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第十七話
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華火の日々に少しだけ変化が起こっていた。
それは、ウェインとマリア以外の公爵邸の人間と過ごす時間がほんの少し増えたということだった。
ウェインが仕事に行っている間の過ごし方が変わっていたのだ。
庭園で花の水やりや、時には花の苗を植えるのを手伝ったりもしたのだ。
そして時には、調理場で野菜の皮を剥いたり、ウェインの為のお菓子や軽食を作ったりというものだ。
庭園で過ごす際は、庭師のジンが華火の世話を焼くようになっていた。
元々ジンは、口数の少ない人間だったが、華火と過ごすときは、耳に心地がいい低音でぽつぽつと話すようになっていた。
ジンの仕事を手伝っている時、マリアも当然一緒だったが、普段の彼女よりもほんの少しだけ緊張していたような気がして、華火はもしやと頬を染めていた。
そんなある日、ウェインがいつもよりも早い時間に屋敷に帰っていたのだ。
ウェインを玄関先で出迎えた華火は、最近の習慣となりつつある、とあることに頬を染めていた。
それは、ウェインからのただいまのハグと頬へのキスだった。
慣れない行動に恥ずかしさはあっても、ウェインに抱きしめられると、それまでに感じていた体の重さや疲れが吹き飛んでしまったように体が軽くなったのだ。
ただ、こちらの世界に来てから、ウェインの傍にいる方が体の調子がいいことは確かなので、体が軽くなるのは気のせいではないと華火は思っていた。
ただ、それが何故なのかは分からないままではあったが。
だから華火は恥ずかしそうにしながらも、こう言い訳をしながらウェインからのハグやキスを受け入れていたのだ。
「うぇいんさんからぎゅーってされるとすごく癒されるから、これはそう言うあれじゃないの……。うん、これは、うぇいんさんを補充しているだけで、変なあれじゃないの……。あれ? なんか違うような……?」
そんな華火に対して、ウェインの過保護具合はエスカレートしていた。
華火は気が付いていないが、華火の為だけの衣裳部屋が出来上がっていたのだ。
半分は、マリアの仕業ではあったが、確実に華火に似合うワンピースやドレス、小物類が増えていっていたのだ。
そして、日々の華火の様子から花が好きだと察したウェインは、庭師のジンに密かに命じて、華火が好きそうな東屋を建てる計画もしていた。
そこには、華火が好きそうな花だけではなく、可愛らしいテーブルセットなどが置かれる予定になっていた。
昼過ぎに帰ってきたウェインは、お茶と菓子を用意するように命じた後、抱きしめていた華火を横抱きにして自室に向かっていた。
自室のソファーで、華火を足の間に座らせたウェインは、華火のために用意した塗り薬を取り出していた。
楽しそうに、花の世話や調理場の手伝いをしていることを知っているウェインは、それを断腸の思いで黙認していた。
本当は、そんな事せずに、好きなように過ごしてほしいと思っていたが、言葉も分からず、字も読めない状況で過ごす日々に苦痛を感じさせたくないウェインは、華火の好きなように過ごしてもらうことに決めたのだ。
そのことで華火の細い指が荒れてしまうことがあっても、止めることは出来なかった。
だから、手荒れによく効く薬を用意して、それを華火の華奢な指に塗るのがウェインの日課となったのだ。
本来は、回復魔法でも荒れた手を治すことは出来たが、敢えて良く効く塗り薬にしていたのだ。
回復魔法が華火の負担にならないようにと言うのは建前で、ただ華火に触れたかった……訳ではない。とウェインは、言い訳をしながら丁寧に華火の指先に薬を塗るのだ。
ウェインの大きく硬い手によって、指先に薬を塗られるくすぐったさに華火はくすくすと笑ってしまっていた。
「くすっ。ふふふ……、くすぐったいです。でも、指先がすごくぽかぽかします」
「アニーアワケツカシータヘトヌオジハナビ……。アーフ……、ンイキアス、アガテクオウコクオホツリエチスコヤカノツジン……。アデマヅ……、アベレカニシエスオユチヌオユレレアクカヤホットマハラケロク……」
薬を塗り終わったウェインは、指を絡めるようにしながら、何かを呟きながら、溜息を吐く。
華火には、そのため息がひどく色っぽいものに感じてしまい、耳を赤くさせながら狼狽してしまう。
「何を言っているのかは分からないけど、指をそんな風に絡めながら、耳元でささやかれたら……。はうぅ~~。ドキドキが聞こえちゃう~~」
