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第五十二筆 とびきりデライ評価の秘密!
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うまむすこが出したものは、編集者『星ヶ丘墨染』のスクショ画像だった。
それはまうざりっとの作品にポイントをつけるよう依頼するDM内容。
所謂『不正行為』の勧誘だった。
「こ、こいつのクセのある名前! あの時の編集だ!」
龍はワナワナと右手人差し指をバイブレーションさせる。
震える指先で向けるのは『星ヶ丘墨染』の名前。
まるぐりっと(鬼丸のこと)の担当編集で、社会性に欠けるメールをよこした男だ。
シュートが強いうまむすこ:俺にタレコミで入ったDMだ。ここからは送信者の名前を伏せて、スクショ画像を送らせてもらうぜ。
指が震え続ける龍を置き、うまむすこはスクショ画像を送信する。
ここからは、情報者の名前を伏せられた状態でDM内容をご紹介しよう。
では括目せよ! この不正実態の事実をッ!
――――――
<DMのやりとり>
〇〇〇〇〇:ブ、ブクマと評価ですか?
星ヶ丘墨染:そうです。ストギルの検索欄で『紅蓮まうざりっと』の名前を検索すると『サンバ令嬢』というタイトルが出ると思います。そこにブクマと評価を入れるだけの簡単なお仕事ですよ。
〇〇〇〇〇:それって不正行為じゃ……。
星ヶ丘墨染:何をおっしゃるウサギさん! これは『不正行為』ではなく『作家への応援』ですよ。
〇〇〇〇〇:応援?
星ヶ丘墨染:ええ、これはまうざりっと君だけでなく、彼の師である黒鳥先生への応援でもあるのです。〇〇〇〇〇さん、あなたは確か黒鳥先生が主催するオンラインラノベ講座『最強黒鳥塾』の生徒さんでしたよね?
〇〇〇〇〇:た、確かに去年まで先生の講義を受けてましたけど……何でそれを……。
星ヶ丘墨染:私は黒鳥先生とは旧知の間柄でしてね。今回のことは黒鳥先生にも頼まれて失礼ながらDMで送らせてもらってるわけです。
〇〇〇〇〇:先生が……。
星ヶ丘墨染:愛弟子である〇〇〇〇〇さんには、弟弟子にあたるまうざりっと君を応援して欲しいそうです。ブクマと評価を入れるだけですから簡単でしょう? 出来ればニ十個くらいアカウントを作って応援してもらえれば嬉しいですね。
〇〇〇〇〇:で、ですけど……。
星ヶ丘墨染:あらあら? 不満があるような感じですね、それは残念です。まうざりっと君がランキングを駆け上がり、書籍化を決めた際はお礼として何名かの作品を世に出したいと思ってるんですがねェ。
〇〇〇〇〇:よ、世に出したい?
星ヶ丘墨染:実は私と黒鳥先生は『新レーベル』を立ち上げる準備をしてましてね。そこから出す作品を黒鳥先生のお弟子さんの中から出したいと考えてるんですよ。プロ作家に作品執筆を依頼してもいいんですが、イラストレーターさんへの依頼など他の経費を考えるとまだまだ小さいレーベルで頭を悩ませる状態――。ならば黒鳥先生のお弟子さんの中で『これは! と思われる埋もれた作品を出そう!』と思いましてね。
〇〇〇〇〇:その話、もう少し詳しく聞かせて下さい。
星ヶ丘墨染:OKなんだぜっ☆ 詳細を説明した後は黒鳥先生に『承諾したんだぜ☆』とDMして欲しいんだぜ☆ ワイルドだろゥ?
――――――
「ワイルドじゃねーよ! この『捕まっていない詐欺師』が! 滑ってるぞ!」
怒りの龍が火を吹いた。
不正操作はシステムの悪用であり、依頼する相手側にも『規約違反』という危ない橋を渡らせている。
確かに不正に加担するWeb小説家もWeb小説家だが、新レーベルの立ち上げをエサにしているのが何よりも許せない。
これでは『書籍化という夢』を利用しているようなものだ。
そう、これは全Web小説家に対する背徳と侮辱行為だ。
Web小説家はプロであろうと、アマであろうと『全員、己の筆力で正々堂々と戦っている』。
それがこんなインチキをされてしまっては公平正大さからはかけ離れてしまう。
みなが楽しむWeb小説投稿サイトを、創作を汚す行為にしか見えなかったのだ。
「ヒャアアアアアッ!」
で、出たーっ!
