30 / 41
第十三章 知ってるよ
知ってるよ
しおりを挟む
八月も終わりに近づくと、暑さもだいぶ和らいで夜は薄着だと少し風が肌寒い。千冬が帰った日から、またいつもの日常に戻っていた。カウンターに腰掛け店内を見渡す。
「……あれ? ない」
立ち上がって店内を歩き回る。青ちゃんがついこの間完成させたばかりの五万の値札を付けた棚がない事に気が付いた。
「青ちゃん、あの棚売れちゃったの?」
「ん? あぁ、あれな。お前が遊んでる間に買い手が見つかってな」
「そーなんだぁ」
「何だよ、売れたんだ、喜べよ」
「だって……」
気に入っていたから。なんならあたしが買いたかったくらいだし、だけどお金がないから諦めちゃったんだし。ああ、なんだか寂しいな。そりゃ売り物だから、いつかは誰かに買われちゃうんだけどさ。
あたしはまたカウンターに戻って紙とペンを取り出す。
「おっはよぉ」
あたしが絵を描くのに夢中になってると、小窓が開いて、春一が大きなあくびをしながら挨拶をする。
「おはようって……もう午後の三時なんだけど? 春一」
「……らしいなぁ」
どーでもいいと言うように、春一はまたあくびをした。
「あれ? なずな絵なんて描くの?」
「ん? そーだけど……」
描いている途中の絵を見られることがあまり好きじゃないから、すぐに紙をひっくり返して隠した。
「いーじゃーん。見せてくれても」
「やーだ。春一だって書きかけの小説見られたくないでしょ?」
あたしの反論に言い返せなくなった春一は、悔しそうに眉根を寄せて無言で小窓を閉めた。ジャージ姿で頭には寝癖、寝起きなのか徹夜明けなのか、だるそうなままの格好でお店に入ってきた。
「ちょっと、そんな格好で入ってこないでよ。お客さん来たらどーすんの?」
あたしの言うことも聞かずに、真っ直ぐ春一は時計の下まで歩き、立ち止まった。
「なぁ、この絵って、もしかして、なずなが描いたの?」
春一は額縁に入った絵を指差しながら、片手をポケットに突っ込んだまま振り返って聞いてくる。
「え……?」
指先を辿ると、春一がここに居る事を認めた日に描いた絵が置かれていた。あの日に飾ったまま、ずっとそこにあったんだ。
「……この絵にこの額縁はヤバイだろ? 合わねぇー」
「なっ!」
「けど、この絵は好き。すっげぇ上手い」
春一は額縁を手に取り、頷きながら眺めている。
「……あ、ありがと」
なんとなく褒められてはいるんだろうと、照れつつもお礼を言う。
「なずなには絵の才能があるんだなー」
「な! ないよ! 全然」
いつもなら「まぁね~」とのせられるはずなんだけど、絵のことに関しては適当にはしたくなかった。
「絵、描くの、好きなんだな」
春一が微笑んで言ってくれるから、そこは素直に頷いた。
「なぁ、なずな。今度俺の小説の表紙、描いてよ。なんか、今なら書ける気がするんだ。締め切りにはたぶん……間に合わないだろうけど……」
春一は額縁を元に戻してサンダルを脱ぎ、また小窓を開けた。
「なぁ、頼むよ」
こんなに頼み込んでくるなんてよっぽどだなと、あたしはさっきまで描いていた紙を春一に差し出した。
「こんなんで……いいの?」
「おぅ! 完成してたんじゃん」
あたしから紙を手に取り、春一は更に顔を輝かせて何度も頷いた。
「すっげぇいい! なんだよ、マジで上手いなぁ」
描いたのは、あの日の四人。浜辺で沈みゆく夕陽を眺めている所で、色鉛筆のグラデーションで、虹のような夜空と夕陽を作り出した。四人は手を繋ぎ、足元には小さなトンネル付きの三角山のお城。この夏の思い出を、一枚の中にすべて詰め込んだんだ。
「春一、これから千冬に恋愛、させてあげれるのかな?」
千冬の体の事は、何にも知らない。
どう悪くて、どうなるのか。どう苦しくて、どうしたらいいのか。千冬が帰ってから、不安ばかり募っている。今だって、もしかしたら苦しんでいるんじゃないかって、考えてしまう。
「……うん。けど、俺さ、千冬の運命の相手は、光夜しかいないと思うんだよね」
「……光夜くん?」
「俺のプロットでは、そう決まっているんだよね」
「……プロット?」
専門用語みたいな言葉を言われても、よく分からない。
その前に、千冬は春一のことが好きなんだと思うけど。それって、千冬は春一とは恋愛できないってことになるよね。
