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二人の間にある距離
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車を走らせながら。
「…知哉さんの車って想像通りですね。」
何がだ。
こんな車どこでも走ってるし、売ってるし、CMだってたくさん流れてる。
俺じゃなくても、その辺の人だっていっぱい乗ってる。
「…」
俺が黙っていると。
「…っあ、そこの角右です!」
瑞紀の声に従って車のウインカーを出して曲がる。
「もうここからまっすぐ行けば着きますから。」
「…へぇ。以外と近いんだね。」
「はい。たまたまですけど。」
それから少し車を走らせて、数人の先生が立っている正門らしき門が見えて来た時。
「どこに止めれば良いの、車。」
「え、あ、どこでしょう…。私、車で来た事無いので…。」
お前も分からないのか。
自分でその位確認しとけ。
お前は車で登校した事がなくても、他の生徒は車で登校してるのを見た事もあるだろう。
…しょうがない。
仕方なく、他の生徒の登校を邪魔しない様に先生の横に車を止めて、運転席の窓を開ける。
先生はこちらに顔を向けながら、
「おはようございますー。」
その大きな挨拶に少し顔をしかめながら。
「…おはようございます。車、「あれ、桜井。」
俺の言葉は先生の大きな声によって遮られて。
イライラしながらも先生に瑞紀の姿を確認出来る様に、体を傾けると。
「お前、またこんなイケメンの彼氏連れて…」
は?
彼氏?
しかも、“また”?
何なんだ、この女。
瑞紀は顔を真っ赤にしながら俯いて、
「…そんな事、無い、です…」
…
「いやい「そんな事どうでも良いんで。早く車止める場所、教えてもらえます?」
俺の強い言い方に、先生は少し目を見開きながら、
「すみません、あちらです…」
と言った。
その言葉を聞くと、直ぐに窓を閉めて車を発進させた。
「あの、ありがとうございました…」
瑞紀は助手席のドアノブに手をかけながら、外に出ようと体勢を整えてる。
そんな瑞紀を横目で見ながら。
「早くして。仕事に遅れる。」
「は、はい…っ」
瑞紀が外に出たのを確認すると。
切なそうな顔でこちらを見てる瑞紀を振り払うようにアクセルを踏んだ。
始業時間十分前に、会社の自分の席に着くと、隣の席の瀬川がこちらに身を乗り出しながら、
「今日は遅かったんだな。」
…
別に隠す必要もないだろう。
コートを背もたれにかけて、パソコンを立ち上げながら。
「…瑞紀を学校まで車で送って行ってたから。」
そう言うと瀬川は感心したように。
「へぇ。まじで高校生なんだ。瑞紀ちゃん、ねぇ…」
…
「何で送ってったんだよ。お前、理由もなきゃそんな事しねぇだろ。」
苦々しく眉を寄せながら。
「瑞紀の三者面談、行くから学校の場所を知っておこうと思ってね。」
俺がそう言うと瀬川は、ぶはっ、と笑って。
「あははっ!まじかよ!?お前がさんしゃめ「黙って。」
予想外に大きい瀬川の頬を右手で押さえて。
「ひょ、ひゅうひゃ「声、大きすぎ。」
俺の睨みが効いたのだろう、瀬川は恐怖が滲んだ顔でコクコクと頷いた。
俺はそれを確認してから、手を離して。
その手をパンパンと払う。
「払うならやるなよ…」
頬を両手でさする瀬川が小さくそう呟いた。
「…知哉さんの車って想像通りですね。」
何がだ。
こんな車どこでも走ってるし、売ってるし、CMだってたくさん流れてる。
俺じゃなくても、その辺の人だっていっぱい乗ってる。
「…」
俺が黙っていると。
「…っあ、そこの角右です!」
瑞紀の声に従って車のウインカーを出して曲がる。
「もうここからまっすぐ行けば着きますから。」
「…へぇ。以外と近いんだね。」
「はい。たまたまですけど。」
それから少し車を走らせて、数人の先生が立っている正門らしき門が見えて来た時。
「どこに止めれば良いの、車。」
「え、あ、どこでしょう…。私、車で来た事無いので…。」
お前も分からないのか。
自分でその位確認しとけ。
お前は車で登校した事がなくても、他の生徒は車で登校してるのを見た事もあるだろう。
…しょうがない。
仕方なく、他の生徒の登校を邪魔しない様に先生の横に車を止めて、運転席の窓を開ける。
先生はこちらに顔を向けながら、
「おはようございますー。」
その大きな挨拶に少し顔をしかめながら。
「…おはようございます。車、「あれ、桜井。」
俺の言葉は先生の大きな声によって遮られて。
イライラしながらも先生に瑞紀の姿を確認出来る様に、体を傾けると。
「お前、またこんなイケメンの彼氏連れて…」
は?
彼氏?
しかも、“また”?
何なんだ、この女。
瑞紀は顔を真っ赤にしながら俯いて、
「…そんな事、無い、です…」
…
「いやい「そんな事どうでも良いんで。早く車止める場所、教えてもらえます?」
俺の強い言い方に、先生は少し目を見開きながら、
「すみません、あちらです…」
と言った。
その言葉を聞くと、直ぐに窓を閉めて車を発進させた。
「あの、ありがとうございました…」
瑞紀は助手席のドアノブに手をかけながら、外に出ようと体勢を整えてる。
そんな瑞紀を横目で見ながら。
「早くして。仕事に遅れる。」
「は、はい…っ」
瑞紀が外に出たのを確認すると。
切なそうな顔でこちらを見てる瑞紀を振り払うようにアクセルを踏んだ。
始業時間十分前に、会社の自分の席に着くと、隣の席の瀬川がこちらに身を乗り出しながら、
「今日は遅かったんだな。」
…
別に隠す必要もないだろう。
コートを背もたれにかけて、パソコンを立ち上げながら。
「…瑞紀を学校まで車で送って行ってたから。」
そう言うと瀬川は感心したように。
「へぇ。まじで高校生なんだ。瑞紀ちゃん、ねぇ…」
…
「何で送ってったんだよ。お前、理由もなきゃそんな事しねぇだろ。」
苦々しく眉を寄せながら。
「瑞紀の三者面談、行くから学校の場所を知っておこうと思ってね。」
俺がそう言うと瀬川は、ぶはっ、と笑って。
「あははっ!まじかよ!?お前がさんしゃめ「黙って。」
予想外に大きい瀬川の頬を右手で押さえて。
「ひょ、ひゅうひゃ「声、大きすぎ。」
俺の睨みが効いたのだろう、瀬川は恐怖が滲んだ顔でコクコクと頷いた。
俺はそれを確認してから、手を離して。
その手をパンパンと払う。
「払うならやるなよ…」
頬を両手でさする瀬川が小さくそう呟いた。
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