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第四章『王女2人』
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最初は何が起こったのか理解できなかった。それでもデ・レマが今現在に至るまでの出来事を思い返し、まとめ上げて整理していけたのは彼女自身の聡明さ故のことだろう。
今現在、会場の柱の陰に隠れるまで多くの事件が巻き起こったということもあってか、最初に記憶を遡った際にはさまざまな記憶が複雑に絡み合い出鱈目な映像が思い出されてしまった。
デ・レマは頭の中で思い出す順番を印象的に残る場面から時系列順へと組み替えていく。映画の場面を別々に撮って後で繋ぎ直すかのように。
彼女の記憶が正しければ最初に恐るべき敵たちが姿を現したのは悠介の試合が終了した時のこと。
シーレと共に勝利を収めた悠介やそのチームメイトに拍手を送り、貴賓席として用意された立派な席の上でシーレと共に試合の感想を話していた時のこと。
突然、大きな音が聞こえたのだ。同時に震動によって席の上から体が上がっていったことをデ・レマはハッキリと覚えている。
席の上へと戻ったかと思うと、絹を裂くような悲鳴が耳に聞こえてきた。人々が逃げ惑う際に発した悲鳴からいかに彼ら彼女らが怯えていたというのかが分かるのではないだろうか。
同時にこの会場を護っていた公安の警察官たちが入り口へと駆けつけていくのをハッキリと目撃していた。
ただならぬ出来事が起きたことは明白。2人が顔を見合わせていた時のこと。
裏口から凄まじい音が聞こえてきた。それは金属同士がぶつかっていくような大きな音。
2人が顔を見合わせていると、地球の鎧に身を包んだ修也たちが2体の骸骨を模した魔人たちと交戦している姿が見受けられた。そればかりではない。背後に赤いスーツを着た女性の姿さえ見えて骸骨のような化け物たちを修也たちへとけしかけていた。兵士を従わせる指揮官のように。
恐らく彼女は控え。2体の骸骨のような魔人が全壊したり、或いは戦闘不能になるような事態が起これば悠介たちに襲い来るつもりでいるのだろうが、一体だけ人工皮膚で体を覆っている様や指示を飛ばした様子から察するにリーダーの役割も兼ねていることは間違いない。今回の作戦の立案者というところだろうか。
そんなスーツ姿の女性たちに修也たちが挑み掛かっていくと、試合を終えたばかりの悠介も同様に武装して駆け付けてきたが、激しい試合で体を動かしていたということもあってか、抵抗する暇もなく壁へと弾き飛ばされてしまう。
尚も立ち上がろうとする悠介に代わって、試合会場に潜り込んでいたと思われるマリーが『モーリアン』を装着して骸骨たちへと勝負を挑むもののの、結果は敗北。
正確にいえばマリーは骸骨たちとは互角な勝負を繰り広げていたが、結局はあのスーツ姿の女性に敗れ去ってしまったというのが正確なところだろう。
スーツ姿の女性に吹き飛ばされた折に『モーリアン』のカプセルがマリーの掌からこぼれ落ちてシーレの足元へと転がっていく。
シーレは咄嗟にそれを素早く拾い上げた。本能的に拾い上げたといった方が正確かもしれないが、それでも再び『モーリアン』を手にしたことに違いはない。
側で見ていただけのデ・レマにシーレの心情は理解できない。それでも敵の手に渡すよりは自分が拾い上げた方が良いと判断した故に再び武器を手に取る覚悟を決めたのだろう。
シーレが『モーリアン』のカプセルを強く握り締めながら目の前から迫り来る骸骨に対して両目をサーベルのように鋭く細めながら睨んでいたのがその証拠となるかもしれない。
シーレはこの時に決意を示したのだと思われる。悠介たちに変わって自身が恐るべき敵の対処を行う、と。
シーレは麗俐を苦戦させていた骸骨の魔人を強く殴打して地面の上へと叩き付けていく。そのまま骸骨の魔人にトドメを刺すのかと考えたが、彼女が目を向けたのは背後に控えていたスーツ姿の女性。
誰かに『この時のシーレの心境を答えよ』などと問われれば側で見ていただけのデ・レマには正確な答えを述べることはできぬ。
だが、この時のシーレは『ここで放っておけば大変なことになる。むしろ、誰よりも先に仕留めておくべきだ』と考えたのかもしれない。
良くも悪くも競争が主軸となる武術を嗜む彼女だからこそ、うちに秘めたる力が凄まじい人間に対する警戒感も強いのだろう。
詳しくは知らないが、そう考えても不思議ではない。
スーツ姿の女性へと勝負を挑んでいくが、彼女はシーレに見向きもしない。
あっさりとシーレの攻撃を交わすと、どこかへと目線を向けた後で平然と背中を向けてどこかへと向かっていく。シーレは迷うことなくその背中を追い掛けていった。わざわざ椅子の上に置いていた和弓と矢を両手に握ってまで。
そこまで先ほどまで自身の身に降り掛かった出来事。デ・レマは物陰に隠れつつ、結論をまとめていった。それから後はひたすら目の前から迫り来る敵を睨み付けていた。
怯えた少女のまま終わりたくはない。子羊のように怯えて柱の陰に隠れているくらいであればせめて相手を睨むくらいことはしていたい。例えシーレのように武術を嗜んでいなくとも心まで屈してはならない。猫に怯える鼠のように穴に籠ったままでいてはならない。
そう考えつつ、恐ろしい姿をした敵と対峙する修也を見つめていた。修也だけではない。麗俐にも同様の眼差しを送っていく。
修也も麗俐も今のデ・レマにとってはかけがえのない人物となっていた。いや、2人だけではない。悠介もひろみもデ・レマの大好きな人物である。
修也は自身の惑星オクタヴィルでの一件もあるし、そうでなくても地球に来て交流を深めていくうちに、あの時以上の深い絆を結んでいったといってもいい。
麗俐とも上手く交流できて、今では大切な存在となっていた。例えるのであれば姉のような存在というところだろうか。
デ・レマには実の姉が居るが、彼女はあくまでも妾腹の子。本来の皇女である自分とは滅多に口を利くこともできぬ。
それに加えて彼女自身が本家のことを嫌っていたのか、父以外の人間と積極的な交流を図ろうとしたことはない。
兄も幼い頃から次期国王を継ぐという目的もあったことで自身とあまり交流を取ることはなかった。
父は父で可愛がってはくれていたが、王位を継ぐ資格がない、すなわちどこか他所の家へと嫁ぐ羽目になる自分を軽んじている面があった。態度や口には出さなかったが、そのように考えているということは薄々と感じ取っていた。
デ・レマは他の世界のことを知らぬ。あくまでも彼女は皇女。皇女にとっての存在意義というのは皇室の繁栄に寄与し、皇室のため或いは国のため全てを投げ打たなければならぬ存在なのだ。
そう信じてやまなかった。空の彼方から大津修也たちが自身の元へ現れるまでは。
大津修也の存在はデ・レマの考えを確実に変えた。デ・レマは大津修也に明確な憧れの感情を抱いてしまったのだ。
といってもデ・レマは修也に恋焦がれたりしているわけではない。
強いていうのであれば初めて頼れる大人が現れたので、慕ったという方が正しい。そして、親しむ感情を内に秘めたまま懐くようになっていったのだ。娘が父親に好意的な感情を持つかのように。
地球に来てからはますますその感情が膨れ上がっていった。空気を入れれば太く丸くなっていく風船のように。
自身も地球に来てから色々と忙しかったが、その忙しい合間を縫って、修也やその家族と交流を持つことになった。
デ・レマにとって修也や麗俐、そして大津家の面々と過ごす日々はかけがえのない大切な時間となっていった。
そういった心を胸に抱く度に故郷へ残してきた家族への想いが薄れてしまう。
例えるのであれば、ずっと暗い部屋の中で過ごしてきたところに天使から光を与えられたようなものだ。一度与えられた光を手放して暗闇に戻ることなど不可能だ。
光を与えられたデ・レマに元の考えに戻れとなどと強要するのは22世紀に暮らす人々が便利な品々や家を捨てて過去の時代に生きろということに等しい。
デ・レマは本音を言えばずっと地球で過ごしたい。修也やその家族と共に。
だからだろう。修也が砂色をした骸骨の魔人に襲われた際は咄嗟に体が動いていた。他ならぬ修也を自身の手で救うために。
無意識のうちに飛び出したかと思うと、他の観客が忘れていったと思われる水筒を魔人へと投げ付けた。