「光夜ってすごくない? 二年も病院に通って、スマホ買ってあげたり、外の景色の写真撮って来て励ましたり、ずっと千冬の支えになってきたんだよ。光夜だって、千冬しかいないって思ってる……」
春一は、どこか遠くを見つめるようにした後、こちらに視線を向けた。
「そんなに想ってくれている男がすぐそばにいるって言うのに、千冬は気付かないのかな?」
それは……千冬が春一を好きだから。だから、光夜くんじゃダメなんじゃないのかな? 春一は千冬の気持ちを知らないから、そんなことが言えるんだよ。気がついていないのは、春一の方だよ。
少しだけ春一を睨むような顔をしてから、目を反らした。
「……知ってるよ」
「……え?」
クスッと笑う春一の言葉に、あたしは直ぐ様顔をあげた。
「気づいてるから。なずなの気持ちも、千冬の気持ちも。俺を誰だと思ってんの?」
今度は得意げに不敵な笑みを浮かべ、あたしを見下ろすと「ベストセラー作家のハルイチだぜ?」と鼻で笑った。
「俺のプロット通りに、千冬にハルイチ的恋愛をさせてやるよ。そりゃ、現実はそう簡単じゃねぇ。けど、千冬を少しでも楽しませてやりたいから」
「……ほんとに出来るの?」
疑うような目で春一を見てしまう。千冬を悲しませるような事だけは、絶対にしてほしくない。
「ベストは尽くす!」
真剣な顔はふざけて揶揄っているようには見えない。春一は嘘なんてつく人じゃない。
「……じゃあ、春一に任せるよ」
「よっしゃ……「けど、あたしも行くから」」
「……え?」
「春一だけじゃ心配だもん。あたしも行く!」
なんだか、あたしだけ置いてけぼりになるみたいで寂しく思った。ただいつものように日々を過ごすだけなんて、そんなことをしていたら、一生このままな気さえしてくる。
決意を込めた強い眼差しを春一に向けながら訴えた。
「……行くって?」
「もちろん、東京よ!!」
意気込んではっきりとそう言った。
その時は、後の事も、先の事も、何にも考えずに口走っていて、けど、ゆるぎない決意だけは固くて、あたしは仁王立ちでつま先に力をこれでもかというくらいに入れて立っていた。
春一は目を見開いて驚いた後に、笑い出す。
「いいね、一緒に行くか」
この一言で、あたしの生活が一変しようとは、この時は知る由もなくて。けれど、時は静かに刻一刻と、過ぎ去っていく……
「あ、なずな絵の約束忘れんなよ?」
「ちょっと、それよりあたしの気持ちも知ってるってどうゆうこと?」
「ん? そんなこと言ったっけ? 忘れたーっ」
ぱたりと小窓を閉めてしまうから、あたしは小窓を開けて、階段を登り始めた春一の背中に叫んだ。
「何それ! じゃああたしだって約束忘れるから!!」
「それはダメー」
小さく聞こえてきた春一の返事の後に、部屋のドアが閉まる音が聞こえた。小さくため息をついて、カウンターに向き直った。
*
春一が東京に帰る日まで、あたしは仕事に専念して、今まで貯めてきた大金とは到底言えないお金の残高を確認して、青ちゃんに事情を説明した。
「シュンと一緒に東京に行く?! お前らいつの間にそんな関係に!」
「なってない、なってない」
焦る青ちゃんにあたしは冷静に突っ込む。
「まぁ、ちゃんと考えての決断だろうから、俺は何も言わねーよ。気をつけて行ってこいよ」
「ありがとう青ちゃんっ!」
快く承諾してくれた青ちゃんに抱きついた。
千冬、あたし、千冬に近い所へ行くよ! 何が待っているかなんて分からないけど、千冬がそこにいてくれることは、確実だから。
迷いなく会いに行くよ。だから待っていてね。
素敵な恋愛を、届けに行くから。
「……あれ? ない」
立ち上がって店内を歩き回る。青ちゃんがついこの間完成させたばかりの五万の値札を付けた棚がない事に気が付いた。
「青ちゃん、あの棚売れちゃったの?」
「ん? あぁ、あれな。お前が遊んでる間に買い手が見つかってな」
「そーなんだぁ」
「何だよ、売れたんだ、喜べよ」
「だって……」
気に入っていたから。なんならあたしが買いたかったくらいだし、だけどお金がないから諦めちゃったんだし。ああ、なんだか寂しいな。そりゃ売り物だから、いつかは誰かに買われちゃうんだけどさ。
あたしはまたカウンターに戻って紙とペンを取り出す。
「おっはよぉ」
あたしが絵を描くのに夢中になってると、小窓が開いて、春一が大きなあくびをしながら挨拶をする。