一秒間に十二連打する飛燕のブラインドタッチ!
その連打は伝説のゲーム名人並みの速さだ!
なお、龍はうまむすこに以下のメッセージを送ったぞ!
ギアドラゴン:こいつはくせえッー! ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッ――ッ! うまむすこさん早えとこポストで晒しちまいな!!
どこかで聞いたことあるようなパクリメッセージ。
流石は二次創作畑の男だった龍らしい好漢溢れる言葉だ。
しかし、うまむすこの返信は意外なものであった。
シュートが強いうまむすこ:残念なお知らせだが、それが出来たら苦労はしない。
なんと、DXでこのスクショを晒すことは出来ないという。
龍はたまらず高速のハンドリングで返信する。
ギアドラゴン:な、なんでやねん!
シュートが強いうまむすこ:相手が『捏造』だと言ったら終わりだからな。
ギアドラゴン:へ?
シュートが強いうまむすこ:所詮はDXでのやりとりだ。「アカウント名やアイコンは、コピーしてソックリそのまま作れる」と言われてしまえば終わりだ。
ギアドラゴン:そ、そんな……。
シュートが強いうまむすこ:特に俺なんか『Web小説全般へのアンチ活動を常日頃からやってる』からな。普段のポストから捏造したと思われる可能性の方が強い。
ギアドラゴン:こ、このままでいいんですか?
龍の素朴な疑問である。
このままでは不正を見逃すことになる。
それがどうにも解せないのだ。こんなヤツらが許されてもよいのかと――。
シュートが強いうまむすこ:どうするも、こうするも俺には出来ない。だからこそ、俺は自分の声を晒してまで黒鳥のサイバーラウンジに凸をかけたんだがな。
ストギルのアンチ活動するうまむすこであるが、根っこの部分は創作者だ。
同じ仲間であるWeb小説家がゴロに食い物にされていることを苦々しく思っている。
このタレコミ情報も、普段ストギルのダメな部分を批判するうまむすこだからこそ送られた直訴状だ。
ギアドラゴン:う、うまむすこさん! どうにか出来ないんですか!?
シュートが強いうまむすこ:どうにも出来ないって言ってるだろ? ギアドラゴン、普段はSNSで吠えている俺だがリアルではたかが知れてる。普段の俺は一介の社会人として働いてる一般人なんだ。これを見な……あのサイバーラウンジが終わったら早速脅してきやがったよ。
うまむすこは黒鳥のポストを送信する。
そこには黒鳥からの警告するメッセージが書かれていた。
黒鳥 響士郎@『最強の青魔導師2巻発売中』:なお、今度サイバーラウンジに根も葉もない噂話を述べたり、書き込んだりする人がいたなら『名誉棄損と営業妨害』で弁護士を使って訴える所存です。私は専門学校で講師もしているし、色々と今後はラノベ業界を発展するために事業を起こしたいと思っていますのでね。ま、これは最終通知と警告ですね。
暫し二人の間で沈黙が流れた。
告発者の想いに応えたいうまむすこであるが、どうすることも出来ない。
それは龍とて同じだ。自分はただのヤマネコ運輸の配送ドライバーで戦う力も知恵もない。
シュートが強いうまむすこ:理解したかい? このWeb小説の世界はこんなゴロツキどもがうじゃうじゃイヤがる。サイバーラウンジを聞いてたから知ってるだろうが、俺もその犠牲者だ。
うまむすこ本人から過去が、サイバーラウンジ内で少し語られた。
夢であった書籍化に飛びつき、自費出版した彼は三百万もの借金を抱えたというしくじり話。
その借金も、おそらくは今でも返済しているのだろう――。
シュートが強いうまむすこ:何とかゴロツキどもに一矢報いたい、そのつもりでこれまでWeb小説のアンチ活動を続けてきたがそれも最近は疲れてきた。それが俺の本音だ。
ギアドラゴン:うまむすこさん……。
シュートが強いうまむすこ:ギアドラゴン、書籍化って何なんだろうな? 何で目指していたんだろうな?
ギアドラゴン:それは……。
シュートが強いうまむすこ:ははっ! まあ、俺も人のことはいえねーか。何だか長い夢を見せられていたような気がするぜ、もう夜も遅いし寝るとするぜ。明日も仕事だ、現実はずっとそばにあるからな。おやすみ!
こうして、うまむすこのやり取りは終了。
龍は黙ってパソコン画面を見つめる。
「……現実はずっとそばにあるか」
うまむすこのその言葉。
龍の心の奥まで深く突き刺さるメッセージだった。
明日は続く、その次の日も、またその次の日も――。
それはまうざりっとの作品にポイントをつけるよう依頼するDM内容。
所謂『不正行為』の勧誘だった。
「こ、こいつのクセのある名前! あの時の編集だ!」
龍はワナワナと右手人差し指をバイブレーションさせる。
震える指先で向けるのは『星ヶ丘墨染』の名前。
まるぐりっと(鬼丸のこと)の担当編集で、社会性に欠けるメールをよこした男だ。
シュートが強いうまむすこ:俺にタレコミで入ったDMだ。ここからは送信者の名前を伏せて、スクショ画像を送らせてもらうぜ。
指が震え続ける龍を置き、うまむすこはスクショ画像を送信する。
ここからは、情報者の名前を伏せられた状態でDM内容をご紹介しよう。
では括目せよ! この不正実態の事実をッ!
――――――
<DMのやりとり>
〇〇〇〇〇:ブ、ブクマと評価ですか?
星ヶ丘墨染:そうです。ストギルの検索欄で『紅蓮まうざりっと』の名前を検索すると『サンバ令嬢』というタイトルが出ると思います。そこにブクマと評価を入れるだけの簡単なお仕事ですよ。
〇〇〇〇〇:それって不正行為じゃ……。
星ヶ丘墨染:何をおっしゃるウサギさん! これは『不正行為』ではなく『作家への応援』ですよ。
〇〇〇〇〇:応援?
星ヶ丘墨染:ええ、これはまうざりっと君だけでなく、彼の師である黒鳥先生への応援でもあるのです。〇〇〇〇〇さん、あなたは確か黒鳥先生が主催するオンラインラノベ講座『最強黒鳥塾』の生徒さんでしたよね?
〇〇〇〇〇:た、確かに去年まで先生の講義を受けてましたけど……何でそれを……。
星ヶ丘墨染:私は黒鳥先生とは旧知の間柄でしてね。今回のことは黒鳥先生にも頼まれて失礼ながらDMで送らせてもらってるわけです。
〇〇〇〇〇:先生が……。
星ヶ丘墨染:愛弟子である〇〇〇〇〇さんには、弟弟子にあたるまうざりっと君を応援して欲しいそうです。ブクマと評価を入れるだけですから簡単でしょう? 出来ればニ十個くらいアカウントを作って応援してもらえれば嬉しいですね。
〇〇〇〇〇:で、ですけど……。
星ヶ丘墨染:あらあら? 不満があるような感じですね、それは残念です。まうざりっと君がランキングを駆け上がり、書籍化を決めた際はお礼として何名かの作品を世に出したいと思ってるんですがねェ。
〇〇〇〇〇:よ、世に出したい?
星ヶ丘墨染:実は私と黒鳥先生は『新レーベル』を立ち上げる準備をしてましてね。そこから出す作品を黒鳥先生のお弟子さんの中から出したいと考えてるんですよ。プロ作家に作品執筆を依頼してもいいんですが、イラストレーターさんへの依頼など他の経費を考えるとまだまだ小さいレーベルで頭を悩ませる状態――。ならば黒鳥先生のお弟子さんの中で『これは! と思われる埋もれた作品を出そう!』と思いましてね。
〇〇〇〇〇:その話、もう少し詳しく聞かせて下さい。
星ヶ丘墨染:OKなんだぜっ☆ 詳細を説明した後は黒鳥先生に『承諾したんだぜ☆』とDMして欲しいんだぜ☆ ワイルドだろゥ?
――――――
「ワイルドじゃねーよ! この『捕まっていない詐欺師』が! 滑ってるぞ!」
怒りの龍が火を吹いた。
不正操作はシステムの悪用であり、依頼する相手側にも『規約違反』という危ない橋を渡らせている。
確かに不正に加担するWeb小説家もWeb小説家だが、新レーベルの立ち上げをエサにしているのが何よりも許せない。
これでは『書籍化という夢』を利用しているようなものだ。
そう、これは全Web小説家に対する背徳と侮辱行為だ。
Web小説家はプロであろうと、アマであろうと『全員、己の筆力で正々堂々と戦っている』。
それがこんなインチキをされてしまっては公平正大さからはかけ離れてしまう。
みなが楽しむWeb小説投稿サイトを、創作を汚す行為にしか見えなかったのだ。
「ヒャアアアアアッ!」
で、出たーっ!
一秒間に十二連打する飛燕のブラインドタッチ!
その連打は伝説のゲーム名人並みの速さだ!
なお、龍はうまむすこに以下のメッセージを送ったぞ!
ギアドラゴン:こいつはくせえッー! ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッ――ッ! うまむすこさん早えとこポストで晒しちまいな!!
どこかで聞いたことあるようなパクリメッセージ。
流石は二次創作畑の男だった龍らしい好漢溢れる言葉だ。
しかし、うまむすこの返信は意外なものであった。
シュートが強いうまむすこ:残念なお知らせだが、それが出来たら苦労はしない。
なんと、DXでこのスクショを晒すことは出来ないという。
龍はたまらず高速のハンドリングで返信する。
ギアドラゴン:な、なんでやねん!
シュートが強いうまむすこ:相手が『捏造』だと言ったら終わりだからな。
ギアドラゴン:へ?
シュートが強いうまむすこ:所詮はDXでのやりとりだ。「アカウント名やアイコンは、コピーしてソックリそのまま作れる」と言われてしまえば終わりだ。
ギアドラゴン:そ、そんな……。
シュートが強いうまむすこ:特に俺なんか『Web小説全般へのアンチ活動を常日頃からやってる』からな。普段のポストから捏造したと思われる可能性の方が強い。
ギアドラゴン:こ、このままでいいんですか?
龍の素朴な疑問である。
このままでは不正を見逃すことになる。
それがどうにも解せないのだ。こんなヤツらが許されてもよいのかと――。
シュートが強いうまむすこ:どうするも、こうするも俺には出来ない。だからこそ、俺は自分の声を晒してまで黒鳥のサイバーラウンジに凸をかけたんだがな。
ストギルのアンチ活動するうまむすこであるが、根っこの部分は創作者だ。
同じ仲間であるWeb小説家がゴロに食い物にされていることを苦々しく思っている。
このタレコミ情報も、普段ストギルのダメな部分を批判するうまむすこだからこそ送られた直訴状だ。
ギアドラゴン:う、うまむすこさん! どうにか出来ないんですか!?
シュートが強いうまむすこ:どうにも出来ないって言ってるだろ? ギアドラゴン、普段はSNSで吠えている俺だがリアルではたかが知れてる。普段の俺は一介の社会人として働いてる一般人なんだ。これを見な……あのサイバーラウンジが終わったら早速脅してきやがったよ。
うまむすこは黒鳥のポストを送信する。
そこには黒鳥からの警告するメッセージが書かれていた。
黒鳥 響士郎@『最強の青魔導師2巻発売中』:なお、今度サイバーラウンジに根も葉もない噂話を述べたり、書き込んだりする人がいたなら『名誉棄損と営業妨害』で弁護士を使って訴える所存です。私は専門学校で講師もしているし、色々と今後はラノベ業界を発展するために事業を起こしたいと思っていますのでね。ま、これは最終通知と警告ですね。
暫し二人の間で沈黙が流れた。
告発者の想いに応えたいうまむすこであるが、どうすることも出来ない。
それは龍とて同じだ。自分はただのヤマネコ運輸の配送ドライバーで戦う力も知恵もない。
シュートが強いうまむすこ:理解したかい? このWeb小説の世界はこんなゴロツキどもがうじゃうじゃイヤがる。サイバーラウンジを聞いてたから知ってるだろうが、俺もその犠牲者だ。
うまむすこ本人から過去が、サイバーラウンジ内で少し語られた。
夢であった書籍化に飛びつき、自費出版した彼は三百万もの借金を抱えたというしくじり話。
その借金も、おそらくは今でも返済しているのだろう――。
シュートが強いうまむすこ:何とかゴロツキどもに一矢報いたい、そのつもりでこれまでWeb小説のアンチ活動を続けてきたがそれも最近は疲れてきた。それが俺の本音だ。
ギアドラゴン:うまむすこさん……。
シュートが強いうまむすこ:ギアドラゴン、書籍化って何なんだろうな? 何で目指していたんだろうな?
ギアドラゴン:それは……。
シュートが強いうまむすこ:ははっ! まあ、俺も人のことはいえねーか。何だか長い夢を見せられていたような気がするぜ、もう夜も遅いし寝るとするぜ。明日も仕事だ、現実はずっとそばにあるからな。おやすみ!
こうして、うまむすこのやり取りは終了。
龍は黙ってパソコン画面を見つめる。
「……現実はずっとそばにあるか」
うまむすこのその言葉。
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明日は続く、その次の日も、またその次の日も――。
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