86 / 133
第三部 トゥー・ワールド・ウォーズ
異世界での夕焼け
しおりを挟む
その日一日夜が来るまでは、ヴィトは残りの時間を散歩と休息にあてた。
街を回ったり、城の庭を歩いたり……。
とにかく、ヴィトは無かったと思われた第二の世界を存分に楽しみたかったのだ。
歩き疲れたヴィトは城の噴水の側に腰を下ろす。
「ふぅ、別の世界を見て回るのも疲れたな」
そんな時にふと、ヴィトの頰に冷たい物が当たる。
「お疲れ様ね、ヴィト……今日は大分歩いたものね、気付けば夕方だわ」
ルーシーが冷たいぶどうジュースが入ったグラスをヴィトに差し出していた。
「ありがとう……」
ヴィトは喉が渇いていたのもあって、グラスを受け取ると一気にグラスの中身を飲み干した。
「ふふふ、一気ね、よっぽど喉が渇いていたんだわ」
ルーシーは相変わらずの優しい微笑みを見せた。
「それもあるんだが……ずっと心配な事があってな」
ヴィトは心配そうに項垂れる。
「どうしたのよ?」
ルーシーは心配そうな顔でヴィトの端正な顔を覗き込む。
「ジョーの事だよ、アイツが上手くファミリーを纏められるか不安でな」
ルーシーはその言葉を聞くと、ヴィトの両腕を掴んで言った。
「大丈夫だわ、彼を信じましょうよ !彼は確かに優柔不断で、気の弱い性格でもあるけど、頼れる顧問弁護士だし、それに彼はわたし達の良い友人だわ、何も心配する事はないんじゃなくて?」
ルーシーの言葉にヴィトは微笑んでみせた。
「そうだな、アイツはオレ達の頼れる友人だよ、それにこの世界でカジノをやれば、FBIやCIAに目を付けられる事もない、それにこの世界でカジノをやるのは、カヴァリエーレ・ファミリーだけだ。他のコミッションや別の街のファミリーはこの世界の存在にすら気付いていないだろうな」
ヴィトは勝ち誇ったような表情を浮かべた。
「そうね、わたし達は勝ち組かもしれないわ」
ルーシーはヴィトの言葉に困惑している。
「だろ?それよりもこの後はどうする?」
「明日はカジノを建てる予定の場所を見つけに行く予定ね、その後は……」
ルーシーはその美しく細い白い指で懐から取り出した茶色のカバーの付いたシンプルな手帳をパラパラとめくる。
「特に行事もないわね、お姫様の政治のお勉強はプイスさんが付いてくれるみたいだし、わたし達は田舎でも見て回りましょうか」
ルーシーの言葉で、ヴィトは宮殿にあったこの世界の地図の事を思い出す。
この世界は自分たちの世界のヨーロッパを半分にしたくらいの広さであり、未だにその多くの部分を魔物やら、エルフやらが存在するという理由で開拓を断念しているらしい。
(だが、おれ達なら開拓できる可能性がある。おれ達にはこの世界では絶対に生産できない機関銃やら、散弾銃やらがある……エルフの奴らが魔法を放つ前に銃を撃てば、勝機は格段に上がる可能性はある)
ヴィトは自分の提案をルーシーに話してみた。すると彼女は困ったような顔をした。
「わたしに聞かれても困るわよ、あの子に聞いた方が早いと思うわ」
「そうかもしれんな、トンプソンは何丁持ってきた?」
「40丁くらいかしらね」
ルーシーは右手の二本の指を顎に当て、上を向いて考える。
「多いな」
ヴィトは苦笑する。
「予備も含めてよ、わたし達が滞在している間に、マリアの言う隣の帝国が攻めてこない保証はないでしょ?」
ルーシーの言葉にヴィトは思わず自分の足りなかった洞察力を呪う。それに敵が攻めてくる可能性も忘れていた。
今までの隣の帝国の敵はずっと、こちらの世界で焚きつけられた奴か、さもなければ向こうから派遣された奴ばかりだったから。
ヴィトは次に散弾銃の事を尋ねた。
「散弾銃は?」
「マイケルが持ってきたのもあるし、わたし達が揃えたのもあるわ、40丁くらいかしらね」
これも随分と多い。ヴィトはルーシーの用心深さに舌を巻かずにはいられない。
「それも用心のために?」
「そうよ、ちなみに拳銃は60丁くらいかしらね……」
ヴィトはどうりで行く前にやけに箱に入った荷物が多いなと感じた訳が分かった。
「あれ、運ぶの大変だったんだぜ……パットとマイケルの奴なんか、めっちゃ愚痴吐いてたよな……」
二人がマリアを呪詛する声を思い出し、ヴィトは苦笑する。
しかも、その途中にマリアが入ってきたのだから、あの時の二人はまさにあんぐりと口を開けているという言葉がピッタリと似合った。確かマイケルとパットが叫んだ言葉は「マリアうぜェェェェェェ~!」だったかな。
「何を笑っているの?」
と、何も無い部分で笑っている彼が不自然に思われたのか、ルーシーは怪訝そうな顔でヴィトを見つめていた。
「いいや、この前のマイケルとパットの掛け合い覚えてるよな?あれを思い出してて……」
その言葉でルーシーも腹を抱えて笑い出す。
「ぷぷぷぷ……あの時のマイケルとパットの唖然とした顔は一生ものの青い顔だったわ……」
「ふはははは~!おかしい !」
結局二人の笑いが収まるのに一分の時間が必要となった。
「ふぅ、笑い疲れたわね、それよりも……舞踏会まであと一時間くらいしかないわッ!」
ルーシーの言葉にヴィトは空を見上げる。本当だ。陽がもうすぐ消えそうだ。
ヴィトは慌ててスーツの袖の下に付けている腕時計を見た。
「しまった……もう一時間しかないぞッ!」
ヴィトはルーシーの手を取って、お城の中へと向かう。
マイケル・ヤングとマリア・ド・フランソワは今日の舞踏会の主役である騎士団の騎士と騎士団長の部屋へと向かっている。
だが、前の呪詛の件で二人の間は険悪という言葉では表せないくらい、陰気なムードが漂っていた。
(何か喋れよ)
と、マイケルが横のマリアに目をやっても、マリアは睨み返し、相手にしようとはしない。
(困るよなぁ~こんな気不味い雰囲気じゃあ、楽しめるものも楽しめないよ、どうすりゃあいいんだよぉ~!)