「おはようって……もう午後の三時なんだけど? 春一」
「……らしいなぁ」
どーでもいいと言うように、春一はまたあくびをした。
「あれ? なずな絵なんて描くの?」
「ん? そーだけど……」
描いている途中の絵を見られることがあまり好きじゃないから、すぐに紙をひっくり返して隠した。
「いーじゃーん。見せてくれても」
「やーだ。春一だって書きかけの小説見られたくないでしょ?」
あたしの反論に言い返せなくなった春一は、悔しそうに眉根を寄せて無言で小窓を閉めた。ジャージ姿で頭には寝癖、寝起きなのか徹夜明けなのか、だるそうなままの格好でお店に入ってきた。
「ちょっと、そんな格好で入ってこないでよ。お客さん来たらどーすんの?」
あたしの言うことも聞かずに、真っ直ぐ春一は時計の下まで歩き、立ち止まった。
「なぁ、この絵って、もしかして、なずなが描いたの?」
春一は額縁に入った絵を指差しながら、片手をポケットに突っ込んだまま振り返って聞いてくる。
「え……?」
指先を辿ると、春一がここに居る事を認めた日に描いた絵が置かれていた。あの日に飾ったまま、ずっとそこにあったんだ。
「……この絵にこの額縁はヤバイだろ? 合わねぇー」
「なっ!」
「けど、この絵は好き。すっげぇ上手い」
春一は額縁を手に取り、頷きながら眺めている。
「……あ、ありがと」
なんとなく褒められてはいるんだろうと、照れつつもお礼を言う。
「なずなには絵の才能があるんだなー」
「な! ないよ! 全然」
いつもなら「まぁね~」とのせられるはずなんだけど、絵のことに関しては適当にはしたくなかった。
「絵、描くの、好きなんだな」
春一が微笑んで言ってくれるから、そこは素直に頷いた。
「なぁ、なずな。今度俺の小説の表紙、描いてよ。なんか、今なら書ける気がするんだ。締め切りにはたぶん……間に合わないだろうけど……」
春一は額縁を元に戻してサンダルを脱ぎ、また小窓を開けた。
「なぁ、頼むよ」
こんなに頼み込んでくるなんてよっぽどだなと、あたしはさっきまで描いていた紙を春一に差し出した。
「こんなんで……いいの?」
「おぅ! 完成してたんじゃん」
あたしから紙を手に取り、春一は更に顔を輝かせて何度も頷いた。
「すっげぇいい! なんだよ、マジで上手いなぁ」
描いたのは、あの日の四人。浜辺で沈みゆく夕陽を眺めている所で、色鉛筆のグラデーションで、虹のような夜空と夕陽を作り出した。四人は手を繋ぎ、足元には小さなトンネル付きの三角山のお城。この夏の思い出を、一枚の中にすべて詰め込んだんだ。
「春一、これから千冬に恋愛、させてあげれるのかな?」
千冬の体の事は、何にも知らない。
どう悪くて、どうなるのか。どう苦しくて、どうしたらいいのか。千冬が帰ってから、不安ばかり募っている。今だって、もしかしたら苦しんでいるんじゃないかって、考えてしまう。
「……うん。けど、俺さ、千冬の運命の相手は、光夜しかいないと思うんだよね」
「……光夜くん?」
「俺のプロットでは、そう決まっているんだよね」
「……プロット?」
専門用語みたいな言葉を言われても、よく分からない。
その前に、千冬は春一のことが好きなんだと思うけど。それって、千冬は春一とは恋愛できないってことになるよね。
「光夜ってすごくない? 二年も病院に通って、スマホ買ってあげたり、外の景色の写真撮って来て励ましたり、ずっと千冬の支えになってきたんだよ。光夜だって、千冬しかいないって思ってる……」
春一は、どこか遠くを見つめるようにした後、こちらに視線を向けた。
「そんなに想ってくれている男がすぐそばにいるって言うのに、千冬は気付かないのかな?」
それは……千冬が春一を好きだから。だから、光夜くんじゃダメなんじゃないのかな? 春一は千冬の気持ちを知らないから、そんなことが言えるんだよ。気がついていないのは、春一の方だよ。
少しだけ春一を睨むような顔をしてから、目を反らした。
「……知ってるよ」
「……え?」
クスッと笑う春一の言葉に、あたしは直ぐ様顔をあげた。
「気づいてるから。なずなの気持ちも、千冬の気持ちも。俺を誰だと思ってんの?」
今度は得意げに不敵な笑みを浮かべ、あたしを見下ろすと「ベストセラー作家のハルイチだぜ?」と鼻で笑った。
