異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
9 / 123
出会い編

9 私と突然の来訪者

しおりを挟む
 そんなこんなで、お肉を恋しく思いながらも魔の森で十分な暮らしを送っていた。
 その日は、森には出かけずにマイホームに新しく作った工房で作業をしていた。
 
 そう、異世界に召喚されてから、家主がMASTERレベルになっていたのだ。
 そのお陰で、工房を持つことができた。
 家の横に新しく工房を作った。工房と家は繋がるように建てているため、簡単に行き来できるようになっていた。
 工房内は、広々とした作りになっていて、広い作業机と錬金釜が置かれている。
 ちなみに、この錬金釜はフェイクです。
 別に、錬金釜がなくてもアイテムを作成できるんだけど、雰囲気って大事でしょ?
 という訳で、見た目重視で工房内は成り立っていたので、実際に使わないインテリア的な道具が所狭しと置かれていたりする。
 
 でも、これぞ錬金術師の工房といった見た目で、私は大満足だった。
 そんな、大満足な気分の中、新しいアイテムの作成に勤しんでいた。
 今回作りたいものは、動物除けのアイテムだ。
 頻繁ではないけど、稀にモンスターらしき生物が、敷地の近くを彷徨くことがあるんだよね。
 冷静になれば、ミスリル製の柵だから、ちょっとやそっとじゃ侵入はされないけど、やっぱり近くを徘徊されるのはいい気持ちじゃない。
 だから、生き物を遠ざけるようなアイテムを作ろうと考えたんだよね。
 ここ数日、色々試したお陰でどういうものにするのかアイディアが固まったので、試作を作ることにした。
 菜園からいくつかの薬草を摘んできて、それを錬金術師のスキルでブレンドしていく。
 匂いは、甘くていい匂いがしていた。だけど、この薬草は猛毒だったりするのよね。
 で、このブレンドした薬草からポーションを抽出していく。
 名付けて、「モンスター除けポーション~甘い香りの猛毒を添えて~」の完成だ!!
 ちょっと名前が長いかも……。じゃぁ、魔除けのポーションでいいや。
 これを使って、実際にモンスターを退ける事が出来るか実験だぁ!!
 
 私は、出来たての魔除けのポーションを片手に意気揚々と工房を飛び出した。
 飛び出したのはいいんだけど、ここからが大変だった。
 
 アイテム制作に夢中になってて気が付かなかったけど、すっかり日が暮れていたのだ。
 気が付くと、お腹が空腹を訴えるように鳴った。実験は諦めて、今日はご飯を食べて休むことに決めた私は、夕飯の準備に取り掛かった。
 粗方おかずが出来たので、後はご飯が炊きあがるのを待つだけだった。
 だから、先にひとっ風呂浴びてさっぱりすることに決めた。
 お風呂セットを用意してから、自慢のお風呂場に向かった。
 体を洗ってから、露天風呂に移動して湯に浸かった。
 お湯の温かさで、凝り固まっていた体が解れていくように感じた。一人なのを良いことに、チャプチャプとお湯で遊びながら、お気に入りのアヒルさんと戯れる。
 空を見上げると、異世界らしい真っ赤に輝く月が見えた。
 何気なく、今日は満月だとその月に見入っていた。
 
 異世界に来た当初は、分厚い眼鏡を掛けていたけど今は裸眼でも問題なく周囲が見えていた。
 何気なく、ポーションで視力が良くならないかと毎日ポーションを目薬代わりにしていたら本当に視力が回復したのだ。
 今では、両目ともくっきりバッチリ見えるようになっていた。
 そんな、視力の回復した目で月をみていると、月に黒い点が出来たことに気がついた。
 その黒い点は、よく見ると1つではなく2つもあった。
 謎の黒い点を確かめようと、目を細めて赤い月を見上げていると、その黒い点が少しずつ大きくなっている事に気がついた。
 
 そこで私は、その黒い点が大きくなっているのではなく、私の方に近づいてきているのだと遅まきながらに気がついたが、全ては遅かった。
 あっと、思ったときにはその黒い何かが露天風呂に落ちてきたのだ。
 
 バシャーーーーン!!!
 
