星と花

佐々森りろ

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第二十二章 最後の海

最後の海

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 久しぶりの星と花にやって来たあたしは青ちゃんの姿を見付けるなり、飛びついた。

「青ちゃーん! ただいまー!」
「うわっ! びっくりさせんな、なずな」

 驚きながらも、青ちゃんは絡まってくる猫を扱うように抱きつくあたしを引き連れたまま立ち上がって、春一にも「おかえり」と声をかけた。
 そういえば、春一がここへやって来た時も、こんなふうに春一と青ちゃんはがっしり抱き合っていたなと思い出して、同じことをしている自分に少し恥ずかしくなった。

「なに、自分から抱きついて来といて照れてんだよ。かわいいやつめ」

 ぽんぽんと大きな手で頭を撫でてくる青ちゃんはやっぱり優しい。会えなかった時間があったから、余計に優しさを感じてしまう。

「あ、青さん、また海まで車借りても良いですか?」

 春一が作業に戻った青ちゃんの背中に声をかけると、振り返った青ちゃんはバツが悪そうな顔をしている。

「わりぃ、シュン。この前車の調子悪くなってさ、今点検に出してんだよな。代車は別に使わねーし要らないって言っちゃってさ。夕方には戻ってくるんだけどさ」
「マジですか。どうしようかな。千冬、海まで歩けるかな?」

 あたしが海まで歩くとなると、そこまで遠くは感じない。思い立って時々散歩がてら何度も海には行っている。歩いて約十五分程度。海沿いマーメイドまで行けば、海はもう目前だ。
 そこまで千冬の体力が持つのかどうかは、本人とご両親に確認してみないといけないかもしれない。

「千冬に聞いてみるね」
「うん、頼む」

 スマホを取り出して、あたしは千冬にメッセージを送った。すぐに返ってきたメッセージには、前向きな言葉が並んでいた。
 もうこちらに向かっているようで、運転中の両親に確認したら、十五分程度なら無理しなければ大丈夫だろうと言われたようだ。

「アゲハって、なずなの友達の光夜って男と一緒に北海道行ってんだろ?」

 青ちゃんが作業の手を止めることなく聞いてくるから、あたしは「うん、そうだよ」と頷く。
 だけど、青ちゃんはそれきりなにも言わなくなった。きっと、また姉は何も言わずに連絡もせずに仕事に飛び回っているんだろう。青ちゃんが姉を大好きなことは知っているから、きっと心配なんだろう。

「光夜くんは千冬しか見えてないから安心してよ、青ちゃん」
「分かってるよ。慰めるな」

 あたしがそっと広い背中に手を当てて言うと、ギロリと瞳がこちらを向く。分かってるけど、絶対イライラしていると思って、あたしはそっと青ちゃんから離れた。

 外に出ていた春一を見つけると、坂の上から街を一望していた。
 夏の終わり。秋の気配も感じるお昼過ぎ。太陽はすでにてっぺんから傾き始めていて、吹いてくる風も半袖から伸びた肌に心地いい。鬱蒼と茂って揺れる緑の匂いを胸いっぱいに吸い込んでからゆっくり吐き出すと、あたしは春一の隣に並んだ。

「何見てるの?」
「ああ、千冬と海まで行く最短ルート考えてた。意外と坂多いしさ、行きは下りだからまだ良いけど、帰りは行きとは別ルートが良いよなと思って、記憶を思い出してた」

 見渡しながら、春一は顎に手を当てて考え込む。
 千冬のことをすぐに考えてあげられる春一がいつもながら優しくて凄いなと思ってしまう。
 海に行ったら潮風が冷たいかもしれないから、大きめのタオルを持っていこう。砂浜を歩くのにビーチサンダルも千冬の分も持とうかな。
 なんだか、考え出すと、ワクワクしてくる。

 遠く、見覚えのある車が見えて、あたしはすぐに千冬の両親の車だと分かると大きく手を振った。
 星と花の駐車場スペース、いつもは青ちゃんの車が置いてある場所に車を停めると、後ろのドアが開いて千冬が降りて来た。

「なずなちゃん!」
「千冬ーっ!」

 ふんわりした白のロングスカートにレースのブラウス。優しいライトイエローのカーディガンを羽織った千冬は、少し前より小さく細く見えた。だけど、笑顔は変わらずに元気そうでかわいい。
 あたしはそっと千冬を抱きしめてから、両親に挨拶をする。

「今日はよろしくお願いします。私たちは近くの知り合いの所にお邪魔する予定にしていたので、お友達同士で楽しんできてね。よろしくね、なずなちゃん」

 千冬のお母さんが頭を下げるから、あたしも「はい」と小さく会釈をした。

「何も無いのが一番だけど、もしも何かあったときはここに連絡をください。すぐに駆けつけますから」

 そっと、千冬のお父さんがあたしに一枚の紙を手渡してくる。
 そこには、千冬のお父さんの携帯番号が記されていた。心配しないわけじゃない。むしろ、心配しかないのかもしれない。だけど、娘のやりたいことを精一杯に見守る覚悟を決めているような両親の顔に、あたしも気持ちを引き締めるように頷いた。
 すぐにスマホを取り出して、この番号に電話をすることなく楽しめますようにと、祈りながら番号を打ち込んで登録した。

 残すは光夜くんのみ。
 外は涼しい風があるとはいえ、まだまだ暑い。
 千冬の両親と別れると、あたしたちは家の中で待つことにした。
 リビングで千冬が両親と過ごしていた日々のことを話してくれていると、ようやく「たっだいまー」と、玄関から疲れ果てた姉の声が聞こえて来た。

「飛行機遅れるし、光夜くんと逸れるしでめっちゃ疲れたー!」

 普段仕事や遊びのことで愚痴をこぼさない姉が、なにやら大きな声で愚痴っているのを聞いて、驚いてしまう。
 リビングの端に荷物を置いて、ソファーに座る。後から入って来た光夜くんは「すみません」と小さく謝っているから、本当に何事かと思ってしまう。

「光夜くんさぁ、千冬ちゃんのお土産は絶対これじゃなきゃダメだって言って、仕事終わりに勝手に行動始めちゃってさ。あたしスマホ持ってたから連絡ついて良かったけど、あれ、あのまま北海道に置き去りにするとこだったからね?」
「……すみません」
「北海道はでっかいどうなんだからねー!」
「……すみません」

 ひたすら謝って、姉がボケたのにもツッコまずに落ち込む光夜くん。

「すみません!」

 突然、ソファーから立ち上がった千冬が光夜くんのそばまで行くと、そう言って謝った。

「あたしのお土産のために、ごめんなさい」

 ソファーに全身を預けていた姉は急いで起き上がると、千冬の前まで近づく。

「光夜くん、行きも帰りもあたしの隣でずーっと千冬ちゃんの話ばっかりしてたよー。お土産買う話も聞いてたけど、もう恋は盲目だね。愛されすぎてるよ。ほら、おかえりのハグしてあげな」

 呆れたように、だけど優しく微笑んで、姉は思い出したかのように「あたしもハグしてあげなきゃ!」と言って、階段を降りていってしまった。

「ハグって……何言ってんだろうな」

 照れ笑いする光夜くんに、千冬は向き合うと、ギュッと抱き付いた。
 光夜くんも、あたしと春一までも、千冬の突然の行動に驚いてしまう。

「おかえり……おかえり。会いたかった。一週間、すっごく、すっごくすっごく……長かった……」
「……千冬……俺も」

 光夜くんの腕が小さな千冬を包み込む。大事そうに、壊れてしまわないように、優しく、そっと。

「会いたかった」

 一週間会えないなんて、好きなら、大好きなら、本当に長い時間だったと思う。だって、好きな人とは一分一秒でもそばにいたいって、ハルイチが書いていた。
 会えない時間が、会えた瞬間にぎゅっと詰まっていた好きをはじけさせるんだって。
 今、二人はきっとあたし達のことも忘れているのかもしれない。

 そっとリビングから出て、あたしは春一と三階のベランダに出た。
 見上げると鱗雲が広がる秋の空。陽が優しく街並みを照らす。
 千冬が今一番一緒にいたいのは、あたしや春一じゃなくて、光夜くんなんだろうな。なんだか、そう思うと少しだけ寂しくなった。

「なずな」

 春一に呼ばれて、あたしは視界に広がる景色から横に並ぶ春一に視線を移した。

「なにしんみりしてんだよ。海行ってなにする? マーメイドの秋の新作パフェでも食いに行く?」

 ニカっと笑って、春一が言うから、沈んでしまっていた心を振り払うように何度も頷いた。

「行くっ! 砂浜でまた千冬のお城つくろうよ! 今度はもっとでっかいやつ!」
「お! いいねぇ。じゃあ陽が暮れる前までに完成目指してそろそろ二人に声かけますか」
「うん!」

 リビングに戻ると、ご機嫌な様子の青ちゃんが光夜くんと千冬に質問攻めをしていた。そして、二人がようやく気持ちが通じた経緯を聞いて、年々、弱々になっている涙腺を崩壊させて、姉に縋る勢いで泣いていた。あたしと春一は苦笑いをして見ているしかない。

 いつもはドンっとしている青ちゃんも、姉には甘えたがりなんだ。それは昔から変わらないから、もう知っているし、仕事で離れている時間が多いからこそ、そばに居る時の喜びはひとしおだと良く言っている。
 千冬が光夜くんと離れていた時間が、今回はきっと今までで一番長かったのかもしれない。そう思うと、千冬の笑顔が幸せに満ちているのを見れて、あたしまで幸せになれる気がする。

「千冬、海まで歩けるか?」
「うん、大丈夫だよ」

 外に出て、春一が先ほど選んだ海までの最短ルートを指差す。

「最短ルートで行けたらとは思ってるけど、疲れたら遠慮なく言って。光夜がおんぶなり抱っこなりしてくれるからな」

 隣に並んで歩く光夜くんに、「なぁ、光夜」と言って春一が笑うと、恥ずかしそうに光夜くんは首筋を掻きながら頷いた。

「……う、うん。お願い、します」

 素直に、だけど、いつになく控えめに小さく頭を下げる千冬が、照れているんだと分かると、途端に可愛く見えてきてしまう。

「千冬、あたしのことも頼っていいんだからねーっ」

 負けじと、あたしだって千冬の助けになりたいと、気合を入れる。勢いよく言ったあたしに、千冬は驚きながらも「ありがとう」と笑ってくれた。

 少し息は上がってはいるものの、ゆっくり進めた歩幅で光夜くんの北海道話や春一の執筆状況や、あたしの街中マーメイド情報を交互に話しながら、あっという間に海沿いマーメイドまで辿り着いた。

 春一が誘導してくれた道は勾配が少なくて、少し距離はあったのかもしれないけれど、歩きやすかった。
 入り口ドアを開けて中に入ると、今日も目の前にすぐに海が広がるガラス窓に圧巻する。
 一番奥の席に案内されて、千冬は無言のままずっと外の景色に見惚れていた。

「千冬、何か食べる?」

 ぼうっとしたまま外を眺めていた千冬に声をかける。すると、少し経ってからようやく反応して、こちらを向いた。

「あ、えっと、なに?」
「これ、メニューだよ。何にする?」

 小さくため息みたいな息を吐き出してから、千冬はあたしが差し出したメニューに視線を落とした。

「千冬、疲れたのか? 大丈夫?」

 隣に座る光夜くんが、心配そうに千冬に聞く。

「うん、少しだけ。でも、大丈夫だよ。あたし、何か飲みたいかな、あったかい飲み物がいいな」
「そっか、あったかいのでおすすめある? なずな」
「えっとね、紅茶はどうかな? すごくいい香りなの気持ちもリラックス出来るかも」
「うん、じゃあ、それにする」

