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第三部
第一章 そうだ、王都へ行こう!! 1
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シーナが、クリストフから告白をされてから一年が経っていた。
クリストフは、あれから口癖になっていた「結婚しよう」を一切言わなくなっていた。
その代わり、事あるごとに「可愛い、好きだ、愛してる」と、愛の言葉をささやき続けた。
最初は、クリストフの愛のささやきに、困惑していたシーナだったが、どんなに愛の言葉を告げられても、ときめきを感じることがなかった。
そのことで、次第にクリストフに悪いことをしていると感じるようになり、少しずつ距離を置くようになっていた。
そして、クリストフからの愛の言葉を聞いても一切のときめきを感じない自分にため息が出た。
自分は、何処かおかしいのではないのかとも思うほどだった。
恋をする心を何処かに無くしてしまったのかとも思うようになった。
そうすると、何故か幼い頃に夢で見た、イシュミールの幸せな恋が頭によぎった。
イシュミールの恋が頭をよぎる時、必ずその相手であったカインも思い出してしまい、心が掻き乱されるような不可解な気持ちになってしまうため、それを考えないように頭から追い出そうと必死になった。
そして、あの日以来カインとは疎遠になっていた。というか、カインが以前のように屋敷に籠もるようになったのだ。
シーナは、ホッとしつつも何か足りないと感じる日々を送っていた。
そんなある日、フェルエルタから一緒に王都に行かないかと誘われた。
シーナは思い出したのだ。
元々、領地を出て旅をしたいと思っていたことを。
「私も一緒に行ってみたい!!」
「うん。一緒に行こう(嬉しい、シーちゃんと旅ができる)」
「でも、王都に何をしに行くの?」
「免許更新するため」
「免許?」
シーナは、免許更新という聞いたことのない言葉に首を傾げた。
すると、それを補足するように一緒にいたクリストフが説明をしてくれた。
「俺たちレイゼイ家は技術特区出身なんだ」
「技術特区?もしかして、王都にあるあの?」
「そうそう、ほら俺たちのファミリーネームって変わってるだろ?」
「そう言われてみればそうかも」
「じいちゃんが、よく分からない理由をつけて特区を出て、何を思ったのかここで素材屋を開業したんだってさ。で、うちの店で扱っている商品って実は、取り扱いするのに免許が必要なんだよ。それで、数年に一度免許の更新の為に王都の特区に行く必要があるんだよ」
そう言って、クリストフは肩を竦めてみせた。今回は、フェルエルタの免許の更新時期が来たということで、王都に行く必要があるのだというのだ。
「へぇ。そうなんだ。でも、私がついていっても大丈夫なの?」
「問題ない(私はシーちゃんが一緒で嬉しい)」
「そっか。それじゃぁ、にーにとちーちとはーはに王都に行きたいってお願いしないと!!」
「うん。私からもきちんと説明する」
「おう。俺も」
「えっ?クリストフも?」
「俺も更新時期なんだよ。だから一緒に行く。だから、きちんとご両親に説明するのが筋ってもんだ」
クリストフが一緒に行くとは思っていなかったシーナは途端に慌てだした。
「えっ、えっ、クリストフも行くんだね……。やっぱり、私……」
「別に遠慮しなくていいからな。シーナちゃん、王都に行きたかったんだろ?俺のことは気にするな」
「でも!!お友達としては好きだけど、全然クリストフのこと男の人として好きじゃないし……。なんか悪いっていうか……。っあ!!」
つい、思っていたことを口に出してしまったシーナは口を急いで塞いだが既に手遅れだった。
クリストフは、膝を抱えて床にのの字を書きながらジメジメしていた。
「うん。知ってた。全然脈ないって。でも、なんの脈絡もなく突然振られるってなんか悲しすぎるのな……。でも、そんな裏表のないシーナちゃんだから好きなんだよな……。あはは、距離を置かれてるのも気づいていたけど、まだまだ行けると自分を鼓舞してたけど……。あはは……。はぁぁぁ」
「ごっ、ごめんなさい!!」
シーナから、追加のダメージを受けたクリストフは、ヤケクソ気味に言った。
「うっ、うん。これからもオトモダチとして一緒にいられるとウレシイな……」
「うん!!これからもクリストフとはお友達だよ!!」
しかし、これからも友達でいてもいいというクリストフからの言葉を嬉しく思ったシーナは、久しぶりに大輪の花のような可憐な笑顔をクリストフに見せた。
が、そのあまりにも眩しい笑顔にクリストフはこころの中で、号泣しながらも笑顔を返したのだった。
(あはは、俺の初恋……。散ったよ……。オレ、ガンバッタヨナ。アハハハァァ)
だからではないが、シーナはフェルエルタの誘いに飛びついてしまった。
行くと、返事をした後にクリストフも一緒と知り、やはり断ろうとも思ったが、クリストフから友達としてこれからも一緒にいてもいいという言葉を聞いて、失恋に心の中で泣くクリストフに気が付かないシーナは、嬉しさからその言葉に甘えることにしたのだった。
そんなシーナとクリストフを見ていたフェルエルタは、心のなかで思った。
(恋って残酷。私はこんなのはゴメンだわ。今日くらいは愚弟に優しくしてやろう。はぁ。でもシーちゃんとの義理の姉妹計画が……)
