贖罪のセツナ~このままだと地獄行きなので、異世界で善行積みます~

鐘雪アスマ

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第4章起業しましょう。そうしましょう

215・暗号

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「ところでタツキさんが、
エドナを捜していた理由って何ですか?」
「ああ、それは竜について聞きたいと思ったからじゃ」
「え、竜を?」
「エドナ殿は竜を倒したことがあるのじゃろう?
竜を殺したお主なら竜について何か知っていると思ったのじゃ」
「その竜殺しっていうのはデマなんだけど」
「何じゃと!?」
「まぁドラゴンに会ったことは確かだけど、
逃げるので精一杯だったわ」
「何と…では妾の努力は無駄だったということか。
お主に話を聞こうと思った矢先に失踪したので、
あちこち捜しておったが、一向に見つからなかった。
そしたらアアルでお主が魔族を倒したと聞いたので、
アアルに来たら視察団から逃げるためにオデットに行ったと聞くし、
で、オデットに行ったら、今度はチコの村に行ったと聞いたから、
チコの村に行ったのだが、またしてもすれ違うし、
本当に居場所を聞くのに苦労したぞ」
「苦労をかけたみたいね」
「まぁよい。代わりにセツナに会えたからのぅ」
「でもタツキさん、何でドラゴンについて調べていたんですか?」
「竜に最近異常が起きているからじゃ。
元々竜は人を襲うことなどそうそうにない。
じゃが最近は竜が人を襲う事件が頻発しておる。
じゃから竜を倒したことのあるエドナ殿なら、
何かその手がかりを知っているかもしれないと思ったのじゃ。
まぁ実際にはとんだデマだったわけじゃが」

そうがっかりした様子でタツキは言った。

「しかしお主はアビスによって力を与えられているのじゃな?」
「そうです。
私はヒョウム国でかつて皇帝のカルマを押しつけられました」
「カルマ転移の術じゃな。
かつてタロウが研究していた術じゃ」
「はい、それを皇帝が見つけて、
自分のカルマを私に押しつけました。
そして私が死んだ後で、
生き返って善行を積まないかと地獄神に持ちかけられました」
「なるほどそういう事情じゃったか。
まぁ生き返らしたのがアビスというのが驚きじゃが、
しかしすまなかった。
まさかあの術が皇帝に伝わっているとは、
てっきり妾はタロウの研究資料は全て処分したものだと思っていた」
「いえいえ、タツキさんが悪いわけじゃないんですから、
気にしなくて結構です」
「そうか」
「あ、そうだ。気になっていた物があるんですが」

そう言うと私はマヨヒガ島で拾ったUSBメモリを取り出す。

「これタロウさんがマヨヒガ島に残した物で、
私の世界の記録媒体なんですけど、心辺りはないですか?」
「そういえばまだ妾が幼い時に、
タロウが埋めたのを見たことがあるような…」
「中のデータを確認したいんですが、
どうやったら見られると思いますか?」
「ちょっとそれを貸してくれぬか」

そう言うとタツキはUSBメモリを手に取ると、
何とそれをパカッと半分に割った。

「何するんですか!?
これだとデータが見られないじゃないですか!」
「よく見てみろ」

そう言ってタツキがUSBメモリの残骸をくれた。

「あれこれって…」

中には1枚の紙が入っているだけで、
何も入っていない。

「タロウはこうしたいたずらが好きじゃったからな。
おそらくこれは記録媒体に見せかけた小物入れじゃ」
「全然気がつかなかったです…」
「中の紙を見てみるのじゃ」

すると中にはこう書かれていた。


『空き缶、カフェ、気球、リコーダー、
ゅうえんち、牛、ノート、折り紙。
日記、子供、体育、映写機、歯医者、
あじさい、ルームシェア。

ヒント・脳こそは人体を統一する王なり』

「何ですかこれ、暗号でしょうか?」
「ふむ何と書かれておるのじゃ?」

文字は日本語で書かれていたので、
私は書かれている内容をみんなに説明した。

「意味不明ね」
「タツキさん何か分かりますか?」
「ふむ、全くもって意味が分からん」
「タツキさんでも分からないんですか?」
「ひょっとしたらこれらの物事に共通点があるやもしれぬが、
それが分からぬ。
ヒントもまるで意味不明じゃ」
「しかし何でゅうえんちだけが、
最初が小文字なんですかね?
ああ、考えれば考える程分かりません…」
「ひょっとして色が共通しているとかかしら」
「いや、色なんてバラバラですよ。
でも私の世界の物が多いです。
これってひょっとして異世界人にしか、
解けない問題なんでしょうか?」
「だと思うわね。
じゃなかったら残さないでしょう」
「そうだリンはどう思いますか――ってあれ…」

振り返るとリンは泡を吹いて気絶していた。

「ああ、そやつなら妾が竜に変身した時に驚いて失神したぞ」
「まぁそれが普通のリアクションよね…」

そう言うとエドナはリンをおんぶした。

「じゃあ一度報告のためにアアルに戻りましょう。
こいつを突き出さないといけないからね」

そうエドナが気絶しているヘイニーさんを見て言った。

「そうですね。
竜はもう居なくなったことをギルドに報告しないといけませんし、
事の元凶であるヘイニーさんも突き出さないといけないですし」
「そうか、なら送っていこう」

そう言うとタツキが再び竜の姿になる。
私は馬車をアイテムボックスにしまうと、
タツキの背に皆で乗った。

「では行くぞ」

そう言うとタツキは空を飛んだ。

「うわぁ、すごいー」

風が気持ちよかった。
景色も最高だった。

「どうじゃろう、すごいじゃろう」

そうタツキが言った。

「でも姿が見られたら大騒ぎになりませんか?」
「大丈夫じゃ、存在を隠す魔法をかけておるからのぅ」

そうしてそんな時間も経たないうちにアアルにある私の家にたどり着いた。
そして全員がタツキの背から降りると、
タツキは人間の姿に戻った。

「ところでセツナよ。
ヤトノカミに行かないかのぅ?」
「え? タツキさんの国ですよね」
「そうじゃ、ちょっとヤトノカミでは困ったことが起こっておってな。
お主にそれを解決して欲しいのじゃ。
お主はあれじゃろう。禍福の女王じゃろう?」
「それはデマですって、
ていうかトラブルぐらい自分で解決したらどうですか」
「妾では解決するのは無理なのじゃ。
それにヤトノカミに来れば、味噌汁と白米が食えるぞ」
「なん…だと…」

タツキの言葉に私は雷に打たれたような衝撃を受けた。

「ヤトノカミはタロウが広めたので、
和食を食べる文化があるのじゃ。
団子や刺身、味噌汁におでんもあるぞ」
「行きます!」

多分答えるのに一秒もかかってないだろう。
味噌や醤油を自作しようと思ったこともあった。
でも失敗ばかりで味噌汁を飲むのは無理だと諦めていた。
それが飲めると聞いて、私の心はヤトノカミ一色になった。

「セツナ、いいの?
即決して」
「良いんです。日本食はずっと食べたいと思っていたんです!
だから行きます! 反対されても行きます!
絶対行きます!!!」
「そうか、
では明日お主を迎えに行くから楽しみに待っておるのじゃ」
「やったぜー、日本食が食べられる。
ぐふ、ぐふ、ぐふふふ、うへへへ…」
「その笑い方…」

エドナがドン引きした目で見てきたが関係なかった。
だって夢に見た日本食が食べられるんだもの。
嬉しくて嬉しくて、浮かれちゃう。
だって日本食は自分で作れることは作れるけど、
味噌とか醤油とかわざびとかは自分で作れないからな。
それにこの国の米って、そのまま食べてもおいしくないんだよな。
何て言うかすっごくパサパサしている。
だからリゾットにして食べるのが普通だ。
でもタツキさんは白米が食えると言った。
ようやくまともなお米が食えると知って私は大喜びだった。

その後私達はギルドに行き、
事情を話してヘイニーさんを警察に突き出した。
ヘイニーさんがやったことは研究のためとはいえ、
明らかにやり過ぎだ。
死刑になったと後で聞いたが、
自業自得だと私は思ったのだった。

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