ツイングリッター

シャオえる

文字の大きさ
20 / 44

20. 会えたら微笑んで

しおりを挟む
「本当にすぐ戻ってきた……」
 リリーにディオロイ城の稽古場に戻されたシャーロット。ほんの一瞬前まで両手に持っていたはずのクレープはなぜな無くなっていた
「じゃあまた後でね」
「えっ、どこ行くの?」
「シャロのところ」
 と、リリーと稽古場の真ん中で話しているとシャーロットを見つけた家政婦達が大慌てで稽古場に入ってきた
「シャーロット様!」
「良かった。探していたのですよ」
「どこにいたのですか?お怪我はありませんか?なにか……」
 シャーロットを囲うように家政婦達が集まる。あちこちから聞こえる話を聞こうとあたふたとしているその隙にリリーが稽古場から逃げだした
「なんなのよ、みんな矢継ぎ早に……」
「不審者がまた入ったんですよ、それでみんな心配して探していたんですよ」
「探していたの?私はずっと稽古場にいたわよ」
「えっ、でも……」
 シャーロットの返事に家政婦達が首をかしげ顔を見合わせる。家政婦達の様子にシャーロットが笑って誤魔化そうとしていると、稽古場の入り口がまた騒がしくなり、次々に魔術師達が入ってきた

「シャーロット」
「お父様!」
 一番最後に稽古場に入ったクロームがシャーロットを呼ぶ。声に気づいたシャーロットがクロームの姿を見て嬉しそうに駆け寄る
「お父様、帰っていたのですね!」
「ああ。少し時間が空いてね。シャーロット、怪我はしてないかい?」
「ええ、もちろんです」
「剣術の練習も素敵だけど、魔術の方の練習もしているかい?」
「いえ、それは……その……私は」
 クロームの質問に元気だったシャーロットの声が辿々しくなり、返事に困っているとクロームの側にいた家政婦がそっと声をかけた
「クローム様、お時間が……」
 家政婦がそう言うと、クロームが一度頷いてシャーロットにまた話しかける
「シャーロット、僕達はもう仕事に向かわないと行けないんだ」
「分かっています。不審者は私の剣術で倒しておきます。安心してください」
「それはとても心強いね」
 素振りする真似をしながら言うシャーロットの言葉にクロームがフフッとまた笑い、入り口の方へと向かっていく。稽古場から去り際に少し振り向きシャーロットを見る。家政婦達に囲まれあれこれ質問をまたされて困っている姿を見た後、近くにいた魔術師を呼び、シャーロットに聞こえないように小声で話しかけた
「僕達のどちらかが帰ってくるまでシャーロットを見張っているように」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

完結 シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣

織部
ファンタジー
 ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。  背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。  母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。  セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。  彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。  セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。 「セラ、ウミ」 「ええ、そうよ。海」 ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します! カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

陰陽師と結ばれた縁

サクサク
ファンタジー
2本に古くから続く一族の直系に生まれた女の子、安倍咲月は一族の中では霊力と神力が少なく、使用人や分家の親族からは“役たたず”と呼ばれていた。 だが、現当主である成親は彼女に最大限の愛情を注いでいる。 そして、そんな彼女の傍には強い力を持たないのその姿を見る事すっらできない、守護神である十二神将が控えていた。 18歳の誕生日に他の兄妹と同じように、一族内での成人式裳儀に挑むことになるのだが・・・・・。 ※なろう、カクヨムでも同じ小説を掲載中です。 どうぞよろしくお願いいたします。

クラス召喚されて助かりました、逃げます!

水野(仮)
ファンタジー
クラスでちょっとした騒動が起きていた時にその場に居た全員が異世界へ召喚されたみたいです。

処理中です...