政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

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揺れ動く心

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*瑞紀side*
「何やってるの?」

そう言って私の前に立つ女の人達の合間から顔を出した人物は。

「…」

…誰?

見た事もない、男の人。

だけど、女の人達はその男の人を見て顔を強張らせた後どこかへバタバタと走って行って。

…そうやって走って逃げて行くなら最初からやらなきゃ良いのに。

そんな事を思いつつ。

女の人がどこかへ行った事で、はっきりと見える男の人の姿を見上げると。

「…はい。」

手が、無言で差し出されてて。

「…あ。ありがとうございます。」

そう言いながらその手をとって、もう一方の手を床に置いて支えながら起き上がってスカートを払う。

それから、もう一度お礼を言おうとその人の顔を見ると。

その人は、優しく笑いながら私の顔を見てて。

背は知哉さんより少し高いくらいで。

年は知哉さんより全然若くて。

モテそうな人だな。

そんな事を考えていると。

その男の人は私の顔を見て、何かに気づいたように。

「…あれ。君さ、もしかして瑞紀ちゃん?」

…何で。

この人が、私の名前を。

会った事、無いのに。

その声に思わず眉を寄せると。

「俺さ、君の婚約者!」

「え?」

私が聞き返すと。

男の人は、笑いながら。

「悠河って人から聞いてるでしょ?」

…この人が。

…っ!

思わず、先ほどから握られたままの手をパッと離すと。

「…はぁ?君さぁ!」

その男の人は、私の行動に気分を害した様で、離した私の手をもう一度握り直されて。

もう一方の手は、私の腰にあてられて、私の腰を引き寄せる。

「…っきゃ、ちょっ、やめて下さ」

顔をぐっと近づけられる。

そこで始めて気づく。

…この人。

お酒に凄い酔ってる。

やだ。

この匂いだけで酔いそう。

「あの、すみません、本当にちょっと…」

何で。

誰も助けてくれないの?

バルコニーだから見えてるはずなのに。

何なの。

この人が、副社長の息子だから?

もうやだ。

知哉さん。

知哉さん。

知哉さん。

助けて。

お願い。

「…も、お願いします、のいて…「んだよ、拒むなよ。」

その男の人は、そう言って胸板を押す私の手を握りしめて。

「…ん、」

キスをしてきた。
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