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第三部
第六章 巡り巡って 3
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ドゴッンン!!!
カインが全員が外に出たことを確認した後に、結界を展開させたと同時に大きな爆発音が鳴った。
そして、ガラガラと屋敷が崩れるような音が鳴り響いた後、周囲は一瞬の間静寂に包まれたのだった。
いつの間にか雨も上がり、闇夜にはただもくもくと上がる土煙だけがあった。
シーナは、すぐ隣りにいるカインと寄り添い、もくもくと昇る土煙を呆然と見つめていた。そんなシーナの手をカインは自然に繋いでいた。
今の大きな爆発音から、イシュタルとミュルエナの生存は絶望的に思えた。
騒ぎを聞きつけたのだろう、カインの屋敷の周辺は人集りができていた。
そんな中、シーナの元に駆けつけた人物がいた。
「シーたん!!怪我は!!だいじょうぶぅ―――」
「にーに?」
シーナの元に駆けつけたシエテは、息を切らせながらもシーナの身の安全を心配して声を掛けたがその声は尻すぼみしていった。
シエテの視線は、シーナの全身から次にその隣に佇むカインに移った。そして、二人の手が、指を絡めるような握り方で繋がっているのを見て無言を通り越して真顔になっていた。
不審に思いシエテに声をかけるシーナだったが、シエテは真顔のままフリーズしていた。
ハイライトの消えたその瞳からは何も読み取る事はできなかったが、カインはシエテのその表情を見て何故か既視感が湧いた。
遠い昔、誰かにそういった表情と視線で無言で見つめられたようなそんな気がしたのだが、思い出してはいけないような気がして、寒気で震えるだけだった。
しかし、寄り添っていたシーナには体の震えが伝わっていたようで、心配そうに身を寄せてきた。
繋いでいた手をギュッと握り、体をさらに寄せたのだ。そう、まるで自分の体の熱を分け与えるかのように。
「カイン様?大丈夫?震えてるよ?」
そう言って、心配そうにカインの事を見つめたのだ。
その姿は、まるでかつてのイシュミールの様な、慈しみ包み込むような愛情に溢れた表情だった。
その表情を見たシエテは、全てを悟った。悟ってしまった。
しかし、わかっていてもそれを直ぐに受け入れることは出来なかった。
相手は、あのカインなのだ。
イシュミールを救えずに死なせた男なのだ。
親子ほどの年の差のあるシーナを好きになるなど考えられなかった。
これは、可愛そうだがシーナの片思いだとそう思いたかった。思い込みたかった。
しかし、それは出来なかった。
見てしまったのだ。あのカインの緩んだ顔を。
昔に見た、少年のあどけなさや背伸びをしたようなものではない、自然とあふれる愛おしい気持ちから緩んだ表情だったとシエテには見えた。
集まった人集りが騒ぎ出した周囲に、「ぶちっ!!」という謎の音が鳴り響いた。
謎の音にシーナとカイン、さらには、集まった人たりは首を傾げていた。
しかし、遅れて追いついていたクリストフとフェルエルタは、その音の正体に気が付き自然とその足は後退したのだった。
「…………ない」
そんな中、ボソボソと何かを言った後のシエテの行動は早かった。
混乱する周囲を置いてきぼりにしたシエテは、何処から取り出したのか分からないが、何かをカインの顔面に勢いよく叩きつけたのだ。
急に顔に当たったものに驚いたカインは、それが地面に落ちるのを視線で追った。
地面に落ちていたのは、真っ白な手袋だった。
シエテの謎な行動に、カインは困惑していたがそれをシエテ自身が説明した。
ただし、怒り口調プラス言っていることは事実だが、周囲に誤解を招くような言い方でだ。
「変態ロリコン辺境伯!!俺の大事な妹に手を出しやがったな!!何も知らない無垢な妹に破廉恥なことをするなんて、変態ロリコン残念辺境伯!!絶対に許さん!!」
シエテの発言に周囲に集まった、人々は困惑の声を上げた。