ウェインの行動に胸を高鳴らせてしまっていた華火は、赤くなった顔を見られないようにと下を向いたがそれは逆効果になっていたことを知らない。
首まで真っ赤にさせた華火の、細いうなじにウェインもまた胸を高鳴らせてしまっていたのだ。
細く頼りないうなじを真っ赤に染めて、小さくなっている華火を見たウェインは、困ったような表情で口元を押さえてなるべく視線を逸らしながらぽつりと呟くのだ。
「アドゥコスンアフ。アグトチフトチホヌオドゥオク、アヅンイーアワコミナンノケチスオヅ……。アア、ウトスク!」
そう呟きながら、視線を逸らしていたウェインだったが、堪らないといった様子で華火の小さな体を後ろからぎゅっと抱きしめる。
「アディクス……。ンエモグ……」
苦しそうにそう呟いたウェインは、いまだに指を絡めていた華火の細く頼りない指先に唇を寄せていた。
ウェインから、指先に触れるだけのキスをされた華火は、心臓が破裂してしまいそうになっていた。
ウェインの唇が触れた場所が激しく脈打ち、何かが溢れてしまいそうだと混乱する頭で華火は思ったのだ。
(恥ずかしい……。恥ずかしい……!! 指が熱い……、全身が心臓になったみたい……。やだ……。どうしよう、ウェインさんにドキドキが聞こえちゃう……。そんなの恥ずかしい……。まるで……。わたしが、ウェインさんをす―――)
華火が感じたドキドキが最高潮に達したときだった。
まるで、オーバーヒートしたかのように、華火はへなへなとウェインの腕の中で意識を飛ばしてしまっていた。
突然気を失った華火にウェインは、大慌てで医師を呼ぼうとしたが、それはマリアによって止められていた。
あの時、全てを見ていたマリアは、ウェインが原因で、恥ずかしさのあまり華火が意識を飛ばしたと見抜いていたのだ。
そんなマリアは、ウェインに言うのだ。
「アクタケベクシルッツム。オット、アチサミシエルチス。アクタクカユスオク。ンエサメキアヒグシラヨモトギナン。ウサミラカワホトカニグシクサガマスオジョハナビ。アグセヅ、エニアサドゥケチスベース? オユサミシアゲノウキソロユ?」
「ッ……。ウリエッタカウ……。アハラケロク、ウレアキフコユルコユク……ウオモーツ……」
マリアの言葉に弱々しく返したウェイン。
そんなウェインを見たマリアは、ヤレヤレといったように頭を横に振るのだった。
それは、ウェインとマリア以外の公爵邸の人間と過ごす時間がほんの少し増えたということだった。
ウェインが仕事に行っている間の過ごし方が変わっていたのだ。
庭園で花の水やりや、時には花の苗を植えるのを手伝ったりもしたのだ。
そして時には、調理場で野菜の皮を剥いたり、ウェインの為のお菓子や軽食を作ったりというものだ。
庭園で過ごす際は、庭師のジンが華火の世話を焼くようになっていた。
元々ジンは、口数の少ない人間だったが、華火と過ごすときは、耳に心地がいい低音でぽつぽつと話すようになっていた。
ジンの仕事を手伝っている時、マリアも当然一緒だったが、普段の彼女よりもほんの少しだけ緊張していたような気がして、華火はもしやと頬を染めていた。
そんなある日、ウェインがいつもよりも早い時間に屋敷に帰っていたのだ。
ウェインを玄関先で出迎えた華火は、最近の習慣となりつつある、とあることに頬を染めていた。
それは、ウェインからのただいまのハグと頬へのキスだった。
慣れない行動に恥ずかしさはあっても、ウェインに抱きしめられると、それまでに感じていた体の重さや疲れが吹き飛んでしまったように体が軽くなったのだ。
ただ、こちらの世界に来てから、ウェインの傍にいる方が体の調子がいいことは確かなので、体が軽くなるのは気のせいではないと華火は思っていた。
ただ、それが何故なのかは分からないままではあったが。
だから華火は恥ずかしそうにしながらも、こう言い訳をしながらウェインからのハグやキスを受け入れていたのだ。
「うぇいんさんからぎゅーってされるとすごく癒されるから、これはそう言うあれじゃないの……。うん、これは、うぇいんさんを補充しているだけで、変なあれじゃないの……。あれ? なんか違うような……?」
そんな華火に対して、ウェインの過保護具合はエスカレートしていた。
華火は気が付いていないが、華火の為だけの衣裳部屋が出来上がっていたのだ。
半分は、マリアの仕業ではあったが、確実に華火に似合うワンピースやドレス、小物類が増えていっていたのだ。