どこでも手に入るステレンス製の水筒。放り投げられても相手にはなんの痛みもない。
むしろ、自身の危機を招いたことに過ぎない。砂色の骸骨は修也から視線を逸らし、デ・レマの元へと向かう。
この時の砂色の骸骨の敗因を挙げるとするのであればデ・レマの確保というプラグラムが優先され、敵に対して背中を向けたこと。
ガラ空きになった背中をレーザーガンで撃ち抜くことは容易であった。テレビゲームにおいて一番簡単なモードで敵キャラクターを撃ち抜くようにあっさりと引き金を引いた。
プラグラムに動きを支配された砂色の骸骨は熱線を背中に喰らうのと同時に鈍い音を立てて地面の上へと倒れ込む。
修也は敵が地面の上へと倒れるのと同時に慌ててデ・レマの元へと駆け付けていく。それは父親が迷子になった子どもを見つけたかのような勢いであったといってよかった。
保護された子猫のように怯え切った様子のデ・レマを強く抱きしめた後で彼女の両肩を叩いて、
「隠れていてと言ったじゃないですか」
と、少し強い口調で説教を行う。
「ごめんなさい。でも、どうしても修也が心配だったから」
デ・レマは才女と呼ぶのに相応しい表情を引っ込め、代わりに子どもらしく萎れた様子を見せていた。
修也はそれに対してどこか申し訳なさそうに頭を掻く。苦しそうな顔を見た罪悪感からきたものではない。デ・レマがどのような意図を持って水筒を投げ付けたにしろ、それによって事態が修也にとって有利な方向へと進んだことも事実であったからだ。
本来であればもう少し叱るべきところだが、今回は多めに見てもいいかもしれない。
修也が苦笑しながら感謝の言葉を口にした時のこと。それまで笑顔であったはずのデ・レマが急に唇を一文字に結び、眉間を皺に寄せていっていた。
(何かまずいことを口にしたか……?)
一瞬修也は心の中で焦りを感じたものの、デ・レマが背後を指差したことで自身に対して怒っているのではないということを悟った。
背後を振り返ると、そこには黒色の革ジャンを纏った大男の姿が見えた。両手に握っているのは昔懐かしのショットガン。修也は特に銃の造形に詳しくはないものの、水平に配置された薬莢から二連式のダブルショットガンと呼ばれる武器であることは予想が付いた。
いつの間にここまで密接な距離へと迫っていたのだろうか。大勢の人々の間をすり抜けて幽霊のように現れた大男のことが不気味で仕方がない。
修也がフェイスヘルメットの下で冷や汗を垂らしていた時のこと。
デ・レマが修也を守るように両手を広げて大男へと立ち塞がる。
修也の慌てぶりはといえば先ほどの比ではない。なにせ目の前に居るのは先ほどまで相手にしていた剥き出しのアンドロイドとは異なり、原始的な銃を持った人間の大男。
そんな男に挑むようなことがあれば小さなデ・レマはなすすべもなく潰されてしまうだろう。人々が道端に落ちているパックを靴で無関心な様子で踏み潰していくかのように。
修也は慌ててデ・レマを背後に下がらせ、大男へとレーザーガンを構えていく。
レーザーガンと原始的な散弾銃とではどう考えてもレーザーガンの方に天秤が落ちるだろう。
だが、目の前の男はレーザーガンを突きつけられても尚怯む様子は見せない。一言も発さぬまま修也を見つめるその姿には無言の圧を感じさせられた。全身から放たれる強圧を前にして足がすくむ。
逃げようという考えを必死で押し留めたのは背後に控えているデ・レマの存在。
彼女は絶対に守らなければならない存在であるが、それは彼女が皇女だからということではない。無論日本並びに地球を訪れている他の星からの賓客だからという理由でもない。
修也が必死になる理由は彼女が子どもであるからだ。子どもを守ることは大人である自分に課せられた義務であり、大人であれば必ず守らなければならないことである。
法律や憲法といったもので定められているわけではない。あくまでも道徳的な責任に過ぎない。
それでもこのことを違えるようなことがあればそれは大人とはいえない。
少なくとも修也はそう思っていた。
レーザーガンの引き金を誰に言われるまでもなく素早く引いて大男の二連式のショットガンを撃ち落としたのは流石というべきだろう。