 大きな飛沫を上げて、勢い良くお湯が水柱を上げていた。
 私は、呆気にとられながらそのお湯が飛び散るさまを見ていた。
 飛び散ったお湯が、雨のように頭上から勢い良く降り注ぎ、それが落ち着いた後も私は呆然としていた。
 だって、目の前に広がる光景にどうリアクションしていいのか分からなかったんだもの。
 
 あっけにとられる私の前では、お湯から勢いよく出てきた二人の人間が喧嘩を始めるという異常な光景が広がっていたのだから。
 
「ああああぁぁ!!死ぬかと思ったぁ。下が水場で良かった」

「兄様の方向音痴!!どうして、一本道で迷った挙げ句にあんなトラップに引っかかるんですか!」

「俺は、方向音痴なんかじゃない!!それに、あのトラップは仕方ないよ。だって、全然罠感知に引っかからななかったし」

「ですが!もともと兄様が一本道で迷わなければ引っかからなかったんですよ!僕は、兄様を尊敬していますが、方向音痴だけはどうにか改善していただきたいです」

「だから、俺は方向音痴じゃない!!」

「なら、どうしてこうなったんですか!」

「知らん!!」

 私はと言うと、目の前で口喧嘩を始めた人物たちを見て身動き一つすることもなく硬直していた。
 
 そんな私に気が付かない二人は、ようやく口喧嘩を収めてくれた。
 
「はぁ。アーク、ごめん。俺がいながら、こんな事になってしまって」

「いいえ、僕ももう少し注意していればよかったです。先程は口が過ぎました。兄様申し訳ございません」

「いいって。それよりも、状況確認だな。というか、この水なんでこんなに温かいんだ?」

「はい。僕もそれが不思議でした。確か、異国では温かい水が湧く泉があるとかなんとか。ここはその温かい水が湧く泉なのだとしたら、僕たちはフェールズ王国の外にいるということになりますね」

「ああ。そうなると、国に帰還するのに時間が……、かかる……」

 そこまで言って、口を噤んだ男と私はバッチリ目があっていた。
 その男の視線は、下の方に移動してある一点で止まっていた。
 私が何か行動を起こす前に、その男が叫び声を上げてもう一人の男を小脇に抱えてその場を飛び出していったのだった。
 
「うわああああああああああ!!!!!!」

「ちょっ?兄様??」

 まさかの展開だったけど、これだけは言いたい。
 
「ちょっと待ってよ。悲鳴を上げたいのは私の方なんだけど……」

 裸を見られた私が悲鳴を上げるのではなく、見たほうが悲鳴を上げて逃げていくとはこれ如何に?
 解せぬ。
しおりを挟む
感想 160

あなたにおすすめの小説

【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!

雨宮羽那
恋愛
 いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。 ◇◇◇◇  私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。  元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!  気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?  元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!  だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。 ◇◇◇◇ ※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。 ※アルファポリス先行公開。 ※表紙はAIにより作成したものです。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」 何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。 しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。 様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。 この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが…… 男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。

巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編) 異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。 それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。 そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!? R4.6.5 なろうでの投稿を始めました。

最初から勘違いだった~愛人管理か離縁のはずが、なぜか公爵に溺愛されまして~

猪本夜
恋愛
前世で兄のストーカーに殺されてしまったアリス。 現世でも兄のいいように扱われ、兄の指示で愛人がいるという公爵に嫁ぐことに。 現世で死にかけたことで、前世の記憶を思い出したアリスは、 嫁ぎ先の公爵家で、美味しいものを食し、モフモフを愛で、 足技を磨きながら、意外と幸せな日々を楽しむ。 愛人のいる公爵とは、いずれは愛人管理、もしくは離縁が待っている。 できれば離縁は免れたいために、公爵とは友達夫婦を目指していたのだが、 ある日から愛人がいるはずの公爵がなぜか甘くなっていき――。 この公爵の溺愛は止まりません。 最初から勘違いばかりだった、こじれた夫婦が、本当の夫婦になるまで。

処理中です...