、全身をブルブルと震わせていた。
許されるのならばこのエッグタルトを地球に持って帰りたいという衝動に駆られた。
だが、そんな無駄なものに宇宙船のスペースを使ってはいられないことは自身の中にあるデータが示している。感情の面ではデータなど無視しろとしつこいのだが、どちらを優先しなければならないのかはハッキリと分かっていた。
それ故にジョウジはエッグタルトを持つ手を止め、大きく溜息を吐かずにはいられなかった。
「どうかしたの? ジョウジさん?」
鉛のように重い溜息を吐いたこともあって、麗俐が心配そうな顔でジョウジを見つめた。
「い、いえ、なんでもないんですよ。ほ、本当に美味しいですね。このエッグタルト」
ジョウジは苦笑いを浮かべながら答えた。自身の悩みを感じ取られないようにジョウジは他の菓子にも手を伸ばしたが、結局頭の中に残っていたのはエッグタルトのことだった。
このまま1日はエッグタルトのことを引き摺るのかとばかり思っていたのだが、予想だにしない言葉が耳に入ったためジョウジの意識からエッグタルトのことは消える羽目になった。
「しかし本当かよ? 猿どもが本格的に攻め入ってくるなんて」
「あぁ、噂だけど、生意気にも近くを陣取ってる猿どもの間で反乱が起きたみたいでさ。新しく長になった猿がそう息巻いてるみたいだぜ」
ジョウジがこの星の言葉を理解できたのは幸いであった。何かおかしい。
ジョウジは引き続き聞き耳を立てることにした。
「更にこの裏には逃げた丞相様が関わってるみたいなんだと」
「本当かよ。物騒な話だな」
この噂を話していた2人にとっては何気ない日常の中で流れる他愛のない会話であったのかもしれない。
だが、犯人を探すように命令されたジョウジからすれば喉から手が出るほどほしい情報であった。
ジョウジはすぐにその話を修也たちに向かって日本語で話し、紅晶に関してはこの星の言葉で喋っていった。
ジョウジの話を聞いた紅晶は信じられないと言わんばかりに両眉を上げていたのだが、やがて難しい顔を浮かべた後に納得のいったと言う顔を浮かべながら自分の考えを話していった。
「にわかには考え難い話です。ですが、あり得ないことではありません。理由はどうであれ2人は皇族に害を加えようとした謀反人。捕まれば公開処刑は免れない身です。ならば昨日までは『敵』として認定していた、或いは『猿』として見下していた種族に身を寄せるのも当然の話です」
「その上で融和的な政策をとる現在の長を追放して過激派の人物を後釜に据えた……というわけですか」
「そういうこと、あなた通訳にしておくには惜しいわね」
紅晶は口元に得意げな顔を浮かべながら言った。
「恐れ入ります」
ジョウジは丁寧に頭を下げながら言った。
「そうと決まれば、あとは彼らの居場所に向かうだけだわ」
紅晶はそう言うと、一分一秒でも惜しいとばかりに席の上を勢いよく立ち上がった。
会計を済ませて店を出ると、その勢いのまま猿たちが天幕を張っている場所へと向かっていく。このまま2人の謀反人を引き摺り出して朝廷へと連れて行かなければならない。
そんなことを考えていた時のことだ。突然茶館から浅黒い肌をした鋭い目付きの男が現れて紅晶に向かって勢いよくぶつかってきたのである。
ぶつかった衝撃で紅晶は思わず倒れそうになったものの、修也が慌てて取り押さえたことによって地面の上に倒れることはなかった。
「キミ、なんてことをするんだ! 危ないじゃあないか!」
見かねたジョウジがこの星の言葉で注意の言葉を吐いたが、浅黒い肌の男はニヤリと笑うばかりで謝罪の言葉を口にしようともしなかった。
なんて無礼な男だろう。言いようのない怒りに身を包まれたジョウジが男の肩を自分の拳を掴むかのように強く握り締めた時のことだ。
ジョウジの体が地面から勢いよく離されていった。
「紅晶公主殿下、申し訳ないがあなたにはここで死んでいただこうッ!」
男はそう叫ぶと、紅晶に向かって隠し持っていた短剣を突き立てようとした。
紅晶が無事であったのはこの時咄嗟に修也がカプセルを握り締め、メトロイドスーツを身に付けたまま男を勢いよく蹴り飛ばしたからであった。
大昔の刑事ドラマでは足を棒にして動かすのが大事だと言われていたのだが、現在の刑事ドラマでは足よりも資料を調べろというのが定説となっている。
そうした刑事ドラマの設定が活かされるのは21世紀の地球であるからであり、機械など欠片も見えない星ではあまり意味がないことであった。
それ故に今回は古き良き刑事ドラマに倣った方がいいだろう。
だが、当然であるが限界というものは訪れる。足が痛み始めてきたのだ。靴を脱いで痛む足を自らの右手で摩りたいという欲望が修也を襲ってきた。
いくら他の星の中であるとはいえ、道の真ん中で靴を脱いで摩るなどということは常識的に許されることではないのは修也が一番身に染みて分かっていた。
その代わりに彼は提案を投げ掛けるように言った。
「少し疲れましたね」
ジョウジはそれを聞いて納得した。修也は既に40を過ぎた中年の男性である。足腰が疲れたと訴えるのも仕方がないことである。
「わかったわ。じゃあ、適当なところで休みましょう。あっ、あそこにある茶館なんてどうかな?」
と、見かねた紅晶が提案の言葉を述べながら茶館の場所を指指した。
紅晶が口にした茶館という地球でいうところの喫茶店に相当する場所だった。
茶館は地球の中国でも知られた茶屋の名称である。茶館は文化革命を生き延び、現代にも残った古き良き伝統文化といってもいい。
茶館では多くの中国茶の他に欧米や日本でも発展した喫茶店のように菓子類や軽食が提供されている。これは地球の中国でも発展した飲茶が大きく影響していると思われる。飲茶は英国でいうところのティータイムに相当する時間であり、中国茶を飲みながら小さな料理や点心を食べて楽しむという文化だ。
日本では中国茶を飲むことよりも点心を食べることに重点が置かれているが、本場中国ではお茶を飲むことの方に重点が置かれている。日本における茶道の要素も含まれており、礼儀作法の一環としても扱われているのかもしれない。
このような作法と娯楽の一面を併せ持つ飲茶の歴史は唐代に遡るとされ、21世紀に至るまで受け継がれているのだ。
現在の地球における茶館では飲茶を開く人々のために点心や菓子類が提供されており、中国人のみならず世界中の人々の舌を満足させているといってもいい。
ジョウジは紅晶が示した『獄龍門』という看板を眺めながら、自身の中に入っていた『飲茶』に関する基礎知識のことを思い返していた。
基礎知識が間違っている可能性があるかもしれないが、飲茶に関する説明としてはこんなものであっていたような気がする。間違っているのかもしれない。そんな不安がジョウジの頭を過ったが、よく考えれば唐代以前の文化しかないこの星に飲茶もしくはそれに類する制度があるのも不自然な話だ。
もしかすればこの星においては自分の中にある古代中国の文化や歴史の知識はあまり役に立たないのかもしれない。
カルチャーショックともいえる文化を目の当たりにしたことでジョウジが不安に苛まれて茶館の前で唸り声を上げていた時のことだ。紅晶がジョウジの腕を引っ張りながら先へと進んでいく。
修也たちが紅晶が指差した茶館の中へ足を踏み入れると、中は盛況といっても差し支えないほど賑わって見えた。多くの人々が仕事や勉学の合間に詰めているらしく、お茶を飲んだり、菓子や軽食を食べながら談笑に励んでいた。
どの人も楽しげな顔をしていた。修也は喫茶店でも疲れたような顔を見せる現代日本の人々とは対照的のように思われた。
その一方でジョウジは作法に捉われず、楽しげにお茶をする人々を見て中国本土の飲茶というよりかは英国のアフターヌーンティーに類似点を見つけ出していた。
一行は椅子の上に腰を掛けると、机の上に置かれていた用意されたメニュー表と思われる紙に目を通したが、意味が分からずに腕を組んで悩むことになった。
そんな時に助け舟を出したのが紅晶だった。彼女はこの星の言葉で店員に向かって何かを話したかと思うと、修也たちにこの星の言葉で何を頼んだのかを説明していった。
ジョウジによればまだ早い時間だということもあって、軽食の類は頼まずに菓子のみを頼んだそうだ。お茶に関しては自分が美味いと感じ、お勧めしたいものを頼んだということだ。
紅晶の言葉通りに美味しそうなお茶と五種類の菓子が運ばれてきた。
薄い黄色のお茶の他に揚げ団子や獅子の形をした水と粉でくっ付けた菓子、柔らかめの皮を焼き上げた焼き菓子などが並んでいた。杏仁豆腐と思われる菓子が小さなガラスの器の中へと収まっていた。
杏仁豆腐の横にはどう見てもエッグタルトと思わしき菓子が並んでいるのも見えた。サクサクとした食感が舌の上で思い浮かびそうな生地に囲まれた中にはフワリととろけた食感を思わせられそうな柔らかいアパレイユの姿が確認できた。
本来であれば古代中国の時代にエッグタルトが存在しているのは不自然な話である。だが、それを言えば古代中国の文明しか持ち得ていないこの星に飲茶の習慣があるのも不自然だといえるだろう。
もしかすれば食文化は古代の中国よりも発展しているかもしれない。
そう考えることでしか辻褄が合わない。ジョウジは不本意ながらもエッグタルトに手を伸ばした。すると、口に入れた瞬間に柔らかな食感が迸り、卵を使ったアパレイユの甘味が口の中いっぱいに広がっていく。
エッグタルトのような菓子は絶品だった。地球上でもこの星のようなエッグタルトにはそうそう巡り合うことはできないだろう。
ジョウジは感動に咽び、全身をブルブルと震わせていた。
許されるのならばこのエッグタルトを地球に持って帰りたいという衝動に駆られた。
だが、そんな無駄なものに宇宙船のスペースを使ってはいられないことは自身の中にあるデータが示している。感情の面ではデータなど無視しろとしつこいのだが、どちらを優先しなければならないのかはハッキリと分かっていた。
それ故にジョウジはエッグタルトを持つ手を止め、大きく溜息を吐かずにはいられなかった。
「どうかしたの? ジョウジさん?」
鉛のように重い溜息を吐いたこともあって、麗俐が心配そうな顔でジョウジを見つめた。
「い、いえ、なんでもないんですよ。ほ、本当に美味しいですね。このエッグタルト」
ジョウジは苦笑いを浮かべながら答えた。自身の悩みを感じ取られないようにジョウジは他の菓子にも手を伸ばしたが、結局頭の中に残っていたのはエッグタルトのことだった。
このまま1日はエッグタルトのことを引き摺るのかとばかり思っていたのだが、予想だにしない言葉が耳に入ったためジョウジの意識からエッグタルトのことは消える羽目になった。
「しかし本当かよ? 猿どもが本格的に攻め入ってくるなんて」
「あぁ、噂だけど、生意気にも近くを陣取ってる猿どもの間で反乱が起きたみたいでさ。新しく長になった猿がそう息巻いてるみたいだぜ」
ジョウジがこの星の言葉を理解できたのは幸いであった。何かおかしい。
ジョウジは引き続き聞き耳を立てることにした。
「更にこの裏には逃げた丞相様が関わってるみたいなんだと」
「本当かよ。物騒な話だな」
この噂を話していた2人にとっては何気ない日常の中で流れる他愛のない会話であったのかもしれない。
だが、犯人を探すように命令されたジョウジからすれば喉から手が出るほどほしい情報であった。
ジョウジはすぐにその話を修也たちに向かって日本語で話し、紅晶に関してはこの星の言葉で喋っていった。
ジョウジの話を聞いた紅晶は信じられないと言わんばかりに両眉を上げていたのだが、やがて難しい顔を浮かべた後に納得のいったと言う顔を浮かべながら自分の考えを話していった。
「にわかには考え難い話です。ですが、あり得ないことではありません。理由はどうであれ2人は皇族に害を加えようとした謀反人。捕まれば公開処刑は免れない身です。ならば昨日までは『敵』として認定していた、或いは『猿』として見下していた種族に身を寄せるのも当然の話です」
「その上で融和的な政策をとる現在の長を追放して過激派の人物を後釜に据えた……というわけですか」
「そういうこと、あなた通訳にしておくには惜しいわね」
紅晶は口元に得意げな顔を浮かべながら言った。
「恐れ入ります」
ジョウジは丁寧に頭を下げながら言った。
「そうと決まれば、あとは彼らの居場所に向かうだけだわ」
紅晶はそう言うと、一分一秒でも惜しいとばかりに席の上を勢いよく立ち上がった。
会計を済ませて店を出ると、その勢いのまま猿たちが天幕を張っている場所へと向かっていく。このまま2人の謀反人を引き摺り出して朝廷へと連れて行かなければならない。
そんなことを考えていた時のことだ。突然茶館から浅黒い肌をした鋭い目付きの男が現れて紅晶に向かって勢いよくぶつかってきたのである。
ぶつかった衝撃で紅晶は思わず倒れそうになったものの、修也が慌てて取り押さえたことによって地面の上に倒れることはなかった。
「キミ、なんてことをするんだ! 危ないじゃあないか!」
見かねたジョウジがこの星の言葉で注意の言葉を吐いたが、浅黒い肌の男はニヤリと笑うばかりで謝罪の言葉を口にしようともしなかった。
なんて無礼な男だろう。言いようのない怒りに身を包まれたジョウジが男の肩を自分の拳を掴むかのように強く握り締めた時のことだ。
ジョウジの体が地面から勢いよく離されていった。
「紅晶公主殿下、申し訳ないがあなたにはここで死んでいただこうッ!」
男はそう叫ぶと、紅晶に向かって隠し持っていた短剣を突き立てようとした。
紅晶が無事であったのはこの時咄嗟に修也がカプセルを握り締め、メトロイドスーツを身に付けたまま男を勢いよく蹴り飛ばしたからであった。
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