それから修也はそのまま大男に飛び掛かり、その頭に向かって銃口を突き付けた。
突き付けた際に銃口が頭部の皮膚をすり抜けて皮膚の下にある金属に当たったことに気が付く。
通常、人工皮膚を纏ったアンドロイドの場合はその下に頑丈な鉄鋼で作られた頭部が存在する。銃口を突き付けた時の感触は間違いなく、アンドロイドの特徴を説明していた。すなわちこの大男は人工皮膚で全身を覆ったアンドロイドということだ。
どこかの会社からの資格であることは間違いない。そうであれば躊躇う必要などどこにあるのだろうか。
修也がレーザーガンの引き金を引こうとした時のこと。
それまで微動だにせず地面の上で寝そべっていた大男が起き上がり、真下から手を伸ばしたかと思うと、修也が突き付けていたレーザーガンを躊躇う様子も見せず、強く握りしめていった。子どもが玩具のレーザーガンを握り締めるかのように。
慌てたこともあってか、修也は引き金を何度も引いたが、照準が乱れたこともあってか、熱線は的外れの場所にばかり飛んでいく。全て天井に直撃していったのは不幸中の幸いであったが、喜んでばかりもいられない。
というのも修也が握り締めていたレーザーガンは男の手によって地面の上へと投げ捨てられてしまったのだから。
修也は地面の上を転がるレーザーガンを拾い上げようと手を伸ばそうとしたが、大男がそれを防ぐべく修也の手を握り潰さんばかりの力で掴む。そうは問屋が卸さないとでも言わんばかりに。
苦痛に顔を歪めた修也は腕を振り回したが、結局大男の特別の慈悲によって地面の上へと放り投げられるまでは拘束されているより他に仕方がなかった。
修也が地面の上へと放り投げられるのと同時に大男は先ほど、自身の手から叩き落とされたショットガンを拾い上げていった。
それから無言でデ・レマの元へと向かう。残るは怯え切った様子のデ・レマのみ。
大男の魔の手がそこへ迫り来ようとした時のこと。地面の上に投げ捨てられたはずの修也が起き上がっていく。そしてどさくさに紛れて拾い上げたと思われるレーザーガンを大男へと向けて放つ。
が、彼は熱線が直撃したにも関わらず、平然と歩き続けている。何事もないと言わんばかりに。
修也たちがパワードスーツを身に纏っている際には多少のダメージを物ともしないようしているのだが、彼が人工皮膚の下で動かしている鋼の肉体は自分たちが身に付けているパワードスーツと同様の機能を持ち合わせているのだろう。
こうなればやむを得ない。修也はレーザーガンを足の下へと戻し、代わりにビームソードを取り出す。
そしてガラ空きになっていた背後へとその先端を突き付けていった。
が、大男は修也の存在を認知したのだろう。丸太のように大きな腕を盾の代わりにしてビームソードを塞いだ。
戦いはこれからである。修也はそう自身に言い聞かせて気を引き締めていった。
今現在、会場の柱の陰に隠れるまで多くの事件が巻き起こったということもあってか、最初に記憶を遡った際にはさまざまな記憶が複雑に絡み合い出鱈目な映像が思い出されてしまった。
デ・レマは頭の中で思い出す順番を印象的に残る場面から時系列順へと組み替えていく。映画の場面を別々に撮って後で繋ぎ直すかのように。
彼女の記憶が正しければ最初に恐るべき敵たちが姿を現したのは悠介の試合が終了した時のこと。
シーレと共に勝利を収めた悠介やそのチームメイトに拍手を送り、貴賓席として用意された立派な席の上でシーレと共に試合の感想を話していた時のこと。
突然、大きな音が聞こえたのだ。同時に震動によって席の上から体が上がっていったことをデ・レマはハッキリと覚えている。
席の上へと戻ったかと思うと、絹を裂くような悲鳴が耳に聞こえてきた。人々が逃げ惑う際に発した悲鳴からいかに彼ら彼女らが怯えていたというのかが分かるのではないだろうか。
同時にこの会場を護っていた公安の警察官たちが入り口へと駆けつけていくのをハッキリと目撃していた。
ただならぬ出来事が起きたことは明白。2人が顔を見合わせていた時のこと。
裏口から凄まじい音が聞こえてきた。それは金属同士がぶつかっていくような大きな音。
