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第二部
第二章 そのおっさんは死んだ魚のような目をしていた 4
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おっさんがシーナの名前を聞いてきた日から、頻繁に森で遭遇するようになり、二人の距離が近づいたかと言うとそう言ったことは一切なかった。
森でおっさんに会っても、シーナは黙々と自分のしたいことをするだけで特に会話はなかった。
おっさんも、顔を見せはするものの特に何も言わずに、シーナの様子を見ているだけだった。
ずっと見ているときもあれば、一瞬顔を出してから直ぐにどこかに行ってしまうこともあった。
そんなおっさんの行動から、シーナはおっさんは仕事もせずにぶらぶらとしている駄目な人間なのかと思うようになった。
前に兄であるシエテが、絶対に関わってはいけない人間としてあげた中に、無職のダメ人間という物があったがまさにおっさんがそうなのだと考えてからは、おっさんとの距離を更に空けることにきめた。
シーナはおっさんの死んだ魚のような無気力な金色の瞳を見ると何故か大声で叫びだしてしまいたい衝動に駆られることがあったため、極力おっさんの顔を見ないように心がけていた。
そんな、何でもない日々におっさんという人物が加わり、落ち着かない気分が続いていたある日だった。
いつも狩りで得た肉をお裾分けしている屋敷の料理番から、急遽沢山の肉が必要になったので狩ってきてほしいと依頼されたのだ。
そのためシーナは、深い方の森で狩りをすべく出かけていた。
深い方の森ではいつもよりも多くの獲物を狩ることが出来た。鹿1頭と兎を3羽ほど狩ったところで、手早く解体し、念の為と用意していた台車に載せて肉を領主の屋敷に運んだ。
料理番のところに向かうとそこには、いつも森で会うおっさんがいた。おっさんは、シーナを見て言った。
「悪いな。急に客人が来ることになって、食材が足りなかったんだ。それで、お前のことを思い出してな」
それを聞いたシーナは困惑して小首を傾げた。
仕立てのいいシャツとスボンを着ていても、おっさんは無職のダメ人間なはず。なぜこんなところに?と思ったところで、おっさんが領主の屋敷にいてもおかしくないことを思い出したのだ。
そう、おっさんは領主の屋敷に用があってきた。つまり、領主の客人ということだ。そうであれば、ここにいてもおかしな事はない。
ただし、ただの客人が肉の仕入先を料理番に指示できるものなのか?と首を傾げていると、料理番がおっさんに話しかけた。
「旦那様。それで、メニューはどうしますか?」
「そうだな。彼奴等だったら、肉さえあれば何でもいいはずだ。とりあえず焼いておけ」
「旦那様。それはあまりにも……。わかりました、メニューはこっちで考えますよ」
「悪い、頼んだ」
そんなやり取りを見ていて、シーナはおっさんがきちんと働ける人間なのだと失礼にも驚き声を上げたのだ。
「えええええぇ!!おっさんが仕事っぽいことをしている!!」
それを聞いたおっさんは、苦笑いをした。
そして、料理番はシーナを窘めた。
「こら!!シーナ。領主様に失礼だろうが!!確かに、おじさんだが、おっさんはない。そこは、領主のおじさまとかだろうが!!」
「おじさんだろうが、オジサマだろうが、おっさんはおっさんに変わりないよ?ってか、おっさんって領主さまだったの?まじでか!!」
二人の絶妙な連携プレイで領主はダメージを負った。
「もう、やめてくれ。俺はおっさんじゃないし、おじさんでもオジサマでもない……。俺はまだ、30だ」
「えっ?30歳は十分おっさんだよ?」
シーナは曇りのない瞳で、30歳は十分おっさんだととどめを刺した。
シーナの悪気はないが、十分に致命傷を与える一言に瀕死のダメージを受けた領主の表情を見て二人は「やべっ!!」と表情を引き攣らせた。
そこに、執事が現れて死んだ魚が更にソンビ化したような主を見ても特に何も言わずに、うなだれる領主を仕事だと無情にも連れて行ったのだ。
その場に残されたシーナと料理番は、「流石執事さん、ドライでパないっす」とアホなことを口走っていた。
それから、今まで屋敷で会うことがなかった領主とよく会うようになった。
今まで、屋敷にいるよりも、領地を回ったり王都にいることが多かった領主は、何故か屋敷で仕事をすることが多くなったのだ。
そして、今までは庭園に一切現れなかったのに、頻繁に気分転換と言っては庭園を歩き回るようになっていたのだ。
シーナの両親は、仕事中によく見かけるようになった領主に萎縮していたが、シーナの中ではただのおっさんのイメージしか無かったので、領主と知ったあとでもそう呼び続けていた。
しかし、それを聞いた両親は、「領主様に失礼だから、きちんと領主様と呼びなさい」と何度かシーナを叱ったが、何故か領主はシーナが親しくおっさんと呼ぶことを咎めなかった。
そして、当人に何も言われないことをいいことに、何時もシーナはおっさんと呼んでいたが、流石に悲しくなったのか、領主はある時脱力したように言った。
「おっさんじゃない。俺のことはカインと呼べ」
森でおっさんに会っても、シーナは黙々と自分のしたいことをするだけで特に会話はなかった。
おっさんも、顔を見せはするものの特に何も言わずに、シーナの様子を見ているだけだった。
ずっと見ているときもあれば、一瞬顔を出してから直ぐにどこかに行ってしまうこともあった。
そんなおっさんの行動から、シーナはおっさんは仕事もせずにぶらぶらとしている駄目な人間なのかと思うようになった。
前に兄であるシエテが、絶対に関わってはいけない人間としてあげた中に、無職のダメ人間という物があったがまさにおっさんがそうなのだと考えてからは、おっさんとの距離を更に空けることにきめた。
シーナはおっさんの死んだ魚のような無気力な金色の瞳を見ると何故か大声で叫びだしてしまいたい衝動に駆られることがあったため、極力おっさんの顔を見ないように心がけていた。
そんな、何でもない日々におっさんという人物が加わり、落ち着かない気分が続いていたある日だった。
いつも狩りで得た肉をお裾分けしている屋敷の料理番から、急遽沢山の肉が必要になったので狩ってきてほしいと依頼されたのだ。
そのためシーナは、深い方の森で狩りをすべく出かけていた。
深い方の森ではいつもよりも多くの獲物を狩ることが出来た。鹿1頭と兎を3羽ほど狩ったところで、手早く解体し、念の為と用意していた台車に載せて肉を領主の屋敷に運んだ。
料理番のところに向かうとそこには、いつも森で会うおっさんがいた。おっさんは、シーナを見て言った。
「悪いな。急に客人が来ることになって、食材が足りなかったんだ。それで、お前のことを思い出してな」
それを聞いたシーナは困惑して小首を傾げた。
仕立てのいいシャツとスボンを着ていても、おっさんは無職のダメ人間なはず。なぜこんなところに?と思ったところで、おっさんが領主の屋敷にいてもおかしくないことを思い出したのだ。
そう、おっさんは領主の屋敷に用があってきた。つまり、領主の客人ということだ。そうであれば、ここにいてもおかしな事はない。
ただし、ただの客人が肉の仕入先を料理番に指示できるものなのか?と首を傾げていると、料理番がおっさんに話しかけた。
「旦那様。それで、メニューはどうしますか?」
「そうだな。彼奴等だったら、肉さえあれば何でもいいはずだ。とりあえず焼いておけ」
「旦那様。それはあまりにも……。わかりました、メニューはこっちで考えますよ」
「悪い、頼んだ」
そんなやり取りを見ていて、シーナはおっさんがきちんと働ける人間なのだと失礼にも驚き声を上げたのだ。
「えええええぇ!!おっさんが仕事っぽいことをしている!!」
それを聞いたおっさんは、苦笑いをした。
そして、料理番はシーナを窘めた。
「こら!!シーナ。領主様に失礼だろうが!!確かに、おじさんだが、おっさんはない。そこは、領主のおじさまとかだろうが!!」
「おじさんだろうが、オジサマだろうが、おっさんはおっさんに変わりないよ?ってか、おっさんって領主さまだったの?まじでか!!」
二人の絶妙な連携プレイで領主はダメージを負った。
「もう、やめてくれ。俺はおっさんじゃないし、おじさんでもオジサマでもない……。俺はまだ、30だ」
「えっ?30歳は十分おっさんだよ?」
シーナは曇りのない瞳で、30歳は十分おっさんだととどめを刺した。
シーナの悪気はないが、十分に致命傷を与える一言に瀕死のダメージを受けた領主の表情を見て二人は「やべっ!!」と表情を引き攣らせた。
そこに、執事が現れて死んだ魚が更にソンビ化したような主を見ても特に何も言わずに、うなだれる領主を仕事だと無情にも連れて行ったのだ。
その場に残されたシーナと料理番は、「流石執事さん、ドライでパないっす」とアホなことを口走っていた。
それから、今まで屋敷で会うことがなかった領主とよく会うようになった。
今まで、屋敷にいるよりも、領地を回ったり王都にいることが多かった領主は、何故か屋敷で仕事をすることが多くなったのだ。
そして、今までは庭園に一切現れなかったのに、頻繁に気分転換と言っては庭園を歩き回るようになっていたのだ。
シーナの両親は、仕事中によく見かけるようになった領主に萎縮していたが、シーナの中ではただのおっさんのイメージしか無かったので、領主と知ったあとでもそう呼び続けていた。
しかし、それを聞いた両親は、「領主様に失礼だから、きちんと領主様と呼びなさい」と何度かシーナを叱ったが、何故か領主はシーナが親しくおっさんと呼ぶことを咎めなかった。
そして、当人に何も言われないことをいいことに、何時もシーナはおっさんと呼んでいたが、流石に悲しくなったのか、領主はある時脱力したように言った。
「おっさんじゃない。俺のことはカインと呼べ」
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