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第三部 トゥー・ワールド・ウォーズ
変わった舞踏会
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ヴィトとマリアはパットとマイケルが待っている場所まで急いだ。
「すまん、あの後ルーシーと話し込んでしまったな……」
ヴィトは弁明したが、マイケルは首を横に向け、腕を組んで不機嫌そうだった。
「いいや、あんたは忘れてたんだろ?オレとのダンス対決なんてどうでもいいと思ってたんだッ!」
マイケルは唇をギュッと結んでヴィトに抗議に声を上げる。
「そんな事はないよ、お前の好きな曲をかけるんだろ?だから、レコード盤をワザワザ元の世界から持ってきたんだろ?」
ヴィトは会場の端の机に上に半ば忘れらたように置かれているレコードと数枚のレコード盤を見つめた。
「そうだよ、それよりも今回はセルマの『恋の街ニューヨーク』だからな」
マイケルが机に向かおうとした時だった。ヴィトが声をかけた。
「いいや、一曲じゃ詰まらんからな、他のセルマの曲も流してくれるか?どうせ、他のレコードもセルマの曲だろ?」
マイケルは図星を突かれ、ウッとなる。
「お前の反応を見るに、正解のようだな、オレはセルマの曲では『ゴメンねのキスをして』と『私の恋の歌』が好きなんだ。それを流してくれると嬉しいんだがね」
ヴィトの声にマイケルはたじろぐ。
二人が、いや、マイケルが嫉妬の火花をヴィトに一方的に向けている時に助け舟を出したのは、マイケルの相棒であるパットであった。
「まぁまぁ、今回はヴィトの言う事を聞こうぜ、でも順番はオレらが決めていいよな?」
パットの提案をヴィトは快く承諾した。
「じゃあな、『私の恋の歌』『ゴメンねのキスをして』と『恋の街ニューヨーク』の順番でいいかな?」
ヴィトは反論をしないという消極的な姿勢で、パットの意見を取り入れた。
「よし、音楽かけるからな……そう言えば、マリア、あんた女王だったな?アイツらを止めてくれよ」
パットは右手で頭をかきながら、同時に左手で楽器を持った音楽家たちを指差す。
「分かったわよ、ちょっと待っててよ」
マリアは音楽たちの音楽を止めに向かう。
「見てろよ、今回もお前らを負かしてやるからなッ!」
パットは鼻息を荒げて叫ぶ。
「落ち着けよ、オレだって再戦をできるのを嬉しく思っているんだからな」
ヴィトは白い歯を見せて笑う。
「ふん、どうだかね……」
マイケルが腕を組んでいる時に会場に流れていた元の世界のクラシックを思わせる曲が停止した。
会場の貴族たちは混乱しているようで、女王であるマリアに視線を向けている。
マリアは貴族たちを落ち着かせるために大きな声で説明する。
「誇り高きフランソワ王国の貴族の皆さん !舞踏会の音楽を止めて申し訳ありません」
マリアは頭を下げる。
「ですが、これから先にわたしが彼らと出会った先の音楽を皆さんにお聞きになってもらいたいです !」
マリアの説明が終わると同時にパットはレコード盤にレコードをかけた。
その瞬間にかつてのアメリカの歌姫の心地よい声が会場に響く。
その後にマリアがヴィトの懐へと飛び込む。
「さぁ、踊りましょう !ヴィト !」
マリアはヴィトの手を取り、ワルツを踊り出す。
「オレらも負けられねえ !踊るぜ、パット !」
マイケルもパットの手を握り、ワルツを踊り始める。
マリアは初めて聞くセルマの曲の歌詞を頭の中で復唱する。
(私は今まで沢山の恋をしてきたわ。だけど、誰も私の本音を分からないの。誰も彼も私の心を理解しないわ。どうして?どうして彼らは私を見てないの?私はあなたと手を握ったし、あなたに尽くしてきたわ、でもあなたは結局私を見てくれなかったの……私はどうすればいいの?)
恋多き女を歌った歌だったが、会場の貴族たちには斬新だったのか、狼狽えてワルツのリズムを崩す人もいた。
(やっぱり、あめりかの曲は早過ぎたかしら?)
