政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

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出会い

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目の前には、華奢な体つきをした女。

その隣には母親らしき、年をとった女。

俺の隣には、俺と同じくスーツを着た父親。

俺たち四人は2対2で、趣がある料亭の一室で向かい合っていた。

相手の母親が
「…本当に、良かったわ。こんな良い話、なかなか無いものね。」

ちらと時計を確認する。

そんな話、どうでも良い。

早く終わらせろ。

会社に行きたい。

仕事がしたい。

その表情が少し顔に出ていたのだろう、隣の父親が肘打ちしてきた。

…うるさい。

そう思いつつ、ため息をついて前を見る。

目の前にいる女の姿が嫌でも目に入る。

白い肌に、小さな顔。

大きめの瞳に、小さめなのにぽってりとした紅い唇。

頬は、控えめにピンクに染まっている。

…俺の方は一切見ようとしない。

ま、どうでも良いけど。

そんな事を考えていると世間話は終わっていたようで、何時の間にか立っていた父親が俺を睨みながら
「失礼の無いように。」

は?

何で俺が高校生ごときに気を使わなきゃならない。

父親と相手の母親らしき女が出て行った部屋には、俺と女の2人っきりになった。

何分経っても、どちらも話そうとしない。

何も話す事が無いなら、仕事に行きたい。

ちらっと時計を見ると。

…もう2時半だ。

行こう。

膝を折って立ち上がると。

「…あの。」

女が、話し出した。

何だ。

さっきまで一言も話さなかったくせに。

仕事に行こうとしたら。

そう思いつつ、女の方に目を向けると。

女は下を向いたまま言葉を紡ぎ出す。

「この結婚に、疑問は無いんですか?」

「…」

急に、何を言い出すかと思えば。

疑問も何も、したく無い。

でも。

今はとにかく会社に行きたい。

「無いね。って言うか、むしろ興味が無い。考えてる暇が持ったいない。そんな事考えてる間に仕事がしたい。」

そう言うと、女は目を伏せる。

「…君に一つ言っておく事がある。」

女を、見下ろして。

「俺は結婚したからと言って、今と違った生活を送る気は無い。」

「…」

「仕事は、どんなに遅くなろうと俺の気が済むまでやる。」

「…はい。」

「それに、一番重要な事は。」

「…」

「俺は君に、愛情を注ぐ気はさらさらない。君を幸せにする気などない。」

女が、眉を寄せた。

「俺は都合の良い女が欲しくなったら、作る。君も良いよ、作って。」

「でも、それじゃ「俺はこの結婚に賛成なんてしてない。」

俺の優先順位の中に、

女が入る事などあってはならない。

「でも反対もしていない。仕事に支障をきたさないなら、あとはどうでも良い。」

何で

「バツイチと言うレッテルは欲しくないから、君がどれだけ言っても離婚はしない。絶対に。」

何も、

「でも俺がしたかったらする。」

話さない。

「食べ物や、服や、化粧品とか君が欲しい物は勝手に買えばいい。金は有り余ってる。いくらでも使えばいい。」

言い返さない。

「その代わり。」

イライラする。

「必要以上に俺に干渉しない事を約束して。」

その言葉に、女は細々とした声で、
「…分かりました。」
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