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第五章 聖女とその眷属(1)
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志乃がデュセンバーグ王国で暮らすようになってから数か月の時が経過していた。
現在は、結界石と聖属性の魔法の使い手たちの努力のおかげで、アルエライト王国から澱んだマナが流れ込んでこないようにする封じ込め作戦が効果を発揮していた。
そのお陰で、デュセンバーグ王国内での天候異常や農作物の不作問題は解決しつつあった。
それと同時に、忙しく働いていたジークリンデも休みをとれるようになっていたのだ。
志乃も王都での暮らしに慣れて、一人で何でもできるようになっていた。
しかし、ジークリンデはそれが気に入らないらしく、手が空いている時は、志乃の仕事を好んで奪っていくのだ。
最近では、志乃に手料理を振舞うようにまでなっていた。
悔しいことに、ジークリンデの料理の腕は日々上達しており、志乃の口に合った物を作るようにまでなっていたほどだ。
可愛らしい志乃とそれを独占欲丸出しで過保護に可愛がるジークリンデの姿は、王都では名物となりつつあった。
この頃には、志乃はよく笑うようになっていた。
その鈴を転がしたような可憐な笑顔に目を奪われると、もれなくジークリンデのキツイ眼光で睨みつけられるというのが定番となりつつもあった。
ジークリンデは、国民に大変好かれており、そのジークリンデの大切な人となれば、志乃の扱いも自然と好意的なものとなる。
平和そのものの日常に不穏な知らせが届いたことで、隠された真実が露わになる。
それは、アルエライト王国からの難民たちから知らされた内容だった。
難民たちは口をそろえてこう言ったのだ。
「王都を中心に魔力災害がとうとう起こってしまった……」
「国は壊滅状態で、命からがら逃げてきたんだ。ああ、アルエライト王国は終わりだ」
その報告を受けた兵士たちは驚愕した。
なぜなら、国境沿いで常に経過を観察していたが、見える範囲は正常なマナが満ち、そんな素振りなどなかったからだ。
その疑問に、またしても難民たちが答えてくれたのだ。
王都から、デュセンバーグ王国に近づくにつれて、あれほど穢れて淀んでいたマナが澄んでいったと。
だからこそ、逃げおおせることができたのだと。
これには、聖属性の魔法の使い手たちも首を傾げたのだ。なぜなら、彼らには多少の淀みを散らすことは出来ても、浄化することなどできようもなかったのだ。
だからこそ、結界石で国を蔽い、入り込んできた澱んだマナを結界石の外に追い出すのが精一杯だったのだ。
それでも、少しずつ淀みが解消していたことから、アルエライト王国が召喚したという聖女が力を振るっていたのだと思っていたのだ。
しかし、難民たちは口をそろえて言うのだ。
あの偽聖女にそんな力などなかったと。
あの卑しい女は、国の財を貪り、贅沢の限りを尽くし、自分の立場を笠に着て好き放題していたが、浄化の力など持っていなかったのだと。
では、最初のころに発揮していたという浄化の力は何だったのだろうと皆が考えたのだ。
そして一つの答えが導き出されたのだ。
ハズレと呼ばれた方が本物の聖女だったのではないのかということをだ。
だが、何故力のないはずの偽聖女が一時であっても、浄化の力を持ったのかは分からないままだった。
真実はこうだった。
志乃が聖女で、その召喚に巻き込まれた明里は、聖女の眷属としての力を得たのだ。
眷属になったとは知らない明里は、聖女と眷属という繋がりを無意識に利用して、弱った志乃から力を強引に引き出していたのだ。
しかし、志乃が遠くに離れたことで、完全に繋がりは断たれたのだ。そうすると、明里は力が一切使えず、アルエライト王国はゆっくりと崩壊に向かうこととなったというのが誰も知ることのない真実だった。
実は、ジークリンデは、志乃の考えられないような回復の力を見て、志乃が聖女なのだと考えていたが、そのことを深く追及することはなかった。
もしそれが真実だった場合、愛する志乃を手放さなければならない日が来るかもしれないと、直感的に感じたのだ。
だから、志乃の正体については敢えて触れず、志乃が導き出した、ジークリンデと出会うためにこの世界に来たというその言葉だけを真実としたのだ。
