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第四章 新しい生活と揺れる心(2)
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志乃は、ジークリンデに手を引かれながら王城の中を進んでいた。
高そうな絵画や壺、彫刻などが何気なく廊下に飾られており、まるで美術館の中を歩いているような気分だった。
しかし、そんな気分を味わえていたのは最初だけだった。
志乃は途中から周囲の調度品が徐々にグレードアップしていることに気が付いたのだ。
足元の絨毯でさえ、靴のまま歩くのが憚られるような、そんな状態だったのだ。
高級そうな絨毯の上を歩きにくそうにしている志乃にいち早く気が付いたジークリンデは、即座に志乃を横抱きにしていた。
ひょいっと簡単に抱き上げられてしまった志乃が口を開く前にジークリンデの言葉で何も言えなくなってしまう。
「ごめんな。疲れただろう? もう少しだから我慢してくれ」
そう言って、本当に申し訳なさそうにするジークリンデを見てしまった志乃は、そっぽを向きながら小さく呟く。
「別に疲れてないし……。それにジークは、どうしてすぐに私を抱っこしちゃうかな? もう……、でも……あ、ありがとう……」
「どういたしまして」
志乃の呟きを聞き漏らすはずなどないジークリンデは、そう言って志乃の額にキスを落とす。
キスをされた志乃はというと、唇の触れた額をそっと両手で押さえるだけで何も言わずに大人しくするだけだった。
それに、にこりと微笑みを向けるジークリンデだったが、廊下の突き当りにある豪華な扉の前で一度足を止める。
そして、志乃に言うのだ。
「シノ、大好きだよ」
「なっ!」
「くす。それじゃ、君に父と母を紹介するな」
「え?」
父と母を紹介するというジークリンデの言葉に言葉を失った志乃は、気絶寸前だった。
開かれた扉の先には、煌びやかな空間が広がっていたのだ。
そして、空間の奥に見える玉座には、これまた煌びやかな人物。
ジークリンデは、足早に玉座に座る国王と王妃に近づいた後に、軽い口調で言ったのだ。
「ただいま。父さん、母さん。早速だけど、アルエライト王国はもう駄目っぽいから、例の計画を進めた方が良さそうだって、結論に至ったよ。それと、この子、異世界から来た俺の嫁ね。名前はシノ。シノ、あそこに座ってるおっさんが国王で俺の父さん。あっちのおば―――じゃなくて、綺麗な人が母さんね」
ジークリンデが発しようとした言葉に、鋭い視線を飛ばしていた王妃だったが、ジークリンデが、言葉を言い直すと元の穏やかな表情に戻っていた。
そして、大き目の溜息をあからさまに吐いた後に、諦めたように言うのだ。
「はぁぁああ。まったく、この子ったら……。でも、うん。わたくし、可愛らしい娘が欲しかったからこれはこれでありね。ふふ、ジーク。よくやったわ。グッジョブよ」
王妃は、片眼を可愛らしく瞑り親指を立てながら、思いのほか砕けた言葉を口にしていた。
ジークリンデは、そんな王妃に慣れているようで、ドヤ顔で親指を立てて見せる。
そんなジークリンデと王妃の姿に、国王は溜息を吐くまでがこの親子のいつもの姿だった。
そんなことなど知りもしない志乃は、目を白黒させる。
混乱の極致にいる志乃の頭を撫でたジークリンデは、またしても軽い口調で宣言する。
「と言う訳で、今後はあっちの屋敷で生活するから、何かあれば使いを出してくれ。いったん、シノを屋敷に連れて行った後に、改めて今回の報告に来るから」
そう言って、くるりと踵を返すジークリンデを、王妃は厳しい口調で引き留める。
「ジーク、お待ちなさい!」
一瞬面倒くさそうな表情になったジークリンデだったが、母親に逆らうと碌な目に合わないと予想できたため、立ち止まりゆっくりと振り向く。
そんなジークリンデに王妃は、鋭い眼光を向け、口を開く。
「独り占めは駄目よ。可愛いわたくしの娘。わたくしもその子と遊びたいわ」
王妃の言葉で一瞬不機嫌な表情になったジークリンデだったが、王妃の次の言葉でニヤリとした笑みを浮かべるのだ。
「わたくしの可愛い娘には、世界一素敵なウエディングドレスを着せたいわ」
「そうですね。俺も、俺のシノに似合うウエディングドレスを贈りたいですから、是非母さんには協力をお願いしますよ」
「ええ、うふふふ」
「はい。くすくす」
一瞬の間に、ジークリンデと王妃の間で志乃を着せ替え人形のようにして、いろいろなドレスを着せて楽しむという協定がむすばれたのだった。
そして、結婚の許しもだ。
今度こそ、ジークリンデは軽い足取りでその場を後にしたのだった。
高そうな絵画や壺、彫刻などが何気なく廊下に飾られており、まるで美術館の中を歩いているような気分だった。
しかし、そんな気分を味わえていたのは最初だけだった。
志乃は途中から周囲の調度品が徐々にグレードアップしていることに気が付いたのだ。
足元の絨毯でさえ、靴のまま歩くのが憚られるような、そんな状態だったのだ。
高級そうな絨毯の上を歩きにくそうにしている志乃にいち早く気が付いたジークリンデは、即座に志乃を横抱きにしていた。
ひょいっと簡単に抱き上げられてしまった志乃が口を開く前にジークリンデの言葉で何も言えなくなってしまう。
「ごめんな。疲れただろう? もう少しだから我慢してくれ」
そう言って、本当に申し訳なさそうにするジークリンデを見てしまった志乃は、そっぽを向きながら小さく呟く。
「別に疲れてないし……。それにジークは、どうしてすぐに私を抱っこしちゃうかな? もう……、でも……あ、ありがとう……」
「どういたしまして」
志乃の呟きを聞き漏らすはずなどないジークリンデは、そう言って志乃の額にキスを落とす。
キスをされた志乃はというと、唇の触れた額をそっと両手で押さえるだけで何も言わずに大人しくするだけだった。
それに、にこりと微笑みを向けるジークリンデだったが、廊下の突き当りにある豪華な扉の前で一度足を止める。
そして、志乃に言うのだ。
「シノ、大好きだよ」
「なっ!」
「くす。それじゃ、君に父と母を紹介するな」
「え?」
父と母を紹介するというジークリンデの言葉に言葉を失った志乃は、気絶寸前だった。
開かれた扉の先には、煌びやかな空間が広がっていたのだ。
そして、空間の奥に見える玉座には、これまた煌びやかな人物。
ジークリンデは、足早に玉座に座る国王と王妃に近づいた後に、軽い口調で言ったのだ。
「ただいま。父さん、母さん。早速だけど、アルエライト王国はもう駄目っぽいから、例の計画を進めた方が良さそうだって、結論に至ったよ。それと、この子、異世界から来た俺の嫁ね。名前はシノ。シノ、あそこに座ってるおっさんが国王で俺の父さん。あっちのおば―――じゃなくて、綺麗な人が母さんね」
ジークリンデが発しようとした言葉に、鋭い視線を飛ばしていた王妃だったが、ジークリンデが、言葉を言い直すと元の穏やかな表情に戻っていた。
そして、大き目の溜息をあからさまに吐いた後に、諦めたように言うのだ。
「はぁぁああ。まったく、この子ったら……。でも、うん。わたくし、可愛らしい娘が欲しかったからこれはこれでありね。ふふ、ジーク。よくやったわ。グッジョブよ」
王妃は、片眼を可愛らしく瞑り親指を立てながら、思いのほか砕けた言葉を口にしていた。
ジークリンデは、そんな王妃に慣れているようで、ドヤ顔で親指を立てて見せる。
そんなジークリンデと王妃の姿に、国王は溜息を吐くまでがこの親子のいつもの姿だった。
そんなことなど知りもしない志乃は、目を白黒させる。
混乱の極致にいる志乃の頭を撫でたジークリンデは、またしても軽い口調で宣言する。
「と言う訳で、今後はあっちの屋敷で生活するから、何かあれば使いを出してくれ。いったん、シノを屋敷に連れて行った後に、改めて今回の報告に来るから」
そう言って、くるりと踵を返すジークリンデを、王妃は厳しい口調で引き留める。
「ジーク、お待ちなさい!」
一瞬面倒くさそうな表情になったジークリンデだったが、母親に逆らうと碌な目に合わないと予想できたため、立ち止まりゆっくりと振り向く。
そんなジークリンデに王妃は、鋭い眼光を向け、口を開く。
「独り占めは駄目よ。可愛いわたくしの娘。わたくしもその子と遊びたいわ」
王妃の言葉で一瞬不機嫌な表情になったジークリンデだったが、王妃の次の言葉でニヤリとした笑みを浮かべるのだ。
「わたくしの可愛い娘には、世界一素敵なウエディングドレスを着せたいわ」
「そうですね。俺も、俺のシノに似合うウエディングドレスを贈りたいですから、是非母さんには協力をお願いしますよ」
「ええ、うふふふ」
「はい。くすくす」
一瞬の間に、ジークリンデと王妃の間で志乃を着せ替え人形のようにして、いろいろなドレスを着せて楽しむという協定がむすばれたのだった。
そして、結婚の許しもだ。
今度こそ、ジークリンデは軽い足取りでその場を後にしたのだった。
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