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第一部
序章
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硬い石の壁に囲まれた塔の最上階には、今にも壊れてしまいそうなほどぼろぼろなベッドとトイレ代わりのツボだけがあった。
掃除をする人間もここには居ないため、薄汚れていた。
この場所には、疲れ切った表情の一人の少女が居た。
少女は信じていた最愛の妹に全てを奪われてたのだ。
少女は、小さく切り取られた窓の外に見える青い空に向かって懸命に腕を伸ばした。
その行動は、無意識に少女が行ったものだったが、傍から見るとこの世界に別れを告げようとしているようにも、何かの希望にすがようにも見えた。
彼女のいる場所は、囚人の塔と呼ばれる場所だった。
その場所は王族や貴族などで、表には出せない罪人を密かに囚えておくための場所だった。
彼女は、その塔の最上階に閉じ込められていた。
謂れのない罪を背負わされたためだ。
そして、誰も彼女の思いを知ろうともしない。この冷たい牢獄の中で、日々体が腐り落ちる感覚に、気が狂いそうになりながらも、自分の命を助けてくれた守護騎士のことを考えると自ら命を断つことが出来なかった。
彼のことを思うと、生きなければと思う反面、もう体も心も限界まで来ていることも分かっていた。
彼女は考えていた。どうしてこうなってしまったのかと。
なぜ、大切な最愛の片割れである妹がこんな恐ろしいことをしたのか、何度考えても理由がわからなかった。
妹に、恨まれるようなことに心当たりがなかったのだ。
そこで、やはり妹も自分と同じ人を好きになってしまって、このようなことをしでかしたのではないかと考えが行った。
しかし、いくら考えても分からなかった。
いくら同じ人を好きになったからと言って、これほどのことをしでかすものなのかと。
それに、妹はあの人を好いているようには思えなかったのだ。むしろ、その逆で、今思うと憎悪しているように感じた。
そこまで考えてから、何時もは思い出さないようにしていたあの人のことを思い出してしまい、物悲しくなった。
彼女と、妹が入れ替わっていることに気が付かない年下の愛おしい婚約者のことを考えると何故分かってくれないのかと悲しくなった。
どんなに似ていようとも、彼なら分かってくれると思っていた。しかし、彼は彼女に気が付かない。
そして、イシュミールは弱々しく微笑んだ。
そう言えば、最初もそうだったと。
そして、そこまでの思考を断ち切るかのように彼女は更に空に向かって腕をのばす。
肘から先がない腕を空に向けて、存在しない手で何かを掴むように。
思いは届いたのだろうか、彼女が腕を伸ばせる限界まで達した時に、「パチンッ」と金属が爆ぜるような音がしたかと思うと、彼女の姿はその場から消えていた。否、この世界から消えたのだ。
掃除をする人間もここには居ないため、薄汚れていた。
この場所には、疲れ切った表情の一人の少女が居た。
少女は信じていた最愛の妹に全てを奪われてたのだ。
少女は、小さく切り取られた窓の外に見える青い空に向かって懸命に腕を伸ばした。
その行動は、無意識に少女が行ったものだったが、傍から見るとこの世界に別れを告げようとしているようにも、何かの希望にすがようにも見えた。
彼女のいる場所は、囚人の塔と呼ばれる場所だった。
その場所は王族や貴族などで、表には出せない罪人を密かに囚えておくための場所だった。
彼女は、その塔の最上階に閉じ込められていた。
謂れのない罪を背負わされたためだ。
そして、誰も彼女の思いを知ろうともしない。この冷たい牢獄の中で、日々体が腐り落ちる感覚に、気が狂いそうになりながらも、自分の命を助けてくれた守護騎士のことを考えると自ら命を断つことが出来なかった。
彼のことを思うと、生きなければと思う反面、もう体も心も限界まで来ていることも分かっていた。
彼女は考えていた。どうしてこうなってしまったのかと。
なぜ、大切な最愛の片割れである妹がこんな恐ろしいことをしたのか、何度考えても理由がわからなかった。
妹に、恨まれるようなことに心当たりがなかったのだ。
そこで、やはり妹も自分と同じ人を好きになってしまって、このようなことをしでかしたのではないかと考えが行った。
しかし、いくら考えても分からなかった。
いくら同じ人を好きになったからと言って、これほどのことをしでかすものなのかと。
それに、妹はあの人を好いているようには思えなかったのだ。むしろ、その逆で、今思うと憎悪しているように感じた。
そこまで考えてから、何時もは思い出さないようにしていたあの人のことを思い出してしまい、物悲しくなった。
彼女と、妹が入れ替わっていることに気が付かない年下の愛おしい婚約者のことを考えると何故分かってくれないのかと悲しくなった。
どんなに似ていようとも、彼なら分かってくれると思っていた。しかし、彼は彼女に気が付かない。
そして、イシュミールは弱々しく微笑んだ。
そう言えば、最初もそうだったと。
そして、そこまでの思考を断ち切るかのように彼女は更に空に向かって腕をのばす。
肘から先がない腕を空に向けて、存在しない手で何かを掴むように。
思いは届いたのだろうか、彼女が腕を伸ばせる限界まで達した時に、「パチンッ」と金属が爆ぜるような音がしたかと思うと、彼女の姿はその場から消えていた。否、この世界から消えたのだ。
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