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二人の間にある距離
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湯船に浸かりながら考える事は。
さっきの俺が、三者面談に両親に行ってもらう事を提案した時の瑞紀の言葉と表情。
『絶対に、無理です…っ』
何で。
あそこまで。
普通、俺なんかより両親に行ってもらう方がよっぽど…
瑞紀の性格からして、親と仲が悪い事も無いだろうし。
そんな事を考えて。
…でも、ま、関係ないか。
ぱっと行って愛想振りまいて、話聞いて帰って来るだけだろう。
そう思い直して、湯船から立ち上がった。
それから何日か経った時。
俺がスーツに着替えて、コーヒーをいれてから、椅子に腰掛ける。
三者面談の事で言いたい事があるので、リビングで瑞紀を待っている所だ。
何せ、いつもは俺が先に出てるからみ瑞紀が何時に起きて来るかも分からないので待つしかない。
本当は、今日だけじゃなくてもいつも、これより遅い時間に出ても始業時間には全然間に合うから良いんだけど。
自分が仕事を好きだから、早く出たくて出てただけ。
でも、あの女は何時に起きてるんだ?
もう七時半だぞ。
そんな事を考えてコーヒーを口に含むと。
カチャリ。
廊下でドアの開閉音が数回聞こえ出した。
…起きたか。
そう重いつつ、そばにあったテレビのリモコンを持って朝のニュースをつける。
『皆さん、おはようございます!今日も素晴らしい朝ですね…』
そんな決まりきった挨拶を繰り返すアナウンサーを眺めていると。
洗濯機が回り出す音がして。
カチャリ。
リビングのドアが開いた。
そちらに視線を向けると。
すでに制服に着替えて、髪を綺麗にハーフアップにした瑞紀が目を見開いて立っていた。
そんな瑞紀をじっと見ると。
瑞紀がはっとしたように
「おはようございます。」
と言った。
「…おはよう。」
俺がそう言うと瑞紀は安心したように少し笑って、キッチンまで歩いていき、何かを作り出した。
「今日は会社、休みなんですか?」
は、何言ってんだこの女。
まだ寝ぼけてんじゃないのか。
「…休みなわけないでしょ、スーツ着てるんだから。」
「こんな時間に出るの、めずらしいですよね。」
“一度もなかったですよね。”
そうは言わない瑞紀を冷たく見ていると。
瑞紀は包丁を、トントン、とリズミカルに動かしながら俺の視線には気づかずに
「…知哉さんも何か食べますか?」
…
俺は料理するのが、得意でもないし好きでもなかったから、朝ごはんはいつもその辺のカフェのモーニングとかコンビニで済ませていた。
はめている腕時計をちらっと見て。
この時間じゃ、それも無理か。
でも。
この女の料理を、食べるのか?
苦虫を噛み潰したような感覚を味わう。
でも、朝ごはん抜きっていうのは仕事の能率に関わるし…
「…何作るの。」
「まだ、決めてないですけど。一応サラダを今作ってます。知哉さんはご飯とパン、どちらが良いですか?」
この会話、いかにも夫婦じゃないか。
吐き気がする。
そんな事を考えて。
「パンなんてあり得ない。絶対にご飯。」
俺がコーヒーを飲んで、テレビで流れてる天気予報を見ながらそう答えると。
瑞紀は少し笑って。
「じゃあ、お味噌汁と冷蔵庫にあるあり合わせの材料で何か作りますね。」
瑞紀はそう言いながら、冷蔵庫を開けて中を見る。
「君さ、料理得意なの?」
…朝からまずい物を食わされたら冗談じゃない。
そんな瑞紀を見ながらそう聞くと。
瑞紀は笑いながら。
「私、こう見えて家庭科の成績良いんですよ。」
いや、こう見えても何も、そのまんまだろう。
そう思いながら。
「あ、そ。」
相槌を打った。
さっきの俺が、三者面談に両親に行ってもらう事を提案した時の瑞紀の言葉と表情。
『絶対に、無理です…っ』
何で。
あそこまで。
普通、俺なんかより両親に行ってもらう方がよっぽど…
瑞紀の性格からして、親と仲が悪い事も無いだろうし。
そんな事を考えて。
…でも、ま、関係ないか。
ぱっと行って愛想振りまいて、話聞いて帰って来るだけだろう。
そう思い直して、湯船から立ち上がった。
それから何日か経った時。
俺がスーツに着替えて、コーヒーをいれてから、椅子に腰掛ける。
三者面談の事で言いたい事があるので、リビングで瑞紀を待っている所だ。
何せ、いつもは俺が先に出てるからみ瑞紀が何時に起きて来るかも分からないので待つしかない。
本当は、今日だけじゃなくてもいつも、これより遅い時間に出ても始業時間には全然間に合うから良いんだけど。
自分が仕事を好きだから、早く出たくて出てただけ。
でも、あの女は何時に起きてるんだ?
もう七時半だぞ。
そんな事を考えてコーヒーを口に含むと。
カチャリ。
廊下でドアの開閉音が数回聞こえ出した。
…起きたか。
そう重いつつ、そばにあったテレビのリモコンを持って朝のニュースをつける。
『皆さん、おはようございます!今日も素晴らしい朝ですね…』
そんな決まりきった挨拶を繰り返すアナウンサーを眺めていると。
洗濯機が回り出す音がして。
カチャリ。
リビングのドアが開いた。
そちらに視線を向けると。
すでに制服に着替えて、髪を綺麗にハーフアップにした瑞紀が目を見開いて立っていた。
そんな瑞紀をじっと見ると。
瑞紀がはっとしたように
「おはようございます。」
と言った。
「…おはよう。」
俺がそう言うと瑞紀は安心したように少し笑って、キッチンまで歩いていき、何かを作り出した。
「今日は会社、休みなんですか?」
は、何言ってんだこの女。
まだ寝ぼけてんじゃないのか。
「…休みなわけないでしょ、スーツ着てるんだから。」
「こんな時間に出るの、めずらしいですよね。」
“一度もなかったですよね。”
そうは言わない瑞紀を冷たく見ていると。
瑞紀は包丁を、トントン、とリズミカルに動かしながら俺の視線には気づかずに
「…知哉さんも何か食べますか?」
…
俺は料理するのが、得意でもないし好きでもなかったから、朝ごはんはいつもその辺のカフェのモーニングとかコンビニで済ませていた。
はめている腕時計をちらっと見て。
この時間じゃ、それも無理か。
でも。
この女の料理を、食べるのか?
苦虫を噛み潰したような感覚を味わう。
でも、朝ごはん抜きっていうのは仕事の能率に関わるし…
「…何作るの。」
「まだ、決めてないですけど。一応サラダを今作ってます。知哉さんはご飯とパン、どちらが良いですか?」
この会話、いかにも夫婦じゃないか。
吐き気がする。
そんな事を考えて。
「パンなんてあり得ない。絶対にご飯。」
俺がコーヒーを飲んで、テレビで流れてる天気予報を見ながらそう答えると。
瑞紀は少し笑って。
「じゃあ、お味噌汁と冷蔵庫にあるあり合わせの材料で何か作りますね。」
瑞紀はそう言いながら、冷蔵庫を開けて中を見る。
「君さ、料理得意なの?」
…朝からまずい物を食わされたら冗談じゃない。
そんな瑞紀を見ながらそう聞くと。
瑞紀は笑いながら。
「私、こう見えて家庭科の成績良いんですよ。」
いや、こう見えても何も、そのまんまだろう。
そう思いながら。
「あ、そ。」
相槌を打った。
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