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再会編
64 あいつの過去
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成り行きとは言え、静弥と数年ぶりに手を繋いだ俺は、これまでの自分が愚かな行動を呪いたくなった。
後悔しても、過去は変わらない。
それに、静弥から聞いた千江府の話は衝撃的だった。
一般的に見て、女に好かれる顔の作りをした、所謂イケメンというやつだった。
俺が奴と初めて会ったのは、高校に入ってすぐだった。
俺は、静弥の父親である奏弥さんが亡くなってから無理に笑おうとして失敗する静弥を見ていられなくて、無理に笑わなくていいと言おうとして失敗してから、静弥と上手く話せなくなっていた。
「しずのそんな顔見たくない。無理に笑おうとしなくていい。ブスがさらにブスになるから、無理すんな」
本当は、無理して笑わなくても大丈夫だ。自然に笑えるようになるまで付いてるから。と言いたかった。
でも、幼稚な俺はついつい憎まれ口を叩いてしまっていた。
俺の言葉を聞いた時の、しずの泣きそうな表情を見た俺は、我慢せずに泣いて少しはスッキリすればいいと思ったが、しずは結局泣かなかった。
それ以降、俺としずとの間は余所余所しいものとなってしまっていた。
それでも、しずは距離を置いてはいたが、俺の目に見える範囲にいてくれたことに安心して胡座をかいてしまっていた。
そして、高校に入ってすぐの時だった。
下校途中に、静弥を見掛けたので声をかけようとしたら、見知らぬ男が静弥に馴れ馴れしく話しかけるのを見てしまった。
不快な気持ちを隠そうともせずに、俺は静弥に声を掛けていた。
「しず、そいつ誰だよ……」
俺の存在に気が付いていなかった静弥は、後ろから声を掛けられて驚いていた。
そんな俺に、静弥ではなく、一緒にいた男が話しかけてきたのだ。
「あれ?静弥ちゃんのお友達かな?ふふ」
妙に勝ち誇ったようにそう言ういけ好かない野郎を睨んでいると、慌てたように静弥が言ったのだ。
「千江府さん、彼は幼馴染の由利克人くんです……」
「へぇー。幼馴染……。ふーん。そうなんだ。ふふふ。これからよろしくね。由利君?俺は、静弥ちゃんの婚約者で、千江府威王丹って言います。でも、これから静弥ちゃんと映画に行く約束をしてるから、またね?」
そう言って、明らかに身を固くしている静弥の腰に手を回してキザったらしく言ったのだ。
だけど、静弥はなんの抵抗もせずに、そんなキザ野郎と共に雑踏の中に消えて行ってしまった。
別れ際、一瞬心細そうな顔をしていたけど、結局何も言わずにキザ野郎と行ってしまったのだ。
俺は、まさかの婚約者という言葉に頭が真っ白になっていて、どうすることも出来ずにただその背中を見送ることしか出来なかった。
それから、最初は月に一度だった頻度が、次第に週に一回の頻度で会うようになっていたようだった。
昨日、千江府が変態だという話を聞いた俺は、内心何があったのか気になって仕方なかった。
俺は、静弥の家に着いた時、これまでにあったことを話す代わりにと交換条件を出すことを考えた。
静弥は、口には出さなかったけど、千歌子のことを相当気にしていることが分かっていたから、最初は拒んでも最終的にこの条件を飲むことは目に見えていた。
俺の自分勝手な思いで、静弥の心の傷を抉るようなことを聞くのを躊躇う気持ちはあったが、最悪な事を想像しそうになる俺が暴走しそうで怖かったこともあり、何があったのかハッキリさせたかったのだ。
俺は、リビングにある二人がけのソファーに座って、隣を叩いて静弥に座るように促した。
「これまでにあったこと話してやる。俺の知る限りの千歌子の事もだ。だから、ここに座れ」
一瞬躊躇うように、何故かヴェインを見た静弥のことが気に食わなくて、強引に手を引いて隣に座らせていた。
そんな俺を見たヴェインは、眉を吊り上げていたが、静弥がヴェインのことを見上げて言ったのだ。
「大丈夫です。ちょっと驚いただけですから」
「……。はぁ。分かった。カツヒト、あまりシズに乱暴なことをするなよ?」
「分かってる……」
ヴェインの「俺ならもっとシズを大切にするのに」と言わんばかりの視線にイラッとしたが、自分でも強引だったと自覚しているので、強く出ることはしなかった。
改めて隣に座る静弥を見た俺は、久しぶりに正面からきちんと顔を合わせた幼馴染にドキドキしていた。
そんな事、気が付かれたくなかった俺は、行動を改めると誓ったはずなのに、ついついぶっきら棒に言ってしまっていた。
「その前に、お前のことも話せ。と言うか、千江府のことをだ。あいつと何があった?それを話してもらうまで、千歌子の事は言わない」
「えっ!!かっちゃんどうして?」
「その……、俺が気になるんだよ!!だから、話せ!」
「でも……」
静弥が口籠っていると、ヴェインが俺たちの間に割って入ってきていた。
「おい、カツヒト!!無理強いするな!!シズが嫌だってるだろう」
「お前は口を出すな。これは、俺としずとの問題だ」
別に、俺は静弥の恋人でも何でもないので、そんな権利なんてない。だけど、俺は引く気はなかった。
静弥の腕を引いて、顔を俺に向けさせて話すまで絶対に目を逸らさないという気持ちで、静弥の目を見つめていると、静弥が折れた。
「はぁ。聞いても面白くもない話だよ?」
「それでもだ」
「分かった……」