そして、日々の華火の様子から花が好きだと察したウェインは、庭師のジンに密かに命じて、華火が好きそうな東屋を建てる計画もしていた。
そこには、華火が好きそうな花だけではなく、可愛らしいテーブルセットなどが置かれる予定になっていた。
昼過ぎに帰ってきたウェインは、お茶と菓子を用意するように命じた後、抱きしめていた華火を横抱きにして自室に向かっていた。
自室のソファーで、華火を足の間に座らせたウェインは、華火のために用意した塗り薬を取り出していた。
楽しそうに、花の世話や調理場の手伝いをしていることを知っているウェインは、それを断腸の思いで黙認していた。
本当は、そんな事せずに、好きなように過ごしてほしいと思っていたが、言葉も分からず、字も読めない状況で過ごす日々に苦痛を感じさせたくないウェインは、華火の好きなように過ごしてもらうことに決めたのだ。
そのことで華火の細い指が荒れてしまうことがあっても、止めることは出来なかった。
だから、手荒れによく効く薬を用意して、それを華火の華奢な指に塗るのがウェインの日課となったのだ。
本来は、回復魔法でも荒れた手を治すことは出来たが、敢えて良く効く塗り薬にしていたのだ。
回復魔法が華火の負担にならないようにと言うのは建前で、ただ華火に触れたかった……訳ではない。とウェインは、言い訳をしながら丁寧に華火の指先に薬を塗るのだ。
ウェインの大きく硬い手によって、指先に薬を塗られるくすぐったさに華火はくすくすと笑ってしまっていた。
「くすっ。ふふふ……、くすぐったいです。でも、指先がすごくぽかぽかします」
「アニーアワケツカシータヘトヌオジハナビ……。アーフ……、ンイキアス、アガテクオウコクオホツリエチスコヤカノツジン……。アデマヅ……、アベレカニシエスオユチヌオユレレアクカヤホットマハラケロク……」
薬を塗り終わったウェインは、指を絡めるようにしながら、何かを呟きながら、溜息を吐く。
華火には、そのため息がひどく色っぽいものに感じてしまい、耳を赤くさせながら狼狽してしまう。
「何を言っているのかは分からないけど、指をそんな風に絡めながら、耳元でささやかれたら……。はうぅ~~。ドキドキが聞こえちゃう~~」
ウェインの行動に胸を高鳴らせてしまっていた華火は、赤くなった顔を見られないようにと下を向いたがそれは逆効果になっていたことを知らない。
首まで真っ赤にさせた華火の、細いうなじにウェインもまた胸を高鳴らせてしまっていたのだ。
細く頼りないうなじを真っ赤に染めて、小さくなっている華火を見たウェインは、困ったような表情で口元を押さえてなるべく視線を逸らしながらぽつりと呟くのだ。
「アドゥコスンアフ。アグトチフトチホヌオドゥオク、アヅンイーアワコミナンノケチスオヅ……。アア、ウトスク!」
そう呟きながら、視線を逸らしていたウェインだったが、堪らないといった様子で華火の小さな体を後ろからぎゅっと抱きしめる。
「アディクス……。ンエモグ……」
苦しそうにそう呟いたウェインは、いまだに指を絡めていた華火の細く頼りない指先に唇を寄せていた。
ウェインから、指先に触れるだけのキスをされた華火は、心臓が破裂してしまいそうになっていた。
ウェインの唇が触れた場所が激しく脈打ち、何かが溢れてしまいそうだと混乱する頭で華火は思ったのだ。
(恥ずかしい……。恥ずかしい……!! 指が熱い……、全身が心臓になったみたい……。やだ……。どうしよう、ウェインさんにドキドキが聞こえちゃう……。そんなの恥ずかしい……。まるで……。わたしが、ウェインさんをす―――)
華火が感じたドキドキが最高潮に達したときだった。
まるで、オーバーヒートしたかのように、華火はへなへなとウェインの腕の中で意識を飛ばしてしまっていた。
突然気を失った華火にウェインは、大慌てで医師を呼ぼうとしたが、それはマリアによって止められていた。
あの時、全てを見ていたマリアは、ウェインが原因で、恥ずかしさのあまり華火が意識を飛ばしたと見抜いていたのだ。
そんなマリアは、ウェインに言うのだ。
「アクタケベクシルッツム。オット、アチサミシエルチス。アクタクカユスオク。ンエサメキアヒグシラヨモトギナン。ウサミラカワホトカニグシクサガマスオジョハナビ。アグセヅ、エニアサドゥケチスベース? オユサミシアゲノウキソロユ?」
「ッ……。ウリエッタカウ……。アハラケロク、ウレアキフコユルコユク……ウオモーツ……」
マリアの言葉に弱々しく返したウェイン。
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