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第一章 旅立ち!
8. 軍鶏
第一章 8. 軍鶏
森の奥──木々の間を抜けた先に、それはいた。
巨大な影。
鮮やかな赤い鶏冠、黄金に光る眼。
分厚い羽毛の隙間から覗く鋭い爪と、鋼のように固い脚。
伝説の怪鳥──軍鶏。
「……でけぇな」
シドが拳を握りしめ、ニヤリと笑う。
「む……討伐の伝承に違わぬ威容でござるな」
雪丸さんが目を細める。
軍鶏がこちらに気づき、低く鳴いた。
「ゴァァァァッ!!」
咆哮が森を揺らし、木々の葉がざわめく。
「……行くぞ!」
シドの合図と同時に、僕らは一斉に駆け出した。
─────
バッカスが真っ先に大盾を構えて突進する。
「うおおおおっ! こっちを見ろっす!」
軍鶏の爪が振り下ろされ──ガギィィンッ!
火花が散り、バッカスはよろめきながらも必死に盾を押し返した。
「おっさん!」
「サイゾウだ、生意気小僧は記憶力が悪いようだ……っな!」
ヒュンッ、ヒュンッ!
飛礫が次々と軍鶏の顔を打ち、注意がわずかに逸れる。
その隙を狙い、雪丸さんが滑り込んで長刀を振り抜いた。
刃が足を裂き、鮮血が飛ぶ。
「ちぃ……浅いでござるな!」
僕は背中の石をサイゾウさんへ必死に渡す。
軍鶏はサイゾウさんの飛礫、シドの拳、雪丸さんの斬撃を受けるたびに一瞬は反応するが、すぐにバッカスへと狙いを戻す。
……うん、確かにバッカスの顔はムカつく感じだもんね。
「まだまだっす! 雪丸にいさんとの特訓の方がよっぽどキツかったっすよ!」
「悪くねぇぞバッカス! ゴザル、左から回り込め! おっさんは右だ! よし……正面開いたな! オラァッ!」
シドが全体の指揮をとりながら、自らも攻撃を仕掛ける。
本当にすごいな、シドは……。
だが、軍鶏はやはり強大だった。
二十人がかりでも討伐成功は五分五分とされる相手──決定的な隙はなかなか生まれない。
「埒があかねぇな……ルカ! アレをやるぞ!」
「うん!」
「バッカス! いよいよクライマックスだ! そのまま耐えろ! おっさん、一瞬でいい、軍鶏の注意を上に向けてくれ! ゴザル! 俺とルカで隙を作る!」
「承知!」
疲労困憊のバッカスが、それでも必死に盾を構え続ける。
サイゾウさんが小さな爆裂玉を頭上に投げた──ドカンッ!
爆音に、軍鶏の視線が一瞬上を向く。
「ルカ!」 「うん!」
僕は軍鶏の足元まで駆け寄り、レシーブの構えを取る。
助走をつけたシドが僕の手に足をかけ──
「いけぇぇぇっ!」
僕は全力でシドを打ち上げる。
同時にシドは僕の手を踏み台に跳躍する──
ドゴォッ!!
今まで手の届かない高さにあった軍鶏の下顎にシドの渾身の拳が炸裂し、その巨体がふらつき、傾いた。
「……なんと……」
「……すげぇっす……!」
「まだだ、ゴザル!」
落下しながらシドが叫ぶ。
「承知ッ!」
倒れかけた軍鶏は踏みとどまるが、頭は地面すれすれまで下がった。
──雪丸さんの刃が届く高さだ。
「うおおおおぉぉぉっ!!」
雪丸さんが吠え、必殺の一撃を振り下ろした。
─────
「お見事……ですぞ、若」
サイゾウさんの低い声が響く。
「よっしゃあ! 討伐成功だ!」
木に引っかかりながら、シドが笑った。
「……終わったんすね……」
限界を超えて、軍鶏の猛攻を耐え抜いたバッカスは、その場に座り込む。
そして──
自らが切り落とした軍鶏の首を前に、雪丸さんが叫んだ。
「うおおおおっ! やったでござるよおおお!!」
こうして、たった五人による軍鶏討伐は──幕を閉じた。
森の奥──木々の間を抜けた先に、それはいた。
巨大な影。
鮮やかな赤い鶏冠、黄金に光る眼。
分厚い羽毛の隙間から覗く鋭い爪と、鋼のように固い脚。
伝説の怪鳥──軍鶏。
「……でけぇな」
シドが拳を握りしめ、ニヤリと笑う。
「む……討伐の伝承に違わぬ威容でござるな」
雪丸さんが目を細める。
軍鶏がこちらに気づき、低く鳴いた。
「ゴァァァァッ!!」
咆哮が森を揺らし、木々の葉がざわめく。
「……行くぞ!」
シドの合図と同時に、僕らは一斉に駆け出した。
─────
バッカスが真っ先に大盾を構えて突進する。
「うおおおおっ! こっちを見ろっす!」
軍鶏の爪が振り下ろされ──ガギィィンッ!
火花が散り、バッカスはよろめきながらも必死に盾を押し返した。
「おっさん!」
「サイゾウだ、生意気小僧は記憶力が悪いようだ……っな!」
ヒュンッ、ヒュンッ!
飛礫が次々と軍鶏の顔を打ち、注意がわずかに逸れる。
その隙を狙い、雪丸さんが滑り込んで長刀を振り抜いた。
刃が足を裂き、鮮血が飛ぶ。
「ちぃ……浅いでござるな!」
僕は背中の石をサイゾウさんへ必死に渡す。
軍鶏はサイゾウさんの飛礫、シドの拳、雪丸さんの斬撃を受けるたびに一瞬は反応するが、すぐにバッカスへと狙いを戻す。
……うん、確かにバッカスの顔はムカつく感じだもんね。
「まだまだっす! 雪丸にいさんとの特訓の方がよっぽどキツかったっすよ!」
「悪くねぇぞバッカス! ゴザル、左から回り込め! おっさんは右だ! よし……正面開いたな! オラァッ!」
シドが全体の指揮をとりながら、自らも攻撃を仕掛ける。
本当にすごいな、シドは……。
だが、軍鶏はやはり強大だった。
二十人がかりでも討伐成功は五分五分とされる相手──決定的な隙はなかなか生まれない。
「埒があかねぇな……ルカ! アレをやるぞ!」
「うん!」
「バッカス! いよいよクライマックスだ! そのまま耐えろ! おっさん、一瞬でいい、軍鶏の注意を上に向けてくれ! ゴザル! 俺とルカで隙を作る!」
「承知!」
疲労困憊のバッカスが、それでも必死に盾を構え続ける。
サイゾウさんが小さな爆裂玉を頭上に投げた──ドカンッ!
爆音に、軍鶏の視線が一瞬上を向く。
「ルカ!」 「うん!」
僕は軍鶏の足元まで駆け寄り、レシーブの構えを取る。
助走をつけたシドが僕の手に足をかけ──
「いけぇぇぇっ!」
僕は全力でシドを打ち上げる。
同時にシドは僕の手を踏み台に跳躍する──
ドゴォッ!!
今まで手の届かない高さにあった軍鶏の下顎にシドの渾身の拳が炸裂し、その巨体がふらつき、傾いた。
「……なんと……」
「……すげぇっす……!」
「まだだ、ゴザル!」
落下しながらシドが叫ぶ。
「承知ッ!」
倒れかけた軍鶏は踏みとどまるが、頭は地面すれすれまで下がった。
──雪丸さんの刃が届く高さだ。
「うおおおおぉぉぉっ!!」
雪丸さんが吠え、必殺の一撃を振り下ろした。
─────
「お見事……ですぞ、若」
サイゾウさんの低い声が響く。
「よっしゃあ! 討伐成功だ!」
木に引っかかりながら、シドが笑った。
「……終わったんすね……」
限界を超えて、軍鶏の猛攻を耐え抜いたバッカスは、その場に座り込む。
そして──
自らが切り落とした軍鶏の首を前に、雪丸さんが叫んだ。
「うおおおおっ! やったでござるよおおお!!」
こうして、たった五人による軍鶏討伐は──幕を閉じた。
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