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7話
しおりを挟む*(高梨課長視点)
宮間との出会いは、面白い客人がいるぞ、と祖父であり、総合商社の社長でもある高梨格から電話を受けたことからはじまった。
「面白い客人?」
俺が尋ねると、電話の向こうから楽しそうな声が返ってきた。
「Ωだ。うちで働きたいそうだぞ」
「Ω……」
「いやあ、長生きするものだ。また時代が変わるときに立ち会えた」
顔を見なくともわかる。祖父はいま心から満足している。
「それで? 私に何をしろと?」
「面接をする。場所は社長室だ。採用をするとなると厄介なことが多いが、それ以上の価値がある人材なら採用しろ」
社長はかっかっか、と笑う。
この老人の心中では、そのΩを採用することはすでにきまっているはずだ。しかし、それでも私に面接をさせたいということは、そのΩの後見人になれと言いたいのだろう。
私は祖父の意図を正確に汲み取ったうえで、社長室へ向かった。
そこで出会った宮間は、なるほど祖父の心を掴むだけのことはあった。
彼には行動力がある。度胸もある。不平等をゆるさない正義感もある。
そしてなにより、強い瞳を持っている。爛々と輝く瞳。俺はその強い瞳に心を打たれ、すっかり夢中になってしまった。
「婚活?」
その彼が婚活をはじめるといったとき、私は心底驚いた。
私でいいじゃないか、という言葉は飲み込んだ。宮間の住んでいる地域や家族構成を思い出す。
――あの辺に住んでいるΩなら、仲人は井伊崎さんだな。
ぼんやりと、しかしはっきりと、彼のお見合い相手として自分をねじ込む算段をつける。
誰のものにもならないなら、それでいいと思っていた。
しかし、誰かのものになるというなら、それは私であるべきだ。なぜなら、私が一番彼のことを知っているからだ。
そうしてお見合い相手として彼に会えたのだが、まったく、彼にはいつも驚かされる。
彼はお見合いが始まってすぐにジャケットを脱いだ。私は目のやり場にこまってしまった。
彼の白いシャツには、Ω用のブラが透けていて、もっと言うなら薄すぎるズボンにはパンツの形が浮き出ていた。
――ああ、困ったものだ。
私はこれまでの人生において理性的だと称されてきたが、宮間相手には通用しない。仕事中でも彼にちょっかいをかけ続けてしまうくらい、彼に惹かれている。
それから先のことは覚えていない。透けた下着のことで頭がいっぱいで、気づいたら彼をプールに放り投げていた。
布ごしではなく、その素肌のうえにあるそれを見たかったのだ。
まったく、宮間のせいで、私は悪い人間にされてしまったようだ。
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