16 / 75
16話
しおりを挟む
いよいよ、冒険の始まりだわ。
道具屋に向かう前、冒険者ギルドでカサンドラ達が受けたクエストは、ギルド付近にあるロロの森で取れる『ミーンという薬草を十束採取する』クエスト。
アオはカサンドラ達よりもレベルが高いため、レベル補正がかかり、貰える経験値が少ないらしい。
『アオ君、いいの?』
『あぁ、このまま採取クエストを受理してください』
『かしこまりました』
採取のクエストを受けて、街の道具屋に向かった。
カランコロンと、ドアに付けられた真鍮のベルが鳴る。
今、カサンドラ達が訪れた道具屋は木造作りで、店の中は冒険者が使用する道具で溢れていた。
「初めて見るものばかりね、シュシュ、何を買いましょう」
「どれも面白そうで、迷います」
大きな盾、長剣、短剣、冒険者の服と、目移りするカサンドラとシュシュにアオは詳しく教えてくれた。
「服は、この革製のジャケットの中に布製のシャツを着て、下はスラックスと靴下、革製のブーツでどうだ?」
「まぁ、素敵。今、アオの選んだ服は乗馬服に似ていますわね。それでお願いします」
「私はドラお嬢様と、色違いがいいです」
「ハハッ、わかった」
カサンドラとシュシュの冒険での服は決まり。次は、もしものために、自分を守る武器を選ぶことにした。目についた見た目のよい長剣を選んでアオに見せても、強そうなハンマーを持っても全て却下だった。
「アオ君、全てダメって、どれがいいんですの? 私これでも屋敷の騎士と、剣の特訓を数ヶ月いたしましたわ」
「それって基礎だろう? ……うーん、そうだな……今、カサンドラが手に持っている長剣も、何年もの訓練と実践を積まないと扱えない。慣れていないと、とっさのときモンスターと戦えないし、ケガをする」
「とっさに戦えなくて、ケガをする? では、私達はどんな武器を持てばいいのかしら?」
「そうだな、二人は小型のナイフがいいんじゃないかな。野宿で薪を使って火をおこすとき、倒したモンスターの解体、料理をするときに使える――小型ナイフは多機能だ」
「多機能? では私は鞘に青い石がついた、このナイフにしますわ。シュシュは隣の赤い石のナイフで、アオ君は緑の石のナイフね」
「ドラお嬢様、ありがとうございます」
「俺もいいのか? ありがとう」
アオが選んだ服を買い、カサンドラ達は店の試着室で着替えた。次に必要な回復薬、傷薬、解毒草を選び、それを入れる肩掛けカバンと小型のナイフを買い。ナイフは腰のベルトに留めた。
準備を終えて道具屋を出た2人を、カサンドラは呼び止める。
「アオ、シュシュ、この四葉のクローバーのチャーム……レジ横で見つけて、可愛いから買いましたの。わ、私達って、冒険者パーティーなのでしょう?」
(お揃いのチャームなんだけど……2人は喜んでくれるかしら?)
四葉のクローバーのチャームを見せた。
それを見た2人は瞳を大きくする。
「おお、四葉のクローバー? えーっと、たしか幸運か? いいな」
「とても可愛いです。ドラお嬢様、大切に使います」
「フフ、小型ナイフとお揃いの色を付けましょう」
「はい」
「おう」
預け所から荷馬車を受け取り、ロロの森に出発する準備をしていた。御者席近くで準備中のアオは何かに気付いたのか、仕切りに近くの建物を見ている。
そして
「…………ふうっ」
と、ため息を漏らした。
「アオ君、どうしたの?」
「い、いや、なんでもない……さぁ、冒険に出発だ!」
「「はい、行きましょう!!」」
このとき獣人のアオは――冒険者ギルドから、自分たちの後を着いてくる族(やから)に気付いていた。
2人を守れるよう気を張って、いつでも胸元の隠しナイフを出せる準備をしていたが。そいつらはオレ達の後をついてくるだけで、何もしてこない。
(オレの思い過ごしか? アイツらが……採取クエストを終えて戻ってきた時に、いなくなっていればいいが……)
いま、冒険を楽しみにいているドラ達に伝えたくない、アオは何も言わず『二人はかならず守る』と心に決めて、冒険に出発した。
ドラ達の荷馬車が見えなくなってから、そいつらは姿を表した。
「何もできないアオのくせに、女連れだと笑えるぅ~!」
「可愛い二人でしたね。兄貴はどっちにします?」
「オレかぁ、オレは黒髪のデカい胸の女がいいな――あの胸を揉みてぇ」
いやらしく手を動かす男の横で、仲間らしき男二人は。
「いいっすね、俺達はメガネの小さい方がいいっす」
「じゃ、決まりだなぁ」
「「ククク、ギャハハハッ――!! まずは、生意気なアオを痛めつけてからだなぁ~!」」
