贖罪のセツナ~このままだと地獄行きなので、異世界で善行積みます~

鐘雪アスマ

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第3章謎の少女とダンジョン革命

138・身の危険②

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それからとぼとぼ私は夜道を歩いていた。

「収穫無しですか、危険を冒して得たものでもないですね」
「さーな、今頃エドナ達はカンカンだぞ」
「うっ…そう思うと心苦しいです」

その時、カンっと音がした。
見れば足下に忍者が使うようなクナイに似た道具が落ちていた。

「気づかれましたか」

そうパチパチと拍手して二人の人間が現れる。
二人共覆面をしており黒装束を身にまとっていた。
一人は背が高く多分男だと思う。
もう一人は子供だろうか、背が低かった。

「結界が自動的に発動するとは、素敵な魔道具をお持ちのようで」

そう二人のうち背が高い男が言った。

「さっきのは私に攻撃してきたってことですね。
ということはあなた達が咎の輪廻教ですね」

私は口元の笑みを浮かべる。
私があえて外に出たのはタツキに会うためだがもう一つある。
それはさっさと咎の輪廻教をおびき出して捕まえること。
いつまでも監禁生活なんてご免だ。
それに私には攻撃を防ぐ結界魔道具がある。
サイクロプスとの戦いで起きた事はもう起きない。
結界魔道具は殺意がない攻撃でも防ぐよう作り替えたし、
それに念のために体に結界を二重にかけている。
今の私を殺せるのは怪獣の破壊光線ぐらいだろう。

「じゃあ、あなたを捕まえます。
ついでに組織のことも吐いてもらいます」

投擲が飛んできたが、また結界にはじかれる。
さぁてどうやって捕まえるかな。

「ルークやれ」
「《霊符展開、怠惰の霊符よ。我に従え》」

子供は何かのカードを掲げそう言った。
今だ。攻撃するチャンスは今しかない。

「《雷電(サンダー!!)》」

私の手から雷が放たれる……はすだった。

「え? 《雷電(サンダー)》《雷電(サンダー!)》
《雷よ》《雷よ。現れろ!!》」

だがどれだけ唱えても魔法が発動することは無かった。
こんなこと今までにない。まさか魔法が使えない…?
一体どうして!?

「何故妖精がここに居る?」
「俺が見えるのか?!」

ガイの姿も奴らに見えている?
ガイには隠密魔法がかけられている。
普通の人間にはガイの姿が見えないはずなのに…!

「まぁいい。ルーク」
「はい」

子供が虚ろな目で、ナイフを取り出すとそれを私に投げた。
肩にナイフが突き刺さる。
嘘だろ…! 攻撃は全て結界魔道具によりはじかれるはずなのに…!

「クッ、《雷電(サンダー…)》」

魔法を唱えるがやはり発動することは無かった。
そのうち視界がかすみ、立っていられなくなり、
私は地面に倒れ込んだ。

「よくやった。ルーク。
これで邪神の使者は死んだ」

邪神って私あんたらが神と崇める地獄神から力を貰ったんだけど、
そう言いかけて、口からごほっと血が出た。
あれ、これヤバイかも…。
ナイフに毒でも塗ってあったのか?
でも私は毒が効かないはずじゃ…。

「……《解除》」

子供は無言で私の肩に刺さったナイフを引き抜くと、
男達と一緒にその場を去った。

「セツナ…!! 死ぬな…!!」

ぼんやりとする視界の中、ガイが泣きそうな顔でこちらを見ているのが分かった。

ああ、人生って分からないな。
こんなところで死ぬなんて…。
やがて視界が暗転し、何も分からなくなった。





「ナ…、…ツナ、…セツナ!!」

誰かの声が聞こえる。ここは天国?
そう思って目をあけると、お母さんが心配そうな顔をしていた。

「…お母さん」
「セツナ、しっかりして」
「ここって天国? それとも元の世界に帰ったの?」

ああ、こんな風にお母さんに出会うなんて、久しぶりだ。
えっと学校はどうしよう。ずっと勉強してないから、
授業についていけるかな。

「私はエドナよ! しっかりして」

エドナ…そんなクラスメイトは居たっけな…。

「セツナ!!」

肩を揺すぶられ、それで意識が戻った。
ああ、ここは異世界、エドナは私の仲間だ。

「ごめん、エドナ…」
「謝らなくていいから、それより大丈夫なの…!」

見れば肩の傷は治っていた。

「怪我は治しておきました」
「フォルトゥーナありがとう。あとガイも。
ガイだよね。エドナ達を呼んでくれたの」
「これぐらい、いいって。
それより大丈夫か?」

そう言って体を動かすともう異常はないみたいだった。

「うん、もう大丈夫みたい」
「びっくりしたのだ。セツナは倒れているし、
血は出てるし、死んだのかと思ったのだ」

イオが心配そうにそう言った。
ずいぶんと心配させたようだった。

「ところでどうしてあなたが倒れていたの?」
「実は…」

私は自分の身に起こったことを説明した。

「はぁぁあああ!?
咎の輪廻教に会ったぁぁぁ!?」
「うん、おびき出すのにいいかと思って」
「このバカ! アホ! 考え無し!!
だったら最初に私達に相談しなさいよ!!」

エドナは予想していたように烈火のごとく怒った。
だって結界魔道具があるから大丈夫だと思ったんだよ…。
私も攻撃が通用されるとは思っていなかったんだよ。

「すみません…結界魔道具を過信してました」

私は魔法が使えなかったことをエドナに説明する。

「え…、魔法が出なかった?」
「はい。結界魔法も発動しませんでしたし、
私には効かないはずの毒も効きました」
「まるで魔法を無効化したみたいですね」
「そうですね」

一応確認したが、私の結界型魔道具もガイの魔道具も今は正常に作動していた。
問題は何故あの時に作動しなかったのかだ。

「何か気になったことはない?」
「そういえば怠惰の霊符がどうとか言って、変なカードを掲げていました」
「それってまさか大罪の霊符?」
「何ですか、それ?」
「この世に7枚あるとされる伝説のカードよ。
強大な力が込められていて、
人を罪に誘う感情がシンボルとなっているわ。
確か傲慢、強欲、嫉妬、憤怒、色欲、暴食、怠惰の7枚あるとされるわ」
「それって有名な7つの大罪じゃないですか」

7つの大罪は結構漫画の中では使われることが多いので、
私は普通に知っている。
確かこの感情そのものは罪では無いが、
罪を導きやすいとされる感情だったような。

「でもそれって伝説の代物ですよね」

フォルトゥーナがそう言った。

「いいえ、実在するわ。
確か色欲の霊符を持った人間を王都で見たわ」
「なるほどもしかしたら怠惰の霊符は、
魔法やスキルを無効化出来る力を持つのかもしれません」

だとしたら非常に厄介だ。
毒が効いたところを見ると、
私が持っていたスキルも無効化されていた可能性もある。
もしかしたら相手があの時、怠惰の霊符を解除したから、
私の持っている毒を無効化するスキルが、毒を治したのかもしれない。
ということは一足遅ければ、私は死んでいたかもしれない。

「とにかく伯爵夫人に本当に咎の輪廻教が居たことを報告しましょう。
そして警備を倍に増やしてもらいましょう」
「そうね」

次は負けない。そう改めてそう決意した。
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