ワナビスト龍

理乃碧王

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第二十筆 アンチストギル梁山泊!

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 強襲、強襲であった。
 教祖まるぐりっとに反発し、異世界令嬢教を抜けた龍を刺客が襲う。
 書籍化作家のカーミラのエビ餃子とサクリンころもの食べ物コンビ『グラトニーズ』である。
 この二人は異世界令嬢教の狂信者ファナティック
 ストギル系を、異世界恋愛を、令嬢ものを腐す輩に神罰を加えんとする尖兵である。

「ぬぅ……書籍化作家からの作品批評!」

 辛辣な批評を浴びた龍。
 書籍化という実績を持つ、二人のプロ作家からの直接的な口撃。
 ワナビである龍にとっては痛恨の一撃である。
 しかし、オリハルコン級のメンタルを持つ龍は負けじと応戦する。
 まずは、カーミラのエビ餃子へのリプだ。

 ギアドラゴン:ご指摘ありがとうございます。「マジでビックラこきましたわ」は私なりの表現法の一つなのです。読者にクリスティーナが高貴なだけでなく、ちょっとユーモアある女性ということを読者に伝えるためです。

 続いて、サクリンころもへリプする。

 ギアドラゴン:文体不一致のご指摘どうもです。雑な文章とおっしゃいますが、まるぐりっと先生の文体を意識したのですがダメなのでしょうか。

 サクリンころもへのリプだけは、まるぐりっとの当てつけが凄いがここは置いておこう。
 この龍のリプに対し、グラトニーズはリプではなく『引用』というツープラトンを見せる。

 カーミラのエビ餃子@特別賞「にんにく聖女は吸血鬼に愛される」好評発売中:意図は理解しました。しかし、高貴な言葉遣いと俗っぽい表現のギャップが大きすぎて、読者としてはキャラクターの一貫性に違和感を覚えますよ。

 サクリンころも@「天ぷらを極めた悪役令嬢」電子書籍にて配信中!:まるぐりっと先生の文体を「意識」してこの結果ですか? それは驚きですね。もしかして、もう少し「意識」し過ぎない方が良かったかもしれませんね。

「うおうッ!?」

 グラトニーズのツープラントンは強烈だった。
 的を得ている部分もあり、イラつく部分もあり、龍の筆力を弱めるには十分であった。

「く、くう……なかなかやるじゃないか。でも、俺のライオン令嬢の執筆は止まらないぜ!」

 強がる龍。
 だが、このツープラトンは相手へダメージを与えるだけではない。
 引用することで、異世界令嬢教の狂信者ファナティック達を呼び寄せる効果もあるのだ。

 ラブリーゴブリン:この作者さんのライオン令嬢を読んだけど何これ? ジャンル詐欺じゃん。

 ヘカテー@「猛毒令嬢」ストギルで連載中:まるぐりっと先生の作品を意識してコレ……もっと勉強して欲しいよ。

 シヴァ婆さん@ウダヨミにて執筆:こいつマジ才能なしw 物語に魅力なしw はよ消せw

「ぐわあああああッ!」

 グラトニーズの犬笛により、龍は悪のワナビ達に一斉放火を浴びる。
 書籍化を目指す同じワナビなのに、何故憎み、攻撃するのか。
 無論、龍が異世界令嬢教を敵に回してしまったことが原因だ。

 しかし、心理学の世界でもう少し説明したい。
 これは「内集団バイアス」と呼ばれる現象で、自分が属するグループ(内集団)を優遇し、他のグループ(外集団)を不利に扱う傾向のことである。
 異世界令嬢教の狂信者ファナティック達は、教団に対する忠誠心が強い。
 それ故に、それを脅かす存在に対しては無慈悲に攻撃してくるのだ。

「う、うぐう……ま、負けてなるものか」

 龍は心的ダメージを負った。
 執筆だ、とにかく執筆をしてライオン令嬢の続きを書かなければならないと思った。
 だが――。

 ▶感想が書かれました

「か、感想!」

 新着通知が入った。
 なんと、ライオン令嬢への感想だ。
 龍は嫌な予感がした。もしかすると狂信者ファナティックのよるものではないかと――。
 そして、不幸にもその予感は的中してしまう。

――――――

 気になる点
 第一話から滑ってます。全然面白くありません。
 それと、クリスティーナに全く魅力を感じません。

 一言
 早く目を覚まして下さい。

 投稿者: 紅蓮マウザ

――――――

 それは強筆敵とも、マウザからのクソ感想だった。

「マ、マウザ……」

 強筆敵ともと思っていたものからのクソ感想。
 マウザは完全に異世界令嬢教に染まっていた。
 そこまでなら、龍の心はまだ耐えられよう。
 それ以上に辛いことは、強筆敵ともにクリスティーナを名指しで否定されたことだ。

「ク、クリスティーナ……俺の筆力不足のせいで……ごめん……ごめんよう……」

 龍の眼から悲しみの滴、涙が流れた。
 自分が異世界令嬢教を敵に回したばかりに、クリスティーナを傷つけてしまった。(架空の自キャラだけど)
 その後悔と絶望は、ワナビストの筆を折らせるのに十分であった。

「おおおおおおおおおおんッ!」

 とうとう、龍はパソコン前で号泣してしまった。
 龍よ、お前はここまでなのか。ここで筆を折ってしまうのか。
 ライオン令嬢 (後、ウルフ大将も)をエタらせてしまっていいのか。
 そんなとき、龍のSNSに通知が入った。

 シュートが強いうまむすこ:@gear_dragon_fight @utunomiyaebi @SAKUSAKU_TEN おいおい、まーた書籍化作家様のダメ出しか? どんな表現しようと作家の自由だろうが。それがWeb小説の良さってもんだろ!

 腐ったみかんスミス:@gear_dragon_fight @utunomiyaebi @SAKUSAKU_TEN クソ受けるわw 一発屋どもめw お前ら二人とも「打ち切り」やんけw

 ピンクのバッタ:@gear_dragon_fight @utunomiyaebi @SAKUSAKU_TEN 異世界恋愛なんてお子様の恋愛よ。官能小説こそ本当の「愛」よ!

「こ、これは……」

 それはフザけた名前のアカウントからのものだった。
 また、他にも龍のアカウントに通知が入っていた。

 色帯寸止め:@gear_dragon_fight プロ面する作家の言うことなんて無視しなさい。

「あ、あなたは!」

 龍はメッセージを見て驚いた。
 色帯寸止め、龍が昔投稿していたサイト『セレナーデ』のランキングトップを走っていた剛の者。
 また、RPG『ダンジョンオデッセイ』のノベライズを執筆していたプロでもある。

「い、色帯寸止め先生!」

 それはまさかの邂逅。
 本物のプロ、二次創作のスペシャリストからのものだった。
 二次創作出身の龍だけに驚いたが、サプライズはこれだけに留まらなかった。

 内モンゴル自治区マン:@gear_dragon_fight ファンアートだ! 受け取れ!

「な、なんとオオオオオッ!」

 龍に画像が送りつけられた。
 そこには、龍が脳内でイメージしていたクリスティーナが寸分狂わず美しく描かれていた。

「クリスティーナ! これはまさしくクリスティーナだ!」

 何故か背景がプロレス会場だが――。
 一方、グラトニーズは驚きのポストを投げ込む。

 カーミラのエビ餃子@特別賞「にんにく聖女は吸血鬼に愛される」好評発売中:なっ……。

 サクリンころも@「天ぷらを極めた悪役令嬢」電子書籍にて配信中!:何ヤツ!

 シュートが強いうまむすこ:我ら! 『アンチストギル梁山泊』!

 腐ったみかんスミス:腐った書籍化作家の悪事を懲らしめる! 好執筆家の集まりなり!

 龍を助けたのは『アンチストギル梁山泊』を名乗る集団であった。
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