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第五話
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「ウェイン」
男の形のいい薄い唇を見つめながら、華火は首を傾げる。
すると、男はもう一度ゆっくりと同じ言葉を口にしていた。
「ウェイン」
華火は、何か大切な言葉に聞こえたような気がして、ゆっくりとその言葉を口にしていた。
「うぇいん」
華火が少し、舌足らずな様子でその言葉を口にすると、男の表情はぱっと明るいものへと変わっていた。
華火が、その言葉を口に馴染ませるかのように何度も口にすると、嬉しそうに何度も首を縦に振った。
「うぇいん。うぇいん? うぇいん」
何度かそう口にした後、華火はようやくその意味に気が付く。
(ウェイン……。名前だ! これって、この人の名前なんだきっと)
そう気が付いた華火は、男を指さしてから「うぇいん」と口にする。
すると、男は見た者の目を潰してしまうのではと思えるような、笑顔になっていた。
その眩しすぎる笑顔に、目を細めつつ、華火は胸を撫で下ろす。
(あってた……。よかった。目の前のこの人は、ウェインさんっていうんだ。そうだ!)
いいことを思いついたと、華火が瞳を輝かせた後、自分を指さしてからウェインをまねていた。
「華火」
華火の言葉を聞いたウェインは、目を丸くさせた後に、とても大切な言葉を口にするように、その名を声に出していた。
「ハナビ」
自分の名前をウェインの口から聞いた華火は、心が早鐘のよう鳴りだしていた。
ドキドキとする胸を押さえた華火は、先ほどまで感じていた不安が消えていくような不思議な思いに満たされていた。
ただ、相手の名前を知り、その相手から自分の名を呼んでもらった。
ただそれだけのことが、華火の心を満たしたのだ。
しかし、その喜びもそう長くは続かなかった。
ふと胸の奥で感じた不快感に軽く咳をした華火は、口元を押さえた手のひらに感じる違和感に首を傾げる。
咳をしたとき、口元を押さえた手のひらに温かいものがかかったのだ。
それが何かを確かめるために、手のひらを見た華火は言葉を失う。
それはとても鮮明な赤色に見えた。
白い手のひらに、真っ赤な色が広がっていた。
その赤が血だと気が付いた次の瞬間、華火は激しい咳に背中を丸めることとなったのだ。
「ゴホッゴホッ!! ゲホッ!」
咳き込むたびに喉の奥から鉄の味が口に広がって、手のひらから血が溢れて止まらなかった。
苦しさに涙を流す華火は、背中を撫でながら、自分を抱きしめるウェインに遅れて気が付く。
「だ……め……。ち、血が……、うぇいんさんが汚れちゃう……」
そう言って、イヤイヤと首を振り、ウェインから離れようとする華火をぎゅっと抱きしめて、ウェインは真摯な声で言うのだ。
「イアナムス。ハナビ。アゲロ、エディエサテカコウオハムクヒアキニウオユフ……。イアナムス。エルケテアタグオモーチアルツ……」
何を言っているのかは分からなかった華火だったが、自分の名前が呼ばれたことが嬉しくて、表情を苦しそうに歪めながらも、微笑みを浮かべようとしたのだ。
その様子に気が付いたウェインは、ぎゅっと華火の細い体を抱きしめていた。
華火はふと気が付く。
ウェインに抱きしめられていると、だんだんと苦しさが薄れていくという事実に。
そして、苦しさが無くなるのと同時に、再び華火の意識は薄れていくのだった。
華火が意識を失った後、ウェインはようやくその体を離していた。
愛おしそうに、繊細なガラス細工にでも触れるように、指先で華火の真っ白な頬に触れていた。
「イアナムス。イサキス、アヅンイアナグオフオハキセロク。ウアヌグトメダルキアラッタヌコヤグハナビ。アラカヅ……」
男の形のいい薄い唇を見つめながら、華火は首を傾げる。
すると、男はもう一度ゆっくりと同じ言葉を口にしていた。
「ウェイン」
華火は、何か大切な言葉に聞こえたような気がして、ゆっくりとその言葉を口にしていた。
「うぇいん」
華火が少し、舌足らずな様子でその言葉を口にすると、男の表情はぱっと明るいものへと変わっていた。
華火が、その言葉を口に馴染ませるかのように何度も口にすると、嬉しそうに何度も首を縦に振った。
「うぇいん。うぇいん? うぇいん」
何度かそう口にした後、華火はようやくその意味に気が付く。
(ウェイン……。名前だ! これって、この人の名前なんだきっと)
そう気が付いた華火は、男を指さしてから「うぇいん」と口にする。
すると、男は見た者の目を潰してしまうのではと思えるような、笑顔になっていた。
その眩しすぎる笑顔に、目を細めつつ、華火は胸を撫で下ろす。
(あってた……。よかった。目の前のこの人は、ウェインさんっていうんだ。そうだ!)
いいことを思いついたと、華火が瞳を輝かせた後、自分を指さしてからウェインをまねていた。
「華火」
華火の言葉を聞いたウェインは、目を丸くさせた後に、とても大切な言葉を口にするように、その名を声に出していた。
「ハナビ」
自分の名前をウェインの口から聞いた華火は、心が早鐘のよう鳴りだしていた。
ドキドキとする胸を押さえた華火は、先ほどまで感じていた不安が消えていくような不思議な思いに満たされていた。
ただ、相手の名前を知り、その相手から自分の名を呼んでもらった。
ただそれだけのことが、華火の心を満たしたのだ。
しかし、その喜びもそう長くは続かなかった。
ふと胸の奥で感じた不快感に軽く咳をした華火は、口元を押さえた手のひらに感じる違和感に首を傾げる。
咳をしたとき、口元を押さえた手のひらに温かいものがかかったのだ。
それが何かを確かめるために、手のひらを見た華火は言葉を失う。
それはとても鮮明な赤色に見えた。
白い手のひらに、真っ赤な色が広がっていた。
その赤が血だと気が付いた次の瞬間、華火は激しい咳に背中を丸めることとなったのだ。
「ゴホッゴホッ!! ゲホッ!」
咳き込むたびに喉の奥から鉄の味が口に広がって、手のひらから血が溢れて止まらなかった。
苦しさに涙を流す華火は、背中を撫でながら、自分を抱きしめるウェインに遅れて気が付く。
「だ……め……。ち、血が……、うぇいんさんが汚れちゃう……」
そう言って、イヤイヤと首を振り、ウェインから離れようとする華火をぎゅっと抱きしめて、ウェインは真摯な声で言うのだ。
「イアナムス。ハナビ。アゲロ、エディエサテカコウオハムクヒアキニウオユフ……。イアナムス。エルケテアタグオモーチアルツ……」
何を言っているのかは分からなかった華火だったが、自分の名前が呼ばれたことが嬉しくて、表情を苦しそうに歪めながらも、微笑みを浮かべようとしたのだ。
その様子に気が付いたウェインは、ぎゅっと華火の細い体を抱きしめていた。
華火はふと気が付く。
ウェインに抱きしめられていると、だんだんと苦しさが薄れていくという事実に。
そして、苦しさが無くなるのと同時に、再び華火の意識は薄れていくのだった。
華火が意識を失った後、ウェインはようやくその体を離していた。
愛おしそうに、繊細なガラス細工にでも触れるように、指先で華火の真っ白な頬に触れていた。
「イアナムス。イサキス、アヅンイアナグオフオハキセロク。ウアヌグトメダルキアラッタヌコヤグハナビ。アラカヅ……」
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