ちっちゃくて可愛いものがお好きですか。そうですかそうですか。もう十分わかったので放してもらっていいですか。

南田 此仁

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31~40話

溺れる者は犯人をも掴む【中】

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「ヒナ、それは本当か!?」

「えっ、わっ、私は別になんとも――」

 クロの鋭い問いかけに、意味もなくオロオロと両手をさ迷わせる。
 どこも怪我なんてしてないし、毎食美味しい食事を食べて、至って健康だ。

「頭部の疼痛とうつうと心拍数の増加」

「あ……」

 端的な指摘に、思い当たる節があった。

 数日前から続く軽微な頭痛は、日増しに痛みが強まってきている気がする。
 心拍数も、言われてみればたしかに軽い運動後くらいの速さに感じるけれど……これについては、誘拐されたことによる恐怖心の線も否めない。

「脳と心臓にキてる。治癒魔法を使ったところで、魂と器が噛み合ってない状態じゃぁ一時しのぎにしかならないだろうなぁ~」

 脳、心臓、死……。
 次々と与えられる不穏な情報に、言い様のない焦りが込み上げる。

「……ヒナ、あいつは欠片も信用ならない人間だが、残念なことに研究内容に関してだけは嘘をつかない。もし小さな姿でいなければならない『事情』があるのなら、俺も解決のために力を尽くそう。――だから頼む! 今すぐ元の大きさに戻ってくれ!」

 真剣な眼差しに、余裕のない懇願こんがん
 正体を黙っていた私を責めるでもなく、私の身の安全だけを想って発せられる願い。
 その真摯な想いに応えられない自分があまりにも不甲斐なくて、もどかしくて、情けなくて、苦しくて……。行き場のない焦燥感だけが、ぽろぽろと目からあふれた。

「ごっ、ごめんなさい……。わ……わたしっ、自分では、戻れないんです…………っ」

「――っ! ヒナ、ヒナ、無理を言ってすまない」

「いいえ! 私が、自分のことなのに何も、っわかってなかったから……!」

 小さな姿でいることが命をおびやかすだなんて、考えたこともなかった。
 魂と器の話を聞いても、この世界で『元から』小さかった自分にはその身体に見合った大きさの魂が備わっているのだと、呑気に信じて疑わなかった。


 ――これは罰だ。
 自分の事情も打ち明けないまま、クロの信頼を裏切った罰。


 二人きりになったら、何もかもすべて話してしまおう。
 別の世界から来たことも、生い立ちも、自分の気持ちも。もう何一つ、クロに隠し事なんてないように。

「ヒナ――今すぐ城を出よう。腕のいい魔術師を連れて、城外で拡大の魔法をかけるんだ」

「!」

 そうだ。姿を変える魔法が使えないのは、お城の中でだけ。ここから出れば、魔法で大きくしてもらうことも可能なのだ。
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