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11~20話
クロも食べ物ではありません(はい【中】
しおりを挟む「お菓子の家?」
もぐもぐもぐもぐ……
「んぁい。全部がお菓子でできてるんです、柱も壁も屋根も。まあ、童話に登場する架空の建物なんですけど」
「ほう……。それを食べる夢を見ていた、と?」
「そうなんですよ。夢にまで見たお菓子の家は、本当に夢だったんです」
はぷっ、ずずーっ……
朝食はやわらかな白パンと、くたくたに煮込まれた野菜スープに、数種類の瑞々しい果物。
クロの居室に用意されていたものを、一緒にいただいている。
「そんなことよりクロはどうでした? 一緒に寝た効果はありましたか?」
「ああ、痛みに苛まれることなく驚くほどぐっすりと眠れた。――おかしな起こされ方はしたが?」
「ぐっ……」
さりげなく己の失態から話題を逸らそうとしたことはバレバレのようだ。
「ふっ。しかし本当にヒナのおかげだ。頭も冴え冴えとして、全身が軽い」
「それならよかったです!」
ぱくっ、もぐもぐもぐもぐ……
勝手にクロを味見しただけでなく、きちんと本来の目的も果たせていたならよかった。本当によかった。
「ヒナはどうだ? 魔力の吸収しすぎで気分が悪くなったりはしていないか?」
「ぜーんぜん! たっぷり眠って元気いっぱいですよ!」
温かな体温、ゆったりした鼓動、一緒に寝たおかげで熟睡できたのは、こちらも同じだ。
心配性のクロを安心させるべく満面の笑みでぐるんぐるんと腕を回してみれば、クロも安心したように表情を緩めた。
翌日のことを考えずお風呂セットとネグリジェしか持参していなかった私は、ネグリジェ姿のままクロのポケットに収まっている。
執務室内の隠し扉を抜けて休憩室に入ると、そっとドールハウスの前に降ろされた。
「俺は隣で仕事をしてくる。……また昼食の誘いに来ても?」
「はい、楽しみにしてますね! お仕事いってらっしゃーい!」
「ああ、いってくる」
太い指先がすりすりと頬を撫でて名残惜しそうに離れる。
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