(完結〉恐怖のギロチン回避! 皇太子との婚約は妹に譲ります〜 え? 私のことはお気になさらずに

にのまえ

文字の大きさ
13 / 75

13話

しおりを挟む
 別荘に新たな家族、アオ君が増えてから一週間。
 
 本日は待ちに待った冒険ギルドに行く日、といってもデュオン国にある冒険者ギルドではなく。国境門の先にあるカーシン国の冒険者ギルド行く事にした。

 今カサンドラが住んでいるデュオン国で、冒険に必要なギルドカードを作ると……カサンドラが取得して、冒険者になったと、王宮の冒険者管理局に伝わってしまう。

 また、そこで。公爵令嬢カサンドラはアサルト殿下に婚約を破棄されて、やけで冒険者になったとか。ツレに男(アオ君)がいるなどと不愉快な噂が立つ。

 そんな、面倒なことは避けたい。

 いろんなリスクがある、サタの街の冒険者ギルドに行くより。国境門を越えて違う国へ入国するのは、旅行気分も味わえていいんじゃないかと、昨夜の夕食の時間にみんなと話し合った。

 デュオン国と関わりがある隣国には、アサルト殿下とカサンドラの婚約破棄の話がすでに伝わっていて。カサンドラが冒険者ギルドに顔を出すだけで、噂になるかもと話した。

 そうするとアオが。

『じゃ、オレの故郷――カーシンがいいよ』

 と言った。

『隣国のカーシン? 確か、緑豊かで亜人族、人族など、いろんな種族が住んでいるのよね』 

『あぁ、そうだ。ドラはよく知っているな』

『まぁ習ったからね……』

『習ったからと言って、冒険者については何も知らないだろ? 教えるのはオレの知っている範囲になるけど、任せてくれ』
 
 アオの故郷。隣国カーシン国のギルドで冒険に必要な、ギルドカードを作ることにした。次の日の早朝。朝食後、キッチンでカサンドラとシュシュはお弁当作りをはじめ。アオは近くの村で移動に必要な、荷馬車を借りられないか聞きに行っている。
 
 
 キッチンのカサンドラとシュシュは、初めての冒険に花を咲かせていた。

「シュシュ、今日行く森には本の中に出てくる様な、モンスターがいるのよね」

「はい、いると思います。カサンドラお嬢様、モンスターとは本に書いてあった『ドロドロしたスライム』『緑色の皮膚をしたゴブリン』の事でしようか?」

 シュシュはファンタジーの本に出て来る、スライムとゴブリンの名前をだした。その本は私も読んでいて内容は把握している。

「まあ、あの本のスライムとゴブリン?……少し怖いわね」
 
「はい、少しだけ怖いです」

 モンスターの話をしながら、ハム、レタスなどを挟んだサンドイッチと、鳥のソテーを挟んだサンドイッチをお弁当に詰めていた。そこに近くの村で荷馬車を借りて戻って来た、アオは私達の話を聞き笑った。

「クク、ただいま。ドラとシュシュ、楽しんでいるところ悪いけど。いきなり二人をモンスターとは会わせない。初めての冒険だ、森で薬草の採取がいいよ」

「アオ君、おかえり。森で薬草の採取だけ?」
「お帰りなさいませ、そうなのですか?」

「あたりまえだろ? それにモンスターと戦えるのは五レベルからだから、採取などで冒険者レベルを上げないと、討伐クエストが受けられない」

「五レベル? 討伐クエスト?」
「モンスターと会えないのですか?」

 なんとも衝撃的な真実であった。



 荷馬車に荷物を詰めながら、アオは落ち込む私たちを励ます。

「ドラ、シュシュ、そんなに落ち込むなよ。冒険ついでにピクニックに行くと思えばいい」

「ピクニック? 私、した事がないわ」
「カサンドラお嬢様、私もです」

「えぇ、そうなのか……お日様の下で弁当を食べるのは格別だ。今日は天気もいいし、みんなでピクニックも楽しもう」

 お日様の下でお弁当を食べる?
 それは楽しみだわ。

「「はーい!」」

『採取もいろんな発見があって楽しいよ』と、御者席で荷馬車を操るアオは言う。
 その言葉に心躍らせて、カサンドラは目立たないよう後ろの荷台に乗った。国境門で国境警備騎士にデュオン国からカーシン国へと入国する為の、通行税の支払いをするシュシュはアオの隣に座る。

「じゃ、出発だ!」

「アオ君、よろしくね。ピクニック、楽しみですわ」
「はい、楽しみです」

 一時間ほど、荷馬車を走らせた私達は国境警備騎士に通行税を払い。石造の国境門を越えて、緑豊かな隣国カーシンに入国した。


 
 カサンドラ達が別荘を出発した二時間後。
 早馬が、カサンドラの別荘に到着した。

 別荘の呼び鐘を鳴らしても誰も出て来ない。
 早馬の使者は受取人しか開けられない『魔道具の手紙箱』に依頼された手紙を入れて、別荘のエントランスに置き去って行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!

仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。 ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。 理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。 ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。 マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。 自室にて、過去の母の言葉を思い出す。 マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を… しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。 そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。 ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。 マリアは父親に願い出る。 家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが……… この話はフィクションです。 名前等は実際のものとなんら関係はありません。

【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。 ※本編完結しました。 ※後日談を更新中です。

【完結】『運命』を『気のせい』と答えたら、婚姻となりまして

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
 ヴォレッカ・サミレットは、領地の危機をどうにかするために、三年ぶりに社交界へと婚姻相手を探しにやってきた。  第一にお金、次に人柄、後妻ではなく、できれば清潔感のある人と出会いたい。 そう思っていたのだが──。 「これは、運命だろうか……」 誰もが振り返るほどの美丈夫に、囁かれるという事態に。 「気のせいですね」 自身が平凡だと自覚があり、からかって遊ばれていると思って、そう答えたヴォレッカ。  だが、これがすべての始まりであった。 超絶平凡令嬢と、女性が苦手な美丈夫の織りなす、どこかかみ合わない婚姻ラブストーリー。 全43話+番外編です。

(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!

みん
恋愛
双子の姉として生まれたエヴィ。双子の妹のリンディは稀な光の魔力を持って生まれた為、体が病弱だった。両親からは愛されているとは思うものの、両親の関心はいつも妹に向いていた。 妹は、病弱だから─と思う日々が、5歳のとある日から日常が変わっていく事になる。 今迄関わる事のなかった異母姉。 「私が、お姉様を幸せにするわ!」 その思いで、エヴィが斜め上?な我儘令嬢として奮闘しているうちに、思惑とは違う流れに─そんなお話です。 最初の方はシリアスで、恋愛は後程になります。 ❋主人公以外の他視点の話もあります。 ❋独自の設定や、相変わらずのゆるふわ設定なので、ゆるーく読んでいただけると嬉しいです。ゆるーく読んで下さい(笑)。

【完結】異世界から来た聖女ではありません!

五色ひわ
恋愛
 ミシュリーヌは、第四王子オーギュストの妃としてフルーナ王国の王宮で暮らしている。しかし、夫であるオーギュストがミシュリーヌの寝室に訪れることはない。ミシュリーヌは聖女の力を持っていたため、妻に望まれただけなのだ。それでも、ミシュリーヌはオーギュストとの関係を改善したいと考えている。  どうすれば良いのかしら?  ミシュリーヌは焦っていた。七年間かけて国中の水晶を浄化したことにより、フルーナ王国は平穏を取り戻しつつある。それは同時に聖女の力がこの国に必要なくなったことを意味していた。  このまま、オーギュストの優しさに縋ってお飾りの妻を続けるしかないのだろうか。思い悩むミシュリーヌの前に現れたのは、オーギュストの恋人を名乗る女性だった。 ・本編141話 ・おまけの短編 ①9話②1話③5話

手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです

珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。 でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。 加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。

【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない

春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。 願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。 そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。 ※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

白百合の君を瞼に浮かべて

蒼あかり
恋愛
騎士隊副隊長のレイモンドは、第二王子アーサーの婚約者アリシアの事を密かに想っていた。 『白百合の君』と呼ばれるほどに美しいアリシアが、自分の起こした行動により婚約破棄を告げられてしまう。酔った勢いで婚約破棄を告げ後悔するアーサーだが、大きな力で婚約の存続は途絶えてしまった。それでもアリシアを手放せないアーサーが、執拗にアリシアを追い詰めてくる。そんなアリシアを守るために求め続けるも、二人はすれ違い続けついには行方知れずに。 年月を重ね、二人は再び出会うことができるだろうか? 他サイトでも掲載しております。

処理中です...