2人が顔を見合わせていると、地球の鎧に身を包んだ修也たちが2体の骸骨を模した魔人たちと交戦している姿が見受けられた。そればかりではない。背後に赤いスーツを着た女性の姿さえ見えて骸骨のような化け物たちを修也たちへとけしかけていた。兵士を従わせる指揮官のように。
恐らく彼女は控え。2体の骸骨のような魔人が全壊したり、或いは戦闘不能になるような事態が起これば悠介たちに襲い来るつもりでいるのだろうが、一体だけ人工皮膚で体を覆っている様や指示を飛ばした様子から察するにリーダーの役割も兼ねていることは間違いない。今回の作戦の立案者というところだろうか。
そんなスーツ姿の女性たちに修也たちが挑み掛かっていくと、試合を終えたばかりの悠介も同様に武装して駆け付けてきたが、激しい試合で体を動かしていたということもあってか、抵抗する暇もなく壁へと弾き飛ばされてしまう。
尚も立ち上がろうとする悠介に代わって、試合会場に潜り込んでいたと思われるマリーが『モーリアン』を装着して骸骨たちへと勝負を挑むもののの、結果は敗北。
正確にいえばマリーは骸骨たちとは互角な勝負を繰り広げていたが、結局はあのスーツ姿の女性に敗れ去ってしまったというのが正確なところだろう。
スーツ姿の女性に吹き飛ばされた折に『モーリアン』のカプセルがマリーの掌からこぼれ落ちてシーレの足元へと転がっていく。
シーレは咄嗟にそれを素早く拾い上げた。本能的に拾い上げたといった方が正確かもしれないが、それでも再び『モーリアン』を手にしたことに違いはない。
側で見ていただけのデ・レマにシーレの心情は理解できない。それでも敵の手に渡すよりは自分が拾い上げた方が良いと判断した故に再び武器を手に取る覚悟を決めたのだろう。
シーレが『モーリアン』のカプセルを強く握り締めながら目の前から迫り来る骸骨に対して両目をサーベルのように鋭く細めながら睨んでいたのがその証拠となるかもしれない。
シーレはこの時に決意を示したのだと思われる。悠介たちに変わって自身が恐るべき敵の対処を行う、と。
シーレは麗俐を苦戦させていた骸骨の魔人を強く殴打して地面の上へと叩き付けていく。そのまま骸骨の魔人にトドメを刺すのかと考えたが、彼女が目を向けたのは背後に控えていたスーツ姿の女性。
誰かに『この時のシーレの心境を答えよ』などと問われれば側で見ていただけのデ・レマには正確な答えを述べることはできぬ。
だが、この時のシーレは『ここで放っておけば大変なことになる。むしろ、誰よりも先に仕留めておくべきだ』と考えたのかもしれない。
良くも悪くも競争が主軸となる武術を嗜む彼女だからこそ、うちに秘めたる力が凄まじい人間に対する警戒感も強いのだろう。
詳しくは知らないが、そう考えても不思議ではない。
スーツ姿の女性へと勝負を挑んでいくが、彼女はシーレに見向きもしない。
あっさりとシーレの攻撃を交わすと、どこかへと目線を向けた後で平然と背中を向けてどこかへと向かっていく。シーレは迷うことなくその背中を追い掛けていった。わざわざ椅子の上に置いていた和弓と矢を両手に握ってまで。
そこまで先ほどまで自身の身に降り掛かった出来事。デ・レマは物陰に隠れつつ、結論をまとめていった。それから後はひたすら目の前から迫り来る敵を睨み付けていた。
怯えた少女のまま終わりたくはない。子羊のように怯えて柱の陰に隠れているくらいであればせめて相手を睨むくらいことはしていたい。例えシーレのように武術を嗜んでいなくとも心まで屈してはならない。猫に怯える鼠のように穴に籠ったままでいてはならない。
そう考えつつ、恐ろしい姿をした敵と対峙する修也を見つめていた。修也だけではない。麗俐にも同様の眼差しを送っていく。
修也も麗俐も今のデ・レマにとってはかけがえのない人物となっていた。いや、2人だけではない。悠介もひろみもデ・レマの大好きな人物である。
修也は自身の惑星オクタヴィルでの一件もあるし、そうでなくても地球に来て交流を深めていくうちに、あの時以上の深い絆を結んでいったといってもいい。
麗俐とも上手く交流できて、今では大切な存在となっていた。例えるのであれば姉のような存在というところだろうか。
デ・レマには実の姉が居るが、彼女はあくまでも妾腹の子。本来の皇女である自分とは滅多に口を利くこともできぬ。