マイケルが困惑を示そうとも、マリアは意に返そうとしないし……。
(確かにあれは言い過ぎたと思うけどな)
マイケルは頭をかきながら考える。
「部屋に着いたわよ !あんたはルーシーの部屋をノックなさい、あたしはヴィトの部屋をノックするから !」
マイケルは内心反発しながら、二人の更衣室のドアを叩く。
「ゴッドマーザー !舞踏会の時間ですぜ !」
「ヴィト開けなさい !もう舞踏会が始まるわ !」
その言葉で二人の更衣室のドアが開かれた。
街を回ったり、城の庭を歩いたり……。
とにかく、ヴィトは無かったと思われた第二の世界を存分に楽しみたかったのだ。
歩き疲れたヴィトは城の噴水の側に腰を下ろす。
「ふぅ、別の世界を見て回るのも疲れたな」
そんな時にふと、ヴィトの頰に冷たい物が当たる。
「お疲れ様ね、ヴィト……今日は大分歩いたものね、気付けば夕方だわ」
ルーシーが冷たいぶどうジュースが入ったグラスをヴィトに差し出していた。
「ありがとう……」
ヴィトは喉が渇いていたのもあって、グラスを受け取ると一気にグラスの中身を飲み干した。
「ふふふ、一気ね、よっぽど喉が渇いていたんだわ」
ルーシーは相変わらずの優しい微笑みを見せた。
「それもあるんだが……ずっと心配な事があってな」
ヴィトは心配そうに項垂れる。
「どうしたのよ?」
ルーシーは心配そうな顔でヴィトの端正な顔を覗き込む。
「ジョーの事だよ、アイツが上手くファミリーを纏められるか不安でな」
ルーシーはその言葉を聞くと、ヴィトの両腕を掴んで言った。
「大丈夫だわ、彼を信じましょうよ !彼は確かに優柔不断で、気の弱い性格でもあるけど、頼れる顧問弁護士だし、それに彼はわたし達の良い友人だわ、何も心配する事はないんじゃなくて?」
ルーシーの言葉にヴィトは微笑んでみせた。
「そうだな、アイツはオレ達の頼れる友人だよ、それにこの世界でカジノをやれば、FBIやCIAに目を付けられる事もない、それにこの世界でカジノをやるのは、カヴァリエーレ・ファミリーだけだ。他のコミッションや別の街のファミリーはこの世界の存在にすら気付いていないだろうな」
ヴィトは勝ち誇ったような表情を浮かべた。
「そうね、わたし達は勝ち組かもしれないわ」
ルーシーはヴィトの言葉に困惑している。
「だろ?それよりもこの後はどうする?」
「明日はカジノを建てる予定の場所を見つけに行く予定ね、その後は……」
ルーシーはその美しく細い白い指で懐から取り出した茶色のカバーの付いたシンプルな手帳をパラパラとめくる。
「特に行事もないわね、お姫様の政治のお勉強はプイスさんが付いてくれるみたいだし、わたし達は田舎でも見て回りましょうか」
ルーシーの言葉で、ヴィトは宮殿にあったこの世界の地図の事を思い出す。
この世界は自分たちの世界のヨーロッパを半分にしたくらいの広さであり、未だにその多くの部分を魔物やら、エルフやらが存在するという理由で開拓を断念しているらしい。
(だが、おれ達なら開拓できる可能性がある。おれ達にはこの世界では絶対に生産できない機関銃やら、散弾銃やらがある……エルフの奴らが魔法を放つ前に銃を撃てば、勝機は格段に上がる可能性はある)
ヴィトは自分の提案をルーシーに話してみた。すると彼女は困ったような顔をした。
「わたしに聞かれても困るわよ、あの子に聞いた方が早いと思うわ」
「そうかもしれんな、トンプソンは何丁持ってきた?」
「40丁くらいかしらね」
ルーシーは右手の二本の指を顎に当て、上を向いて考える。
「多いな」
ヴィトは苦笑する。
「予備も含めてよ、わたし達が滞在している間に、マリアの言う隣の帝国が攻めてこない保証はないでしょ?」
ルーシーの言葉にヴィトは思わず自分の足りなかった洞察力を呪う。それに敵が攻めてくる可能性も忘れていた。
今までの隣の帝国の敵はずっと、こちらの世界で焚きつけられた奴か、さもなければ向こうから派遣された奴ばかりだったから。
ヴィトは次に散弾銃の事を尋ねた。
「散弾銃は?」
「マイケルが持ってきたのもあるし、わたし達が揃えたのもあるわ、40丁くらいかしらね」
これも随分と多い。ヴィトはルーシーの用心深さに舌を巻かずにはいられない。
「それも用心のために?」
「そうよ、ちなみに拳銃は60丁くらいかしらね……」
ヴィトはどうりで行く前にやけに箱に入った荷物が多いなと感じた訳が分かった。
「あれ、運ぶの大変だったんだぜ……パットとマイケルの奴なんか、めっちゃ愚痴吐いてたよな……」
二人がマリアを呪詛する声を思い出し、ヴィトは苦笑する。
