朝日に捧ぐセレナーデ 〜天使なSubの育て方〜

沈丁花

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第二部

※温泉旅行※⑤(静留side)

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__格好いい…。

脱衣場の中、目の前で東弥が洋服を脱ぐ姿を静留はぼうっと見つめた。

思えば彼の生身の身体を見たことは今まで一度もない。

一度夜に触れた時も露出されたのは一部分だけだったから、細身でありながらも綺麗に筋肉がついた均整の取れた身体を目にするのはこれで初めてで。

鼓動がモデラートくらい早くなっている気がする。普段は東弥と一緒でもアンダンテくらいなのに。

「静留、脱がないの?」

ぼうっとしていたところに突然尋ねられ、なぜか混乱して彼の身体に抱きついてしまった。

彼の身体に抱きつくのはいつもの癖だが、今日は生身の肌の感触がして、自分が何をしているのか意識し身体が動かなくなる。

「あの、…手伝おうか?」

しばらくして、困ったように東弥が言った。

__どうしよう…。

そういえば、と先程車の中で東弥に肌を晒した時のことを思い出す。

どうしてこのタイミングで思い出してしまったのだろう。さらに身体が熱くなってしまうのに。

「静留、具合悪い?」

今度は心配そうな声で尋ねられ、静留はふるふると首を振った。

「風邪引いちゃうから、ほら、万歳して。」

「!?」

いきなり上を向かされたかと思うとそのまま強めのglareが放たれる。

静留が本能的に手を上げた瞬間、東弥は静留の着ている服の裾を掴み、一気にまくり上げた。

東弥の部屋着は静留にはぶかぶかで、いとも簡単に取り去られてしまう。

そのままあっという間に下も脱がされ、先ほどと同じ一糸纏わぬ姿になってしまった。

「うぅ…。どうしよう、おふろの前なのにあつくなっちゃった…。」

明かりの下で、また東弥に恥ずかしい姿を晒してしている。

下腹部に熱が溜まっていく。

__東弥さんは、あつくないのかな…?

ふと寂しくなった。

東弥は何も感じていないのだろうか。

自分は東弥に肌を晒すことにも東弥の肌を見ることにもこれほどまでにどきどきしているのに。

恥ずかしさと寂しさというちぐはぐな感情が同時に湧いてきたことでさらにどうしていいか分からなくなり、また東弥に抱きつくと、今度は腹部に何か硬いものが触れた。

「…これ…。」

その熱の正体に気が付いた静留はそっと中心に触れてみる。

「…あー、気づいちゃったか。ごめんね。

俺も男だから流石に大好きな静留の身体を見て無反応ではいられないし、でも気にしなくていいから、早くお風呂に入ろう。」

静留に優しく言い聞かせながら気まずそうに彼は笑う。

__おんなじ、なんだ。

「あのね、僕も…。」

同じだよ、と言おうとしたら、言い切る前に東弥が小さく頷いてくれた。

「うん。大きくなってるから、湯船に入る前に気持ちよくなろうね。」

脇に手を入れられひょいと抱き抱えられ、そのまま浴室に連れて行かれる。

東弥は互いの身体をいったん雑にシャワーで流した後、ボディーソープを纏った大きな手のひらで優しく静留の熱の中心を包んだ。

「そのまま立っていて。」

「えっ、あのっ… 」

目の前には大きな鏡がある。裸で立ったまま触れられたら、その鏡に顔も身体も全て映した状態で達してしまう。

「や、やっぱり、だいじょうぶ…。」

あまりにも恥ずかしくてそう言ったけれど、東弥は手を止める代わりに静留の唇に軽くキスを落とした。

「そのままだと辛いでしょう…?Stay.じっとして

放たれたcommand命令で動きを止められる。

もう一度やめてと言おうと開いた唇は塞がれ舌を入れられ、結局言葉を紡ぐことはできなかった。






くちゅくちゅと舌の絡む音が響く室内で、東弥の手が、慣れた様子で静留の屹立を擦っていく。

「んんっ… 」

彼の手は静留の気持ち良いところを熟知していて、静留は堪えきれず重ねられた唇の間から喘ぎを漏らした。

「…かわい。」

唇が離れ、東弥が低く掠れた声で色っぽくささやく。

その言葉にどきりとして、ぴくりと自分の肩が跳ねるのがわかった。

次第に手の動きが早くなる。

東弥の切れ長の目と視線を交わせばさらに身体は熱を帯びて。

快楽の波がせりあがり中心に集まり、静留はすぐに達してしまった。

潤んだ目、上気した頬、薄紅に染まった中心から出た白濁、汚れた東弥の手。

鏡に映る自分の醜態に、恥ずかしくて手のひらで顔を覆う。

そんな自分を初めて見たが、それが恥ずかしい姿だということをさすがに理解した。

しかし東弥の手は静留の手首を優しく掴み、手のひらをそっと剥がす。

「どうしたの?」

じっと目を見て尋ねられ、静留は泣きそうになるのを堪える。

「…はずかしい、から…。」

「恥ずかしくないよ。かわいい。上手にできたね。」

切れ長の瞳が柔らかに細められ、甘いglareが静留の身体を愛しげに撫でた。

そのまま今度はしっかりと身体を洗われ、東弥も自身の身体を洗う。

静留の長い髪をゴムで括った後、彼は静留を抱き上げ湯船に入れてくれた。

「きもちいい…。」

普段湯船に浸からない静留は、温かな湯に身体を包み込まれる感触の気持ちよさに驚き混じりに声を漏らす。

「よかった。気に入った?」

東弥は陽だまりのように笑んで、静留の頭を撫でてくれる。

「うん。…でも、あのね…。」

「ん?」

「あの、ね、…おひざの上がいい…。」

きっと東弥の体温ならばもっと落ち着くし気持ちいい。

そう思い、今は裸だから少し恥ずかしかったけれど、恐る恐るお願いしてみる。

少しの間沈黙が流れた。流石に断られてしまうだろうか。

「いいよ、おいで。」

しばらくして東弥が静留の方へ両の手を伸ばし、彼の膝の上に向かい合わせに座らせてくれた。

いつもと同じ体勢だが、やっぱり何も身に纏っていないとはずかしい。でも気持ちいい。

「静留、見て。海が見えるよ。きれいだね。」

東弥に言われ指差された方を見てみると、ちょうどオレンジ色に染まった海が視界に入った。

「きれい…。」

何か綺麗な曲が思い浮かびそうなこの光景を、静留は目に焼き付けて、忘れないようにしようと思う。

先ほど東弥と足を浸した場所はどこだろうか。

探すけれど、広い海の中でその場所がどこかはわからない。

「たまたまちょうどいい時間だったね。これから色々な色に染まるよ。」

「ほんとう!?」

「うん、本当。」

彼の言う通り、しばらく見ていると橙から茜、そして紫へと空は次第に色を変えていった。

美しいグラデーションはいつまで見ていても飽きない。

「楽しい?」

ふと、東弥が静留の髪を優しく撫でた。

「うん!」

空はいつまで見ていても飽きないけれど、空の色を映した東弥の瞳は空よりももっと綺麗で。

大好きな彼の身体に、静留はぎゅっと抱きついた。

“よかったね”、と耳元で東弥が囁く。

彼の体温に身を預けながら、幸せで口元が綻んだ。

ふともう一度空に目をやると、星が綺麗に輝いている。
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