 すぐに千冬は頷いて、他のメニューは見ないでまた海を眺めていた。
 きっと、パフェを食べる気分ではないんだろうなと、あたしも飲み物だけで済ませようとした瞬間、「俺となずなは新作パフェね」と、春一が決まったように言うから、目を見開いた。

「ん? 食べないの?」
「え、あ、いや……」

 食べたいけど。

「新作パフェってどれ?」
「ん? これだよ」
「わぁ! かわいいっ!」

 さっきまで虚だった千冬の瞳が、春一の指差したメニューの写真を見て、一気に煌めき出す。

「でしょ? 千冬は苦手なもんあるの?」
「……とくにはないんだけど、これを一人では食べきれないかな」
「だったらなずなに味見させてもらったら良いじゃん。俺のでもいいけど、光夜に怒られそうだし」
「え? 別に……怒んねーし」
「あ、そう? なら千冬、俺とあーんしよっか?」
「え!?」

 まだパフェは頼んでいないから、エアー動作で千冬にパフェを食べさせる仕草をする春一に、千冬が真っ赤になって困った顔をするから、呆れていたはずの光夜くんまで顔を赤くして春一を睨む。

「千冬、食べたいなら春一じゃなく、なずなからもらって」
「……う、うん」

 なんだか、千冬を取り合うみたいな構図に、あたしは一人キュンとしてしまう。そして、そんな三人のやりとりが微笑ましくて笑ってしまった。

「あはは、千冬モテモテだ」
「え?! そ、そんなこと……」
「どうする? やっぱりここはあたしを選んでくれるよね?」

 光夜くんはパフェは頼まないし、春一のパフェはきっと光夜君の前ではもらえない。だったら、残る選択肢はあたしのパフェを貰うのみ。

「なずなちゃんに少しだけもらう!」
「やった!」

 強引な千冬取り合戦はあたしが勝ちをもぎ取った。嬉しさで運ばれてきたパフェが何十倍も美味しく感じる。千冬は本当に少しだけ、控えめに一口スプーンで掬っただけで、満足げに笑ってくれた。

 陽が傾くのが早くなった。
 とは言え、まだまだ日は長いけれど、夏の真っ只中よりは時間が進むにつれて、日差しが優しく照らしてくれる。
 海まではあと少し。
 休憩をして回復した体で、最後の坂をくだる。

 潮風に磯の匂いが混じって、海がすぐそばだと感じる。砂浜にはあたし達以外にも何人かの姿が見えた。

「千冬はここで座ってて」

 千冬にビーチサンダルと日傘を渡すと、あたしもビーチサンダルに履き替える。

「みんなで千冬のお城もっかい作るからね!」
「え!」

 春一と一緒に走っていって、良さげな場所に砂をかき集めだす。ショートパンツを履いてくればよかったなと思ったけれど、ズボンの裾を捲って、あたしは砂がつくのも気にしないで夢中になった。
 途中から千冬も混じって、黙々と砂を盛る。

 千冬といられる夏が、これで最後だなんて思いたくない。季節はもう夏を過ぎて秋に入っているんだ。冬が来て、春が来て、また来年の夏も、こうやって四人で過ごしたいって、どんなに思っただろう。
 千冬のふとした瞬間の不安そうな顔、今でも思い出すと胸が苦しくなる。

 だけどね、あたしは、それ以上に千冬の笑顔が、笑い声が、あたしの名前を呼んでくれることが、ずっとずっと、心に残っている。
 いつだって思い出すのは、千冬の笑顔なんだよ。



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