こうして、俺の知らない静弥の過去を聞くことになった俺は、今すぐにでも千江府の変態野郎の息の根を止めたいと心底思うことになったのだった。
後悔しても、過去は変わらない。
それに、静弥から聞いた千江府の話は衝撃的だった。
一般的に見て、女に好かれる顔の作りをした、所謂イケメンというやつだった。
俺が奴と初めて会ったのは、高校に入ってすぐだった。
俺は、静弥の父親である奏弥さんが亡くなってから無理に笑おうとして失敗する静弥を見ていられなくて、無理に笑わなくていいと言おうとして失敗してから、静弥と上手く話せなくなっていた。
「しずのそんな顔見たくない。無理に笑おうとしなくていい。ブスがさらにブスになるから、無理すんな」
本当は、無理して笑わなくても大丈夫だ。自然に笑えるようになるまで付いてるから。と言いたかった。
でも、幼稚な俺はついつい憎まれ口を叩いてしまっていた。
俺の言葉を聞いた時の、しずの泣きそうな表情を見た俺は、我慢せずに泣いて少しはスッキリすればいいと思ったが、しずは結局泣かなかった。
それ以降、俺としずとの間は余所余所しいものとなってしまっていた。
それでも、しずは距離を置いてはいたが、俺の目に見える範囲にいてくれたことに安心して胡座をかいてしまっていた。
そして、高校に入ってすぐの時だった。
下校途中に、静弥を見掛けたので声をかけようとしたら、見知らぬ男が静弥に馴れ馴れしく話しかけるのを見てしまった。
不快な気持ちを隠そうともせずに、俺は静弥に声を掛けていた。
「しず、そいつ誰だよ……」
俺の存在に気が付いていなかった静弥は、後ろから声を掛けられて驚いていた。
そんな俺に、静弥ではなく、一緒にいた男が話しかけてきたのだ。
「あれ?静弥ちゃんのお友達かな?ふふ」
妙に勝ち誇ったようにそう言ういけ好かない野郎を睨んでいると、慌てたように静弥が言ったのだ。
「千江府さん、彼は幼馴染の由利克人くんです……」
「へぇー。幼馴染……。ふーん。そうなんだ。ふふふ。これからよろしくね。由利君?俺は、静弥ちゃんの婚約者で、千江府威王丹って言います。でも、これから静弥ちゃんと映画に行く約束をしてるから、またね?」
そう言って、明らかに身を固くしている静弥の腰に手を回してキザったらしく言ったのだ。
だけど、静弥はなんの抵抗もせずに、そんなキザ野郎と共に雑踏の中に消えて行ってしまった。
別れ際、一瞬心細そうな顔をしていたけど、結局何も言わずにキザ野郎と行ってしまったのだ。
俺は、まさかの婚約者という言葉に頭が真っ白になっていて、どうすることも出来ずにただその背中を見送ることしか出来なかった。
それから、最初は月に一度だった頻度が、次第に週に一回の頻度で会うようになっていたようだった。
昨日、千江府が変態だという話を聞いた俺は、内心何があったのか気になって仕方なかった。
俺は、静弥の家に着いた時、これまでにあったことを話す代わりにと交換条件を出すことを考えた。
静弥は、口には出さなかったけど、千歌子のことを相当気にしていることが分かっていたから、最初は拒んでも最終的にこの条件を飲むことは目に見えていた。
俺の自分勝手な思いで、静弥の心の傷を抉るようなことを聞くのを躊躇う気持ちはあったが、最悪な事を想像しそうになる俺が暴走しそうで怖かったこともあり、何があったのかハッキリさせたかったのだ。
俺は、リビングにある二人がけのソファーに座って、隣を叩いて静弥に座るように促した。
「これまでにあったこと話してやる。俺の知る限りの千歌子の事もだ。だから、ここに座れ」
一瞬躊躇うように、何故かヴェインを見た静弥のことが気に食わなくて、強引に手を引いて隣に座らせていた。
そんな俺を見たヴェインは、眉を吊り上げていたが、静弥がヴェインのことを見上げて言ったのだ。
「大丈夫です。ちょっと驚いただけですから」
「……。はぁ。分かった。カツヒト、あまりシズに乱暴なことをするなよ?」
「分かってる……」
ヴェインの「俺ならもっとシズを大切にするのに」と言わんばかりの視線にイラッとしたが、自分でも強引だったと自覚しているので、強く出ることはしなかった。
改めて隣に座る静弥を見た俺は、久しぶりに正面からきちんと顔を合わせた幼馴染にドキドキしていた。
そんな事、気が付かれたくなかった俺は、行動を改めると誓ったはずなのに、ついついぶっきら棒に言ってしまっていた。
「その前に、お前のことも話せ。と言うか、千江府のことをだ。あいつと何があった?それを話してもらうまで、千歌子の事は言わない」
「えっ!!かっちゃんどうして?」
「その……、俺が気になるんだよ!!だから、話せ!」
「でも……」
静弥が口籠っていると、ヴェインが俺たちの間に割って入ってきていた。
「おい、カツヒト!!無理強いするな!!シズが嫌だってるだろう」
「お前は口を出すな。これは、俺としずとの問題だ」
別に、俺は静弥の恋人でも何でもないので、そんな権利なんてない。だけど、俺は引く気はなかった。
静弥の腕を引いて、顔を俺に向けさせて話すまで絶対に目を逸らさないという気持ちで、静弥の目を見つめていると、静弥が折れた。
「はぁ。聞いても面白くもない話だよ?」
「それでもだ」
「分かった……」
こうして、俺の知らない静弥の過去を聞くことになった俺は、今すぐにでも千江府の変態野郎の息の根を止めたいと心底思うことになったのだった。
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