そして、志乃の正体に気が付いた他の者たちも、志乃を幸せを考え、敢えてそのことを口に出すことはしなかった。
現在は、結界石と聖属性の魔法の使い手たちの努力のおかげで、アルエライト王国から澱んだマナが流れ込んでこないようにする封じ込め作戦が効果を発揮していた。
そのお陰で、デュセンバーグ王国内での天候異常や農作物の不作問題は解決しつつあった。
それと同時に、忙しく働いていたジークリンデも休みをとれるようになっていたのだ。
志乃も王都での暮らしに慣れて、一人で何でもできるようになっていた。
しかし、ジークリンデはそれが気に入らないらしく、手が空いている時は、志乃の仕事を好んで奪っていくのだ。
最近では、志乃に手料理を振舞うようにまでなっていた。
悔しいことに、ジークリンデの料理の腕は日々上達しており、志乃の口に合った物を作るようにまでなっていたほどだ。
可愛らしい志乃とそれを独占欲丸出しで過保護に可愛がるジークリンデの姿は、王都では名物となりつつあった。
この頃には、志乃はよく笑うようになっていた。
その鈴を転がしたような可憐な笑顔に目を奪われると、もれなくジークリンデのキツイ眼光で睨みつけられるというのが定番となりつつもあった。
ジークリンデは、国民に大変好かれており、そのジークリンデの大切な人となれば、志乃の扱いも自然と好意的なものとなる。
平和そのものの日常に不穏な知らせが届いたことで、隠された真実が露わになる。
それは、アルエライト王国からの難民たちから知らされた内容だった。
難民たちは口をそろえてこう言ったのだ。
「王都を中心に魔力災害がとうとう起こってしまった……」
「国は壊滅状態で、命からがら逃げてきたんだ。ああ、アルエライト王国は終わりだ」
その報告を受けた兵士たちは驚愕した。
なぜなら、国境沿いで常に経過を観察していたが、見える範囲は正常なマナが満ち、そんな素振りなどなかったからだ。
その疑問に、またしても難民たちが答えてくれたのだ。
王都から、デュセンバーグ王国に近づくにつれて、あれほど穢れて淀んでいたマナが澄んでいったと。
だからこそ、逃げおおせることができたのだと。
これには、聖属性の魔法の使い手たちも首を傾げたのだ。なぜなら、彼らには多少の淀みを散らすことは出来ても、浄化することなどできようもなかったのだ。
だからこそ、結界石で国を蔽い、入り込んできた澱んだマナを結界石の外に追い出すのが精一杯だったのだ。
それでも、少しずつ淀みが解消していたことから、アルエライト王国が召喚したという聖女が力を振るっていたのだと思っていたのだ。
しかし、難民たちは口をそろえて言うのだ。
あの偽聖女にそんな力などなかったと。
あの卑しい女は、国の財を貪り、贅沢の限りを尽くし、自分の立場を笠に着て好き放題していたが、浄化の力など持っていなかったのだと。
では、最初のころに発揮していたという浄化の力は何だったのだろうと皆が考えたのだ。
そして一つの答えが導き出されたのだ。
ハズレと呼ばれた方が本物の聖女だったのではないのかということをだ。
だが、何故力のないはずの偽聖女が一時であっても、浄化の力を持ったのかは分からないままだった。
真実はこうだった。
志乃が聖女で、その召喚に巻き込まれた明里は、聖女の眷属としての力を得たのだ。
眷属になったとは知らない明里は、聖女と眷属という繋がりを無意識に利用して、弱った志乃から力を強引に引き出していたのだ。
しかし、志乃が遠くに離れたことで、完全に繋がりは断たれたのだ。そうすると、明里は力が一切使えず、アルエライト王国はゆっくりと崩壊に向かうこととなったというのが誰も知ることのない真実だった。
実は、ジークリンデは、志乃の考えられないような回復の力を見て、志乃が聖女なのだと考えていたが、そのことを深く追及することはなかった。
もしそれが真実だった場合、愛する志乃を手放さなければならない日が来るかもしれないと、直感的に感じたのだ。
だから、志乃の正体については敢えて触れず、志乃が導き出した、ジークリンデと出会うためにこの世界に来たというその言葉だけを真実としたのだ。
そして、志乃の正体に気が付いた他の者たちも、志乃を幸せを考え、敢えてそのことを口に出すことはしなかった。
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