マリアはワルツを崩した老婦人に哀れみの目を向けながらも、懸命にワルツを踏んでいる。
ヴィトもワルツを踏みながら、セルマの曲の良さと歌声に感動していた。
セルマ・アランチーニはルカ・ミラノリアの忠実な部下であり、自分の命を狙った敵であったが、歌声の素晴らしさだけは認めざるを得ない。
(だがな、歌の上手さと裏で何をやっていたのかは別だかね)
ヴィトは巷で語られていた噂を思い出す。それは、セルマがデビュー当時契約していたバンドのリーダーをルカに頼み、解約させてもらった件だった。当時セルマはソロでデビューして、儲けたかったのだが、そのためには、バンドリーダーとの契約が足を引っ張っていた。
だから、彼女は自身の名付け親であるルカ・ミラノリアに頼み、バンドリーダーとの契約を解約させてもらったのだ。
その手切れ金にバンドリーダーが貰った金額は僅か200ドルであった。
だが、隣にはルカの腹心の部下であるメアリー・クイーンズが自分の頭に銃を突きつけて解約を迫っている。
バンドリーダーは解約を申し出るかしなかったのだろう。
かくして、セルマ・アランチーニはソロデビューを果たし、全米の歌姫にまでに登りつめたのだ。
今年に入って、歌姫は帰らぬ人となってしまったが……。
そんな事を思い出しながらも、ヴィトはワルツの足を踏み外さない。マリアと息ピッタリのワルツを踊っている。
「ヴィト大丈夫よね?」
マリアはしかめ面だったが、ヴィトは安心させるように頭を撫でてやる。
「大丈夫さ、あれからもオレ達は様々な敵を倒してきただろ?それにお前は因縁の従兄弟も倒した。だから、今回のダンスも勝てる筈だぜ」
その言葉に元気付けられたのか、マリアはダンスを無我夢中で踊り続けている。
「いい曲よね、この『私の恋の歌』って曲……」
「そうだな、この後にも流れるから、楽しみにしときな」
そう言った直後だった。レコードが止まった。
「終わりの時間だったみたいだな、マイク……悪いけど、レコードを替えてくれないか?」
その言葉でマイケルは次の曲に切り替えた。
「よし、こんなもんかな」
マイケルは前のレコードをケースに仕舞うと、すぐにパットの元へと戻った。
「さてと、第二ラウンドだぜ」
「分かってるわよ、何回だって踊ってやるんだから !」
そんな風に意気込むマリアがヴィトは微笑ましく感じられた。
「すまん、あの後ルーシーと話し込んでしまったな……」
ヴィトは弁明したが、マイケルは首を横に向け、腕を組んで不機嫌そうだった。
「いいや、あんたは忘れてたんだろ?オレとのダンス対決なんてどうでもいいと思ってたんだッ!」
マイケルは唇をギュッと結んでヴィトに抗議に声を上げる。
「そんな事はないよ、お前の好きな曲をかけるんだろ?だから、レコード盤をワザワザ元の世界から持ってきたんだろ?」
ヴィトは会場の端の机に上に半ば忘れらたように置かれているレコードと数枚のレコード盤を見つめた。
「そうだよ、それよりも今回はセルマの『恋の街ニューヨーク』だからな」
マイケルが机に向かおうとした時だった。ヴィトが声をかけた。
「いいや、一曲じゃ詰まらんからな、他のセルマの曲も流してくれるか?どうせ、他のレコードもセルマの曲だろ?」
マイケルは図星を突かれ、ウッとなる。
「お前の反応を見るに、正解のようだな、オレはセルマの曲では『ゴメンねのキスをして』と『私の恋の歌』が好きなんだ。それを流してくれると嬉しいんだがね」
ヴィトの声にマイケルはたじろぐ。
二人が、いや、マイケルが嫉妬の火花をヴィトに一方的に向けている時に助け舟を出したのは、マイケルの相棒であるパットであった。
「まぁまぁ、今回はヴィトの言う事を聞こうぜ、でも順番はオレらが決めていいよな?」
パットの提案をヴィトは快く承諾した。
「じゃあな、『私の恋の歌』『ゴメンねのキスをして』と『恋の街ニューヨーク』の順番でいいかな?」
ヴィトは反論をしないという消極的な姿勢で、パットの意見を取り入れた。
「よし、音楽かけるからな……そう言えば、マリア、あんた女王だったな?アイツらを止めてくれよ」
パットは右手で頭をかきながら、同時に左手で楽器を持った音楽家たちを指差す。
「分かったわよ、ちょっと待っててよ」