それに加えて彼女自身が本家のことを嫌っていたのか、父以外の人間と積極的な交流を図ろうとしたことはない。
兄も幼い頃から次期国王を継ぐという目的もあったことで自身とあまり交流を取ることはなかった。
父は父で可愛がってはくれていたが、王位を継ぐ資格がない、すなわちどこか他所の家へと嫁ぐ羽目になる自分を軽んじている面があった。態度や口には出さなかったが、そのように考えているということは薄々と感じ取っていた。
デ・レマは他の世界のことを知らぬ。あくまでも彼女は皇女。皇女にとっての存在意義というのは皇室の繁栄に寄与し、皇室のため或いは国のため全てを投げ打たなければならぬ存在なのだ。
そう信じてやまなかった。空の彼方から大津修也たちが自身の元へ現れるまでは。
大津修也の存在はデ・レマの考えを確実に変えた。デ・レマは大津修也に明確な憧れの感情を抱いてしまったのだ。
といってもデ・レマは修也に恋焦がれたりしているわけではない。
強いていうのであれば初めて頼れる大人が現れたので、慕ったという方が正しい。そして、親しむ感情を内に秘めたまま懐くようになっていったのだ。娘が父親に好意的な感情を持つかのように。
地球に来てからはますますその感情が膨れ上がっていった。空気を入れれば太く丸くなっていく風船のように。
自身も地球に来てから色々と忙しかったが、その忙しい合間を縫って、修也やその家族と交流を持つことになった。
デ・レマにとって修也や麗俐、そして大津家の面々と過ごす日々はかけがえのない大切な時間となっていった。
そういった心を胸に抱く度に故郷へ残してきた家族への想いが薄れてしまう。
例えるのであれば、ずっと暗い部屋の中で過ごしてきたところに天使から光を与えられたようなものだ。一度与えられた光を手放して暗闇に戻ることなど不可能だ。
光を与えられたデ・レマに元の考えに戻れとなどと強要するのは22世紀に暮らす人々が便利な品々や家を捨てて過去の時代に生きろということに等しい。
デ・レマは本音を言えばずっと地球で過ごしたい。修也やその家族と共に。
だからだろう。修也が砂色をした骸骨の魔人に襲われた際は咄嗟に体が動いていた。他ならぬ修也を自身の手で救うために。
無意識のうちに飛び出したかと思うと、他の観客が忘れていったと思われる水筒を魔人へと投げ付けた。
どこでも手に入るステレンス製の水筒。放り投げられても相手にはなんの痛みもない。
むしろ、自身の危機を招いたことに過ぎない。砂色の骸骨は修也から視線を逸らし、デ・レマの元へと向かう。
この時の砂色の骸骨の敗因を挙げるとするのであればデ・レマの確保というプラグラムが優先され、敵に対して背中を向けたこと。
ガラ空きになった背中をレーザーガンで撃ち抜くことは容易であった。テレビゲームにおいて一番簡単なモードで敵キャラクターを撃ち抜くようにあっさりと引き金を引いた。
プラグラムに動きを支配された砂色の骸骨は熱線を背中に喰らうのと同時に鈍い音を立てて地面の上へと倒れ込む。
修也は敵が地面の上へと倒れるのと同時に慌ててデ・レマの元へと駆け付けていく。それは父親が迷子になった子どもを見つけたかのような勢いであったといってよかった。
保護された子猫のように怯え切った様子のデ・レマを強く抱きしめた後で彼女の両肩を叩いて、
「隠れていてと言ったじゃないですか」
と、少し強い口調で説教を行う。
「ごめんなさい。でも、どうしても修也が心配だったから」
デ・レマは才女と呼ぶのに相応しい表情を引っ込め、代わりに子どもらしく萎れた様子を見せていた。
修也はそれに対してどこか申し訳なさそうに頭を掻く。苦しそうな顔を見た罪悪感からきたものではない。デ・レマがどのような意図を持って水筒を投げ付けたにしろ、それによって事態が修也にとって有利な方向へと進んだことも事実であったからだ。
本来であればもう少し叱るべきところだが、今回は多めに見てもいいかもしれない。
修也が苦笑しながら感謝の言葉を口にした時のこと。それまで笑顔であったはずのデ・レマが急に唇を一文字に結び、眉間を皺に寄せていっていた。
(何かまずいことを口にしたか……?)
一瞬修也は心の中で焦りを感じたものの、デ・レマが背後を指差したことで自身に対して怒っているのではないということを悟った。
背後を振り返ると、そこには黒色の革ジャンを纏った大男の姿が見えた。両手に握っているのは昔懐かしのショットガン。修也は特に銃の造形に詳しくはないものの、水平に配置された薬莢から二連式のダブルショットガンと呼ばれる武器であることは予想が付いた。
いつの間にここまで密接な距離へと迫っていたのだろうか。大勢の人々の間をすり抜けて幽霊のように現れた大男のことが不気味で仕方がない。
修也がフェイスヘルメットの下で冷や汗を垂らしていた時のこと。
デ・レマが修也を守るように両手を広げて大男へと立ち塞がる。
修也の慌てぶりはといえば先ほどの比ではない。なにせ目の前に居るのは先ほどまで相手にしていた剥き出しのアンドロイドとは異なり、原始的な銃を持った人間の大男。
そんな男に挑むようなことがあれば小さなデ・レマはなすすべもなく潰されてしまうだろう。人々が道端に落ちているパックを靴で無関心な様子で踏み潰していくかのように。
修也は慌ててデ・レマを背後に下がらせ、大男へとレーザーガンを構えていく。
レーザーガンと原始的な散弾銃とではどう考えてもレーザーガンの方に天秤が落ちるだろう。
だが、目の前の男はレーザーガンを突きつけられても尚怯む様子は見せない。一言も発さぬまま修也を見つめるその姿には無言の圧を感じさせられた。全身から放たれる強圧を前にして足がすくむ。
逃げようという考えを必死で押し留めたのは背後に控えているデ・レマの存在。
彼女は絶対に守らなければならない存在であるが、それは彼女が皇女だからということではない。無論日本並びに地球を訪れている他の星からの賓客だからという理由でもない。
修也が必死になる理由は彼女が子どもであるからだ。子どもを守ることは大人である自分に課せられた義務であり、大人であれば必ず守らなければならないことである。
法律や憲法といったもので定められているわけではない。あくまでも道徳的な責任に過ぎない。
それでもこのことを違えるようなことがあればそれは大人とはいえない。
少なくとも修也はそう思っていた。
レーザーガンの引き金を誰に言われるまでもなく素早く引いて大男の二連式のショットガンを撃ち落としたのは流石というべきだろう。
それから修也はそのまま大男に飛び掛かり、その頭に向かって銃口を突き付けた。
突き付けた際に銃口が頭部の皮膚をすり抜けて皮膚の下にある金属に当たったことに気が付く。
通常、人工皮膚を纏ったアンドロイドの場合はその下に頑丈な鉄鋼で作られた頭部が存在する。銃口を突き付けた時の感触は間違いなく、アンドロイドの特徴を説明していた。すなわちこの大男は人工皮膚で全身を覆ったアンドロイドということだ。
どこかの会社からの資格であることは間違いない。そうであれば躊躇う必要などどこにあるのだろうか。
修也がレーザーガンの引き金を引こうとした時のこと。
それまで微動だにせず地面の上で寝そべっていた大男が起き上がり、真下から手を伸ばしたかと思うと、修也が突き付けていたレーザーガンを躊躇う様子も見せず、強く握りしめていった。子どもが玩具のレーザーガンを握り締めるかのように。
慌てたこともあってか、修也は引き金を何度も引いたが、照準が乱れたこともあってか、熱線は的外れの場所にばかり飛んでいく。全て天井に直撃していったのは不幸中の幸いであったが、喜んでばかりもいられない。
というのも修也が握り締めていたレーザーガンは男の手によって地面の上へと投げ捨てられてしまったのだから。
修也は地面の上を転がるレーザーガンを拾い上げようと手を伸ばそうとしたが、大男がそれを防ぐべく修也の手を握り潰さんばかりの力で掴む。そうは問屋が卸さないとでも言わんばかりに。
苦痛に顔を歪めた修也は腕を振り回したが、結局大男の特別の慈悲によって地面の上へと放り投げられるまでは拘束されているより他に仕方がなかった。
修也が地面の上へと放り投げられるのと同時に大男は先ほど、自身の手から叩き落とされたショットガンを拾い上げていった。