「俺のプロット通りに、千冬にハルイチ的恋愛をさせてやるよ。そりゃ、現実はそう簡単じゃねぇ。けど、千冬を少しでも楽しませてやりたいから」
「……ほんとに出来るの?」
疑うような目で春一を見てしまう。千冬を悲しませるような事だけは、絶対にしてほしくない。
「ベストは尽くす!」
真剣な顔はふざけて揶揄っているようには見えない。春一は嘘なんてつく人じゃない。
「……じゃあ、春一に任せるよ」
「よっしゃ……「けど、あたしも行くから」」
「……え?」
「春一だけじゃ心配だもん。あたしも行く!」
なんだか、あたしだけ置いてけぼりになるみたいで寂しく思った。ただいつものように日々を過ごすだけなんて、そんなことをしていたら、一生このままな気さえしてくる。
決意を込めた強い眼差しを春一に向けながら訴えた。
「……行くって?」
「もちろん、東京よ!!」
意気込んではっきりとそう言った。
その時は、後の事も、先の事も、何にも考えずに口走っていて、けど、ゆるぎない決意だけは固くて、あたしは仁王立ちでつま先に力をこれでもかというくらいに入れて立っていた。
春一は目を見開いて驚いた後に、笑い出す。
「いいね、一緒に行くか」
この一言で、あたしの生活が一変しようとは、この時は知る由もなくて。けれど、時は静かに刻一刻と、過ぎ去っていく……
「あ、なずな絵の約束忘れんなよ?」
「ちょっと、それよりあたしの気持ちも知ってるってどうゆうこと?」
「ん? そんなこと言ったっけ? 忘れたーっ」
ぱたりと小窓を閉めてしまうから、あたしは小窓を開けて、階段を登り始めた春一の背中に叫んだ。
「何それ! じゃああたしだって約束忘れるから!!」
「それはダメー」
小さく聞こえてきた春一の返事の後に、部屋のドアが閉まる音が聞こえた。小さくため息をついて、カウンターに向き直った。
*
春一が東京に帰る日まで、あたしは仕事に専念して、今まで貯めてきた大金とは到底言えないお金の残高を確認して、青ちゃんに事情を説明した。
「シュンと一緒に東京に行く?! お前らいつの間にそんな関係に!」
「なってない、なってない」
焦る青ちゃんにあたしは冷静に突っ込む。
「まぁ、ちゃんと考えての決断だろうから、俺は何も言わねーよ。気をつけて行ってこいよ」
「ありがとう青ちゃんっ!」
快く承諾してくれた青ちゃんに抱きついた。
千冬、あたし、千冬に近い所へ行くよ! 何が待っているかなんて分からないけど、千冬がそこにいてくれることは、確実だから。
迷いなく会いに行くよ。だから待っていてね。
素敵な恋愛を、届けに行くから。
12
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
王の影姫は真実を言えない
柴田はつみ
恋愛
社交界で“国王の妾”と陰口を叩かれる謎の公爵夫人リュミエール。彼女は王命により、絶世の美貌を誇る英雄アラン公爵の妻となったが、その結婚は「公爵が哀れ」「妻は汚名の女」と同情と嘲笑の的だった。
けれど真実は――リュミエールは国王シオンの“妾”ではなく、異母妹。王家の血筋を巡る闇と政争から守るため、彼女は真実を口にできない。夫アランにさえ、打ち明ければ彼を巻き込んでしまうから。
一方アランもまた、王命と王宮の思惑の中で彼女を守るため、あえて距離を取り冷たく振る舞う。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
辺境伯夫人は領地を紡ぐ
やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。
しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。
物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。
戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。
これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。
全50話の予定です
※表紙はイメージです
※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる