元の世界に戻るなんて聞いてない!

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
2 / 15

第一章 私が逃げ出した理由 1

しおりを挟む
 レオニルテーゼ大陸は、アメジシスト王国、イノセスト王国、カシオリア聖王国の3つの大国から成り立っていた。
 それぞれの国は、それぞれ違った特色を持っていた。そして三国は協力しあい、とても友好な関係を築いていた。
 
 その三国の中でも、魔道具作りに秀でた国であり、精霊と人が交わってできたと言われる国がアメジシスト王国だった。
 彼の国は、精霊王国とも言われていた。
 
 そんなアメジシスト王国の四大公爵家と言われる、4つの公爵家においで北と称されるイグニシス公爵家には、三人の子供がいた。
 公爵家の当主である父、アールス・イグニシスと長男、セレン・イグニシスと長女、レイナ・イグニシスは、それはそれは見目麗しい容姿をしていた。
 
 しかし、それに比べて妻のグレイス・イグニシスと次女のレイン・イグニシスはとても醜い容姿をしていた。
 特に、レインは日増しに醜い容姿になっていった。
 代わりに、グレイスの容姿は次第に醜さが薄れていったのだ。
 
 グレイスとレインが醜い容姿なのには事情がった。
 
 それは、この国に広がっている呪いの影響だった。しかし、この呪いにかかる者が非常に稀なため忘れ去られた伝承となっていた。
 
 その呪いは、【魔女の嫉妬】と呼ばれるものだった。
 その昔、大魔法使いと呼ばれ国中に名を馳せた一人の女性がいた。その女性にはたった一人、弟子がいた。
 いつしかその弟子は、師匠である魔法使いよりも優れた魔法使いへと成長を遂げた。
 そして、その弟子は容姿も端麗で非の打ち所のない周囲も認めるほどの立派な魔法使いとなった。
 しかし、容姿が凡庸だった魔法使いは、弟子に嫉妬したのだ。
 
 
「私よりも魔術に優れている上に、容姿までも……。あの子が憎い。私はだんだんと年老いて醜くなっていくというのに、あの子は日に日に美しく成長していく。憎くて仕方がない!!」


 嫉妬の炎に焼かれた魔法使いは、残りの命を全て注いである呪いを国中に撒いたのだ。
 それが後に【魔女の嫉妬】と呼ばれる最悪な呪いだった。
 
 呪いの内容はこうだ。
 莫大な魔力を持ち、容姿に優れた女性の容姿を醜く変化させるというものだ。しかし、この呪いも完全なものではなかった。
 呪いには効果上限があったのだ。
 例えば、呪いの対象が複数いたとする。人数が多いほど呪いの力は分割されて一人一人が受ける影響は薄くなっていく。逆に言えば、対象が少ないときは、呪いの影響が色濃くなるのだ。
 更に、複数の人間が対象であっても、元の容姿の美しさに応じて呪いの影響が変わってくるのだ。
 つまり、元の容姿が美しければ美しいほど呪いが強まり、年齢によって美貌に陰りが出てきた場合などは、呪いの影響が薄くなっていくのだ。
 他にも、後から生まれた者がより美しい容姿だった場合、先に呪いにかかっていた者の効果が薄くなり、後から生まれた者の呪いが濃くなっていくというものだった。
 
 
 そんな過去の呪いなど知る由もない周囲の人間に冷笑されていたグレイスだったが、学生時代に同級生だったアールスと恋仲になり結婚。
 後に三人の子を授かった。
 
 ただし、レインが生まれたときに莫大な魔力を持っていることが分かった時点でグレイスは将来のことを考えて涙した。
 魔力量が莫大で、生まれたときから愛らしかったその子が成長するに従って自分と同じ、もしかするとそれ以上の影響を受ける可能性を考えたからだ。
 
 アールスは決断した。
 
「可哀想だがこの子には、早々に仮面をつけよう」

 そう言って、常に仮面で顔を隠すグレイスのことを見た。
 グレイスも、それに同意した。
 
 それからレインは、すくすく成長するにつれて、その愛らしかった容姿は醜いものへと変わっていったのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~

小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。 そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。 幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。 そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――? 「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」 鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。 精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

一夜限りの関係だったはずなのに、責任を取れと迫られてます。

甘寧
恋愛
魔女であるシャルロッテは、偉才と呼ばれる魔導師ルイースとひょんなことから身体の関係を持ってしまう。 だがそれはお互いに同意の上で一夜限りという約束だった。 それなのに、ルイースはシャルロッテの元を訪れ「責任を取ってもらう」と言い出した。 後腐れのない関係を好むシャルロッテは、何とかして逃げようと考える。しかし、逃げれば逃げるだけ愛が重くなっていくルイース… 身体から始まる恋愛模様◎ ※タイトル一部変更しました。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

国外追放されたくないので第二王子の胃袋を掴んだら溺愛されました!

和栗かのこ
恋愛
乙女ゲームが趣味の社畜・美咲は、階段から落ちて乙女ゲーム「クレセント・ナイト」の悪役令嬢に転生してしまう。 悪役令嬢セセリアに転生した美咲は、国外追放される展開を変えるため、婚約者である第二王子の胃袋を掴むことを思いつく。

完 独身貴族を謳歌したい男爵令嬢は、女嫌い公爵さまと結婚する。

水鳥楓椛
恋愛
 男爵令嬢オードリー・アイリーンはある日父が負った借金により、大好きな宝石だけでは食べていけなくなってしまった。そんな時、オードリーの前に現れたのは女嫌いと有名な公爵エドワード・アーデルハイトだった。愛する家族を借金苦から逃すため、オードリーは悪魔に嫁ぐ。結婚の先に待ち受けるのは不幸か幸せか。少なくとも、オードリーは自己中心的なエドワードが大嫌いだった………。  イラストは友人のしーなさんに描いていただきました!!

周囲からはぐうたら聖女と呼ばれていますがなぜか専属護衛騎士が溺愛してきます

鳥花風星
恋愛
聖女の力を酷使しすぎるせいで会議に寝坊でいつも遅れてしまう聖女エリシアは、貴族たちの間から「ぐうたら聖女」と呼ばれていた。 そんなエリシアを毎朝護衛騎士のゼインは優しく、だが微妙な距離感で起こしてくれる。今までは護衛騎士として適切な距離を保ってくれていたのに、なぜか最近やたらと距離が近く、まるでエリシアをからかっているかのようなゼインに、エリシアの心は揺れ動いて仕方がない。 そんなある日、エリシアはゼインに縁談が来ていること、ゼインが頑なにそれを拒否していることを知る。貴族たちに、ゼインが縁談を断るのは聖女の護衛騎士をしているからだと言われ、ゼインを解放してやれと言われてしまう。 ゼインに幸せになってほしいと願うエリシアは、ゼインを護衛騎士から解任しようとするが……。 「俺を手放そうとするなんて二度と思わせませんよ」 聖女への思いが激重すぎる護衛騎士と、そんな護衛騎士を本当はずっと好きだった聖女の、じれじれ両片思いのラブストーリー。

処理中です...