それから無言でデ・レマの元へと向かう。残るは怯え切った様子のデ・レマのみ。
大男の魔の手がそこへ迫り来ようとした時のこと。地面の上に投げ捨てられたはずの修也が起き上がっていく。そしてどさくさに紛れて拾い上げたと思われるレーザーガンを大男へと向けて放つ。
が、彼は熱線が直撃したにも関わらず、平然と歩き続けている。何事もないと言わんばかりに。
修也たちがパワードスーツを身に纏っている際には多少のダメージを物ともしないようしているのだが、彼が人工皮膚の下で動かしている鋼の肉体は自分たちが身に付けているパワードスーツと同様の機能を持ち合わせているのだろう。
こうなればやむを得ない。修也はレーザーガンを足の下へと戻し、代わりにビームソードを取り出す。
そしてガラ空きになっていた背後へとその先端を突き付けていった。
が、大男は修也の存在を認知したのだろう。丸太のように大きな腕を盾の代わりにしてビームソードを塞いだ。
戦いはこれからである。修也はそう自身に言い聞かせて気を引き締めていった。
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未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。
異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。
蛇崩 通
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ネットオークションに、異世界転移魔方陣が出品されていた。
三千円で。
二枚入り。
手製のガイドブック『異世界の歩き方』付き。
ガイドブックには、異世界会話集も収録。
出品商品の説明文には、「魔力が充分にあれば、異世界に行けます」とあった。
おもしろそうなので、買ってみた。
使ってみた。
帰れなくなった。日本に。
魔力切れのようだ。
しかたがないので、異世界で魔法の勉強をすることにした。
それなのに……
気がついたら、魔王軍と戦うことに。
はたして、日本に無事戻れるのか?
<第1章の主な内容>
王立魔法学園南校で授業を受けていたら、クラスまるごと徴兵されてしまった。
魔王軍が、王都まで迫ったからだ。
同じクラスは、女生徒ばかり。
毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫など、毒はあるけど魔法はからっきしの美少女ばかり。
ベテラン騎士も兵士たちも、あっという間にアース・ドラゴンに喰われてしまった。
しかたがない。ぼくが戦うか。
<第2章の主な内容>
救援要請が来た。南城壁を守る氷姫から。彼女は、王立魔法学園北校が誇る三大魔法剣姫の一人。氷結魔法剣を持つ魔法姫騎士だ。
さっそく救援に行くと、氷姫たち守備隊は、アース・ドラゴンの大軍に包囲され、絶体絶命の窮地だった。
どう救出する?
<第3章の主な内容>
南城壁第十六砦の屋上では、三大魔法剣姫が、そろい踏みをしていた。氷結魔法剣の使い手、氷姫。火炎魔法剣の炎姫。それに、雷鳴魔法剣の雷姫だ。
そこへ、魔王の娘にして、王都侵攻魔王軍の総司令官、炎龍王女がやって来た。三名の女魔族を率いて。交渉のためだ。だが、炎龍王女の要求内容は、常軌を逸していた。
交渉は、すぐに決裂。三大魔法剣姫と魔王の娘との激しいバトルが勃発する。
驚異的な再生能力を誇る女魔族たちに、三大魔法剣姫は苦戦するが……
<第4章の主な内容>
リリーシア王女が、魔王軍に拉致された。
明日の夜明けまでに王女を奪還しなければ、王都平民区の十万人の命が失われる。
なぜなら、兵力の減少に苦しむ王国騎士団は、王都外壁の放棄と、内壁への撤退を主張していた。それを拒否し、外壁での徹底抗戦を主張していたのが、臨時副司令官のリリーシア王女だったからだ。
三大魔法剣姫とトッキロたちは、王女を救出するため、深夜、魔王軍の野営陣地に侵入するが……
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