道具屋に向かう前、冒険者ギルドでカサンドラ達が受けたクエストは、ギルド付近にあるロロの森で取れる『ミーンという薬草を十束採取する』クエスト。
アオはカサンドラ達よりもレベルが高いため、レベル補正がかかり、貰える経験値が少ないらしい。
『アオ君、いいの?』
『あぁ、このまま採取クエストを受理してください』
『かしこまりました』
採取のクエストを受けて、街の道具屋に向かった。
カランコロンと、ドアに付けられた真鍮のベルが鳴る。
今、カサンドラ達が訪れた道具屋は木造作りで、店の中は冒険者が使用する道具で溢れていた。
「初めて見るものばかりね、シュシュ、何を買いましょう」
「どれも面白そうで、迷います」
大きな盾、長剣、短剣、冒険者の服と、目移りするカサンドラとシュシュにアオは詳しく教えてくれた。
「服は、この革製のジャケットの中に布製のシャツを着て、下はスラックスと靴下、革製のブーツでどうだ?」
「まぁ、素敵。今、アオの選んだ服は乗馬服に似ていますわね。それでお願いします」
「私はドラお嬢様と、色違いがいいです」
「ハハッ、わかった」
カサンドラとシュシュの冒険での服は決まり。次は、もしものために、自分を守る武器を選ぶことにした。目についた見た目のよい長剣を選んでアオに見せても、強そうなハンマーを持っても全て却下だった。
「アオ君、全てダメって、どれがいいんですの? 私これでも屋敷の騎士と、剣の特訓を数ヶ月いたしましたわ」
「それって基礎だろう? ……うーん、そうだな……今、カサンドラが手に持っている長剣も、何年もの訓練と実践を積まないと扱えない。慣れていないと、とっさのときモンスターと戦えないし、ケガをする」
「とっさに戦えなくて、ケガをする? では、私達はどんな武器を持てばいいのかしら?」
「そうだな、二人は小型のナイフがいいんじゃないかな。野宿で薪を使って火をおこすとき、倒したモンスターの解体、料理をするときに使える――小型ナイフは多機能だ」
「多機能? では私は鞘に青い石がついた、このナイフにしますわ。シュシュは隣の赤い石のナイフで、アオ君は緑の石のナイフね」
「ドラお嬢様、ありがとうございます」
「俺もいいのか? ありがとう」
アオが選んだ服を買い、カサンドラ達は店の試着室で着替えた。次に必要な回復薬、傷薬、解毒草を選び、それを入れる肩掛けカバンと小型のナイフを買い。ナイフは腰のベルトに留めた。
準備を終えて道具屋を出た2人を、カサンドラは呼び止める。
「アオ、シュシュ、この四葉のクローバーのチャーム……レジ横で見つけて、可愛いから買いましたの。わ、私達って、冒険者パーティーなのでしょう?」
(お揃いのチャームなんだけど……2人は喜んでくれるかしら?)
四葉のクローバーのチャームを見せた。
それを見た2人は瞳を大きくする。
「おお、四葉のクローバー? えーっと、たしか幸運か? いいな」
「とても可愛いです。ドラお嬢様、大切に使います」
「フフ、小型ナイフとお揃いの色を付けましょう」
「はい」
「おう」
預け所から荷馬車を受け取り、ロロの森に出発する準備をしていた。御者席近くで準備中のアオは何かに気付いたのか、仕切りに近くの建物を見ている。
そして
「…………ふうっ」
と、ため息を漏らした。
「アオ君、どうしたの?」
「い、いや、なんでもない……さぁ、冒険に出発だ!」
「「はい、行きましょう!!」」
このとき獣人のアオは――冒険者ギルドから、自分たちの後を着いてくる族(やから)に気付いていた。
2人を守れるよう気を張って、いつでも胸元の隠しナイフを出せる準備をしていたが。そいつらはオレ達の後をついてくるだけで、何もしてこない。
(オレの思い過ごしか? アイツらが……採取クエストを終えて戻ってきた時に、いなくなっていればいいが……)
いま、冒険を楽しみにいているドラ達に伝えたくない、アオは何も言わず『二人はかならず守る』と心に決めて、冒険に出発した。
ドラ達の荷馬車が見えなくなってから、そいつらは姿を表した。
「何もできないアオのくせに、女連れだと笑えるぅ~!」
「可愛い二人でしたね。兄貴はどっちにします?」
「オレかぁ、オレは黒髪のデカい胸の女がいいな――あの胸を揉みてぇ」
いやらしく手を動かす男の横で、仲間らしき男二人は。
「いいっすね、俺達はメガネの小さい方がいいっす」
「じゃ、決まりだなぁ」
「「ククク、ギャハハハッ――!! まずは、生意気なアオを痛めつけてからだなぁ~!」」
28
あなたにおすすめの小説
完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!
仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。
ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。
理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。
ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。
マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。
自室にて、過去の母の言葉を思い出す。
マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を…
しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。
そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。
ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。
マリアは父親に願い出る。
家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが………
この話はフィクションです。
名前等は実際のものとなんら関係はありません。
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。
あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のカナリアは、原因不明の高熱に襲われた事がきっかけで、前世の記憶を取り戻した。そしてここが、前世で亡くなる寸前まで読んでいた小説の世界で、ヒーローの婚約者に転生している事に気が付いたのだ。
その物語は、自分を含めた主要の登場人物が全員命を落とすという、まさにバッドエンドの世界!
物心ついた時からずっと自分の傍にいてくれた婚約者のアルトを、心から愛しているカナリアは、酷く動揺する。それでも愛するアルトの為、自分が身を引く事で、バッドエンドをハッピーエンドに変えようと動き出したのだが、なんだか様子がおかしくて…
全く違う物語に転生したと思い込み、迷走を続けるカナリアと、愛するカナリアを失うまいと翻弄するアルトの恋のお話しです。
展開が早く、ご都合主義全開ですが、よろしくお願いしますm(__)m
【完結】『運命』を『気のせい』と答えたら、婚姻となりまして
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
ヴォレッカ・サミレットは、領地の危機をどうにかするために、三年ぶりに社交界へと婚姻相手を探しにやってきた。
第一にお金、次に人柄、後妻ではなく、できれば清潔感のある人と出会いたい。 そう思っていたのだが──。
「これは、運命だろうか……」 誰もが振り返るほどの美丈夫に、囁かれるという事態に。
「気のせいですね」 自身が平凡だと自覚があり、からかって遊ばれていると思って、そう答えたヴォレッカ。
だが、これがすべての始まりであった。 超絶平凡令嬢と、女性が苦手な美丈夫の織りなす、どこかかみ合わない婚姻ラブストーリー。
全43話+番外編です。
白百合の君を瞼に浮かべて
蒼あかり
恋愛
騎士隊副隊長のレイモンドは、第二王子アーサーの婚約者アリシアの事を密かに想っていた。
『白百合の君』と呼ばれるほどに美しいアリシアが、自分の起こした行動により婚約破棄を告げられてしまう。酔った勢いで婚約破棄を告げ後悔するアーサーだが、大きな力で婚約の存続は途絶えてしまった。それでもアリシアを手放せないアーサーが、執拗にアリシアを追い詰めてくる。そんなアリシアを守るために求め続けるも、二人はすれ違い続けついには行方知れずに。
年月を重ね、二人は再び出会うことができるだろうか?
他サイトでも掲載しております。
【完結】異世界から来た聖女ではありません!
五色ひわ
恋愛
ミシュリーヌは、第四王子オーギュストの妃としてフルーナ王国の王宮で暮らしている。しかし、夫であるオーギュストがミシュリーヌの寝室に訪れることはない。ミシュリーヌは聖女の力を持っていたため、妻に望まれただけなのだ。それでも、ミシュリーヌはオーギュストとの関係を改善したいと考えている。
どうすれば良いのかしら?
ミシュリーヌは焦っていた。七年間かけて国中の水晶を浄化したことにより、フルーナ王国は平穏を取り戻しつつある。それは同時に聖女の力がこの国に必要なくなったことを意味していた。
このまま、オーギュストの優しさに縋ってお飾りの妻を続けるしかないのだろうか。思い悩むミシュリーヌの前に現れたのは、オーギュストの恋人を名乗る女性だった。
・本編141話
・おまけの短編 ①9話②1話③5話
手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです
珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。
でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。
加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。
【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない
春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。
願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。
そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。
※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる