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第二話 ルトヴィア王国の英雄
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アンリエットが住むルトヴィア王国は、一年前に隣国から戦争を仕掛けられていた。
ルトヴィア王国は、資源の豊かな国だったので、資源の少ない隣国から狙われていたのだ。
隣国のセルジアナ王国は、とうとう資源が底をつきそうになって焦っていたのだ。
そんな時、ルトヴィア王国の守りの要とも言える王国軍の将軍である、ガウェイン・トードリア公爵が、大規模な魔物討伐をするため、辺境に向かったという報告を受けたセルジアナ王国は動いたのだ。
しかし、ガウェインが鍛え上げた王国軍は、セルジアナ王国の猛攻を国境で防ぎきったのだ。
セルジアナ王国が仕掛けて二ヶ月が経った時、魔物討伐のため辺境に行っていたガウェインが戻ってきたのだ。
彼は、一騎当千の強者だった。
ガウェインの参戦により均衡していた戦線は、一気にルトヴィア王国の優勢に変わった。
戦争は、ルトヴィア王国が優勢になっていたが、圧倒的な数の多さで、セルジアナ王国もそれ以上戦線が押されないように必死になっていた。
しかし、兵士も無限に居る訳ではないのだ。いつしか、兵士だけでは戦線の維持が難しくなったセルジアナ王国は、民を徴収して兵に加えるようになっていたのだ。
全く訓練されていない民が加わった所で、戦に勝てるはずもなかったのだ。
開戦から十ヶ月が過ぎた時だった。
戦線を押し上げて、セルジアナの王都まで攻め入っていたガウェインは、少数精鋭を連れて王宮に攻め込んでいた。
戦争で疲弊していた王宮の兵士たちは、攻め入るガウェインを止めることは叶わなかった。
あっという間に王宮は、ガウェインによって制圧された。
しかし、玉座に王の姿はなかった。
急を要すると考えたガウェインは、王宮にいる者に強引な手を使って王の居所を聞き出したのだ。
剣を突きつけ、少しでも言い渋る者があれば、その者の耳や手の指を問答無用で切り飛ばした。
見せしめのように、震える捕虜の前でそれを繰り返しやってのけた。
恐怖からなのか、元々忠誠心がなかったのか、最初は言い淀んでいた捕虜も、自分の身可愛さに、あっさりと王の居所を話していた。
そして、吐かせた情報を元に、王を追いかけたガウェインは、抜け道の先でセルジアナ王国の国王を捕らえた。
一国の王にしては、威厳も覇気もない男だとガウェインは思った。
しかし、その顔は王宮に飾ってあった姿絵と同じだった。
贅沢に慣れた、だらし無く弛んだ体。こんな状況にも関わらず、絹でできた豪奢な服に身を包み、宝石でその身を飾る愚王。
「お前が、セルジアナ王国の国王だな」
ガウェインがそう言い放つと、目の前で震える男は無様に言ったのだ。
「儂は、か、影武者じゃ!!王の身代わりになっただけじゃ!!命だけは!!命だけは!!」
捕虜から影武者についても聞き出しているが、王宮に攻め入った時に、それと気づかずに既に切り捨てていた。
影武者だと気が付かずに切り捨てた男は、王とは似ても似つかない優男だったことを思い出して、ガウェインは鼻で笑った。
「ふん。お前自身は肥え太り、醜い姿を晒しているというのに、影武者にはそれとは正反対の男を選ぶ辺り、王としての器が知れるな。言い残すことはあるか?」
「ひっーーー!!死にたくない!!欲しい物があれば言ってくれ!!そうだ!!貴殿に、儂のかわゆい娘を嫁にやってもいいぞ!!」
そう言われたガウェインは、胸糞の悪さから表情を歪めた。しかし、それを見た国王は、ただただ目の前に迫る死神のようなガウェインに恐怖し、震えていた。
ガウェインは、少し表情を動かしただけのつもりだったが、彼の青い瞳は凍てつく氷のようだった。
その瞳を見た者の心までも凍りつかせるような、そんな目つきだったのだ。
ガウェインの凍てつく瞳を間近で見た国王は、へたり込み地面に水溜りを作っていた。
それを見たガウェインは、汚いものを見るような目で言った。
「いらん。この恥知らずの愚王。死んで、戦争に巻き込んだ民草に詫びろ」
そう言って、一思いにセルジアナ国王の首を胴体から切り離していた。
ガウェインは、首級を持って王宮に戻ろうとしたが、体を置いていくことも出来ないと思ったが、それを躊躇った。
少し考えてから、首のなくなった脂肪の塊に縄を掛けて引きずって王宮に戻ったのだった。
その後、愚王の体は城下に晒された。
王族は、全員が処刑された。
セルジアナ王国は、その後ルトヴィア王国の属国になることが決まった。
ルトヴィア王国の役人が顧問となり、戦後処理が行われることになった。
国の貴族は、大多数が処刑されて、ルトヴィア王国の貴族で、次男や三男といった、爵位を継げない令息たちが新たな貴族として着くことになった。
戦後の処理が全て終わった時、戦争開始から約1年の月日が経っていた。
ルトヴィア王国は、資源の豊かな国だったので、資源の少ない隣国から狙われていたのだ。
隣国のセルジアナ王国は、とうとう資源が底をつきそうになって焦っていたのだ。
そんな時、ルトヴィア王国の守りの要とも言える王国軍の将軍である、ガウェイン・トードリア公爵が、大規模な魔物討伐をするため、辺境に向かったという報告を受けたセルジアナ王国は動いたのだ。
しかし、ガウェインが鍛え上げた王国軍は、セルジアナ王国の猛攻を国境で防ぎきったのだ。
セルジアナ王国が仕掛けて二ヶ月が経った時、魔物討伐のため辺境に行っていたガウェインが戻ってきたのだ。
彼は、一騎当千の強者だった。
ガウェインの参戦により均衡していた戦線は、一気にルトヴィア王国の優勢に変わった。
戦争は、ルトヴィア王国が優勢になっていたが、圧倒的な数の多さで、セルジアナ王国もそれ以上戦線が押されないように必死になっていた。
しかし、兵士も無限に居る訳ではないのだ。いつしか、兵士だけでは戦線の維持が難しくなったセルジアナ王国は、民を徴収して兵に加えるようになっていたのだ。
全く訓練されていない民が加わった所で、戦に勝てるはずもなかったのだ。
開戦から十ヶ月が過ぎた時だった。
戦線を押し上げて、セルジアナの王都まで攻め入っていたガウェインは、少数精鋭を連れて王宮に攻め込んでいた。
戦争で疲弊していた王宮の兵士たちは、攻め入るガウェインを止めることは叶わなかった。
あっという間に王宮は、ガウェインによって制圧された。
しかし、玉座に王の姿はなかった。
急を要すると考えたガウェインは、王宮にいる者に強引な手を使って王の居所を聞き出したのだ。
剣を突きつけ、少しでも言い渋る者があれば、その者の耳や手の指を問答無用で切り飛ばした。
見せしめのように、震える捕虜の前でそれを繰り返しやってのけた。
恐怖からなのか、元々忠誠心がなかったのか、最初は言い淀んでいた捕虜も、自分の身可愛さに、あっさりと王の居所を話していた。
そして、吐かせた情報を元に、王を追いかけたガウェインは、抜け道の先でセルジアナ王国の国王を捕らえた。
一国の王にしては、威厳も覇気もない男だとガウェインは思った。
しかし、その顔は王宮に飾ってあった姿絵と同じだった。
贅沢に慣れた、だらし無く弛んだ体。こんな状況にも関わらず、絹でできた豪奢な服に身を包み、宝石でその身を飾る愚王。
「お前が、セルジアナ王国の国王だな」
ガウェインがそう言い放つと、目の前で震える男は無様に言ったのだ。
「儂は、か、影武者じゃ!!王の身代わりになっただけじゃ!!命だけは!!命だけは!!」
捕虜から影武者についても聞き出しているが、王宮に攻め入った時に、それと気づかずに既に切り捨てていた。
影武者だと気が付かずに切り捨てた男は、王とは似ても似つかない優男だったことを思い出して、ガウェインは鼻で笑った。
「ふん。お前自身は肥え太り、醜い姿を晒しているというのに、影武者にはそれとは正反対の男を選ぶ辺り、王としての器が知れるな。言い残すことはあるか?」
「ひっーーー!!死にたくない!!欲しい物があれば言ってくれ!!そうだ!!貴殿に、儂のかわゆい娘を嫁にやってもいいぞ!!」
そう言われたガウェインは、胸糞の悪さから表情を歪めた。しかし、それを見た国王は、ただただ目の前に迫る死神のようなガウェインに恐怖し、震えていた。
ガウェインは、少し表情を動かしただけのつもりだったが、彼の青い瞳は凍てつく氷のようだった。
その瞳を見た者の心までも凍りつかせるような、そんな目つきだったのだ。
ガウェインの凍てつく瞳を間近で見た国王は、へたり込み地面に水溜りを作っていた。
それを見たガウェインは、汚いものを見るような目で言った。
「いらん。この恥知らずの愚王。死んで、戦争に巻き込んだ民草に詫びろ」
そう言って、一思いにセルジアナ国王の首を胴体から切り離していた。
ガウェインは、首級を持って王宮に戻ろうとしたが、体を置いていくことも出来ないと思ったが、それを躊躇った。
少し考えてから、首のなくなった脂肪の塊に縄を掛けて引きずって王宮に戻ったのだった。
その後、愚王の体は城下に晒された。
王族は、全員が処刑された。
セルジアナ王国は、その後ルトヴィア王国の属国になることが決まった。
ルトヴィア王国の役人が顧問となり、戦後処理が行われることになった。
国の貴族は、大多数が処刑されて、ルトヴィア王国の貴族で、次男や三男といった、爵位を継げない令息たちが新たな貴族として着くことになった。
戦後の処理が全て終わった時、戦争開始から約1年の月日が経っていた。
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