ちっちゃくて可愛いものがお好きですか。そうですかそうですか。もう十分わかったので放してもらっていいですか。

南田 此仁

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51~最終話

犯人の退場【上】

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 騎士に先導されながら長い廊下を急ぐ。
 戴冠式前に行われる儀式があるらしく、クロは私室ではなくお城の中央部にいるとのことだった。

「もっと速くて大丈夫ですっ!」

 私を気遣って速度を緩める騎士に告げ、ドレスの裾を引き上げる。
 脚の動かしやすいドレスでよかった。こんな形で役立てたくはなかったけれど。

 早く、早く! クロは無事なの……!?

 進めど進めどたどり着かないお城の広さがもどかしい。
 クロのおかげでようやくおじいちゃんをうしなった悲しみも徐々に癒えてきたところなのに、もしもクロに何かあったら――。

 ぶんぶんと頭を振って不吉な考えを振り払う。
 大丈夫。
 クロは絶対に大丈夫。

『少々騒がしくなるだろうが、備えは万全だから心配いらない』

 まさか……クロが言っていたのは、このことだったのだろうか?
 こんなもの、心配するなというほうが無理だ!!!




 現場に着くと、広い廊下を塞ぐように人だかりができていた。
 セットしたばかりの髪が乱れるのも構わず強引に人垣ひとがきに顔をねじ込んだ私は、人々の隙間からクロの姿を確認して安堵のあまり崩れ落ちそうになった。

 しっかりと自分の足で立ち、対面を見据えるクロ。
 儀式用だろう真っ白な装束に血の痕跡はなく、見たところ怪我をしている様子もない。

 心を食い破りそうなほどの焦りも不安も一瞬で溶け消えて、深く安堵の息をつく。

「よかっ……たぁぁ……」

 クロが見据える先に立っているのは、小人サイズだった頃に一度見かけたことのある、宰相のバーグ。クロが要注意人物だと言っていたのでよく覚えている。

 そして二人の間にもう一人。
 縄で拘束されてひざまずき、騎士に剣を突きつけられながらもわめく見知らぬ男がいた。

「――ってるようだがなぁ、こっちだって依頼人の素性を調べるくらいの情報網はあんだよ! 今回の依頼、裏で糸引いてたのがてめぇだってことはわかってんだ! えぇ!? 宰相サマよぉ!?」

「……と言っているが、卿の意見は?」
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