マリアは音楽たちの音楽を止めに向かう。
「見てろよ、今回もお前らを負かしてやるからなッ!」
パットは鼻息を荒げて叫ぶ。
「落ち着けよ、オレだって再戦をできるのを嬉しく思っているんだからな」
ヴィトは白い歯を見せて笑う。
「ふん、どうだかね……」
マイケルが腕を組んでいる時に会場に流れていた元の世界のクラシックを思わせる曲が停止した。
会場の貴族たちは混乱しているようで、女王であるマリアに視線を向けている。
マリアは貴族たちを落ち着かせるために大きな声で説明する。
「誇り高きフランソワ王国の貴族の皆さん !舞踏会の音楽を止めて申し訳ありません」
マリアは頭を下げる。
「ですが、これから先にわたしが彼らと出会った先の音楽を皆さんにお聞きになってもらいたいです !」
マリアの説明が終わると同時にパットはレコード盤にレコードをかけた。
その瞬間にかつてのアメリカの歌姫の心地よい声が会場に響く。
その後にマリアがヴィトの懐へと飛び込む。
「さぁ、踊りましょう !ヴィト !」
マリアはヴィトの手を取り、ワルツを踊り出す。
「オレらも負けられねえ !踊るぜ、パット !」
マイケルもパットの手を握り、ワルツを踊り始める。
マリアは初めて聞くセルマの曲の歌詞を頭の中で復唱する。
(私は今まで沢山の恋をしてきたわ。だけど、誰も私の本音を分からないの。誰も彼も私の心を理解しないわ。どうして?どうして彼らは私を見てないの?私はあなたと手を握ったし、あなたに尽くしてきたわ、でもあなたは結局私を見てくれなかったの……私はどうすればいいの?)
恋多き女を歌った歌だったが、会場の貴族たちには斬新だったのか、狼狽えてワルツのリズムを崩す人もいた。
(やっぱり、あめりかの曲は早過ぎたかしら?)
マリアはワルツを崩した老婦人に哀れみの目を向けながらも、懸命にワルツを踏んでいる。
ヴィトもワルツを踏みながら、セルマの曲の良さと歌声に感動していた。
セルマ・アランチーニはルカ・ミラノリアの忠実な部下であり、自分の命を狙った敵であったが、歌声の素晴らしさだけは認めざるを得ない。
(だがな、歌の上手さと裏で何をやっていたのかは別だかね)
ヴィトは巷で語られていた噂を思い出す。それは、セルマがデビュー当時契約していたバンドのリーダーをルカに頼み、解約させてもらった件だった。当時セルマはソロでデビューして、儲けたかったのだが、そのためには、バンドリーダーとの契約が足を引っ張っていた。
だから、彼女は自身の名付け親であるルカ・ミラノリアに頼み、バンドリーダーとの契約を解約させてもらったのだ。
その手切れ金にバンドリーダーが貰った金額は僅か200ドルであった。
だが、隣にはルカの腹心の部下であるメアリー・クイーンズが自分の頭に銃を突きつけて解約を迫っている。
バンドリーダーは解約を申し出るかしなかったのだろう。
かくして、セルマ・アランチーニはソロデビューを果たし、全米の歌姫にまでに登りつめたのだ。
今年に入って、歌姫は帰らぬ人となってしまったが……。
そんな事を思い出しながらも、ヴィトはワルツの足を踏み外さない。マリアと息ピッタリのワルツを踊っている。
「ヴィト大丈夫よね?」
マリアはしかめ面だったが、ヴィトは安心させるように頭を撫でてやる。
「大丈夫さ、あれからもオレ達は様々な敵を倒してきただろ?それにお前は因縁の従兄弟も倒した。だから、今回のダンスも勝てる筈だぜ」
その言葉に元気付けられたのか、マリアはダンスを無我夢中で踊り続けている。
「いい曲よね、この『私の恋の歌』って曲……」
「そうだな、この後にも流れるから、楽しみにしときな」
そう言った直後だった。レコードが止まった。
「終わりの時間だったみたいだな、マイク……悪いけど、レコードを替えてくれないか?」
その言葉でマイケルは次の曲に切り替えた。
「よし、こんなもんかな」
マイケルは前のレコードをケースに仕舞うと、すぐにパットの元へと戻った。
「さてと、第二ラウンドだぜ」
「分かってるわよ、何回だって踊ってやるんだから !」
そんな風に意気込むマリアがヴィトは微笑ましく感じられた。
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