ちっちゃくて可愛いものがお好きですか。そうですかそうですか。もう十分わかったので放してもらっていいですか。

南田 此仁

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21~30話

知らぬは私ばかりなり【上】

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 いたく感激した様子のヤシュームが退室するのを見送って、クロを振り返る。

「なんの魔法をかけたんですか?」

「『マフェクト』、の魔法だ」

 なんと! 魔力は人に送れるものだったらしい!

「じゃあその魔法をいっぱい使えば、クロの魔力量を減らせるんじゃないですか!?」

「そう便利な魔法でもないんだ。与えられる魔力量は相手の残存魔力と同量――つまり、相手の魔力量を『倍』にすることしかできない。魔力が半減していない相手にかければ許容量を超え、魔力過多で身体的負荷を強いることになるしな。戦場にでも行けばかけ放題だろうが……」

「なるほど……」

 魔力が枯渇しそうな人なんて、日常的にそうそう出くわすものではないだろう。
 それこそ、私がゴッソリと魔力を吸収してしまったのでもない限り。

 じっと自分の手のひらを見つめる。

「どうした?」

「私の魔力吸収って……制御できませんかね?」

 先ほどの、強引に草葉を詰め込まれたような感覚を思い出す。
 あれはきっと、ヤシュームの魔力だ。

 クロの魔力と『親和性』が高いと言われてもピンと来ていなかったけれど、なるほど、魔力の流れ込む感覚が自分にとって不快かどうかという意味ならばわかりやすい。
 今も触れた肌から流れ込むクロの魔力は、こんなにも温かくて心地良い。

「俺以外に触れる必要などないだろう」

「そうはいきませんよ。ヤシュームさんとだってまた顔を合わせるでしょうし、私の……今後のためにも……」

 触れるだけで相手が倒れてしまう現状では、おちおちクロ以外の人間に触れることもできない。
 それでは困るのだ。いつかクロの元を離れる日が来ても、自分一人で生きていけるようにならなくては。
 このまま一生クロと暮らし続けられると信じていられるほど、楽観的にはなれないから……。

「そんなにヤシュームを気に入ったのか?」

 なぜか不満げなクロに首を傾げる。
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