こうして、円満に失恋を終えたクリストフも加えた三人で王都に向かうための許可をもらうべく、最大の難関へと立ち向かうため、三人は魔王の元へ向かうのだった。
クリストフは、あれから口癖になっていた「結婚しよう」を一切言わなくなっていた。
その代わり、事あるごとに「可愛い、好きだ、愛してる」と、愛の言葉をささやき続けた。
最初は、クリストフの愛のささやきに、困惑していたシーナだったが、どんなに愛の言葉を告げられても、ときめきを感じることがなかった。
そのことで、次第にクリストフに悪いことをしていると感じるようになり、少しずつ距離を置くようになっていた。
そして、クリストフからの愛の言葉を聞いても一切のときめきを感じない自分にため息が出た。
自分は、何処かおかしいのではないのかとも思うほどだった。
恋をする心を何処かに無くしてしまったのかとも思うようになった。
そうすると、何故か幼い頃に夢で見た、イシュミールの幸せな恋が頭によぎった。
イシュミールの恋が頭をよぎる時、必ずその相手であったカインも思い出してしまい、心が掻き乱されるような不可解な気持ちになってしまうため、それを考えないように頭から追い出そうと必死になった。
そして、あの日以来カインとは疎遠になっていた。というか、カインが以前のように屋敷に籠もるようになったのだ。
シーナは、ホッとしつつも何か足りないと感じる日々を送っていた。
そんなある日、フェルエルタから一緒に王都に行かないかと誘われた。
シーナは思い出したのだ。
元々、領地を出て旅をしたいと思っていたことを。
「私も一緒に行ってみたい!!」
「うん。一緒に行こう(嬉しい、シーちゃんと旅ができる)」
「でも、王都に何をしに行くの?」
「免許更新するため」
「免許?」
シーナは、免許更新という聞いたことのない言葉に首を傾げた。
すると、それを補足するように一緒にいたクリストフが説明をしてくれた。
「俺たちレイゼイ家は技術特区出身なんだ」
「技術特区?もしかして、王都にあるあの?」
「そうそう、ほら俺たちのファミリーネームって変わってるだろ?」
「そう言われてみればそうかも」
「じいちゃんが、よく分からない理由をつけて特区を出て、何を思ったのかここで素材屋を開業したんだってさ。で、うちの店で扱っている商品って実は、取り扱いするのに免許が必要なんだよ。それで、数年に一度免許の更新の為に王都の特区に行く必要があるんだよ」
そう言って、クリストフは肩を竦めてみせた。今回は、フェルエルタの免許の更新時期が来たということで、王都に行く必要があるのだというのだ。
「へぇ。そうなんだ。でも、私がついていっても大丈夫なの?」
「問題ない(私はシーちゃんが一緒で嬉しい)」
「そっか。それじゃぁ、にーにとちーちとはーはに王都に行きたいってお願いしないと!!」
「うん。私からもきちんと説明する」
「おう。俺も」
「えっ?クリストフも?」
「俺も更新時期なんだよ。だから一緒に行く。だから、きちんとご両親に説明するのが筋ってもんだ」
クリストフが一緒に行くとは思っていなかったシーナは途端に慌てだした。
「えっ、えっ、クリストフも行くんだね……。やっぱり、私……」
「別に遠慮しなくていいからな。シーナちゃん、王都に行きたかったんだろ?俺のことは気にするな」
「でも!!お友達としては好きだけど、全然クリストフのこと男の人として好きじゃないし……。なんか悪いっていうか……。っあ!!」
つい、思っていたことを口に出してしまったシーナは口を急いで塞いだが既に手遅れだった。
クリストフは、膝を抱えて床にのの字を書きながらジメジメしていた。
「うん。知ってた。全然脈ないって。でも、なんの脈絡もなく突然振られるってなんか悲しすぎるのな……。でも、そんな裏表のないシーナちゃんだから好きなんだよな……。あはは、距離を置かれてるのも気づいていたけど、まだまだ行けると自分を鼓舞してたけど……。あはは……。はぁぁぁ」
「ごっ、ごめんなさい!!」
シーナから、追加のダメージを受けたクリストフは、ヤケクソ気味に言った。
「うっ、うん。これからもオトモダチとして一緒にいられるとウレシイな……」
「うん!!これからもクリストフとはお友達だよ!!」
しかし、これからも友達でいてもいいというクリストフからの言葉を嬉しく思ったシーナは、久しぶりに大輪の花のような可憐な笑顔をクリストフに見せた。
が、そのあまりにも眩しい笑顔にクリストフはこころの中で、号泣しながらも笑顔を返したのだった。
(あはは、俺の初恋……。散ったよ……。オレ、ガンバッタヨナ。アハハハァァ)
だからではないが、シーナはフェルエルタの誘いに飛びついてしまった。
行くと、返事をした後にクリストフも一緒と知り、やはり断ろうとも思ったが、クリストフから友達としてこれからも一緒にいてもいいという言葉を聞いて、失恋に心の中で泣くクリストフに気が付かないシーナは、嬉しさからその言葉に甘えることにしたのだった。
そんなシーナとクリストフを見ていたフェルエルタは、心のなかで思った。
(恋って残酷。私はこんなのはゴメンだわ。今日くらいは愚弟に優しくしてやろう。はぁ。でもシーちゃんとの義理の姉妹計画が……)
こうして、円満に失恋を終えたクリストフも加えた三人で王都に向かうための許可をもらうべく、最大の難関へと立ち向かうため、三人は魔王の元へ向かうのだった。
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