「えっ?ディアロ辺境伯は変態なの?」
「ロリコンだって?大変だ、うちの子も狙われるかもしれない。なんて危険な男なんだ!!」
「変態ロリコンで破廉恥行為を働くなんて、生きてる価値なくね?」
「やだ!!変態だなんて気持ち悪い!!」
周囲は、シエテの発した言葉にコソコソ言って距離を取るように離れていった。
カインは、集まった人々の嫌悪の言葉をいくら投げつけられようとも平気だった。言い方は悪いが、間違いではなかったから、事実としてそれを受け止めていた。
しかし、あまりの引かれように大量の冷や汗が滝のように流れていたが、ただ投げつけれれる言葉を受け入れていた。
シエテは、さらに続けた。
「変態ロリコン童貞変態伯!!手袋を取れ!!お前がシーたんに似つかわしくないと思い知らせてやる!!」
シエテの言葉にさらに周囲の人間はドン引きしていた。
「えっ、辺境伯ってあの歳でそうなの?やばくない?」
「まじでか!!賢者になれるんじゃね?」
「ええぇ、あんなにイケメンなのに童貞とか無いわ~」
周囲の人間からの言葉にカインは血を吐きそうになっていた。
「ちっ、ちが!!」
カインがその不名誉な部分だけは否定しようと声を上げたがそれを遮るようにシーナがカインのことを見つめて言った。
「カイン様は、どうていなの?どうていは悪いことなの?」
シーナは無垢な瞳で狼狽えるカインを見つめて言った。
カインは、第一に童貞ではないと言いたかった。しかし、シーナの様子から童貞の意味を把握していない事が考えられた。
もし、意味を聞かれた時カインが答えたとして、そのことでさらなる質問をされた場合、どう説明していいのか分からなかった。墓穴を掘る未来しか見えなかったのだ。
それよりも、シーナの性教育がどうなっているのかが気になってきた。
男女のそれは理解しているのかと。
そう思ったカインは、元凶であるシエテに視線をやった。
一瞬視線が合ったシエテは、自然な様子を装って、カインの視線を避けるように明後日の方向を向いた。
その瞬間カインは、知った。
シーナがあらゆる意味で無垢な存在なのだということを。
カインが全員が外に出たことを確認した後に、結界を展開させたと同時に大きな爆発音が鳴った。
そして、ガラガラと屋敷が崩れるような音が鳴り響いた後、周囲は一瞬の間静寂に包まれたのだった。
いつの間にか雨も上がり、闇夜にはただもくもくと上がる土煙だけがあった。
シーナは、すぐ隣りにいるカインと寄り添い、もくもくと昇る土煙を呆然と見つめていた。そんなシーナの手をカインは自然に繋いでいた。
今の大きな爆発音から、イシュタルとミュルエナの生存は絶望的に思えた。
騒ぎを聞きつけたのだろう、カインの屋敷の周辺は人集りができていた。
そんな中、シーナの元に駆けつけた人物がいた。
「シーたん!!怪我は!!だいじょうぶぅ―――」
「にーに?」
シーナの元に駆けつけたシエテは、息を切らせながらもシーナの身の安全を心配して声を掛けたがその声は尻すぼみしていった。
シエテの視線は、シーナの全身から次にその隣に佇むカインに移った。そして、二人の手が、指を絡めるような握り方で繋がっているのを見て無言を通り越して真顔になっていた。
不審に思いシエテに声をかけるシーナだったが、シエテは真顔のままフリーズしていた。
ハイライトの消えたその瞳からは何も読み取る事はできなかったが、カインはシエテのその表情を見て何故か既視感が湧いた。
遠い昔、誰かにそういった表情と視線で無言で見つめられたようなそんな気がしたのだが、思い出してはいけないような気がして、寒気で震えるだけだった。
しかし、寄り添っていたシーナには体の震えが伝わっていたようで、心配そうに身を寄せてきた。
繋いでいた手をギュッと握り、体をさらに寄せたのだ。そう、まるで自分の体の熱を分け与えるかのように。
「カイン様?大丈夫?震えてるよ?」
そう言って、心配そうにカインの事を見つめたのだ。
その姿は、まるでかつてのイシュミールの様な、慈しみ包み込むような愛情に溢れた表情だった。
その表情を見たシエテは、全てを悟った。悟ってしまった。
しかし、わかっていてもそれを直ぐに受け入れることは出来なかった。
相手は、あのカインなのだ。
イシュミールを救えずに死なせた男なのだ。
親子ほどの年の差のあるシーナを好きになるなど考えられなかった。
これは、可愛そうだがシーナの片思いだとそう思いたかった。思い込みたかった。
しかし、それは出来なかった。
見てしまったのだ。あのカインの緩んだ顔を。
昔に見た、少年のあどけなさや背伸びをしたようなものではない、自然とあふれる愛おしい気持ちから緩んだ表情だったとシエテには見えた。
集まった人集りが騒ぎ出した周囲に、「ぶちっ!!」という謎の音が鳴り響いた。
謎の音にシーナとカイン、さらには、集まった人たりは首を傾げていた。
しかし、遅れて追いついていたクリストフとフェルエルタは、その音の正体に気が付き自然とその足は後退したのだった。
「…………ない」
そんな中、ボソボソと何かを言った後のシエテの行動は早かった。
混乱する周囲を置いてきぼりにしたシエテは、何処から取り出したのか分からないが、何かをカインの顔面に勢いよく叩きつけたのだ。
急に顔に当たったものに驚いたカインは、それが地面に落ちるのを視線で追った。
地面に落ちていたのは、真っ白な手袋だった。
シエテの謎な行動に、カインは困惑していたがそれをシエテ自身が説明した。
ただし、怒り口調プラス言っていることは事実だが、周囲に誤解を招くような言い方でだ。
「変態ロリコン辺境伯!!俺の大事な妹に手を出しやがったな!!何も知らない無垢な妹に破廉恥なことをするなんて、変態ロリコン残念辺境伯!!絶対に許さん!!」
シエテの発言に周囲に集まった、人々は困惑の声を上げた。
「えっ?ディアロ辺境伯は変態なの?」
「ロリコンだって?大変だ、うちの子も狙われるかもしれない。なんて危険な男なんだ!!」
「変態ロリコンで破廉恥行為を働くなんて、生きてる価値なくね?」
「やだ!!変態だなんて気持ち悪い!!」
周囲は、シエテの発した言葉にコソコソ言って距離を取るように離れていった。
カインは、集まった人々の嫌悪の言葉をいくら投げつけられようとも平気だった。言い方は悪いが、間違いではなかったから、事実としてそれを受け止めていた。
しかし、あまりの引かれように大量の冷や汗が滝のように流れていたが、ただ投げつけれれる言葉を受け入れていた。
シエテは、さらに続けた。
「変態ロリコン童貞変態伯!!手袋を取れ!!お前がシーたんに似つかわしくないと思い知らせてやる!!」
シエテの言葉にさらに周囲の人間はドン引きしていた。
「えっ、辺境伯ってあの歳でそうなの?やばくない?」
「まじでか!!賢者になれるんじゃね?」
「ええぇ、あんなにイケメンなのに童貞とか無いわ~」
周囲の人間からの言葉にカインは血を吐きそうになっていた。
「ちっ、ちが!!」
カインがその不名誉な部分だけは否定しようと声を上げたがそれを遮るようにシーナがカインのことを見つめて言った。
「カイン様は、どうていなの?どうていは悪いことなの?」
シーナは無垢な瞳で狼狽えるカインを見つめて言った。
カインは、第一に童貞ではないと言いたかった。しかし、シーナの様子から童貞の意味を把握していない事が考えられた。
もし、意味を聞かれた時カインが答えたとして、そのことでさらなる質問をされた場合、どう説明していいのか分からなかった。墓穴を掘る未来しか見えなかったのだ。
それよりも、シーナの性教育がどうなっているのかが気になってきた。
男女のそれは理解しているのかと。
そう思ったカインは、元凶であるシエテに視線をやった。
一瞬視線が合ったシエテは、自然な様子を装って、カインの視線を避けるように明後日の方向を向いた。
その瞬間カインは、知った。
シーナがあらゆる意味で無垢な存在なのだということを。
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