しかも、その途中にマリアが入ってきたのだから、あの時の二人はまさにあんぐりと口を開けているという言葉がピッタリと似合った。確かマイケルとパットが叫んだ言葉は「マリアうぜェェェェェェ~!」だったかな。
「何を笑っているの?」
と、何も無い部分で笑っている彼が不自然に思われたのか、ルーシーは怪訝そうな顔でヴィトを見つめていた。
「いいや、この前のマイケルとパットの掛け合い覚えてるよな?あれを思い出してて……」
その言葉でルーシーも腹を抱えて笑い出す。
「ぷぷぷぷ……あの時のマイケルとパットの唖然とした顔は一生ものの青い顔だったわ……」
「ふはははは~!おかしい !」
結局二人の笑いが収まるのに一分の時間が必要となった。
「ふぅ、笑い疲れたわね、それよりも……舞踏会まであと一時間くらいしかないわッ!」
ルーシーの言葉にヴィトは空を見上げる。本当だ。陽がもうすぐ消えそうだ。
ヴィトは慌ててスーツの袖の下に付けている腕時計を見た。
「しまった……もう一時間しかないぞッ!」
ヴィトはルーシーの手を取って、お城の中へと向かう。
マイケル・ヤングとマリア・ド・フランソワは今日の舞踏会の主役である騎士団の騎士と騎士団長の部屋へと向かっている。
だが、前の呪詛の件で二人の間は険悪という言葉では表せないくらい、陰気なムードが漂っていた。
(何か喋れよ)
と、マイケルが横のマリアに目をやっても、マリアは睨み返し、相手にしようとはしない。
(困るよなぁ~こんな気不味い雰囲気じゃあ、楽しめるものも楽しめないよ、どうすりゃあいいんだよぉ~!)
マイケルが困惑を示そうとも、マリアは意に返そうとしないし……。
(確かにあれは言い過ぎたと思うけどな)
マイケルは頭をかきながら考える。
「部屋に着いたわよ !あんたはルーシーの部屋をノックなさい、あたしはヴィトの部屋をノックするから !」
マイケルは内心反発しながら、二人の更衣室のドアを叩く。
「ゴッドマーザー !舞踏会の時間ですぜ !」
「ヴィト開けなさい !もう舞踏会が始まるわ !」
その言葉で二人の更衣室のドアが開かれた。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~
さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』
誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。
辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。
だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。
学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる
これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
戦国鍛冶屋のスローライフ!?
山田村
ファンタジー
延徳元年――織田信長が生まれる45年前。
神様の手違いで、俺は鹿島の佐田村、鍛冶屋の矢五郎の次男として転生した。
生まれた時から、鍛冶の神・天目一箇神の手を授かっていたらしい。
直道、6歳。
近くの道場で、剣友となる朝孝(後の塚原卜伝)と出会う。
その後、小田原へ。
北条家をはじめ、いろんな人と知り合い、
たくさんのものを作った。
仕事? したくない。
でも、趣味と食欲のためなら、
人生、悪くない。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
大陸一の賢者による地属性の可能性追求運動 ―絶対的な物量を如何にして無益に浪費しつつ目的を達するか―
ぽへみやん
ファンタジー
魔王城への結界を維持する四天王を倒すべく、四属性の勇者が選ばれた。【地属性以外完全無効】の風の四天王に対抗すべき【地の勇者】ドリスは、空を飛び、高速で移動し、強化した物理攻撃も通用しない風の四天王に惨敗を喫した。このままでは絶対に勝てない、そう考えたドリスは、【大陸一の賢者】と呼ばれる男に教えを乞うことになる。
// 地属性のポテンシャルを引き出して、地属性でしか倒せない強敵(主観)を倒そう、と色々試行錯誤するお話です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる